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真・恋姫†無双~暑漢伝~ 第一話:漢達、ナンパする

大鷲さん

前作『真・恋姫†無双~真・漢ルート~』の続編です。
申し訳ありませんが、前作を見ていないとキャラ同士の関係などが分からないと思います。

前作以上にキャラが崩壊しております。
ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。

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2010-08-14 23:57:42 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4961   閲覧ユーザー数:3797

 

己の執務室で目を瞑り物思いに耽る一刀。

その顔は真剣であり、彼に淡い思いを持つ女性であれば赤面しているだろう。

 

物思いに耽る一刀の耳に扉を叩く音がする。

三回叩いた後、一拍置いてもう三回。

一刀がある人物に執務室に入る際に合図として指示しておいたものだ。

 

 

一刀「……入ってくれ」

 

左慈「華佗に呼び出されたんだが……何の用だ?」

 

 

一刀の部屋に呼び出された左慈。

華佗も一緒に執務室に入る。

 

左慈は一刀の正面に立ちさっさと話せと言いたげに睨みつける。

 

 

一刀「そう慌てるな……大したことじゃないさ

   ……ちょっと三人でナンパにでも行かないか?」

 

 

 

第一話:漢達、ナンパする

 

 

 

 

聞きなれない単語に左慈は眉間にしわを寄せる。

華佗の方に視線を向けるが華佗も分からないと言う様に首を振る。

 

 

一刀「要は街を歩く女の子に声をかけて一緒にお茶をしたりして親しくなろうとするってことさ」

 

左慈「ちょっと待て、何でいきなりそんな事をすることになった?」

 

一刀「詳しくは前作のラストを参照してくれ」

 

左慈「異次元の話をするな!!」

 

 

怒る左慈にやれやれと頭を振りながら両手を上げる一刀。

その一刀の態度に余計に左慈の怒りは振り切れそうである。

 

 

華佗「この間二人で飲みに行った時に身を固めようって話になってな

   ……要は嫁探しをしようってことだ」

 

左慈「嫁探しだと?下らん!何で俺までそれに巻き込まれないといけないんだよ!!」

 

一刀「何言ってるんだよ、お前も仲間だろ?」

 

左慈「……干吉と他はどうした?」

 

一刀「他って……まあ、貂蝉たちがいると寧ろ邪魔するだろ?

   それに、干吉は……性癖的に無理かな」

 

左慈「まあ、それはそうだが……お前の場合は態々そんな事しなくても相手はいるだろ」

 

 

師匠である南華老仙を貂蝉たちとまとめる左慈に一刀は窓から外を見ながら話す。

左慈もその意見には納得した。

 

しかし、左慈が言うように一刀を異性として慕っている人間は既にいるのだ。

 

左慈の言葉にため息を吐いて首を振る一刀。

流石の一刀でも蓮華あたりの反応を見てその想いに気付かないほど愚鈍ではない。

彼女達は見た目麗しく、更に一刀のことを本気で想ってくれているだろう

 

だが……

 

 

一刀「確かに俺の事を想ってくれている娘はいるだろう!

   けど、どうせならもっと他の娘達とも仲良くなりたいんだ!!」

 

左慈「……刺されても知らんぞ」

 

 

一般兵達が聞けば迷わず殴りかかられるであろう言葉に左慈も華佗も白い目を向ける。

そんな二人の視線を意に介さず一刀は外を指差す。

 

 

一刀「いいから外に行こう!

   まだ見ぬ女の子達が俺達を待ってるさ!!」

 

左慈「はあ、好きにしろ……」

 

華佗「は、ははは……はぁ」

 

 

無意味に自信満々な一刀の気迫に押されて二人は一刀と共に部屋を出る。

 

一刀が去った後、屋根裏から一人の少女が素早く部屋から出て行ったこと一刀たちは知らない……

 

 

 

 

一刀「まずは人数の事を踏まえて同じ三人組の娘達に声をかけよう

   近くにいる気がするんだ」

 

左慈「三人組か……」

 

華佗「……あそこにいるな」

 

 

街に繰り出す三人。

一刀の言葉に左慈と華佗もあたりを見回す。

華佗が指差す先には髭面の男、小柄の男、太った男がいた。

 

 

一刀「男の三人組見つけてどうするんだよ!」

 

華佗「いや、その奥の方だ」

 

左慈「あいつらは……音々音と呉の宴の時の奴らか?」

 

 

華佗の指差す先には小さい体を震わせている3人だった。

音々音と大喬・小喬姉妹は先に勘違いした男三人組に絡まれているようだった。

音々音は普段であれば恋と一緒にいるはずであるが、今は一緒にいないようである。

 

 

一刀「仮面は何時だって持ち歩いてるぞ」

 

左慈「態々被る必要なんてないだろ!」

 

華佗「そうでもないぞ、子供達は未だに一刀と『天の御遣い』は別人だと思ってるらしいからな」

 

左慈「言っておくが……俺は持ってきてないぞ」

 

一刀「あの程度なら俺一人でも何とかなるさ」

 

 

普段から学生服を着ている一刀であるが、仮面さえ被ればあら不思議、『何故か』別人扱いである。

懐から仮面を取り出して被る一刀。

公衆の面前での行為であるが、誰も突っ込まない。

 

 

ヒゲ「おいおい、お嬢ちゃん……新調したばっかの服が汚れちまったじゃねえか」

 

小喬「何私達の所為にしようとしてんのよ!

   アンタがぶつかって来たんじゃない!!」

 

音々音「そうです!ねねはこの目でしかと見ていたのです!!」

 

チビ「アニキ、やっちまいやしょうぜ!」

 

大喬「しょ、小喬ちゃん……」

 

 

凄む男達に大喬は小喬の背に隠れる。

音々音も小喬も腕っ節に自慢があるわけもなくジリジリと後ずさる。

 

 

一刀「待てぃッ!!」

 

ヒゲ「だ、誰だ!?」

 

一刀「俺の名前を言ってみろ!」

 

左慈「前向上じゃなねえよ!!」

 

 

様式美と言うものが分かっているヒゲ男たちはどうすればいいのかとあたふたしている。

一刀もごほんと咳き込んで口上を言い直す。

 

 

一刀「悪の暴力に屈せず恐怖と戦う正義の気力

   ……人それを『勇気』という!」

 

デブ「お、お前は!?」

 

一刀「貴様らに名乗る名前は無い!」

 

 

先程、自分の名前を言ってみろといった人物の言葉ではない。

そんな理不尽もその場の勢いで流しつつ、一刀は悪漢達を軽く倒していく。

政務ばかりで体が鈍っているかと思ったがそれほど衰えていなかった。

 

 

 

 

 

大喬「ありがとうございました」

 

一刀「何、どうって事ないさ」

 

 

悪漢達を追い払った一刀に大喬は深々と頭を下げる。

一刀も『この都では良くある事』なのであまり気にしない様に言っておく。

 

 

大喬「よろしければ、お名前を……」

 

一刀「え?」

 

小喬「助けてもらったんだからお礼くらいはするわよ?

   こう見えても呉の孫策様たちには懇意にさせてもらってるの

   だからそれなりの御持て成しが出来るけど……」

 

 

一刀は思案していた。

彼女達は自分の正体に気付いていないのか、それとも自分のことを忘れているのか……と。

 

ちらりともう一人の被害者、音々音の方に視線をやると視線をそらされた。

彼女は恋のことを崇拝しており、時々彼女と恋の間に入り込む一刀を嫌っているのだ。

彼女からの援護は無いと判断した一刀はどうしようかと頭を悩ませる。

しかし、その悩みはすぐに無意味なものとなる。

 

 

少年A「わ~い!御遣い様だ~!!」

 

少年B「すげえ、本物だ!!」

 

 

一刀の活躍に気付いた子供達が集まり始めたのだ。

保護者の皆様に頼まれていたことを思い出し、一刀は少年達に向かって手を振る。

 

 

一刀「君達はこんな大人になっちゃダメだぞ!

   それじゃあ、親御さんの言う事をよく聞くんだぞ!!」

 

大喬「あ……行っちゃった」

 

小喬「って、アイツ御遣い様だったの!?」

 

音々音「ああ見えてこの街の責任者なのですよ

    礼をするつもりなら城にでも行けばいいのです」

 

大喬「御遣い様……」

 

 

恋する乙女の目で一刀の背中を見送る大喬。

一刀に新たなフラグが建築された瞬間であった。

 

 

 

 

一刀「よしっ!次に行こう!!」

 

華佗「さっきの三人の所には行かないのか?」

 

左慈「流石にすぐに戻る訳にも行くまい

   そもそもガキに興味は無い」

 

 

きっぱりと言い捨てる左慈。

そんな左慈の意見に一刀は内心『ありだろ』と抗議していた。

 

しかし、左慈が言う事も一理ある。

少なくとも正体を知っている音々音の前に何食わぬ顔で戻る気にはなれない。

 

男達は来た方向とは逆向きに進路を向けて歩き出す。

そして、少し歩いた所で一刀のセンサーに獲物(女の子)がかかる。

 

 

一刀「近いぞ!」

 

左慈「今更驚きはしないが、お前も大概人外に近づいてるよな」

 

華佗「多分あの子達じゃないか?」

 

 

観察眼に優れた華佗が一刀のセンサーにかかったと思われる女の子たちを見つけ出す。

指差す先には朱里、雛里、稟の三人が本屋の前で話しているようだった。

 

 

左慈「諸悪の根源じゃねえか!!」

 

華佗「今会うのは得策ではないような気がするんだが……」

 

一刀「それでも俺は彼女が欲しい!って訳で突撃だ!」

 

 

例の本の作者たちであることがほぼ確定している人物たちを前に戦慄する左慈と華佗。

例の『戯志才』なる人物は稟である可能性が高いと言う情報を星から手に入れているのだ。

彼女が稟と風と一緒に旅をしていた際に稟が偽名として使っていたらしい。

しかし、そんな事に意を介さず、一刀は彼女達に向けて進んで行く。

 

 

一刀「やあ、朱里、雛里、稟、こんな所で会うなんて奇遇だね」

 

朱里「はわわ、一刀様!?」

 

雛里「あわわ、ど、どうしよう……」

 

稟「おや?華佗殿に左慈殿も一緒とは……」

 

 

目敏く一刀の後ろにいる華佗と左慈に気付く稟。

少し遅れて気が付いた朱里と雛里は数瞬ほど思案した後に顔を赤くして恥ずかしそうに一刀たちに尋ねる。

 

 

朱里「あの……やっぱり一刀様と華佗さんは……」

 

一刀「やっぱりって何でしょうか?そのような事実はございません」

 

雛里「朱里ちゃん朱里ちゃん、左慈さんもいるからもしかしたら3人で……」

 

左慈「ねぇよ!!」

 

一刀「そうそう、俺達はナンパ……つまり女の子を口説きに来たんだ」

 

華佗「あまり胸を張っていえることでは無いけどな」

 

 

朱里と雛里の妄想を打ち砕く為に一刀と左慈は必死で説明する。

稟は雛里の『3人で』発言の時点で鼻血を出して倒れている。

そっと稟の首の後ろのツボを刺激して鼻血を止める作業に取り掛かりながら苦笑いをする華佗。

 

 

 

 

その程度でめげる一刀ではない。

そのまま朱里たちを口説こうと顔を近づける。

 

 

一刀「どうせなら朱里たちと一緒に……」

 

蓮華&華雄「「一緒に?」」

 

一刀「い、一緒に政務でもしないって言おうとしただけです

   本当です、信じてください」

 

 

つい先程まで感じなかった圧倒的な威圧感を感じる一刀。

聞き覚えのある声に慌てて取り繕おうとするが、背後から感じるぴりぴりとした殺気は消えてくれない。

恐る恐る振り返ると黒い笑みを浮かべた蓮華さんと怒ってますと一目で分かる華雄さんが立っていた。

 

 

蓮華「ねえ、一刀

   今、何をしているの?」

 

一刀「ま、街の視察であります!!」

 

華雄「なるほどな……私の聞いた話に寄ればお前が街に女漁りに出たと聞いたのだが?」

 

一刀「っ!!!??」

 

 

一刀の部屋の屋根裏にいた人物。

それは一刀を監s…警護するように言われていた明命であった。

一刀たちの話を聞いた彼女は蓮華に報告していた、そして蓮華は華雄を呼んで一緒に現れたと言う訳である。

 

彼女たちにナンパをしようとしていた事がばれたと気付いた一刀は華佗たちの方に視線を向ける。

しかし、華佗たちは一刀と視線を合わせようとしない。

 

 

華佗「ど、どうしよう、郭嘉殿の鼻血が止まらない(棒読み)」

 

左慈「そ、それは不味い、診療所に連れて行くぞ(棒読み)」

 

朱里&雛里「「わ、私達も心配なので付いて行きます(棒読み)」

 

一刀「裏切るのか!!?」

 

 

一刀の声も虚しく、華佗たちは一刀の方に視線を向けずに走っていく。

あんな棒読みな演技で騙される訳も無いのだが、一刀以外をどうこうするつもりのない二人は華佗たちを見逃す。

 

 

蓮華「一刀、『お話』しましょう?」

 

華雄「お前に選択権はないがな」

 

一刀「……………はい」

 

 

一刀は蓮華と華雄によって城に連行された。

 

その後、一刀がどのような目にあったのかはわからない。

ただその日、一刀の私室から一刀の謝る声が響き渡ったと言う……

 

 

 

 

おまけ

 

大喬「ねえねえ、小喬ちゃん」

 

小喬「何、姉さん?」

 

大喬「御遣い様…かっこよかったね!」

 

小喬「そ、そうね…」

 

大喬「そうだよね!またお会いしたいよね!!」

 

小喬「え、ええ」

 

大喬「うんっ、なら明日にでもお城に行こうよ

   今日のお礼をしなくちゃ……」

 

小喬「(姉さんがこんなに積極的になるなんて

   ……でも冥琳様から御遣い様が蓮華様の想い人だって聞かされてるんだけどな~)」

 

 

姉の恋路を思って小喬はため息を吐くのであった。

 

 

 

あとがき

 

皆様、こんばんは。

冷蔵庫の中に食器洗い用洗剤を入れていた大鷲です。

見た目だけならメロンソーダみたいでした。

 

性懲りも無く書きました。

元からかもしれませんがギャグ主体のお話です。

あえて言うならば……

前作に比べて一刀の性格がアグレッシブになりました。

前作に比べて左慈の突っ込み率が高まりました。

前作に比べてヤン…蓮華の暗黒化が進みました。

 

いい変化を遂げた人物がいません(´;ω;`)ウッ…

 

 

 

次回予告

 

ナンパは危険だと身をもって知った一刀

          ならば逆に女の子に己をアピールするしかない!

                      思い立った一刀は料理大会を企画するが……

 

次回、『漢達、料理する』にご期待ください。

 

 
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