No.151248

真・逆行†無双 二章:その2

テスタさん

一週間をちょっと越えてしまいましたが、
完成したので投稿します。
※投稿ミスで前話も入ってしまってましたが、削除しときました。

2010-06-17 15:54:14 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6267   閲覧ユーザー数:5015

 

 

 

 

 

 

 

「おおぅ?」

 

「フム、食欲をそそるいい匂いだ」

 

現在、俺と星の二人は星オススメの店に昼飯を食べにきていた。

……きていたんだけど……。

 

「せ、星……これは?」

 

「おや?見てわかりませんか?」

 

「いや、わかるけど……」

 

目の前に置かれた丼の中。

そこにあるのは大量のメンマだった。

 

いや、好きだけどさ。

 

メンマって基本、ツマミとかアテに入る部類だろ?

メイン扱いされるような食べ物ではなかったような……。

 

「もしや……お嫌いですか?」

 

「え?いや、どちらかといえば好きなほうだけど……」

 

「そうですか!ウム、こんな素晴らしい食材を嫌いな者などいようはずがなかったですな。

ええ、本当によかった…………………………流石の主といえど嫌いなどと言われれば斬っていたかもしれんしな」

 

「え……星さん?今、何て言ったの?

小さい声で何て言ったの!?」

 

「いいえ、何も」

 

そうやって綺麗に微笑む星。

でも俺はそれに気をとれれることはなく、背筋に嫌な汗が流れるのを止められなかった。

もし言葉が違っていたら今頃俺は…………。

今度から星とメンマについて話す時は気をつけよう…!

 

「では主、いただきましょう」

 

「あ、ああ。いただきます」

 

「いただきます」

 

二人向かい合い手を合わせる。

それから視線が絡み、お互いに笑いが漏れた。

 

星が『いただきます』の言葉を知っているのは俺が教えたからだ。

旅立った日のご飯の時、俺がいただきますと言ったところその意味を桂花に聞かれたことから始まる。

意味を話したところ桂花、星、みんなが関心したらしく

それ以来、俺達の間では食事の前には『いただきます』が言われるようになったんだ。

 

と、思考を戻して目の前のメンマ丼を手に持つ。

すくってみる……………全部メンマだった。

 

どんだけ乗せてんだよっ!!!!

 

叫ぶのを我慢して、何とか底にあるご飯と一緒に口に入れる。

 

「――おいしい」

 

「でしょう?」

 

「うんっ!正直ここまで美味しいとは思わなかった。

これご飯に合うってのもそうだけど、単純にメンマ自体が凄く美味しいんだ…!」

 

「この店のメンマは私が探しに探した究極ですからな。

主ならこの味を分かってくれると信じていました」

 

そうしてまた綺麗に、本当に嬉しそうに星は微笑む。

今度こそ俺はその微笑みに見惚れた。

 

こんなに美人で強い星が力もない俺を主と呼んで慕ってくれる。

桂花もそうだ。本当なら曹操の所へ行くはずだったのに、

それでも俺を選んで着いてきてくれた。

 

改めて思う。

俺は……幸せ者なんだって。

 

「おや、どうされた主?

私の顔に何かついてますか?」

 

「いや、見惚れてただけだよ」

 

「にょいっ!?」

 

P.S 変な声を上げ、めったに見れない顔を赤くした星は可愛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば最近、賊が攻めてこなくなったわね」

 

「そういやそうだな」

 

星とメンマ丼を食べた翌日。

桂花と政務をこなしていると、不意に桂花がそう呟いた。

 

白蓮のところへ来てからというもの、盗賊たちの襲撃が幾度となくあった。

前も言ったけど、その一戦一戦には勝つことができたけど、

それは引かせただけの結果になっている。

黄色の布を巻いていることから黄巾党だと思うんだけど、

まだ世に黄巾党の名前は広まっていない。

 

で、その連中なんだけど、ここ二週間程まったく音沙汰がないんだ。

 

「諦めたとかはないか?」

 

「あんなにしつこかった連中が?ありえないわね」

 

「それもそうか……」

 

戦ったからこそ分かる。

賊たちが簡単に諦めないことくらい。

旅の途中で戦った賊なんかよりよっぽど手強い。

 

「なんていうかさ」

 

「何?」

 

「あいつ等って今までの賊とちょっと違うよな。

今までは賊の頭が下を率いてそれについていってるだけだったから……そう、連帯感もなくて本当に烏合の衆だった。

でも今回の奴らは違う。帰ってきた兵に聞いてみたけど、仲間を殺されて怒ってきたって言ってた。

それってちゃんと仲間意識があるんだってことだもんな」

 

「それだけじゃないわ。

賊たちは策を練ってきた。ま、上策とは言えないけど……。

少なくとも奴らにも軍師として役割を持っている奴がいるわね」

 

そう、賊は策を練って戦へと挑んできた。

こっちには桂花がいたから簡単に裏をかいて撤退にまで追いやることが出来たけど……。

それに桂花は上策とは言えないとは言ってるけど、少なくとも相手を馬鹿にしていない。

それは策を破られた後の撤退時に見事な指揮で引く手際や用いてくる策もやはり上策でなくてもそれなりの策ではあるのだ。

これが賊相手に白蓮たちがてこずってきた訳だ。

 

「だったら今は策を考えてるから攻めてこないってことか?」

 

「その可能性は低いわね」

 

「え?」

 

「もう策は出来てる、そうみて間違いないでしょうね」

 

「だったらなんで……っ!そうか」

 

「ええ、策を成すための準備期間ってことよ……今の静寂は」

 

「って、そうだって分かってるんだったら何か対策しとかなくて大丈夫なのか!?」

 

あんまりに冷静な態度の桂花に問う。

すると何を言ってるんだって顔でこっちを睨まれてしまう。

 

「そんなこともうしてるに決まってるじゃない」

 

「……………そうだよな、桂花が何も考えてないはずないか」

 

「あ、当たり前でしょっ!変態のアンタなんかとは違うのよっ」

 

笑いかけてみたけど、どうやらまた怒らせてしまったみたいだ。

もっと仲良くしたいんだけどな……。

 

 

 

「………何も言わないの?」

 

「ん?何が?」

 

「アンタに何も言わずに勝手に色々やってて……。

その……アンタは仮にも私が使える主なわけだし」

 

上目使いでおずおず見てくる桂花。

……やばい、凄く可愛い。

 

無償に抱きしめたくなる衝動を何とか抑え、口を開く。

 

「文句なんかあるわけないだろ」

 

「でも……」

 

「俺に言わなかったってことは、その必要がまだ無かったんだろ?

まさか言わないつもりでいたなんてことないよな?」

 

「そんなわけないでしょっ!……もうちょっとしてから話すつもりだったわよ」

 

「なら別にいいよ。

俺に必要な時に言ってくれれば、それでいい」

 

俺の言葉に目を丸くする桂花。

そんなに変なこと言ったかな?

 

なんてことを思いながらも続ける。

 

「星には近いこと言ったんだけどさ」

 

「……?」

 

「桂花の智謀、凄さは俺が一番良く知ってる。

きっと……いや、絶対。この大陸の誰よりも」

 

「~~~っ!!!」

 

「そんな桂花が全てを俺に話す必要なんてないんだ。

話さない時は、それはそうしなきゃいけない理由があるんだろうし。

必要な時に桂花なら言ってくれるって知ってるから。

俺は、桂花を信じているから」

 

「ぁ……あう……うぅ~~~!!

わ、私がアンタを裏切るかもとか考えないの!?」

 

顔を赤くした桂花の言葉。

何を言ってるんだ桂花は?

 

「そんなことあるわけないだろう?」

 

「はぁっ!?」

 

「桂花が言ったんじゃないか。もし後悔させたら俺を殺すって」

 

「あ……」

 

「桂花なら回りくどいことする前に、直接俺を殺しにくるだろ?

それにな、別に裏切られたっていいんだ」

 

そう、別に裏切られたって構わない。

桂花がもし裏切ることがあるとしたら、それは何か俺が重大な間違いをした時だろう。

それはすなわち俺の責任だ。桂花のせいじゃない。

それに……。

 

「だって俺が勝手に桂花を信じてるだけなんだ。

裏切られたって関係ないよ」

 

「……………………………」

 

言いたいことを言い終わる。

桂花は真っ赤になりながら俺を見つめていた。

それから暫くしてゆっくり口を開く。

 

「…………………アンタって」

 

その顔に――

 

「本当に馬鹿ね」

 

美しい微笑みを浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~、ちょっと食いすぎたかな……」

 

食後の運動も兼ねて街の中を歩く。

昨日とは違い、仕事はまだ残ってるけど休憩中だってこともあって街にきていた。

 

「こんにちは御遣い様。

どうです一つ?」

 

「ああ、悪いけど今食べた所なんだ。

また今度買わせてもらうよ」

 

「いいえいいえ!御遣い様からお金なんて貰えませんよ。

どうぞ荀イク様へのお土産にでも」

 

そう言って肉まんが入った包みを渡される。

……此処までされると断れないか。

 

「……ありがとう。

今度はちゃんと客としてくるよ」

 

店主に挨拶をして離れる。

たまにこうやって何かくれる人がいる。

嬉しいことだけど、お礼を言われる度に恐縮してしまう。

俺がここの人たちに出来たことなんてとても小さなことなのに。

 

と、気づくと行商が立ち並ぶ通りに来ていた。

 

そういえば、と昨日の女の子を思い出す。

こっちで風車を見るとは思わなかったな……。

 

結局、話もろくにしないまま昨日は離れたけど、

今日もいるだろうか?

 

少し注意して見回す。

すると案外簡単に見つけることが出来た。

 

風車の少女。

 

なんだか元気がなさそうな顔をしているな。

ちょっと声をかけてみようかな。

 

「はぁ~どうして売れないかな~。

見てて和むじゃんっ。風車見てて和むじゃんっ!

……今日は売り上げたったの一個…………はぁぁぁ~」

 

……なんだか昨日と印象が違うな。

まぁ接客時の対応してただけだったんだろうけど。

 

「だいたいさぁ~、昨日のあの男っ!天の御使いだなんとか怪しい奴だけど、着てる服は立派だし、お金いっぱいあるんだろうな~。羨ましいなチクショー!

せっかく見たんだから一個ぐらい買ってけっていうのよ!

声かけてきたくせにさ~……冷やかし?冷やかしかっ!?」

 

…………………うん、なんていうかごめんなさい。

そう言いたい気分にさせられた。

 

これは声かけないほうがいいかな?

そう思って引き返そうとしたけど、女の子の方がこっちに気づいたみたいで目が合ってしまった。

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「あ、あら~。いらっしゃいませ。

ゆっくり見ていって下さいませ~」

 

「……は、はぁ」

 

「…………もしかして、聞いてらっしゃたりしちゃったりしましたか?」

 

「……風車、買いたいんで一本貰えますか?」

 

「うわぁぁぁん!聞かれてたよーっ!めっちゃ聞かれてたよ~!

ごめんなさい~、謝るから斬首だけは許して下さい~~!!」

 

「い、いやいやしないからそんなことっ!

だから頭上げて!見てるからっ、周りの人が見てるからー!!」

 

この後5分程、俺たちはその場で騒ぎ続けた。

 

 

 

 

「えと……落ち着いたかな?」

 

「むぐむぐ………ふぁい………はむはむ……」

 

「………おいしい?」

 

「おいちぃれす~!!」

 

パァァっと顔を輝かせて笑う女の子。

落ち着かせた後、なんだか肉まんが入った包みを見ていたので、食べる?って聞いたら

凄くいい笑顔で「いいんですか?!」って言ったので肉まんを上げ、今にいたる。

 

何か、食べてる姿がハムスターみたいで可愛いな……。

 

「んあ?………ダメですよ?

吐けって言われても吐けませんからね。

……はっ!それとも私が吐いたモノが食べたいっていう変態さんっ!?」

 

「全然違うよっ!?だいたい俺は変態なんかじゃないからね!?

仮に変態だったとしても、それは変態という名の紳士だよっ!!」

 

はっ!何故か俺が警察に連れていかれるビジョンが……!?

落ち着け……クールになれ俺っ!

 

「……食べてる姿が可愛いなって思っただけだよ」

 

「はひっ!?」

 

あっ、真っ赤になった。

 

「な、ななななななにを言うんですかっ!?」

 

「いや、本当のことを言ったんだけど」

 

「はひゅいっ!?」

 

もっと真っ赤になった。

……面白いな。

 

って何で風車を手に持つんですか?

そして何で俺に向かって振りかぶってるんですか?

ちょっと落ち着こうよ!ね!ちょっ!?タンマ……

 

「やーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁああああああああああああああ!!?

目がぁ……目がぁあああああ!!?」

 

………………。

 

 

 

「ごめんなさい……です」

 

「いや、俺も悪かったし」

 

お互い落ち着いた後、謝りあう。

うぅ……目が地味に痛い。

 

「許してくれるんですか?

打ち首とかないですか?」

 

「当たり前だよ。こんなことぐらいで打ち首なんてするわけないよ。

それに許すもなにも怒ってないしね」

 

「……優しいんですね」

 

「違うよ、ここの領主である白蓮……公孫賛が優しい人なんだ。

領主がひどい人だと打ち首とか本当にあるみたいだしね」

 

「……………はぁ」

 

何故か曖昧に頷く女の子。

あ、そういえば……。

 

「まだ自己紹介してなかったね。

知ってたみたいだけど、俺の名前は北郷一刀。よろしく」

 

「あ、私の名前は琥栗(くぐり)と言います。よろしくお願いしますっ!」

 

「え?それって君の真名じゃ……」

 

「……私、拾われっ子で名前がないんです。

この名前も拾ってくれた人がつけてくれて……、

だから私の名前は琥栗という名だけなんです」

 

「……ごめん」

 

「いえ、真名は神聖なモノですが私はこの名に誇りを持っています。

だから真名を呼ばれることに誇りをもっているんです。

拾ってくれた人がつけてくれた大事な名ですから」

 

そう言って微笑む琥栗は優しく微笑む。

その人のことを本当に大事に思ってるんだな。

 

「じゃあ俺のことは一刀って呼んでくれないかな?

俺には字も真名もないんだけど、この世界で言えば一刀ってのが俺の真名に当たるから」

 

「そ、そんなっ!御遣い様の名前を呼ぶなんて出来ません!」

 

「その俺がいいって言ってるんだから大丈夫だよ。

それに御使いって呼ばれるより名前で呼んで貰う方が嬉しいんだ俺は」

 

「………本人がそう言われるなら。

その……一刀様」

 

「出来れば様もやめて欲しいんだけど……」

 

「あぅ……じゃあ、一刀さん」

 

「うん。ありがとう琥栗」

 

「~~~~~~」

 

と、そろそろ帰らないとダメな時間かな。

まだ俯く琥栗を気にしながら立ち上がる。

 

「じゃあ俺はそろそろ戻らないといけないから」

 

「あ、はい」

 

「それから……」

 

懐からお金を出し、琥栗に手渡す。

 

「え?あの、これは?」

 

「代金。

一つ、貰っていくね」

 

手に持った風車を見えるように少し掲げ、その場を去る。

今日は琥栗と出会えてよかったな。

 

「また、来るよ」

 

背を向けながら手を上げる。

そしてそのまま城に戻り……

 

「あのっ!………………………………………………………お金が足りません」

 

俺はその場にずっこけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺にはまだ分かっていなかった。

この出会いにより待ち受ける出来事に。

 

琥栗との出会いにより、変わっていく自分に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき。

 

ということで今回は星、桂花、琥栗のそれぞれのお話でした。

まぁ拠点話とでも思ってください。

 

そしてオリジナルキャラの琥栗(くぐり)

彼女がこの章のキーとなっております。

 

これから一刀たちがどう進んでいくのか?

頑張って書いていきたいと思います!

 

とりあえず待っている人がいるか分かりませんが、次の話で六花が出てきます。

約、四話ぶりの登場ですねw

 

ではレス返しをしていきます。

 

TENCHO さん>そう言ってくれると助かります。そういえば在り得ませんよね、ブラジャーとか色々……w

 

村主さん>僕にとってのハムへの印象は今回の話を見ていただければ分かると思います。

え?出てない?ええ、それが答えです。

 

よーぜふさん>そうですね、ツンツンエネルギーに比例してデレはでかくなりますからw

新キャラは今回の話できちんと風車を一刀に刺しましたよw

 

SempeR さん>愛情は痛いんですよw琥栗がどうなるかは次回見れば大よその予想はつくんじゃないでしょうか?楽しみにしてくれると嬉しいです。

 

moki68k さん>原作でも思ってたんですけど基本一刀は変態ですよね!桂花は素直じゃありませんからw

 

リョウ流さん>今回また種馬スキルを発動させたっぽいです。

 

だめぱんだ♪さん>桂花は原作からも可愛くて好きなのでそう言ってもらえると嬉しいです。

オリキャラは何とか受け入れられたみたいでホッとしてます。原作キャラを殺さないように頑張っていきますね!

 

アクメイカンさん>なんといっても六花に一緒に乗るぐらいですからね、慣れというのもあったんでしょうが、他の男に比べると警戒心は極端に薄いでしょうねw

 

ふじさん>原作でもそういうシーンがあって欲しかったってのあって、書いてしまいましたw

 

 

 

 

 

たくさんのコメントありがとうございました。

 

 

ではまた次回に。

 

 

 

 

いつも見ていただきありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

たくさんの開覧と支持、さらにはコメントをもらえてとても嬉しく力になってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また次も見てくれると嬉しいです。

 

 

 

 

 


 
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