No.146495

真・恋姫†無双 董卓軍√ 幕間第五話後編

アボリアさん

董卓IF√幕間五話の後編です
今回は華雄さん、霞さん、恋さんとねねさんです
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けるとあり難いです

2010-05-30 07:19:31 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:16578   閲覧ユーザー数:12344

 

幕間 華雄

 

「んっううん…ここ、は?」

 

私が目を覚ますとそこは自室だった

 

「あ、華雄。目が覚めたのか」

 

枕元の方から声がしたのでそちらを振り向く…するとそこには一刀の姿があった

 

「なっ!!なぜ、かず…痛っ…!!」

 

「おいおい、病み上がりなんだから無茶するなって」

 

目を覚ますといきなり一刀が居たので驚いて起き上がったのだが頭が割れそうに痛かった

そんな私を優しく押しとどめ寝床に寝かしつけながら一刀が言う

 

「気分はどうだい?結構長い事うなされてたから心配したんだぞ」

 

「うなされていた…?それに、病み上がりとは…」

 

「…憶えてないのか?」

 

一刀に言われ、がんがんと響く頭をなんとか回転させつつ記憶を辿る

 

(確か…私は朝、一刀と調練に向かって…)

 

おぼろげな記憶を辿っているとその記憶にたどり着く前に一刀が答える

 

「詠のアレを止めるために詠の部屋に一日居ただろう?その後二人共とんでもない高熱で倒れちゃったんじゃないか」

 

「ああ…そうだったか…」

 

そういえば私は詠を止めるためあいつと二人で部屋に引き篭もり、その日をやり過ごしていたのだが、日付が変わる直前になって急に体調が悪くなりそこからは記憶が無かった

どうやら熱病にかかって寝込んでいたらしい

 

「で、華雄。今は大丈夫か?気分が悪かったりしない?」

 

一刀が心配そうな顔をして聞いてくる

 

「ああ、大丈夫だ。…それにしても大げさだな、少し倒れただけだろう?」

 

「…華雄、今日が何日か分かる?」

 

「何日って…あの時、日が変わる直前だったから、今日は…」

 

日にちを答えるとやっぱり…、と頭を振りながら一刀が答える

 

「…今日はあの日からもう一週間経ってるんだぞ」

 

「なっ…!」

一刀の話によるとあの時倒れた私と詠は尋常じゃないほどの高熱が出ていたらしい

その後、直ぐに医者に診せたのだが命に別状は無いが数日間は発熱が収まらないという診断であり、私も今日目覚めるまでは高熱にうなされていたらしい

 

「本当に心配したんだぞ?詠の方は月が診ててくれるって言うから華雄は俺が診てたんだけど、氷水に浸した手ぬぐいで冷やしても直ぐ熱くなっちゃうくらい熱が出てたんだからな」

 

「え…?それじゃあ、私の寝ている間、お前が看病を…?」

 

私がそういうと顔を真っ赤にして

 

「あ、いや、心配するな!!別に変な事はしていないぞ!?体を拭いたりするのは侍女さんがやってくれたしな!!」

 

私は何もいっていないのにワタワタと慌てながら弁解する一刀

 

「プッ、くっくく…」

 

その姿があまりにも必死だったのでついつい笑いが零れてしまった

 

「なんだよ、笑うこと無いじゃないか」

 

「くくっ、す、すまん…ふふっ」

 

そういって謝るのだが笑いがとまらなかった

そんな私を恨めしげに見ていた一刀だったのだが、そんな私を見て安心したように微笑む

 

「まあ、それだけ笑う元気が出てきたなら大丈夫かな」

 

「ああ、笑ったのが良かったのか、だいぶ楽になった気分だ」

 

気付くと頭痛の方も心なしか楽になったくがした

 

 

ぐぅぅぅぅ!!

 

 

…楽になって急に一週間何も食べなかったツケが回ってきたのか盛大に腹の虫が鳴いた

 

「なっ、ちが…!!」

 

「はいはい、おかゆ作ってもらってくるから大人しく寝てるんだぞ」

 

弁解しようとするのだが一刀はこちらの話に聞く耳持たずに厨房へ向かってしまうのだった

「今更聞くけど食欲は?」

 

「あるに決まっているだろう…痛っ」

 

からかうように聞いてくる一刀に怒鳴ろうとするのだが大声を上げると頭痛に響いた

 

「悪い悪い、もうからかわないから無茶するなって…ほら、アーン」

 

そういって粥をレンゲで掬いこちらに差し出してくる一刀

 

「…お前、一体何を…!!」

 

「なにって、起き上がって食べると辛いだろう?だからさっきのお詫びもかねて食べさしてやろうとおもってさ…ほら、アーンって」

 

「子ども扱いを…痛ッ!!」

 

「ほら、無理するなって言ってるだろう」

 

そういいつつレンゲを差し出してくる一刀…どうやら諦めるつもりは無い様だった

 

「…はぁ、分かった。…あ、あーん」

 

差し出される粥を口に含む

 

「どうだ?おいしいか?」

 

「むぐっ、味が薄いな…。もう一口もらえるか?」

 

「病人用なんだから当たり前だろう?はい、アーン」

 

そういって次々に差し出される粥を口に含んでいく

結局私は土鍋の粥すべてを一刀に食べさせてもらう事になったのだった

 

 

 

 

 

 

 

「おお、全部食べれたな!これならもうちょっとすれば治るかな」

 

そういって嬉しそうに笑う一刀

 

「ああ。…少し、眠くなってきた」

 

腹が満腹になったからなのか、あれだけ寝たというのにまた睡魔が襲ってきた

 

「あと一眠りもすれば良くなるよ。じゃあ俺はなべを置きに、…え?」

 

私はそういって立ち上がろうとする一刀の手を無意識に掴んでいた

 

「華雄?どうかしたか?」

 

そう問いかけてくるのだが自分でも何故手を掴んでしまったのか分からない

でも、今はその手を離したくは無かった

 

「わ、私が眠るまでこうしていてくれないか?」

 

小声でそうつぶやく私

 

「…分かった。病気の時は心細くなるもんな」

 

そういって一刀は私の手を両手で優しく握ってくれる

 

「…詠の不幸もまんざらではなかったな」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「い、いや、なんでもない」

 

体が火照って熱くなる

だがその熱さは病気の熱さではなく心地よい熱さなのだった…

霞 幕間

 

「あ、おーい!!一刀ー!!」

 

ある日、視察も兼ねて街を歩いていると何処かから自分を呼ぶ声が聞こえる

 

「あれは…霞?」

 

声のしたほうを見ると手を振りながら霞がこちらに走ってくるのが見えた

もう片方の腕では人一人余裕で入りそうな袋を担いでいた

 

「一刀。こんな所でどないしたん?」

 

「霞こそ、警邏のはずだろ?何でこんなとこに?」

 

今俺が居るのは城門から程近い区画であり、霞が見回りにいっているのはもっと別の区画のはずだった

 

「いや、ウチは怪しい奴見つけてな。ほれ」

 

そういって担いでいた袋を下ろし、袋の口を広げる

 

俺が中を覗くとそこには

 

 

 

…縄でグルグル巻きにされた上に猿轡を噛まされさめざめと泣く楽進…凪の姿があった

 

 

 

 

「おまわりさぁーーん!!誘拐犯がぁーー!!!」

 

「今日の警邏係はウチやで?」

 

「あ、そっか…じゃねぇーー!!なにやってんだ!?」

 

「いや、物影からコソコソとウチ等の事うかがっとってな?話しかけててみよか思て近づいたら逃げ出すわ、捕まえたら抵抗するわでつい、な?」

 

「つい、でこんな事するんじゃない!!仮にも真名交し合った知り合いだろうが!!」

 

そういいつつ凪の拘束を解いてやる

 

「いやあ、ここまでするつもりなかったんやけどな。なんや凪反応がおもろいからついついやりすぎてしもてん」

 

「…私も逃げたのは悪かったですが、ついついでこのようなことをなされないでください…!!」

 

凪はそういいながらもフルフルと震えていた…そりゃあんな目に合わされたらこうもなるか

 

「う~ん、やっぱこういうまじめっ子はええなぁ~。うちらんとこはこういうからかいがいのある奴がおらんからなぁ」

 

「…君は全く反省してないね」

まあ、確かに凪みたいな娘はうちの陣営には居ない

華雄はどちらかというと暴走タイプだし、ねねはからかうと癇癪を起こす、月は君主だから無理、詠はスルーされそうだし恋はそもそもからかいが通じないだろう

そう考えてみると凪のようなまじめでからかいがいのありそうな娘を見ると霞の血が騒ぐのも仕方ないと思えてしまった

 

「なあ一刀。この子拾ったらあかんかなあ?」

 

「…霞様、何を言い出すの…」

 

 

「駄目だ、元居た場所に戻してきなさい」

 

 

「北郷様!?」

 

あまりに霞が楽しそうだったので俺もそのノリに乗ってみる…うん、確かに面白い

 

「え~!ちゃんと面倒見るからええやろ~!?」

 

「生き物の世話をするって事は大変な事なんだぞ?」

 

「わかっとるよ。責任もって可愛がるから!」

 

「…わかった。月…母さんが許したらいいぞ」

 

「ホンマ!?ありがとう父ちゃん!!」

 

「…もう何処から突っ込んでいいのかわかりません。とりあえず、私は犬猫ではありません…」

 

俺達の即興コントで本気でへこんでしまった凪が言う

 

「悪い悪い、ちょっとからかいすぎてもうたな。…あ、一刀。ウチもうそろそろ戻らんとあかんから凪のことよろしくな!!城で警邏の事教えたってや!!」

 

「おい、霞…」

 

そういって俺の声を無視していってしまう霞

 

「全く…。御免な、凪。色々迷惑かけて…怒ってるか?」

 

凪の様子を伺いつついう俺だったのだが

 

「いえ、迷惑など…無いとは言えませんが、怒ってなどいません」

 

対する凪は苦笑顔だった

 

「え?でも俺が言うのもなんだけど結構無茶やったぞ?」

 

「実は、私は華琳様からこちらの警邏のやり方を学んでこいと仰せつかったのですが今まで敵対していた城に向かい聞くのは気が引けてしまい、遠目から警邏を観察していたのです。ですが霞様はそれに気付かれたのでしょう、私を無理やりにでも連れて行こうとしてくれたように思うのです」

 

そういえば霞は帰り際に「警邏について話をしてやれ」といっていたな、と思い出す

 

「…まあそうだとしても、からかおうとしてたのも本心だと思うけどね」

 

「…そうですね」

 

そういって二人で笑いあう

 

「さて、それじゃあ城に行こうか。警邏についての資料もあるから持って行くといいよ」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

そういって俺と凪は城へと向かうのだった…

恋 ねね 幕間

 

ある日、俺は街の食堂から出たところの道を歩いていた

 

「いやぁ、まさかここまでのクオリティでできあがるなんてな…」

 

そういいながら手に持つ袋を見る…これの制作を食堂のオバちゃんに依頼していて、今受け取ってきた所だった

 

「…殿~!!」

 

「ん?あの声は…」

 

声のしたほうをみると…屋台をじっと見つめる恋とそれを引っ張るねねが居た

 

「恋殿~!もう手持ちのお金が無いのです。今回は諦めて…」

 

「お腹…空いた…」

 

…うん、今の会話でどんな状況か全部分かった気がする

今は俺も手持ちが無いので話しかけるのを躊躇われたが、恋に凝視されてる屋台のオッちゃんのことを考えるとそうもいっていられない

どうしたもんか…と俺が考えていると

 

「あ、一刀!!なにやってるですか!?」

 

どうしようか以前にねねに見つかってしまった

 

まあ、見つかってしまった以上は仕方ないということで二人の下へと歩いていく

 

「一応聞くけどどうしたんだ?」

 

「お腹が空いた…」

 

「ねね達はお金を持っていないのです!!友として恋殿とねねに点心をおごるのです!!」

 

「友達って言えばなんでも言い訳じゃないぞねね。それに俺も今手持ちが無いんだ」

 

俺がそういうと目に見えてがっかりする恋とねね

 

「うう、恋殿、すみませぬ。こいつが役立たずなばかりに…」

 

「仕方ない、我慢する…」

 

そんな二人を見ていると良心がちくちくと痛む

 

どうしたもんか…と手に持ったブツの事を思い出す

 

「そうだ。今からいいもん作ろうとしてたところなんだ。城に戻ってからになるんだけど良かったらどうだ?」

 

「良いもの?いったいなんなのです?」

 

「まあそれはできてからのお楽しみって事で。いこうぜ」

 

そうして二人を連れて城へと戻るのだった

「さて、準備するのは小麦粉と、重曹と…」

 

早速準備に取り掛かる俺…昔、寮生活時代はちょくちょく自炊もしていたので簡単な料理ならお手の物だった

 

「一刀…。これも使うのですか?」

 

ねねが指差した物…それは牛乳だった

 

そういえば昔の中国では牛乳を飲まなかったって聞いたことがあるな

 

「大丈夫だぞ。ちゃんと加熱するし、なかなか旨いんだぞ」

 

不満の声を上げるねねを無視しつつ材料を混ぜる

小麦粉、重曹、砂糖、水、そして牛乳を混ぜた生地を作りそれをフライパン…というか中華なべで焼き上げる

それでオバちゃんに作ってもらったブツ…バターを乗せて蜂蜜をかければ出来上がりだ

 

「できたぞ。ほら、食べてみろ」

 

俺が作った物…それはホットケーキだった

これならば難しい手順もないし俺でも簡単に作れるので昔からよく作っていたのだ

 

「むむむ…、はむ!」

 

「はむ、もぐっもぐっ…」

 

「どうだ?うまくできてるか?」

 

二人の反応が気になって身を乗り出しつつ聞く…すると

 

 

「う、旨いのです!!こんなの初めて食べたのです!!」

 

「美味しい…むぐ、もぐ…お代わり」

 

 

どうやら高評だったようだ

 

「この上に載ってるのは何なのですか!?」

 

ねねが興奮気味に聞いてくる

 

「ああ、バターっていってね。比較的簡単に作れるから名物にならないかと思って作ってもらったんだ。…はい、恋」

 

二人はホットケーキを気に入ってくれたようで見る見るうちに無くなっていった

 

 

 

「お代わり」

 

「あ~もうタネがなくなっちゃったから作り直さないとな…」

 

まあ、材料を混ぜるだけなので良いか、と準備を始める俺に声がかかる

 

「待つのです!今度はねねに作り方を教えて欲しいのです!」

 

「え?ねねが作るのか?」

 

「これが作れるようになればいつでも恋殿を満足させられるのです!だからたのむです!」

 

まあ、初心者でも分量と焼き加減に気をつければ良いだけなのでいいか、と思っていると

 

 

「恋も、作り方憶えたい」

 

「え?恋も?」

 

食べるの専門だと思っていた恋が作り方に興味を持つのは以外だった

 

「恋殿、ねねが作り方を憶えますので座って待っていていただいてもいいのですぞ?」

 

ねねがそういうのだが恋は首を振りつつ答える

 

「ねねと一刀が恋に作ってくれる。だから恋が二人に作りたい」

 

「れ、恋殿~!!ねねは感激ですぞ~!!」

 

そういって恋に飛びつくねね

俺も恋が俺達の事まで考えてくれていたと思うと胸が熱くなった

 

「よーし!!じゃあ二人共、頑張って作ってみるか!!」

 

「「おーー(なのです!!)」」

 

そういって三人でホットケーキ作りに取り掛かるのだった…

 

 

 

 

その後、恋が重曹を入れすぎたり、ねねが焦がしたりしてなんともいえない物体が出来上がるのだがその辺ははご愛嬌である…


 
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