No.145792

セキレイ 妄想サイドストーリー3

オトナシさん

続きです。

一応今回をラストにしようと思います。

どのようなコメントでも大歓迎ですのでどんどんどうぞ

2010-05-27 02:04:34 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:2723   閲覧ユーザー数:2563

あれから10日。

 

放課後や休日を利用し、可能な限りあの女を探して回ったがなかなか見つからなかった。

 

正確に言うと何回か見かけることはあったが、話しかけようとしたりこちらに気付くと逃げるようにいなくなってしまっていた。

 

「俺、あの人に何もしてないよな・・・。絶対俺のこと認識してるよな・・・、何回か目合ったし。なんで逃げるんだろ?(涙)」

 

大和は、今自分がストーカー紛いの行為をいていることに一切気付いていなかった。

 

「まぁ、考えたって仕方ない!会ってあの時のバトルのことを聞こう!それから、俺のことも何か分かるかもだしな!うん!明日は休みだし一日探しに行こう」

 

そう言って自分を言い聞かせると大和はいつもより早めに就寝した。

最近、一人の男性のことばかりを考えてしまう。

 

きっと、私の体が葦牙に反応しているのだろう。

 

その男性は、理由は分からないが最近私のことを追い掛け回している。気付いたのは三回くらい遭遇したとき。そのころから体も反応するようになったから間違いないだろう。

 

「あの方が私の葦牙・・・」

 

あの人のことを考えると胸の鼓動が早くなり、頭と体が熱くなってボーっとしてしまう。

 

学生の服をいていることがあったからきっと北エリアのどこかの学校に通っているのだろう。ならば、反対側の場所まで行けば遭遇する確率は大幅に下がるだろう。しかし、体言うことを聞かない。行こうとすると胸がとても苦しくなり、足も動かなくなる。

 

「このままでは、いつか必ず巻き込んでしまう。早くここを去らねばならないのに・・・」

 

女の葛藤は続いた・・・

翌日

 

大和は普段あまり行かない北エリアの端のほうにある少し大きめの公園に来ていた。

 

その公園は初めてあの女とバトルを目撃した場所だった。

 

周りには休日だというのに人っ子一人いなかった。

 

「うーん、いないなぁー」

 

なんの手がかりもない以上しらみつぶしに探して回るしかなかった。

 

「でも、何回かこっちにいる気がして行くといたんだよなぁ」

 

そう、普段直感なんてまったく当たらない自分の勘が当たっていた。が、すぐに見失ってしまう。これの繰り返しだった。

 

「はぁ、これじゃまるでポケモンじゃないか。いや、図鑑がない分こっちのほうが辛いか・・・。もう諦めろってことなのかなぁ」

 

諦めかけていたその時・・・・

私は当てもなくただ歩いていた。

 

頭の中はやはりあの人のこと。そしてどうすれば巻き込まずにいられるかということ。

 

いっそうのこと他の葦牙に付いてしまうことも考えたが、すぐに愚かな事を考えたと自己嫌悪した。

 

苦しみ悩みながら歩いているうちに少し大きめの公園に出た。

 

「こんな所まで来てしまいましたか・・・」

 

こんな端の場所まで来てしまったかと思っていると、そこに一人の男性がいた。

何となく振り向いてみるとそこに目的の女がいた。

 

何故か向こうもとても驚いているようだったが、逃げられる前に話しかけなければと焦っており気付かなかった。

 

「あ、あの!」

 

そう声をかけると、やはり女は急いでその場から立ち去ろうとしていた。

 

「ま、待ってくれ!話しを聞いてくれ!」

 

そう言うと女は立ち止まりこちらに振り返った。

 

女は自分が思っていたよりもずっと美しく、見惚れてしまった。そして自分がこの女に一目惚れしていることも確信した。

 

話しを続けようとしたら女が話してきた。

 

「もう、私に関わろうとしないでください」

 

「え?」

 

「迷惑なんです。ですから、もう私を追いかけないでください」

 

いきなり言われたことに大和は放心してしまった。その間に女は立ち去っていた。

 

「え?いやいや、え?」

 

意識を取り戻した後も女に言われたことがグルグル頭の中を巡っていた。

 

----もう、私に関わろうとしないでください-----

 

「これってあれか?失恋?告白とかしてないのに?それにまだあの時のことも聞いてないのに・・・」

 

正直結構きつかったが、すぐにいつもの大和が復活していた。

 

「いや!ここまで来たんだ!せめて俺の言いたいことを言って、聞きたいことを聞こう!そこまでしないと気が収まらん!」

 

「歩いていたからきっとまだその辺にいる筈だ」

 

そう言うと大和は駆け出した。

出会ってしまった時は、しまったという気持ちよりも会えたことに対する喜びの方が断然強かった。笑顔になるのを必至で堪えるほどに。

 

しかし、言ってしまった。あの愛おしいあの人に

 

もう、自分には関わるなと・・・

 

泣いてしまいそうになるくらい辛かった。死んだ方が楽になるのではと思えるほどに。

 

「でも、これで良かった。これできっとあの人は巻き込まれることなくなる」

 

しかし、本当は傍にいて欲しい、自分を愛して欲しいと思ってしまう自分がいることもまた事実。

 

今も胸の鼓動が今まででは考えられないくらい強くなっていた。

 

そのせいで気付けなかった。自分が囲まれていることに。

「羽化前のセキレイ見ーつけた」

 

そう言うのは鞭を持った金髪ツインテールの女

 

「こいつを連れ行けばきっと御主人様もお褒めくださいますわ」

 

そう言うのはデスサイズを持った女

 

しかし一番気になったのはもう一人。何を考えているのか分からない感じの女

 

「額に真紅の鶺鴒紋。廃棄ナンバー?なぜこんなところに・・・」

 

「ふふ、さぁ一緒に来てもらおうか!」

 

そう言うといきなり鞭の女が襲ってきた。

 

「断ります!」

 

(こいつらが焔の言っていた・・・。まさか本当に遭遇するとは・・・)

大和が探し始めてからしばらくすると近くで何かが爆発したような音がした。

 

「もしかして!」

 

大和はそこにあの女がいて、きっと戦っているに違いないと確信していた。

 

そこでは大和が思っていたようにバトルが繰り広げられていた。この前の双子とは違う相手で、一人は鞭で、もう一人はデスサイズで、そして最後の一人は氷を出して戦っていた。

 

だが、あの時とは違うことがもう一つあった。それはあの女の動きが初めて見たときよりも格段に悪かった。

 

デスサイズと鞭と氷の連携をギリギリでかわし服が何度も破けたり、血が出たりしていた。

 

「何だ?どうしたんだ?この前の動きならあれくらい避けられるだろう」

「くっ!!」

 

自分でも驚くくらい体が言うことを聞かず、三人の一方的な攻撃を何とか防ぐだけで精一杯だった。

 

「ホーッホホホ!この程度ですの?」

 

「本当!もう少し楽しませてよ」

 

「・・・・・・・」

 

「このままでは・・・」

 

その時足元が狂い転倒してしまった。

 

「っ!しまった!」

 

「もらったー!」

襲ってきている三人の攻撃を何とか防いでいるうちにあの女が転倒してしまった。その隙を逃さず鞭の女が襲い掛かった。

 

「やめろーー!!」

 

俺の体は勝手に動いてあの女を庇っていた。

やられると思った瞬間、あの人が私の前に立ち塞がり、私を攻撃から庇っていた。

 

「な、何故ここに?もう関わらないでくださいと言ったでしょう!?それなのに何故?」

 

「まだ、俺の言いたいこと言ってなかったりとか聞きたいことを聞いてなかったりとかしたからね」

 

その顔は痛みを必至に堪えながらも笑顔だった。

 

「ちょっとあんた!そのセキレイとどういう関係?邪魔するならまずあんたからかたずけるわよ!」

 

「はぁ?セキレイ?何それ?」

 

「そんなことも知らずにその女助けましたの?」

 

彼は何かを決意したかのように拳を握り締め、息を吸うと

 

「男が惚れた女助けて何が悪い!!」

 

私は彼が何を言ったのかが一瞬分からなかった。

 

(え?惚れている?彼が?私を?)

 

だが、言われた意味を理解し始めると顔がとても熱くなり、同時に胸が奥から温かくなっていくのを感じた。

 

「その女は人間ではありませんのよ?」

 

「それがどうした!俺はこの人のことが好きだ!セキレイだろうが何だろうが好きなもんは好きなんだよ!!」

 

「はぁ、もうめんどいから秋津、こいつ殺っちゃって」

 

「・・・・わかった」

 

そう言うと廃棄ナンバーが彼に攻撃をしてきた。彼は動こうとしない。

 

(守らないと!この人を!)

 

そう思うと今までで一番、体が軽く速く動いた。

氷の矢が俺目掛けて飛んでくる。

 

咄嗟に目を瞑るとガキィンという音が聞こえ目を開くとあの女が氷の矢をすべて落としていた。

 

「さっきあなたは私のことを好いていると言ってくれましたね」

 

いきなりそんなことを言われた。しかし俺は

 

「おう!俺はあんたの事が好きだ!」と答えた

 

「でも、私といるとこのような戦いに巻き込まれ、さっきみたいに命の危機に晒されることもあるんですよ」

 

「初めてあんたを見たときから、覚悟はできてるよ。それにさっきはあんなカッコいいこと言ったけどさ、今みたいに守ってくれるんでしょ?」

 

そう言うと女はこちらに振り返った。その顔は涙を流しながらも、とても綺麗な笑顔だった。

 

「はい。もちろんです」

 

「じゃあなんの問題もないな」

 

「変わってますね。あなたは」

 

「割とよく言われる」

 

「あなたに好きになってもらえて良かった。そして、あなたを好きになれて良かった」

 

そう言うと女は俺の顔に手を添えてキスをしてきた。

 

「ああ!羽化しちゃったじゃない!あんたらちんたらしてるからよ!」

 

「何を言ってますの!それを言ったらあなただってそうではなくて!?」

 

「なんですって~」

 

「・・・・来る」

 

「「へ?」」

 

「さっきほどまではよくもやってくれましたね」

 

キスから開放された俺は本日二回目の放心をしていた。が、女の雰囲気が変わった。

 

『我が誓約の剣(つるぎ)葦牙が禍断ち切らん』

 

「げっ!祝詞!」

 

「神速の太刀!!」

 

そう言って放った女の居合いの剣圧でものすごい斬撃になり、敵三人の足元ギリギリのところで線が引かれていた。

 

「今なら見逃して差し上げます。が、まだやる気なら次は当てます」

 

「くっ、ずらかるよ夜見、秋津」

 

「ちょっと私に指図しないでくださいます!?」

 

「・・・・・・・」

あの三人が去って行った後、ある大切なことに気が付いた。

 

「そういえば、俺まだ君の名前知らないや」

 

「そういえば、私も・・・・」

 

自然と二人して笑い出した。

 

「はは、俺の名前は秋月大和。君は?」

 

「私は、セキレイ№07撫子です」

 

「撫子?」

 

「はい。そうですけど・・・」

 

「ぷっ、あーははは!!」

 

「!?な、何か変なことを言いましたか?」

 

「い、いや、大した事ないんだけど、俺たちの名前合わせると『大和撫子』になるなぁって思って」

 

「ふふ、そういえばそうですね」

 

さっきは一人で笑ってしまったが今度は二人で笑った。

 

「えっと、それでさ、俺はどうしたらいいんだ?」

 

「すぐに分かると思いますよ」

 

そう撫子が言うと俺の携帯が鳴り出した。電話に出ると相手はあのM.B.Iの社長からだった。

 

その社長から撫子たちセキレイのこと、そして鶺鴒計画について話された。今まで望んでいた非日常に巻き込まれたのに、あまり理解できなかった。

 

けど、これから撫子と一緒にこの非日常の世界に行けるならどうでも良かった。今の俺にとっては非日常よりも撫子の方がずっと大切だから

 

M.B.Iの社長が電話口にいる間中ずっと不機嫌そうな表情をしていた撫子が電話終了と同時に騎士のようにひざまづいた

 

「これから私はあなたを嵩天への道を切り開く剣となり、導くための翼となることをここに誓います。我が主」

 

「いやいや、そんな堅っ苦しくなくていいから。あと名前で呼んで欲しいな」

 

「では、大和様」

 

「うーん、もう少し柔らかくできない?」

 

「できません」

 

「じゃあそれでいいよ」

 

「はい」

 

俺が納得すると撫子は満面の笑顔になった

 

「大和様」

 

「ん?何?」

 

「至らぬ点もあるかと思いますが、幾久しく。これからもよろしくお願いいたします」

 

 

 

 

これからどんな戦いが待っているかわからないけど、撫子とならどんなところにでも行ける。そん

な気がしてならなかった。

 

<終幕>

一応これにて終幕ということで。まぁ、正直これ以上書ける気がしないんですが・・・

 

最後は長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方々ありがとうございます。

 

まぁ頑張れば、短編的なものくらいなら書けるかもしれません。

 

これもまた希望があり、できそうでしたらやります。

 

 

 

 

 

 


 
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