No.144408

外史伝外伝 最終話

外史伝外伝も最終話です。
多くの人の希望を胸に、一刀は最後の決戦に挑みます。
一刀とカズトの戦いに、ついに終止符が打たれます!
果たして一刀はカズトを乗り越えることができるのでしょうか?
哀れな魂は…救われるのでしょうか!?

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2010-05-20 23:37:36 投稿 / 全24ページ    総閲覧数:4831   閲覧ユーザー数:4019

「みんなの心が…俺に勇気をくれる。

 

それが…。…俺の……俺たちの…力の源

 

いくぞ!韓湘子!!これが、俺たちの力だ!!

 

 

I have reborned the shine

   ―――俺の心を光が照らす―――」

 

 

 

バキィ!ピキピキ!!

 

次々に壊れて良く韓湘子の世界

 

 

 

「 I have been no defeated at the darkness

   ―――闇に染まることも―――

 

 

 

 

バキィ!ピキバキィ!ピキ

 

 

 

I do not have the happiness at all

   ―――幸福に溺れることもなく―――」

 

 

 

北郷一刀の世界がゆっくりと形を成していく

 

光輝く青空

 

一面を覆う青い草原

 

そして、その天空にそびえる宮殿

 

 

 

「I have wished Prayer of hopes

   ―――光の中にこそ、答えがある―――」

 

瞬間!

 

硝子が割れるがごとく韓湘子のいや、ホンゴウ カズトの世界は破壊された

 

 

「これが…俺の鏡花水月

 

『光の宮殿』とでも言うかな?

 

この世界では、希望や愛、信頼や絆…それらが強ければ強いほど、術者の力は増大していく。

 

そして、光に相容れないものの力は失われる。

 

この世界には俺とお前の二人だけ。だが!俺は一人で戦っているんじゃない!

 

オレの中に溢れるのは、三国の皆の心

 

それら全てが貴様の相手!

 

いくぞ…。神仙ホンゴウカズト。

 

貴様の心の光、俺が取り戻してやる!

 

想いの貯蔵は充分か!?」

 

 

 

一刀は、韓湘子に剣を向ける

 

その掌からは聖痕は消えていた

 

「たかが…結界一つで調子に乗るな小僧!」

 

韓湘子は白帝剣を構え、一刀に向かう

 

回転を加えながら上段から切りかかる

 

「あぁああ!!!!!!!!!」

 

「はぁっああ!!!!!!!!」

 

一刀の白帝剣とカズトの白帝剣が激突する

 

ガン!!

 

ギィイイン!!

 

カン!!

 

辺りに刃同士がぶつかる音が響く

 

「はぁ!!」

 

ギィイイン!!

 

「速い!?!」

 

ガン!!

 

「ちぃ…」

 

キャィン!!!

 

「お前を縛るものは無い!もはや、お前は一人の人間だ!」

 

双剣が踊り

 

「オレは…それを認めることができん!」

 

長刀が爆ぜる

 

「お前は、愛紗達のために戦ってきたはずだ!

 

今、ここに居る自分を…世界を…皆を、信じてみろ!!」

 

 

 

 

「でりゃ!」

 

双剣が踊り、韓湘子に一撃を放った

 

「ぬぅ…!」

 

腕を掠めた一撃に怯んだものの、韓湘子も再び剣を振るう

 

ファン!

 

「はぁっ!」

 

ギャン!

 

一刀は双剣を交差させて防ぐ

 

「I have reborned the shine

   ―――俺の心を光が照らす―――」

 

一刀の体が光る

 

「貴様!?」

 

韓湘子はかまわず切りかかる

 

ギャン!ギィイ!!

 

「オレの攻撃についてきている!?」

 

韓湘子は驚きに目を細めた

 

「余裕なんざ、一欠けらもねぇがなぁ!!!」

 

一刀は剣先から光を放つ

 

「はぁっ!」

 

韓湘子は、剣を振るいそれをきり防ぐ

 

「まだまだ!白帝…乱舞!!!」

 

一刀の言霊と共に、剣先から先ほどのように光がいく本も放たれる

 

それは、光の剣となり韓湘子に襲い掛かった

 

ドガッガ!!!!!

 

「神仙北郷流、白桜…繚乱!」

 

韓湘子の剣からも同様に光の剣が飛び出し

 

ガガッガガ!!!!

 

けたたましい音を立てながら打ち合った

 

 

 

韓湘子と一刀の戦いは熾烈を極める

 

再び距離をつめると打ち合い

 

轟音とともに剣をふるい

 

互いの死力を尽くしてぶつかり合う

 

二人の力はまさに互角

 

何十、何百と互いを切りあい

 

何十、何十発も殴り合う

 

「決して…お前は。お前の人生は…無駄なんかじゃない!!」

 

それは、剣戟というには余りにも無骨で…

 

「誇るべき…人生だ!!!」

 

それでも、美しかった

 

もし見ているものがいたのらなら…きっと呼吸をも忘れて見つめるだろう

 

二人の…、いや一人の男の戦いを…

 

パスも消え去った今…得られるものも、失うものも何も無い

 

それなのに彼らは戦い続ける

 

互いに一本の剣を振るい、一対の双剣を凪ぐ

 

純粋に戦いに興じているその姿は…剣戟というには余りにも無骨で…美しい

 

 

韓湘子は身を剣を下段に構えた

 

「神仙北郷流…」

 

剣より、黒い気を放つ

 

一刀も、同時に構え、剣に光を集中させた

 

「はぁああ!!」

 

「黒「黄」」

 

……二つの気が、一気に解き放たれた

 

「「龍剣!」!」

 

気は二匹の龍となり、雄たけびをあげながらぶつかり合う

 

同程度の気は相殺され、余波が二人を襲う

 

「「ぬぁああ!!!!」」

 

二人は同時に吹き飛ばされる

 

 

よろよろと韓湘子が立ち上がった

 

「はぁはぁ…、北郷一刀よ」

 

韓湘子は肩で息をしながら問う

 

「なんだ?はぁはぁはぁ」

 

一刀も立ち上がるが、肩で息をしていた

 

二人とも、もはや限界だった

 

全身を襲う疲労はピークに達していた

 

「お互い…もう何度も…剣を振るう力など、残っては…いないだろう?」

 

「あぁ…」

 

互いに構えを取る

 

「「次で…決着をつけよう!」」

 

互いの息をする音だけが結界内に響く

 

一刀は結界の力を全て双剣に収束させていく

 

当然、形を保てなくなった結界はサラサラと砂が飛ぶように消えていく

 

サラサラサラサラ……

 

「神仙北郷流最終奥儀・天地無双…」

 

「北郷流奥儀・白龍撃…」

 

互いの最強の構え

 

それは、決着の時をつげるお互いへの合図

 

サラ…サラサラ…サ……サラ…

 

最後の一つぶが空へと消えていった

 

 

 

その瞬間

 

 

 

「「勝負!!!!」」

 

 

ドン!!!!!!

 

まるで弾丸のように走り出す二人

 

「あぁああ!!!!!!!!!」

 

「はぁっああ!!!!!!!!」

 

一刀の白帝剣とカズトの白帝剣が最後の激突をする

 

ギリギリと音をきしませ、互いをへし折らんと火花を散らす

 

 

「北郷ぉ!!」

 

「カズトォオ!!」

 

 

両者は一歩も引かない

 

 

「諦め…ない!

 

俺は…、俺は…天の御使い。

 

北郷一刀だぁ!!!!!!!!」

 

ガキィ!

 

一刀の白帝剣がついに韓湘子の剣を砕いた

 

「何!!?

 

白帝…剣が…砕けた?」

 

韓湘子は動けなかった

 

「はぁああ!!!!」

 

一刀はそのまま右手を高々と上げる

 

韓湘子はそれがスローモーションのように感じた

 

やはり、動けなかった

 

その瞳から…目が離せなかった

 

「(北郷一刀。なんと、真っ直ぐな瞳なのだ

 

あぁ…そうだな…。そうだったんだな

 

オレ(ホンゴウカズト)が…忘れてしまったのは…

 

失ってしまったのは…

 

どんな時でも、希望を…『光』を信じぬく…強い心だったんだな…)」

 

一刀の剣がまっすぐに振り下ろされた

 

 

 

ザシュッ!

 

 

鈍い音と共に韓湘子の胸に剣が突き刺さる

 

 

静寂があたりを支配した

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「………見事だ」

 

一刀はゆっくりと…荒い息の中、勝利を…宣言した

 

「俺の…勝ちだ!韓湘子」

 

 

 

韓湘子もふっと心底安心したような笑みを浮かべ

 

「(そうだ…最初から分かりきっていた。

 

オレは、間違えていたんだ。

 

皆の暮らす外史を守りたい

 

そんな[理想]を途中で諦めてしまったオレが憎かった。

 

だから…外史を破壊し続ける自分が嫌になった

 

でも…

 

本当は、誰かに…止めて欲しかったんだ

 

そうだ、光を…見せて欲しかったんだ…)」

 

 

 

 

一刀を見た

 

 

 

 

「あぁ…。

 

オレの…負けだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双 魏ルートアフター 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外史伝外伝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『外史伝エピソード零:鏡花水月編』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらいたっただろうか

 

韓湘子はふと光を感じた

 

夜明けだった

 

「負けたのに…なんと清々しいことか…

 

朝日が、これほど美しいとは…知らなかった。」

 

白帝城からのぞむ朝日を見つめる

 

胸は剣に貫かれている

 

それでも、痛みきった彼の心を風が優しく撫ぜる

 

それだけで、恐ろしいほど心は穏やかになっていく

 

「韓湘子…」

 

一刀は、剣を握っている手を放し離れた

 

「見事だ…北郷一刀。

 

オレを…打ち負かすとは…恐れ入ったよ」

 

剣を胸から引き抜きながら、苦しげに言う

 

しかし、座り込んだその顔は本当に穏やかだった

 

さっきまでとは、別人のように…

 

「まぁ…流石に、予想外だったが、なぁ」

 

「俺は、ただ救いたかったんだ。

 

もちろん華琳もだが…お前も…なぁ」

 

「オレを…?」

 

「あぁ…。あんたの事は卑弥呼さんから聞いた。

 

あんたがそうなっちまった理由は分からなかったが、あんたの記憶を見て確信した。

 

あんたは…誰よりも人を愛するが故に、人を外史を消さねばならない自分を許せなかったんだ

 

違うか?

 

だから、魂をつないだ俺を殺して…罪を償おうとした。違うか?」

 

韓湘子はふっっとため息をつく

 

「あぁ…その通りだ。

 

神仙になった以上、オレの命は正史が握っている。

 

自分の手で始末をつけることも許されず、ただ正史の言うままに殺戮を繰り返してきた。

 

正史はオレを操り人形として自由を奪った。

 

加えて、人間だった神仙が、その外史に召還されることはほぼ皆無だ。

 

だが、この外史にはそれらが働いていなかった

 

これはもはや奇跡の領域だ。計画を思いついたのは、その時だった

 

オレの罪を償うためには…オレが消えるしかない

 

だから、オレはお前を消そうとした…」

 

 

韓湘子はここで一呼吸おいて続けた

 

「だが…それはお前の言うとおり…間違っていた。

 

いや、最初からそれには気がついていたのかもしれん。」

 

韓湘子は立ち上がろうとするが、痛みに顔を歪ませる

 

一刀が慌てて手を貸してやりようやく立ち上がり、一刀と向かい合う

 

「そうだ…。オレは、自分が間違っていることに気がついていたんだ。

 

オレは…誰も殺したくは無かったんだろう。

 

きっと…オレを止めてもらいたかったんだ。

 

心に光が溢れていたかつての自分に…止めてほしかったんだ。

 

必死に自分を偽ってみたところで…想いの無い言葉では…何も得られん。

 

結局…オレは、俺を捨て切れなかったんだ」

 

韓湘子は一刀にゆっくりと顔を向ける

 

「オレの我侭に巻き込んでしまって、すまなかった…」

 

「いいんだ。韓湘子…

 

俺は、俺達は戦う運命にあったんだ。

 

そして、過去と未来を知り…互いに光を見つける運命…だったん…だ」

 

一刀は全身の痛みと疲労感から気を失いかける

 

 

韓湘子は一刀を横たえ、立ち上がる

 

その目を真っ直ぐな目で見下ろした

 

「やっぱり…逝くのか?」

 

「あぁ…。だが、これでいいんだ。

 

オレはお前たちのおかげで救われた。

 

……さらばだ。

 

お前と戦えたこと、オレは誇りに思う。

 

そして、ありがとう」

 

「俺…もだ。

 

じゃあ…な…、理想の…俺。

 

誇り高き覇王…ホンゴウカズト…」

 

一刀は、規則正しい寝息をかきながら眠りについた

 

「療…」

 

韓湘子は懐から術布を取り出し、一刀に落とす

 

すると、彼の体は光に包まれ傷を癒していく

 

そこへ…

 

「一刀様ぁ!!!」「一刀ぉ!!!」

 

二人の少女が一刀に駆け寄る

 

結界が解けたのを確認した愛紗

 

そして、玉座から駆け寄ってきた華琳だった

 

愛紗は一刀を抱きしめ、華琳は一刀の手を握る

 

「ありがとう…北郷。

 

そして、曹操殿、関羽殿。

 

オレは、昔の俺に戻れた気がするよ…」

 

韓湘子は未練を断ち切るように首を振ると、ゆっくりと一刀達に背を向けた

 

「(愛紗、華琳…せめて、この世界では…幸せになってくれ。

 

そして…)

 

さらばだ。かつてのオレよ…」

 

最後にかつての自分を心に刻み、朝日の方へと歩き始めた

 

 

 

すたすたと、まるで光の中に帰っていくように歩いていく

 

「……カズト」

 

真後ろから声をかけられた

 

「曹操…殿」

 

華琳だ

 

彼女は韓湘子に駆け寄る

 

「…い、逝くの?」

 

彼女には分かっていた

 

韓湘子の体を形作る力が、すでに無いことに…

 

だから、この青年は消えるしかない

 

正史との繋がりを一刀の鏡花水月で断たれ、残った力で戦い続けた彼の、限界がここだった

 

魂のパスもその時に切られていた

 

もはや、二人が戦う必要はどこにも無かった

 

だが、彼らは戦い続けた

 

今の自分が許せなくて…

 

誰かに止めて欲しくて…

 

もう一度、北郷一刀に戻りたくて…

 

 

「あぁ…この世界に韓湘子は必要ないからな」

 

それでも、韓湘子は勤めて冷たく言う

 

「貴方は…いったいどうなってしまうの?」

 

「さぁ?

 

そいつはオレにも分からない

 

確かに…このままではオレは消滅するだろう。

 

奇跡でも起きん限りは…なぁ。

 

だが、曹操殿。」

 

「…なに?」

 

「オレの心は…救われた

 

かつての自分と、キミ達…恋姫達に。」

 

韓湘子は頭を下げた

 

「ありがとう。キミ達には感謝してもしきれない

 

そして、こんなことに巻き込んで…すまなかった」

 

華琳は首を横に振る

 

この青年に与えられるものは無い

 

ただ、消えゆくのみ…

 

こんなに…悲しい男が…一刀の未来

 

それが、悔しくて仕方なかった

 

 

「カズト…」

 

「なぁ、曹操殿。不仕付けだが…二つほど頼みごとをしたいんだ。」

 

「なに?」

 

華琳は涙をこらえて呟く

 

「卑弥呼という男に伝えておいてくれ。

 

泰山の宮殿に干吉ってヤツを封印しておいた

 

好きに使うがいい、って。

 

そして、この世界をたのむ、とも伝えて欲しい」

 

「卑弥呼って人に伝えればいいのね?」

 

「あぁ。

 

そして、最後にもう一つ…

 

 

 

オレを頼む。

 

オレみたいにならぬよう。

 

キミが、キミ達が…支えてやってくれ。」

 

華琳はうれしかった

 

こんな姿になってでも、彼の優しさは変わらない。

 

自分達の未来を案じてくれている。

 

だから、コイツに言うのだ

 

カズトが安心して逝ける様に…

 

 

「わかった…わ。

 

私が…ううん!私達が一刀を守ってみせる。

 

寂しい思いなんてさせてあげない!」

 

今、この青年にしてやれることは…唯一つ

 

「だから…だから、貴方も…!

 

幸せを求めなさい!!!!!

 

お願い!!

 

約束…よ?」

 

自分の手をにぎり締め、涙を流しながら言う

 

 

「曹操「華琳よ…カズト。」いいのか?」

 

「貴方は…一刀なんでしょ。

 

私の唯一愛した男なんでしょ?」

 

華琳は涙を隠して必死に言う

 

 

韓湘子は思い描いていた

 

「(そうだったな…、曹操。

 

キミは、恐ろしくも…優しい少女だった。

 

だからこそ、オレはキミを愛した。)

 

あぁ…そうだったな」

 

「じゃあ…じゃあ!

 

もう、こんな馬鹿げたことは…もう、金輪際やめなさい!!

 

貴方が…どんな一刀であろうと、好きな人が傷つけあう様なんて…見たくないの!!」

 

泣きそうになりながら必死に言う華琳

 

ふっと笑う

 

「な、何よ!?笑うところ?」

 

「いや…失礼。

 

キミの顔が余りにも…愛おしかったから…なぁ」

 

「カズト…」

 

「確かに…キミたちがいれば…韓湘子なんて生まれやしないだろう。

 

もし、ヤツが…オレみたいになっても、殴ってでも止めるだろうな。

 

まぁ、せいぜい頑張れ。奴の女難の相は天下無双だぞ…」

 

まるで、友人をからかう様に言うカズト

 

その体が、ゆっくりと消えていく

 

 

「うん・・・、うん……。

 

私…私、がんばるから!

 

一刀が貴方みたいに皮肉れたヤツにならないよう!

 

一刀を守るから!!

 

 

一刀と…幸せになるから!!!

 

 

だから…だから…、カズト!

 

貴方も…!!!!!!!!」

 

 

幸せを求めなさい!

 

彼女の瞳はそう訴える。

 

だが…、この体では、それは無理だろう。

 

だけど、韓湘子は何故だか、それを素直に受け入れることができている

 

自分でも不思議なくらい…自然に…

 

韓湘子はかがんで華琳と同じ目線になると、彼女の綺麗な瞳を見つめる

 

「答えは…確かにここにあった。

 

だから、大丈夫だよ。

 

オレはこれからも…光を信じて、歩いていける。

 

前を向いて、突き進める。」

 

一刀と全く同じ微笑を浮かべる

 

「それじゃあ。逝くね…」

 

「カズ…ト!?」

 

そして、青年は…

 

「ありがとう…華琳。

 

 

…幸せになれよ」

 

何も残さず消えていった。

 

「バカ…、カズト…。

 

カズト……カズト…カズト…!!」

 

彼のために涙を流す華琳は、慈母にも見えた

 

 

 

 

 

「ありがとう…華琳。」

 

 

 

彼女の心には彼の、カズトの声が再び響いた

 

ここにはいない彼の声は、確かに響いたのだ

 

優しくて、人懐っこくて、それでいて強い…一刀と同じ声が耳に響く

 

 

 

 

そんな気がした…

 

 

 

 

 

 

未来と過去の戦いはこうして幕を閉じた

 

後に残るものは何も無い

 

少年は残り、青年は去った

 

だが、北郷一刀とホンゴウカズト…

 

二人の北郷はそれを知りつつ、死力を尽くした

 

それは、何かを得るためでもなく…

 

何かを、守るためでもない…

 

たった一つの言葉を確認するための儀式

 

『光の中にこそ、答えがある』

 

それは…自分自身を救うための儀式(鏡花水月)の答え…

 

『繰り返される絶望』から、韓湘子を…いや、ホンゴウカズトを救った答え…

 

…それは、二人だけのAnswer

 

 

希望の草原の先には絶望の荒野がある

 

それは、きっと事実だろう…

 

それでも、彼は…北郷一刀は歩みを止めない

 

例え絶望に見舞われたとしても、彼には恋姫たちがついている

 

自分の信じる道を、愛するもの達と共に…

 

そうすればきっと、絶望も希望に変わるだろう…

 

だから、彼は突き進む

 

 

だって…

 

 

全ての答えは…

 

 

 

 

I have reborned the shine

   ―――我は光の化身也―――

 

 

 

 

Shining is my blade,Geniality is my Escutcheon

   ―――手に持つは、輝く剣と愛しき盾―――

 

 

I have been no defeated at the darkness

   ―――闇に染まったとしても…―――

 

 

 

I do not have the happiness at all

   ―――決して光を見失わぬ―――

 

 

 

 

However, I do not have the degeneration in the darkness even at any times

   ―――時を守り、人を愛し、自分を誇る―――

 

 

I have been always solitary, and prays for her victoriy

   ―――それは、唯一無二の存在。勝利のためにただ祈れ……―――

 

 

 

 

Therefore, there is no meaning . I have existed the world

   ―――故に、答えを理解できずとも、それは…確かにここに―――

 

 

 

 

I have cleated shining royal Castle

   ―――そう、光の中に答えはある―――

 

 

 

 

 

 

今は遠く、遥か彼方に響く、未熟な剣戟の音を頼りに、少年は愛するもの達と共に荒野を越えていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終話『終焉のカズト』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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