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真・恋姫†無双~真・漢ルート~ 第七話:一刀、曹操の裸体を拝む

大鷲さん

名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。

2010-07-10 00:08:08 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5430   閲覧ユーザー数:4583

一刀「うぅ…こ、腰が……」

 

華雄「全く、軟弱だな」

 

 

休息の筈であった馬の相乗りは、嫉妬に狂った漢女たちが追い回したせいで走り回ることになったため一刀の腰部に多大な被害を与えてしまっていた。

 

朝起きても治っていなかったため、華佗に鍼を刺してもらって休んでいる。

 

華佗は朝から曹操の使いの者が来て城に行ってしまった。

どうやら患者は曹操らしく、しっかりと準備をして出て行った。

 

貂蝉と卑弥呼も診ていると言ったが原因は貂蝉たちなので部屋から追い出だされ、仕事を探しに行った。

一方、左慈と干吉は情報収集をすると言って路地裏に消えていったのだが、またよからぬことを企んではいないかと心配になる一刀。

 

残る華雄が一刀を診ている。

 

 

大分楽になったので鍼を抜いて立ち上がる一刀。

 

 

一刀「華佗のお陰で大分楽になったな……鍼直しておかないとな……ん?」

 

華雄「どうした?」

 

 

 

第七話:一刀、曹操の裸体を拝む

 

 

 

 

一刀が華佗の鍼を収容しようと思い荷物をあさると、華佗が普段から大事にしている『金の鍼』が残っていた。

あまりに強力すぎるゆえ、己の鍛錬の邪魔になると使用を師匠に禁じられていると言っていたが、今回は万全の準備をするとか言っていたような気がした。

 

同時に一刀の脳裏に自分の知る歴史を思い出す。

 

一刀の世界での華佗は曹操の怒りに触れて切り殺されてしまうはずである。

もし華佗の力だけではどうにも出来ない病魔であったなら治療できず華佗は曹操の怒りを買うことになるのではないか?

 

そう考えた一刀は念のために『金の鍼』を華佗の元に持っていこうと考える。

しかし、仮にも城主の元に向かうのにただの平民が入れてもらえるとは思えない。

強行突破をしようにも華佗を迎えに来た眼帯の女性と一緒にいた青い髪の女性のことを考えると不可能であろう。

 

 

一刀「あ、そうだ」

 

 

そこで一刀は自らのもう一つの名を思い出す。

 

 

 

 

街を歩き真っ直ぐに城に向かう一刀、傍らに華雄を引きつれている。

その服装は聖フランチェスカの制服、すなわち『天の御遣い』としての服装だ。

 

街の人々から見られ周囲からひそひそと話す声が聞こえる。

耳を澄ませば『天の御遣い』と言うキーワードがしっかりと聞き取れた。

 

一刀の計画は単純だ。

 

まず街の人たちに自分を天の御遣いと認識させることで見物客をついてこさせる。

そして、その状態で城門に近づけば一般兵では対処に困り将官クラス、可能であれば腹心クラスが出てくればいい。

後は曹操の治療の話をすれば、通してもらうことは出来なくても鍼を届けてくれるはずだと考えていた。

 

誤算があるとすれば城門を守備しているのが一般兵ではなくいきなり武官クラスであったこと、その武将が華雄の知人であった事だろう。

 

 

華雄「張遼!?」

 

張遼「んな!華雄!?」

 

一刀「え!?知り合いなの?なら良かった……」

 

 

流石の事態に一刀も唖然とする。

 

華雄も張遼もお互いに生きていることを知らなかったために驚く。

一刀は知り合いなら融通してくれるのではないかと安心するが、張遼は武器を構える。

 

 

張遼「華雄、悪いけどウチは今曹操軍の将……

   おいそれと通すわけにはいかん、どうしてもって言うんなら容赦はせんで」

 

華雄「……勘違いするな、争いに来たわけではない

   私は護衛で来ているだけだ、用があるのはこちらの『天の御遣い』様だ」

 

 

そういって体を避けて一刀に視線を向ける。

華雄から様付けで呼ばれるのはくすぐったいが、少しでもそれらしく見えるようにという華雄の配慮だ。

 

 

張遼「…アンタが……まあ、ええ

   何の用や?」

 

 

張遼は一刀を見ていぶかしむような視線を向けたまま問う。

一刀は内心が悟られないように気をつけながら口を開く。

 

 

一刀「華佗という医者が来ている筈だ

   その医者に渡したい物がある」

 

張遼「……そこのお前!ちょっと確認とってきい」

 

兵士「はっ」

 

 

一刀の言葉を聞いて近くの兵士に確認を取りに行かせる張遼。

 

少しして先ほどの兵士が帰ってくる。

特に間違いなくそのまま場内に迎え入れるように言われたらしい。

 

 

 

 

張遼はついて来いと言って背を向け、伝令を頼んだ兵士にそのまま門番を続けるように行って歩き始める。

そんな一刀たちは無言でついて行く。

 

大分歩くと大きな部屋に招き入れられる。

張遼と共に中心に歩くと机といすが準備されており、侍女と思われる女の子がお茶の準備をしている。

張遼は席に着き対面を指差して座るように言う。

席に着く一刀だがお互いに何も話さないまま時間がすぎる。

侍女がお茶を出したところで張遼が席をはずすように言い、侍女が出て行く。

 

 

張遼「華雄、どういうつもりで、そいつとおるんや?」

 

 

扉が閉じ、足音が離れるのを待ってから張遼が口を開く。

その顔は未だ険が取れておらず、声色も低く威圧感がある。

 

 

華雄「私の武を高めるためだ

   こいつの従者に強者がいる」

 

張遼「ふざけんなや!そいつが月たちを!!」

 

一刀「……」

 

 

机に拳を叩きつける張遼。

彼女が本気であったなら机は粉砕していただろうが机は大きな音を立てて軋んだが壊れてはいない。

 

張遼もまた華雄と同様に反董卓連合の時には董卓軍に所属していたのだ。

左慈と干吉の情報操作により董卓を劉備軍に引き渡したのは天の御遣いであるということにされている。

つまり張遼にとって一刀は董卓の仇ということになっている。

 

真実を話せば董卓に被害が及ぶだけでなく、劉備軍に迷惑が掛かる為一刀は黙るしかない。

 

 

華雄「董卓様は生きておられる」

 

一刀「ッ!華雄!?」

 

華雄「心配ない、こいつは意外に口が堅い」

 

 

そんな一刀の考えを無視するように華雄が話し始める。

そして一刀に心配はないという。

 

 

張遼「『意外』は余計やろ」

 

華雄「……大きな声では言えぬが死んだことにして落ち延びておられる

   信頼できる人物に預けたといっている

   …一刀はそのような嘘をつく男ではない」

 

張遼「……なるほどな」

 

 

張遼は納得したといった顔をする。

 

一刀たちは知らないが曹操軍は秘密裏に張角(天和)を捕らえて軍を拡張するための人材として重宝している。

彼女たちのことにも『天の御遣い』が絡んでいたことを思い出し、華雄の言葉が真実であると判断したのだ。

 

 

 

 

張遼「そら、すまんかった

   兄ちゃん悪かったな」

 

一刀「いや、それよりもこれを華佗に渡してあげて欲しい

   使わないに越したことはないんだけど……」

 

張遼「そんなん自分で渡しや

   案内するで」

 

 

そう言って立ち上がり扉に近づく張遼。

出されたお茶を一気に飲んで立ち上がる一刀。

そんな二人に無言でついて行く華雄。

 

扉を出てさらに歩いてから大きな扉の前に着く。

何故か中が騒がしい。

 

 

張遼「なんや?なんかあったんか?」

 

 

扉を開ける張遼。

中から聞こえる声は華佗の声と朝聞いた女性の声だ。

 

 

華佗「ぬ!邪魔をするな!」

 

眼帯「黙れ!これ以上貴様のような怪しい医者に華琳様を任せておけん!」

 

華佗「くそッ!ただでさえ強大な病魔だというのに……『アレ』さえあれば…」

 

張遼「春蘭、チョイ待ち!……ほれ、御遣いの兄ちゃん、入り」

 

一刀「あ、ああ

   華佗、わす・れ…もの……を」

 

金髪の少女「…………」

 

 

時が止まった。

 

一刀たちの正面に座る金髪の少女こそ魏の王・曹猛徳であり、華佗の患者である。

彼女は華佗の診察の為に臣下の荀彧の服を肩にかけているだけという扇情的な姿をしていた。

 

華佗と眼帯の女性・夏侯惇にしか目を向けていなかったために張遼は気付かずに一刀を謁見の間に入れてしまっていた。

 

 

華佗「おぉ、北郷じゃないか!丁度良かった!

   それを探していたんだ!」

 

 

一刀を含め大半の人間が静止していることを一切気に介さず笑いながら近づく華佗。

 

静止していた時間が進み始める。

同時に一刀に目掛けて黒い剣を構えた眼帯の女性が襲い掛かってきた。

 

 

夏侯惇「死ねえぇぇぇい!」

 

一刀「きゃーーっ!!!」

 

 

襲い来る女性に女のような悲鳴を上げながら逃げようとする一刀。

一刀の脳裏に『真・漢ルート完!!』の文字が浮かぶ。

 

そんな一刀の前に華雄が身を乗り出し、己の武器で斬撃を受け止める。

 

何とか押し返すが直ぐにまた切りかかろうとする眼帯の女性。

その背後で青い髪の女性も弓に矢を番えようとする。

 

 

 

 

曹操「止めなさいッ!!!」

 

 

 

凛とした声によってその行動は止められる。

 

 

夏侯惇「しかし!」

 

曹操「春蘭、私が止めなさいと言ったのよ?」

 

夏侯惇「!申し訳ありませんでした!」

 

曹操「それで?あなたは?」

 

 

少女は傍らに準備されていた布を体に巻いて立ち上がる。

威風堂々としたその姿に一刀は見惚れていた。

 

 

華佗「『天の御遣い』であり、俺の弟子でもある

   治療の邪魔にはならないさ」

 

曹操「へえ、あなたが……情報にある通り輝く服ね

   なるほど華佗と共に居たと言う訳ね」

 

 

呆けていた一刀の変わりに華佗が一刀を紹介する。

このまま一刀を放っておいたら殺されるかも知れないと判断したからだ。

 

一刀を見る曹操。

その視線は上から下までじっくりと眺め、一切の情報も見逃さないように鋭かった。

 

 

一刀「そうだ、華佗…これを……!」

 

 

場の空気を変える為に一刀は勇気を振り絞って華佗に金の鍼を渡す。

 

 

華佗「よっしゃあぁぁ!!!

   一刀!お前の力!確かに受け取った!!」

 

一刀「いや、ただ渡しただけだから!」

 

華佗「我が金鍼に全ての力を賭ける!

   見せてやる!これが……絶対勝利の力だああぁぁ!!!」

 

張遼「あの兄ちゃん……頭大丈夫なんか?」

 

華雄「いつもあんな感じだ……いや、いつも以上だな」

 

夏侯惇「先ほども何か見えない敵と戦っていたぞ」

 

 

華佗の奇行に周囲の人間が若干引く。

 

 

一刀「あれ?おかしいな……」

 

華雄「どうした?」

 

一刀「いや、曹操さんの周囲を何か靄が掛かってるように見える……」

 

 

許昌に来るまでの間に今まで以上に努力をしたのが実を結んだのか、ついに一刀も病魔が見えるようになった。

その一刀の目には曹操を覆う青い靄のようなものが写っている。

 

 

 

 

そんな一刀の言葉に華佗が反応する。

 

 

華佗「そうか!強大な病魔を前に覚醒したか……どこか光が強い場所はあるか?」

 

一刀「んー、強くはないけど、額の所だけ色が違うような……」

 

華佗「額?……間違いない!アレが奴の急所だ!

   賦相成(ファイナル)・五斗米道オォォォッ!!!」

 

 

一刀の言葉に華佗の視線が曹操の額に集中する。

華佗は曹操の額の丁度中央に病魔の弱点を見つける。

 

そして、病魔を倒す為に力を鍼に集中する。

鍼の輝きが増し、華佗が曹操目掛けて突進する。

 

途中で靄が華佗の進行を邪魔しようとするが、華佗は避けながら曹操に近づく。

無論それは一刀と華佗のみが認識できることで他の面子には華佗が何もない所で無駄に動き回っているようにしか見えていない。

 

 

華佗「うおおおぉぉぉぉ!!げ・ん・き・に・なれええぇぇぇ!!!」

 

 

華佗の鍼が一刀の視認する色が濃い部分を突く。

 

そして、急速に靄は縮んでいき、ついに完全に消滅した。

 

 

華佗「俺の……いや、俺たちの勝ちだ!」

 

曹操「………頭痛はなくなったけど、……治ったの?」

 

華佗「ああ、念のために後日もう一度見たほうがいいかもしれないが今までよりはマシになっているはずだ」

 

曹操「そう、なら『天の御遣い』

   あなたの処罰に入りましょうか?」

 

一刀「え”?」

 

 

てっきりお咎め無しと持っていた一刀は間抜けな声を出す。

そんな一刀を面白そうに笑いながら曹操が見つめる。

 

 

曹操「当然でしょ?私に許可なく私の裸体を覗くだなんて、天が許しても私の部下は許さないわよ?」

 

夏侯惇「お任せください、華琳様!一撃で首を落としてみせます!」

 

 

夏侯惇が黒い笑みを浮かべながら武器を上段に構える。

華雄が武器を構えるが、そんな華雄にもう一人の青髪の将・夏侯淵が矢を向けて牽制をする。

 

 

曹操「待ちなさい、春蘭

   秋蘭も弓を下ろしなさい

   命をとるつもりはないわ」

 

一刀「(助かった……)」

 

曹操「あなたの噂はたびたび耳にするわ

   でも、実際にあってみると何の変哲もないように見えるわね」

 

 

一刀に対して曹操も多少興味を持ったらしい。

彼女は優秀な人材を好み、それを無駄にするのを嫌う性質である。

 

そんな彼女の目を持ってして一刀は凡庸な人間にしか見えない。

 

 

 

 

一刀「まあね、『天の御遣い』なんて呼ばれているけど、俺は何か特別な力があるわけじゃない

   この世界に来たばかりの俺なんて、言葉は分かるけど読み書きは出来ない、戦う力だって一般人に毛が生えた程度だった」

 

華佗「一刀……」

 

一刀「だから旅に出て見聞を広げることにしたんだ、そして仲間達に色々と教わって知識と体を鍛えてきた」

 

曹操「それであなたは盗賊退治をしているというわけ?

   高々十数の盗賊を捕らえた所で世界は変わらないわ」

 

一刀「そうだね、変わらないと思う

   でも、俺に地位や兵はいない

   ……国に大きく関わることなんてできないよ」

 

曹操「ではどこかの国に仕官しようとは思わないの?」

 

一刀「それは……」

 

 

一刀は三国志を知っている。

三国の英傑たちの中で自分のような一般人が混ざった所で何か出来ると思えないのだ。

 

目の前にいる曹操のような聡明さも、そして旅先であった黄忠や厳顔、焔耶のような武勇も持っていないのだ。

尻込みするのも仕方がない。

 

 

曹操「……そう、答えられないというの…

   ならば判決を言い渡す!」

 

華佗「曹操、待ってくれ!」

 

 

曹操がついに判決を言い渡そうとする。

このままでは一刀が殺されかねないと思った華佗は曹操を止めようとする。

 

しかし、曹操は華佗の言葉に耳を貸さずに続ける。

 

 

曹操「『天の御遣い』よ!少しの間、我が下にて働きなさい!」

 

一刀「え?」

 

曹操「あなたが見聞と経験を積む為に旅をするというのなら、我が下で働きなさい

   あなたに我が覇道を見せてあげる、そして己の小ささを思い知るが良い!」

 

 

有無を言わせぬ曹操の態度に一刀は肯くしかなかった。

 

そばに控えていた夏侯惇と荀彧が苦い顔をする。

夏侯淵と張遼は面白いことになりそうだと口元をゆがめる。

 

華雄と華佗は曹操の思惑が分からず困惑するのであった……

 

 

 

それから当分の間、一刀は曹操の下に従事することになった。

左慈と干吉はそのことを良い切っ掛けになると判断し、何も言わなかった。

 

 

この曹操への従事を切っ掛けに一刀は政に関わることを敬遠しなくなる。

それは後に一刀に大きな事を成す切っ掛けになるのはまだ先の話であった。

 

 

 

 

おまけ

 

 

一刀たちは部屋の準備がまだと言うことで借りていた宿に戻る途中のお話。

 

 

華佗「ついに北郷も病魔を視認できるようになったか……」

 

一刀「んー、でも結構集中力がいるな」

 

 

そういいながら街の人々を鋭い眼光で見つめる一刀。

しかし……

 

 

一刀「あれ?」

 

華雄「ん?なんだ?」

 

一刀「女の人しか見えないんだけど……」

 

華佗「何?」

 

 

一刀は病魔を靄のように見ることが出来るようになったが、町中を見回すと明らかに不健康そうな男性を見ても特に変化がない様に見えている。

 

 

華佗「まあ、一刀らしいと言えば一刀らしいな」

 

華雄「分かりやすい奴だな、このスケベが」

 

 

そんな一刀に苦笑いをする華佗とむっとする華雄、反論できない一刀は黙るしかなかった。

 

 

華雄「卑弥呼たちの場合どうなるんだ?」

 

華佗「いや、あいつらは健康体すぎるから何も見えないはずだ」

 

一刀「アレを女の人と同列にするのはおかしいだろ!」

 

 

なんて会話もあったりなかったり……

 

 

 

 

あとがき

 

皆様、こんばんは。

 

最近晩飯がチャーハンばかりの大鷲です。

 

少々無理があったかもしれませんが、これで魏に入りました。

前回はこの時点で程昱と郭嘉が仲間になっていないと書いていましたが、漢ルートだとこの時点で仲間になってるんですよね……

 

それにしても関西弁がわからん……霞と真桜の登場にタジタジです。

多少おかしくてもそれっぽくなるようにがんばるしかないか……

 

 

 

次回予告

 

新しい土地に来たし

      拠点イベントかな……

            女の子たちともあるかもよ!

 

次回、『漢たちの休日Ⅲ』


 
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