No.157300

真・恋姫無双 ~古の存在~ 第三話「北郷、諸国放浪の旅に出る」

東方武神さん

第三話目です。
コメントしてくれた方、どうもありがとうございます。
おかげで一人舞い上がってしまって三日と経たずに更新してしまいましたwww
ブログの件ですが、コレが終わったら此方に上げるかもしれません。まぁ、まだ先の事なので記憶にでも留めておいてください・・・

2010-07-12 23:14:46 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:9574   閲覧ユーザー数:4874

「キミ達は一体・・・?」

 

俺は岩陰から出てきた三人の少女達を見た。

 

左端にいる子は漆黒の黒い長髪をしていて、手には偃月刀を携えていた。

 

右側にいる背が低い子はその背丈に合わない長い蛇矛を担いでいた。

 

そして真ん中にいる子は優れた刀匠が打ったと思われる剣が腰に差してあった。

 

「これは失礼。我が名は関羽、字は雲長。この乱世を立て直すべく、立ち上がった者だ。」

 

「鈴々の名前は張飛なのだー!!字は翼徳。よろしくなのだー!!」

 

「私の名前は劉備、字は玄徳。よろしくお願いしますね。」

 

・・・今この子達はなんと言った?

 

自分の名前があの劉備、関羽、張飛だと言ったか・・・?

 

でも俺が知っている劉備たちは皆男だぞ?

 

「・・・・・・。」

 

「あのぅ、貴方の名前は?」

 

俺が混乱していると、劉備と名乗った子が聞いてきた。

 

「あぁ、ゴメンゴメン。俺の名前は北郷一刀。山奥で修行をしていたただの歴史好きだよ。」

 

「北郷・・・殿ですか。」

 

「そんな北郷殿だなんて、いいよ呼び捨てで。」

 

「失敬、では一刀殿。」

 

(やっぱり殿は付けるんだ・・・)

 

内心苦笑していると、

 

「一刀殿は『天の御使い』でよろしいのですか?」

 

「・・・何その『天の御使い』って?」

 

「え?一刀さんって『天の御使い』じゃないの!?」

 

劉備と張飛は驚きの顔でこっちを見ている。

 

「まさか、ここまで来て見当違いとは・・・。やはりあの占い師は金欲しさに出鱈目を!!」

 

「・・・ゴメン、さっきから全然話が見えてこないんだけど・・・。」

 

「これは失敬。・・・実はここに来る前、管路という占い師に占ってもらったのです。その占いはよく当たるという噂があったので、早速占って貰ったのですが・・・」

 

「その管路っていう人が言うにはね?

 

『これから数日の間に、天から舞い降りし御使いが現れるでしょう。その方はこの乱世を静める力を持っている。今から言う場所に行けば、その恩恵が受けらるれるわ。』

 

と言ったの。だから私達三人はここまで歩いて来て、その恩恵を貰いに来たという訳なの。」

 

なるほど、だからさっきから俺の事を『天の御使い』と呼んでいたわけか。

 

「残念ながら、その『天の御使い』は俺のことじゃないと思うよ?気付いたら変なやつ等に襲われるし、挙句の果てにここがどこなのかまだ分からないわけだし。」

 

俺は肩を竦ませながら言った。

 

「そう・・・ですか・・・。」

 

関羽と名乗った女の子は見ている方にも分かるようにガックリとしていた。

 

見れば後ろの二人も同じような感じだった。

 

(でも、少し悪かったかな・・・)

 

俺は少し頭を掻きながら考えた。

 

(何かこの子達にしてやれればなぁ・・・)

 

あ、そうだ。こう考えればいいんだ。

 

「・・・もし良かったら、俺がその役引き受けようか?」

 

「え・・・」

 

俺の突然の提案に彼女達は驚いたようだった。

 

「まぁ、俺の格好は君たちに比べて変わってるみたいだし、多少はキミ達の役に立つとは思うし

ね?」

 

「でも、貴方は先ほど違うと・・・」

 

「だから、本当にその『天の御使い』が現れるまで俺が代わりになるって訳。代役だよ。」

 

「・・・情けは無用ですよ?」

 

関羽と名乗った女の子は少し目を細めながら言った。

 

「情け・・・といえばそれまでなのかも知れないけど。・・・でもそれ以外もあるかな?」

 

「?」

 

彼女達は首を傾げた。

 

俺はその姿が少しかわいらしくて笑ってしまった。

 

「困っている人がいるのにそれを助けないなんてこと、俺には出来ないから・・・さ。」

 

「一刀殿・・・」

 

「それに、かわいい女の子を見捨てるわけにもいかないしね?」

 

「んなっ!!」

 

関羽は顔を赤くして、劉備は顔を下に向け、張飛はにゃははっと笑ってくれた。

 

「さ~てと、大体事情は分かったし、どこか町とかにでも案内してくれると助かるんだけど。」

 

「それなら、この先に私達が止まっている町があります。そこに行きましょう!!」

 

こうして、俺は劉備、関羽、張飛と共に町へと向かった・・・

 

「さて、改めて自己紹介しようか。」

 

俺は彼女達に町へ案内してもらった後、すぐに茶店に入った。(張飛が腹が減ったとごねた為)

 

「ねぇ、愛紗ちゃん。一刀さんに私達の真名預けようよ?」

 

「・・・そうですね、そうするとしましょう。」

 

なにやら小声で相談しているみたいだが、此方までは聞こえなかった。

 

「では、僭越ながら私から。我が名は関羽、字は雲長。そして真名は愛紗といいます。」

 

「真名?」

 

「えっ?真名を知らないんですか!?」

 

俺がすっ呆けた声を出したために、彼女達は驚いていた。

 

「真名っていうのはですね、その人の本質。つまりは本当の名前みたいなものなんですよ。この名前は、家族、又は自分が認めた親しき者にしか教えないの。仮に真名を知っていたとしても、その人が認めていない限り、決して呼んではいけない物なの。」

 

ということは・・・

 

「関羽は俺を認めてくれたってことなのか?」

 

「えぇ、そういうことになります・・・」

 

関羽は顔を赤くしながらそっぽを向いた。

 

「それじゃあ、次は私ですね。私の名は劉備で、字は玄徳。真名は桃香です。」

 

「鈴々の名前は張飛なのだー!!字は翼徳で、真名は鈴々なのだ!!」

 

「そうか、よろしくな、愛紗、桃香、鈴々。」

 

俺はそれぞれの顔を見ながら真名を言った。

 

「それで?一刀さんの真名は?」

 

「へ?俺なんて持ってないよ、真名なんて。」

 

俺の答えに三人は信じられないような目で此方を見た。

 

「真名が・・・無い?」

 

「ああ、俺が住んでた世界は名前と苗字しかなかったからな。強いて言えば一刀が真名なんじゃないか?」

 

俺がそういうと尚更信じられないという目になった。

 

「初対面の相手にもう真名を預けるのですか・・・」

 

「まぁ、そういうことになるのかな?」

 

「へ~、一刀さんの国って結構変わってるんだね。」

 

むしろこっちの方が言いたいんだが。

 

「自己紹介も済んだ事だし、これからどうしようか?」

 

「その前に、これから一刀さんは私達の主人になるんだよね?」

 

「・・・はい?」

 

「ということは、今から一刀さんはご主人様ってことだね!!」

 

なんだかおかしなことになってないか?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!協力するとは言ったけど、どうしてそうなるんだ!?」

 

「だってこれから私達を導いてくれるんでしょ?だったら私達の主人じゃない?」

 

満面の笑顔で言われた・・・

 

そこまで言われちゃ仕方ないか。

 

「分かったよ。好きに呼んでもいいけど、なるべく抑えてな?」

 

「分かったよ!!ご主人様!!」

 

まるで分かっていないッスね、桃香さん・・・

 

俺が溜息をつくと、ジーっと桃香の左右から見つめられていた。

 

「・・・二人も好きな風に呼んでくれ・・・。」

 

「わーい!!お兄ちゃんなのだー!!」

 

「わ、私は別にご主人様と呼びたいわけではなくて、でも私達の主人であるからにして・・・」

 

・・・はぁ、なんだかこの先やっていけるかとても心配になってきた。

その日はお互いの出会いを祝って、酒場でちょっとした宴会が行われた。

 

元々こういうことが好きなのか、町の人たちも次々に集まってきていつの間にかドンチャン騒ぎに

なっていた。

 

俺は適当な理由を付けてその場から抜け出すと、桃香、愛紗、鈴々を呼び出した。

 

「三人を呼び出したのは他でもないけど、俺は少しこの大陸の情勢を見てくることにしたよ。」

 

またもや突然のことに三人はもう何度目か分からない驚きの顔をした。

 

「そんな!!危険だよ、ご主人様!!」

 

「そうです!!もし行かれるのなら、我らも一緒に・・・」

 

「そうなのだー!!」

 

今日出会ったばかりなのに俺の事を心配してくれる三人に、俺は頭に手を置いた。

 

「大丈夫、ちゃんと無事に帰ってくるさ。それに、これからキミ達がするべきことをここに書いて

おいた。この通りにすれば、そこらにいる黄巾党なんて怖くなくなるはずさ。それまでには戻るつもりだしね?」

 

俺は予め書いておいた紙を桃香に渡した。

 

「それとコレを売って何かの足しにするといい。」

 

「・・・コレは?」

 

「ボールペンっていう筆記用具さ。墨をつけなくても書けるものだよ。」

 

そういって俺は愛紗にボールペンを渡した。

 

書庫で埋もれていたものだがまだ使えるだろう。

 

「さて、そろそろ行くとするか。」

 

「・・・必ず戻ってきてね、ご主人様。」

 

「ああ、もちろん。」

 

俺は用意していた馬に乗ると、外套を羽織った。

 

そして、彼女達の顔をもう一度見ると笑顔を作った。

 

もし最初に見るべき場所は・・・この時代ではまだ無名の覇王がいる場所。帝都だろうな。

 

俺は地図と『紅蓮』『蒼天』があるのを確かめると、帝都に向かって馬を走らせた・・・


 
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