No.160658

鈴と真人ーズ

でくのさん

リトルバスターズ!のギャグ短編SSです。

2010-07-25 20:27:12 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1853   閲覧ユーザー数:1794

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「な、なにぃっ」

「だ~か~らぁ、夕方の番組とかであるじゃないです

か、学生の部活動とか自慢する内容の投稿ビデオ。私

たちの野球の練習風景撮影して投稿したらおもしろい

かなーって思いたったわけですヨ」

 いつもの放課後、いつもの部室。いつもと違うのは、

三枝さんがビデオカメラを構えていることだった。

 カメラを向けられるたび、鈴は困った顔をして僕の

背中へと逃げ込む。

「これは来るぜ……、俺たちリトルバスターズの時代

が! よし、三枝は今日一日、撮影班を任せる」

「おい、そんな簡単に採用されると思ってるのか? 

恭介にしてはずいぶん考えが浅いな」

 誰の意見を聞くまでもなく即決で許可を出した恭介

に、珍しく真人が横やりを入れた。 しかもこれまた

珍しく、しごくまっとうな意見だ!

「せっかく女子との混合チームなんだ、もっと全面に

色気を出さないと駄目なんじゃないか? スカートがひらりとするシーンをメインにとる

とか、そのために全員のスカート丈をもう少し短くするとか!」

 前言撤回、ものすごく駄目な意見だった!

「特にピッチャーの鈴なんか、一番脚を上げ下げしているのに色気が足りねぇし」

「余計なお世話じゃぼけぇ!」

 鈴の鋭い拳が失礼なことを言った真人のみぞおちをとらえた!

 めりょ、と嫌な音がしたけれど僕は聞こえないふりを決め込んだ。

「ぐっ、いいパンチじゃねぇか……やっぱり鈴は本当は男なんじゃねぇか? 胸も薄いし」

「うっさいわぼけぇぇぇっっ!」

 みぞおちを押さえてかがみ気味だった真人のアゴを鈴のジャンプしながら繰り出すアッ

パーがとらえる! さらに奇跡的な運動能力で鈴は宙に浮いたまま体勢を変えた。

 まっすぐに右足だけを伸ばして宙返りをする。鈴のかかとはハンマーのように、もしく

は流星のように、真人の脳天へと落ちた。

「素晴らしいな! この前鈴にツッコミを教えてたと思ったが、その成果なのか? 理樹」

「僕もビックリだよ」

 僕たちは練習を開始した。頭に包帯がグルグル巻かれている真人は極力写さないように、

三枝さんは撮影をはじめた。

「こまりーん、そこでもっと前屈みに上目遣いで! カーディガンのボタン外して一緒に

ブラウスのボタンも外しちゃってみましょうかネ」

「ふえぇ、そんなことしたらブラウスの中が見えちゃうよぉ」

「ふ、三枝もわかってるよな。やっぱり少しお色気は必要なんだよ、健全な番組でもさぁ」

「真人、いつもそんな色気にこだわるヤツじゃなかったろ? 今日はどうしたんだよ」

「いや、筋肉はオレが担当する、イケメンは恭介と理樹が担当する。女子は美人揃い。あ

とは刺激があれば、オレたちは完璧だろ?」

「なんでそんなに完璧を目指すの? 普通の投稿番組なのに」

「理樹は知らないのか? あの番組で採用されると、高級黒毛和牛焼き肉セットが三キロ

くらい貰えるんだぜ。食ってみたいよなぁ、黒毛和牛! っと、やべぇ、名前を連呼する

だけでよだれが出てくるぜ……焼き肉のためなら、オレは妥協を許さないぜ……?」

「おのれは、肉のためにデリカシーのないこと言いまくったのかぁっ!」

 鈴が振りかぶる、いつもより脚の上がり幅が大きい!

 そのまま身体が大きくひねられ……脚が真横、真人のいる方向へと振り下ろされる!

 腕もその方向へ振り下ろされ、今までにないスピードの乗った球が真人の顔面へと……。

「測り損ねたが鈴の自己ベストを更新する速度だったんじゃないか? でも今の投げ方は

まずい、プレートを踏まなかったからボークだ。試合では投げないように気をつけろよ」

 直撃した球を顔にめり込ませたまま動きが止まっている真人のことは目に入ってないか

のように、恭介は冷静に鈴を注意し、鈴も素直に頷く。

 僕はため息を一つついて、真人に駆け寄り。

「ボール、返してね」

 めり込んでいたボールを真人の顔から外すと、そのままミットをはめ直した。

 数週間後の河原にバーベキューセットを広げて、僕たちは鉄板の上に肉を広げていた。

「おぉ、いい肉だな。……でも、思ったより肉が多いな」

「いやー、鈴ちゃんのツッコミシーンだけまとめて、学生漫才選手権に出したんですヨ」

「それって決勝は全国放送する、地方大会優勝するだけでも賞金が貰えるっていう?」

「そう、その地区予選で優勝しちゃって! あ、コンビ名は鈴と真人ーズってしておきま

したから。リトルバスターズ、に語感が似てるかなーって」

 笑顔で三枝さんが差し出したのは、番組の地区予選優勝の賞状と賞金の封筒だった。

「賞金まだ残ってますから、全国大会はみんなで応援に行けますヨ」

「これは来るな! 俺たちの鈴と真人ーズの時代がっ! 理樹、全国大会に向けて鈴のツ

ッコミをさらに磨いてくれ」

「なにぃぃっ!」

 鈴と真人の声がハモって、青い空へと吸い込まれていった。

 

 


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