No.163097

嘘・恋姫無双 第五話 『星の衝突』

マスターさん

第五話の投稿です。
初の戦闘描写で、非常に難しく、自分が思い描く通りに伝えられないです。文才が欲しい・・・。

誰か一人でもおもしろいと思ってくれたら嬉しいです。

2010-08-03 22:38:56 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5167   閲覧ユーザー数:4342

 義勇兵の登録を文官に任せた公孫賛は、義勇兵の中にひと際目立つ男と女の二人組がいるのに気づいた。

 

 男は、顔は首に巻かれているボロボロの布で表情まで読み取れないが、頬に大きな傷跡があった。目立っているのは背負っている背丈を越えるほどの大きな剣だ。腰には見たこともない刀を佩いている。

 

 女のほうは美しいと言えばそれまでだが、そんな男と平気で一緒にいること自体が異常だった。

 

「ふむ、あの男が気になるのか?伯珪殿もなかなか隅に置けぬな。」

 

 そんな公孫賛に、字を呼びながら、女性が親しげに声をかけた。

 

 青い髪を後ろで結び、豊満な胸を強調するかのような、露出度の高い服を着ている。

 

「星!?何を言っている!?私はあんな巨大な剣を背負っているのが不思議に思っただけだ!どうせ、使えもしないのに、自分を目立たせるためだけの飾りだろうがな!」

 

 星は彼女の真名である。彼女は趙雲、字を子竜である。

 

 今は公孫賛の元に食客として養われている。武勇に優れ、また、知略にも富んでいるため、黄巾賊の討伐においても公孫賛の片腕として活躍している。

 

「フフフ・・・伯珪殿はホントに可愛らしい。・・・・それにしてもあの男、少々気になりますな。」

 

 公孫賛が顔を赤くして反論する姿を見て、趙雲はからかう様に妖艶な微笑みを浮かべるが、すぐに真面目な顔をして例の男を見つめる。

 

 見た感じ、確かにそれほど強そうにも見えない。あの巨大な剣にしても、常識を思えば、公孫賛の言うとおり、飾りにすぎないのだろう。あんなもの振り回せるはずがない。

 

 しかし、なぜか胸に引っかかる。そう思ったときには、すでに趙雲はその男に向かって歩を進めていた。呼び止めようとする公孫賛の声は聞こえていなかった。

 

「そこの義勇兵、少し話がある。こちらへ来てはもらえまいか?」

 

 趙雲は自然さを装って話しかけてみたが、どこかに不自然さが出たのだろう、横にいる女は目に警戒の色を浮かべている。男の裾を掴んで、行ってはいけない、ということを訴えているが、男は女の頭を軽く撫でて微笑むと、頷いて、趙雲の誘導する方向へ来た。

 

「星?いったい、お前は何を考えているのだ?」

 

 追いついて来た公孫賛に微笑むと、練兵所の隅に向かった。

 

 そして、男に向かって、自分の得物である龍牙を向けた。公孫賛は焦って止めようとしたが、趙雲はそれを笑顔で、心配ないと言った。男は龍牙を向けられても戸惑った様子はなかった。

 

「私は趙雲、字を子竜という。今は伯珪殿の所で食客をしている者だ。貴殿は並の義勇兵ではあるまい?少しお手並みを拝見したいのだが、手合わせをお願いできるかな?」

 

 男は肯定とも否定とも取れるような表情をしていた。いや、この男には表情がないのだ。そして、静かに佩いている刀を抜いた。それは奇妙な形をしていた。普通の剣に比べて長く、そして細い。この時代の中国には日本刀は存在しないのだから、趙雲が不思議がるのは当然だ。

 

「やはりその背の大刀は飾りか?」

 

 趙雲は挑発と取れるような軽口を叩いた。

 

「これを使うと、趙子竜を相手に手加減は出来ない。」

 

 趙雲は初めて男の声を聞いた。男の声は低く、ボロ布越しなのでさらにくぐもって聞こえた。しかし、表情に変化はなく、相変わらず思考を読み取ることはできない。

 

「ほう。ならばすぐにそれを使うくらいの本気を出させて見せよう。」

 

 趙雲は戦ってみればわかると思い、槍を構えた。まずは小手調べとばかりに覇気を相手に向かって放つ。相手はそれに全く動じなかった。自分の想像以上に出来るかもしれないと思い、意識を集中させた。

 

 公孫賛は最初男のことを心配していた。趙雲の実力を知っていたからだ。自分ですら、趙雲に全く歯が立たないのだから、義勇兵の男に勝てるはずがないのだ。しかし、公孫賛は徐々に自分の目を疑うようになった。

 

 最初、趙雲は男に向かって覇気を放った。普通の兵ならば、それで腰を抜かし、ひどい時は気絶してしまう時もある。しかし、男はそれを軽く受け流した。趙雲はそれから真剣な表情で相手と対峙していたのだが、数分も経つと、額から汗を流し始めたのだ。まだ動き始めてもないのに。

 

「あの方では白様には勝てませんよ。もうすぐ決着がつきます。」

 

 いつの間にか自分の横に、男と一緒にいた女が立っていた。それよりも彼女が言ったことに驚愕した。趙雲が勝てない。そんなことがあるのだろうか?少なくとも、趙雲は自分が知っている中でもっとも強い武将であるはずなのに。

 

 趙雲は戸惑っていた。意識を集中して相手の動きをじっくり観察したのだが。相手の動きが全く読めないのだ。

 

 槍の切っ先で何度か誘いをかけてみたが、何も反応も示さなかった。相手はただ悠然と刀を構えているだけで、殺気も覇気も一切放つ気配はない。

 

 目の前にいるのに、まるで何もいないものと対峙しているような不思議な感覚に襲われた。しかし、彼女から動くのを本能が押し止めた。

 

 自分は初めて恐怖というものを感じている。そして、その初めて感じる恐怖というものに戸惑っているのだ。

 

 何を戸惑っている!

 

 趙雲は自分を励まして、自分が勝利するところを想像した。槍を突き出す。刀を掬いあげるように弾き飛ばして、喉元に寄せる。単純だが、それゆえに趙雲がもっとも自信のある戦法だった。趙雲は槍を握る手に力を込めた。

 

 趙雲は地面を蹴り、白星に向かって突進した。槍を左の肩口を狙うように動かす。それはフェイントで、狙いは右手に持つ刀そのもの。刀を持つ白星の右手が動いた。

 

 そこをすかさず趙雲は、槍を突き出して、刀を巻き込むように刀を弾き飛ばして、穂先を首に突き付けた、と思った。

 

 しかし、不意に男の身体が霧のように消えた。いや、正確には一瞬で超雲の死角に入ったのだが、趙雲にはその動きが見えていないのだ。趙雲が気付いた時には、すでにこちらの喉元に刀が当てられていた。

 

「そ、そこまでだ!」

 

 公孫賛の焦った声が聞こえた。元々、白星には趙雲を斬るつもりなど一切なかった。趙雲は愕然とした表情をして、膝から崩れ落ちた。まだ、自分が負けたという事実を受け入れていないのだろう。

 

 それどころか、彼女には白星の動きがほとんど見えなかった。刀を鞘に戻し、微笑みながら待っている美月のところに行った。

 

「見事だった。完璧なまでの動きだった。お前、名は?」

 

 公孫賛は驚いた表情のまま呟いた。公孫賛も事実を受け入れられないようだ。白星は最初、趙雲と名乗る少女を見たとき、困惑をしたが、彼女が放つ覇気を受けた瞬間から雑念を全て消し去った。女性とは言え、その強さは本物であるとわかったからだ。

 

「わが名は白星。こっちは俺の供の姜維だ。」

 

 白星は軽く礼をすると、その場を立ち去ろうとした。

 

「待て!星を、趙雲を倒したお前を普通の義勇兵として扱うわけにはいかない。我が軍の将として来てはくれないか?」

 

 公孫賛は白星の腕を掴んだ。白星は賊徒を滅ぼせればそれで良かった。しかし、この二人にも興味があったのも事実だ。もっと言えば、美月にこの二人から将としてのいろはを学んでもらいたかった。

 

「いいだろう。しかし、条件が二つ。まず、美月、ここにいる姜維を俺の側から離さないこと。それと、俺は公孫賛殿の部下ではなく、客将とすること。」

 

「い、いいだろう。お前を客将として趙雲と同様の扱いさせてもらう。」

 

 そう言うと、公孫賛は趙雲の元に行った。趙雲は敗北した悔しさからまだ立ち直っていないようだ。その眼には涙が流れていた。

 

あとがき

 

第五話、『星の衝突』でした。

 

白星はかなり強めの設定にしてあります。

 

それくらい、自分を追い込んで修業をしていたので。

 

そして、彼にはもう1つ恐るべき力があります。

 

それを絡めた話を次回以降に散りばめていけたらと思います。

 

戦闘シーンは非常に難しいです。

 

でも、この物語は戦闘シーンを中心に書きたいという、

 

かなり無謀な展開をすると思います。

 

もう少し上手く表現できるように勉強したいと思います。


 
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