No.162310

真・恋姫†無双~真・漢ルート~ 第十四話:一刀、共有財産になる

大鷲さん

名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。

2010-08-01 01:51:38 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3918   閲覧ユーザー数:3152

蜀に来てそれなりの月日が経ったある日。

一刀たちは診療所に集まってお菓子をつついていた。

無論、お菓子を食べる為に集まったわけではなく今後の身の振り方について話し合う為である。

 

 

左慈「それでこれからどうする心算だ?」

 

干吉「残るは南蛮か五胡ということになりますが……」

 

華佗「流石に五胡の方は俺達漢民族を嫌っているから厳しいと思うが?」

 

貂蝉「南蛮も美以ちゃんたちが居るから今更行くほどの事もないでしょうし……」

 

卑弥呼「今や大陸には魏、呉、蜀の三国が雌雄を決するのみ、ご主人様よどうする?」

 

 

卑弥呼の言葉に一刀へ視線が集中する。

 

先日の華雄たちとのやり取りの際に旅の目的についての話があった。

あの日から一刀が考えていた事を皆の前で言う。

 

一刀の言葉は旅の終わりを意味していた。

 

 

 

第十四話:一刀、共有財産になる

 

 

 

 

現在、一刀たちは蜀に来た時に皆に紹介された会議室に居る。

無論一刀たちだけでなく蜀の重役たちもいる。

 

 

桃香「一刀さんの大事な話ってなんですか?

   ……はっ、もしかしてもう出て行っちゃうんですか!?」

 

一刀「ある意味それに近いかな?

   ……俺たちが今まで旅をして来たのは大陸を平和にする為だった訳だけど」

 

左慈「正直、こいつが今から動いた所で返って混乱するだけだ」

 

干吉「そこで我々は皆さんの手助けをする事にいたしました

   ……さし当たって問題となるのが魏です」

 

貂蝉「皆も分かってると思うけど、今の曹操ちゃんは乗りに乗ってるわ

   今の蜀ではあっという間に負けちゃうでしょうね」

 

卑弥呼「だが一国で勝てぬなら同盟を組めば良い

    呉も魏に対して一国で勝てると思うほど自惚れてはおらぬ」

 

華佗「呉の雪蓮や冥琳とは懇意にさせて貰っている

   一刀を橋渡しに使えば同盟は結びやすいと思うんだが?」

 

 

一刀たちの言葉に頭脳担当の二人は眉を顰める。

 

それは一刀たちが言っている事は彼女達も考えていた事であるからだ。

一刀を橋渡しにすると言う発想はなかったが、蜀と呉で同盟を組む事で魏の戦力に対抗できるようになる筈である。

そして、魏の戦力を削り、三国の力が拮抗する事で天下を三つに分ける。

 

 

一刀「『天下三分の計』……朱里はそう言うのを考えていたと思う」

 

朱里&雛里「「!!?」」

 

 

自分達の考えて来た大計を寸分違わず言い当てられ驚愕する二人。

 

 

桃香「朱里ちゃん?」

 

朱里「桃香様、一刀さんが言ってるのは本当のことです

   私と雛里ちゃんでずっと考えて来たものに酷似しています」

 

桃香「そっか、でも何で一刀さんがそのことを?」

 

左慈「それがこいつの天の御遣いたる理由なんだよ」

 

一刀「俺は別の世界、しかも1800年もあとの世界に生きていた人間なんだ」

 

 

一刀の言葉に頭のよろしくない子達が良く分かっていないと言う風に首をかしげる。

 

 

 

 

麗羽「良く分かりませんけど、一刀さんは未来の事が分かると言う事ですの?」

 

干吉「的中率は高くありませんが、今の皆さんの現状を鑑みるに呉との同盟は必然だと思いますが?」

 

桃香「確かに、曹操さんに対抗するには孫策さんたちと同盟を組まないと……」

 

 

桃香は考える素振りをしながら朱里と雛里のほうを見る。

二人は桃香の視線に気付き、こくりと頷く。

 

 

桃香「……一刀さん、呉との同盟の仲介、していただけますか?

   孫策さんとはそれなりに関わりがありましたけど……」

 

一刀「美羽の事だね

   雪蓮は気にしてはいないみたいだけど他の人はどうか分からないからね……

   でも大丈夫さ、いざと言う時は俺たちの方で保護するよ」

 

 

呉とて蜀との同盟は願ったり叶ったりだろうが、美羽が蜀にいるとあっては良い顔しないだろう。

 

捨てられた犬のようにプルプルと震える美羽を宥めながら一刀は最悪の事態に陥った場合の話をする。

一刀に宥められて安心したように笑顔になる美羽。

 

 

一刀「……とりあえず同盟の仲介については任せて欲しい

   貂蝉、これを…」

 

貂蝉「了解よん

   じゃあ、ちょっと建業にイって来るわね」

 

一刀「……任せた」

 

 

一刀の言葉を聞いて窓から飛び出す貂蝉。

冗談のような存在だが彼ならば1日と掛からずに着くだろう。

 

 

そして、一刀の想像の遥か上を行く貂蝉は半日も経たずに返事を貰って帰ってきた。

返事には首脳陣で話がしたいと書いてあり、一刀も同行するようにも書かれていると桃香は言う。

 

返事を受け取った桃香はすぐに愛紗、星、朱里、雛里を率いて出発する。

集合場所は白帝城。

一刀たちも桃香たちと一緒に出発する。

一刀が行くというので麗羽や美羽たちもついて行くとわがままを言っていたが、貂蝉と卑弥呼の『説得』により聞き分けのいい子になり、震えながらも見送りに来てくれていた。

 

 

 

 

雪蓮「久しぶりね、劉備」

 

桃香「はい!連合の時以来ですね、孫策さん」

 

 

二人の王の挨拶を皮切りに会議は始まる。

呉からは雪蓮、冥琳、穏、亞莎、祭の5名が来ていた。

 

会議の内容は兵数、合流地点、連絡系統etcetc……

 

 

一刀「あれ?これって同盟を結ぶかどうかの会議じゃないの?」

 

雪蓮「何言ってるのよ……すでに魏は呉に攻め入る準備を整えているって情報を手にしているわ

   そんな状況で同盟を結ばない理由は無いでしょ?」

 

桃香「そうですよ、『一刀さんを象徴にした同盟を』って話だったじゃないですか」

 

一刀「俺が『仲介して同盟を結ぶ』って話だったよね!!?」

 

雪蓮「でも書面にそう書いてあったわよ?」

 

 

辺りを見回す一刀にいい笑顔の干吉が写る。

一刀は自分の字がそれほど上手くないことを自覚しているので、干吉に代筆を頼んでいた。

 

 

一刀「は、謀ったな!?」

 

干吉「心外ですね、一刀殿のことを思っての行動ですよ」

 

 

いつも通りやれやれと言いたげに両手を上げる。

左慈も愉快そうに口を歪めている。

 

一刀の予定ではあくまでも第三者として協力し、一刀の知る歴史に沿って大陸を太平に導くと言う話であった。

しかし、それでは『天の御遣い』として一刀が有効に使われていないと判断した二人は、一刀を同盟の中心兼トップの位置に配置する事にした。

そしてその謀り事は二国の王の協力により達成されていた。

桃香は純粋に天の御遣いである一刀を信頼してであるが、雪蓮は面白そうだと思ったからである。

それに雪蓮の勘が上手く行くと判断しているのだ。

 

 

雪蓮「どういう経緯であれ、一刀が同盟の象徴である事は事実よ」

 

桃香「それに、兵隊さんたちの士気も上がりますし、同盟の名前で揉めなくて済みそうですし……」

 

 

『蜀呉同盟』か『呉蜀同盟』かで意見が対立するのは目に見えて明らかである。

そこで『御遣い同盟』と言う、一刀をどうにかする同盟のような名前にしたのだ。

 

今更同盟のトップであることが判明しソワソワしだす一刀。

しかし、そんな一刀には一切触れずに会議は進む。

一刀たちの頭脳担当の干吉も時折意見を求められているのに、一刀には一切何も言われない。

 

 

 

 

一刀「……俺って何すれば良いの?」

 

左慈「黙って座ってろ」

 

一刀「(´・ω・`)」

 

 

隣で真剣に会議を聴いている左慈に聞くが一蹴される。

 

 

冥琳「では、最後に一刀殿の身柄だが……」

 

桃香「はいはーい、私たちが預かります!」

 

雪蓮「あら?でも決戦の地は赤壁の予定でしょ?ならウチの方が近いじゃない」

 

 

場の温度が下がる。

同盟の名前で揉めなかったが、一刀の身柄をどちらが受け持つかで揉める事になる。

 

 

左慈「ほら、待ち望んだ出番だぞ

   さっさと収拾しろ」

 

一刀「……決戦の地は赤壁なんでしょ?俺は先に赤壁でみんなを待ってるよ」

 

 

どちらか片方に付いていけば残る片方に不満が出るかもしれない。

そこで一刀はどちらにも付いていかず、双方の目的地にて待つことにした。

 

 

桃香「……私だけ先に行くのはダメかな?」

 

愛紗「ダメです

   一刀様、なるべく急いで参りますが何卒御無理はなさいませんようお願いします」

 

冥琳「先に言っておくが、雪蓮、貴方も赤壁で待つなんてことはダメだから」

 

雪蓮「や、やぁね、そんな事考えてるわけないじゃない」

 

 

冥琳の鋭い視線に目を泳がせながら乾いた笑みを浮かべる雪蓮。

その場に居た面々は彼女が一刀に付いて行こうとしていたのだと察する。

 

 

亞莎「ですが、川を下るのでしたら我々と同行していただいた方がよろしいのでは?」

 

一刀「ああ、別々に下る理由も無いからね」

 

桃香「むぅ~、結局孫策さんたちの方に行っちゃうんじゃないですか……」

 

雪蓮「ここに来るまで一緒だったんだからいいじゃない、劉備」

 

桃香「あ、それもそうでしたね……あと、私のことは桃香で良いです」

 

雪蓮「なら私のことは雪蓮で良いわよ

   それじゃあ、会議はこれまでかしらね」

 

 

雪蓮の言葉に反応して皆一席を立つ。

武官は武官同士、文官は文官同士で集まって話し合いを始める。

互いに真名を教えあったり、互いの武勇を話し合ったり、一刀のことを話したりしていた。

 

話し合いは終わり、各自明日には己の国に帰ると言うハードスケジュール。

一刀たちも割り当てられた部屋で集まって話し合いを始める。

 

 

一刀「それにしても不意打ちはやめてくれよ……吃驚するだろ」

 

左慈「こうでもしなければお前は動かんだろ」

 

華佗「俺も驚いたが結果的には上手く行ったんだ、大丈夫だろ」

 

干吉「それよりも、我々が何も言わずとも決戦の地は『赤壁』でしたね」

 

貂蝉「そうねん、ご主人様の知る歴史を大まかに沿っている以上ご主人様は歴史の道標になりうる……」

 

卑弥呼「しかし、気を抜く出ないぞご主人様

    こういう時こそ気を引き締め、有事に備える心構えが必要なのだ」

 

 

卑弥呼の言葉に真剣な顔付きになる一刀。

 

 

貂蝉「あらん、ご主人様ったら素敵さ3割増し

   ご主人様、私の胸のときめきを治めて~」

 

卑弥呼「ぬぅ、貂蝉よ抜け駆けは許さんぞ!

    わ、私とてご主人様に……チラッ」

 

一刀「た、助けて華雄!!」

 

華雄「なっ!?腰に抱きつくな……っ」

 

 

擦り寄る貂蝉たちから逃げるように華雄の腰に抱きつく一刀。

華雄は顔を赤らめながら一刀の頭を押す。

しかし、本来の彼女の腕力を考えれば容易く引き剥がされるはずである。

そのことに気付いている左慈たちは素直じゃないな、と思いながら苦笑する。

 

 

 

 

翌朝、桃香たちに見送られる形で船は出港する。

出港した船の中では早くも二人の人間が船酔いによりダウンしてしまっっていた。

 

 

左慈「うぅ……」

 

干吉「はぁはぁ」

 

一刀「干吉、目がやばいよ」

 

 

船酔いは発症したのは左慈と華雄の二人である。

干吉は左慈が弱っている姿に悶えているだけであるが、その方が問題である。

干吉を親の仇の如く睨みつける左慈だが、船酔いにより足元がふらふらしている。

 

 

一刀「確か船の真ん中あたりにいればあまり揺れないはずだよ

   後は出来るだけ遠くを見るようにすれば良かったはず」

 

華雄「少しでもマシになると言うのなら……」

 

 

一刀の言葉にのろのろと移動を始める二人。

武力に置いては一刀たちの一行でも上位に入る二人の弱った姿に言い知れない保護欲が生まれる一刀。

華雄に近寄って肩を貸して歩く。

一瞬硬直する華雄だが、逆らうつもりも無いのでそのまま移動を続ける。

 

二人を中央付近に連れて行き、華佗に後を任せた一刀は雪蓮たちの元に向かう。

大事な話があると言っておきながら二人が倒れてしまった為待ってもらっているのだ。

 

 

一刀「ごめん、後は華佗に任せて来たから大丈夫だと思う」

 

雪蓮「いいわよ、船酔いなんでしょ?仕方ないわよ……それより」

 

冥琳「大事な話と何?」

 

一刀「蜀の皆にはすでに言ってる事なんだけど……」

 

 

一刀は雪蓮たちに蜀の面々に説明した事を話す。

一刀の話を聞いた呉の面々は一刀の異色と言っても良い発案や知識の正体を知り納得する。

 

 

一刀「冥琳の病気も俺の世界の周瑜が病気だったってことを知ってたからなんだ」

 

冥琳「……なるほど、しかし、何故今になってその話をした?」

 

雪蓮「この同盟のことも貴方の歴史通りって事が関係あるのかしら?」

 

一刀「……皆も知ってると思うけど呉と蜀、この二国を合わせても魏に勝つのは厳しい

   船上での戦いとはいえ兵力に差があるからなんだ……だから」

 

亞莎「火計……ですか?」

 

 

一刀が言おうとした言葉を亞莎が先に言う。

人数差を埋める為に必要なのは火計……

 

 

一刀「そう、だから火計の準備をお願い、蜀の方にも連環の計をお願いしてるんだ」

 

祭「連環の計とは?」

 

一刀「船の上での戦いに慣れていない魏軍は船酔いに苦しむ事になるんだ

   だから鎖で船を繋ぐことで揺れが緩和されるという情報を流すんだ

   そうすれば船同士が鎖でつながれ火が付いても急に離れる事ができない」

 

亞莎「なるほど……」

 

 

蜀の雛里に頼んでおいた連環の計。

連環の計について軽く説明した時の彼女の瞳は普段の内気な彼女とは別人のように深い知性の輝きを宿していた。

 

 

 

 

一刀「まあ、そう言う訳で連環の計は雛里に一任してる

   俺の知る歴史なら……この二つの計略で魏の戦力を削れるはずだよ」

 

雪蓮「分かったわ、冥琳、火矢の準備とありったけの油の手配をよろしくね」

 

冥琳「了解した」

 

 

本来であれば冥琳と祭の二人で打ち合わせなしで行われる苦肉の策もあるだろうが、一刀はそのことを黙っておいた。

苦肉の策の替わりは考えてあるからだ。

 

一刀の火計案に冥琳、亞莎、穏が手を加えて用意すべき火矢の量等を計算する。

 

そして、一刀たちは決戦の地、『赤壁』へとたどり着く。

 

ついに天の御遣いが歴史への介入を始めた。

果たして一刀は大陸を太平に導く事ができるのか……

 

 

 

 

おまけ

 

一刀「そういえば蓮華は来なかったんだね」

 

雪蓮「……すっっっっごく来たそうだったけど、流石に私が行かなきゃいけないから残ってもらったのよ」

 

冥琳「ああ、非常に悔しそうだったぞ」

 

穏「……ここだけのお話ですけど蓮華様、『今からでも王座を…』って言いながら剣を磨いてらしたんです」

 

雪蓮「わ、私ってもしかしてやばい?」

 

冥琳「……穏、冗談が過ぎるぞ」

 

穏「あはは、ばれちゃいましたか?

  蓮華様に限ってそんな事……」

 

亞莎「でも、『姉様が病気になれば……』とは言ってらっしゃいましたよ」

 

一同「え”っ!!?」

 

 

あとがき

 

皆様、こんばんは。

PS3買ってA○E購入を目論む大鷲です。

 

PS3と一緒にT○Vを買ってついつい遊び呆けておりました。

申し訳ありませんorz

 

漸く介入を始めた一刀一行ですが、やっぱりキャラ数が増えると捌ききれない(;´Д`)

好きなキャラとか出したいのに……(´;ω;`)ウッ…

 

何とかこれを完結させて恋姫†まつりに参加してぇ……

 

 

次回予告

 

一刀の人徳によって早期に組まれた同盟

          対するは一刀に齎された知識により万全の状態の魏

                           果たして勝利の風は果たして吹くのか……

 

次回、『漢達の大計』にご期待ください。


 
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