No.139311

桜草第一話

元樹さん

季節が春のため、春がテーマの小説を始めることにしました。
駄作でありますがどうぞ楽しんでいってください。
まだまだ忙しい時期なので、更新はかなり遅いと思いますが気長にお待ちください

2010-04-28 06:49:26 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:389   閲覧ユーザー数:382

それは大体春の陽気に溢れている4月の末ごろだった。

 

 

まだ春は出会いと別れの季節だという感覚がなかったころだ。

 

 

「さっちゃん。きょうは、ぼくをあきちに、よんでどうしたの?」

 

 

 あの頃の自分は幼かったためそこにあった悲しい雰囲気に気づかず何か楽しい事や何かを発見したんだと思い、ただ純粋に聞いていた。

 

 

今思うとすごく残酷なことを聞いていたんだと思っている。

 

 

彼女は俺にそう聞かれるととても泣きそうな顔をして、

「しんくんにさよならをいいたくてよんだんだよ」

 

 

 そういうと涙を流しながら悲しげに微笑んでいた

 

 

ギリリリリン ギリリン

 

 

パッチ

 

 

目覚まし時計がうるさく響き、それをすぐに止めたが、もう頭が覚醒しつつあった。

 

 

「ん……もう朝か……まだねむたいな……それにしても懐かしい夢見たな……」

 

 

完全覚醒はまだほど遠く、少しぼ~っとしていると窓の外から近所迷惑になりそうな大きい声が聞

こえた。

 

 

「おい、起きているか!」

 

 

「はいはい、起きているからそんな近所迷惑な大きさで俺の名前呼ばないでくれ」

 

 

俺はそこから聞こえる騒音がいつものそいつであることが分かっていたため、瞬時に身体を起こし、窓を開けて、返事をするついでに、外にいるそいつを睨んだが全く気にもした様子もない。

 

 

「それならさっさと着替えて降りて来てくれんか?あまりわしを待たせるな」

 

 

そいつはさっきと比べて声の大きさをさげてはいたが、自分勝手な事を言っているし、男が毎回迎えに来るのは微妙な気分だったため、俺の気は晴れなかった。

 

 

だがやはり人を待たせるのは凄く抵抗があるので、特技の早着替えを活用してちゃっちゃと行く準備を整えた。

 

 

二階にある自分の部屋からとりあえず居間に行き、前日にスーパーで買っておいた昼飯を、テーブルの上から奪取して、鞄の中に詰め込んだら、家をでた。

 

 

急いだのに、出てすぐ待っていたのは「おそい・・」という健二の俺を見下ろしながらの非難めいた言葉だった。

 

 

(かなり頑張って急いだのにその言葉はあんまりなんだが……)

 

 

俺が拗ねたのを気づいて、苦笑いを浮かべて、なぜかまじめな顔になった。

 

 

「まあいいが・・・・と話している場合じゃない。早く行く」

 

 

健二は少し焦りながら言い、腕時計を見せてきた。

 

 

俺は自分の部屋の時計はまだ、急ぐ時間でもないことを確認していたため、おかしいと思いつつ

も、差し出された時計をみたが、俺の思考を一瞬真っ白にするには充分な時間を示していた。

 

 

「なぁ…?これは何かの間違「間違いじゃない」あぁ……やっぱりか……」

 

 

間違いで合って欲しい気分を込めて聞こうとしたが、言い切る前に容赦なく死刑宣告が下される。

 

 

「真司(しんじ)、間違いなく走らないと遅刻する」

 

 

放心状態に追い打ちを、かけるようにかけられた言葉で、俺たちは急いで学校に向かうべく走り出した。

「うおぉぉぉぉ!」

 

 

俺達が住む時雨(しぐれ)町(ちょう)自体坂が多い土地柄で、俺達の通う睡蓮(すいれん)高校は俺の

 

 

家から歩いて二〇分だが、多くある坂で、最も急坂の上にあるから、気合をいれないと俺は、走り

きる自信がないので、

 

 

雄叫びを上げながら全力疾走中する羽目になった。

 

 

だがしかし、俺と比べて健二は、あまり疲れない様子で走っており、俺にたびたび普通に話しかけ

てくる始末。

 

 

「お前ほど運動神経がないんだ!お前はバケモノか!」

 

 

悔しいのでバテながら頑張って言い返したりもしているが、健二はただ涼しげな顔をして走っていって効果無し。

 

 

健二運動神経良すぎだし頭もいいし、こいつは本当に化け物なのかもしれない……と自分の疲労具合と健二の疲労具合の違いについて最もらしい言い訳を、頭の中で並べることでこの理不尽さを誤

魔化すことに努力を、費やすことにした。

 

 

しばらく走っていると坂に終わりが見えてきて、俺たちの通う高校の校門が見えてきたので、俺は最後の力を振り絞りいつもの要領で、校舎の三階にある自分の教室のドアを時間以内に開けることに、成功した。

 

 

「ぜぇぜぇ……ま……に……あっ……た……」

 

 

やっぱり息のあがった状態のため声を上手く出せずに、肩で息をしていると、少しドアの近くの席に座っていた女子が、こっちを向いてすこし微笑みを浮かべた。

 

 

「真司今日も遅刻ぎりぎりだったね。はいはい息を整えて。」

 

 

「葵(あおい)ありがとうね」

 

 

こっちに向かってきてドアを開いたまま、止まっていた俺を教室の中まで引っ張りこんだで軽く背中をさすってくれた。

 

 

落ち着いて俺が入ってきたドアを見ると、ニヤニヤとしながら健二がこちらを見ていた。

「いつもながら仲がいいな ご両人」

 

 

俺が気づくと俺をさすっていった葵の横まで歩いてきて、そのままニヤニヤした顔浮かべていた。

向けられていた方の葵は、健二を少し眉間にしわを寄せて睨みつけてもそのニヤニヤは維持されたままだった。

 

 

「そんなんじゃない!健二(けんじ)のくせに変なこと言うな!」

 

 

「こんな純粋無垢の男に向かってなにを言うんだ?」

 

 

女性からは疲れたようにため息がこぼれていた。

 

 

俺はそのやりとりをその女子の横で少し笑いながら、傍観者の立場という一番安全な立場で眺めていることにした。

 

 

(それにしても、健二も、葵も、顔が本当整っているな。葵もスポーツ万能だし)

 

 

「ねぇ真司ぼ~っとしてどうしたの?」

 

 

二人を見ながらいろいろ考えていると、いつのまにか会話が終わっていたのか、葵が俺の顔を上目

使いで覗きこんできた。

 

 

「あぁすこし考え事をね ほらもうすぐチャイムが鳴るから!」

 

 

その行為に少し恥ずかしくて、誤魔化そうと会話を変えよう考えた時にタイミング良くチャイムが

 

 

鳴り、葵は元の自分の席にしぶしぶ戻っていった。

 

 

その様子をいつの間にか自分の席に座っていた健二さきほどのニヤニヤと違って、微笑みながら見られていたことに気が付き、さっきよりも、なぜかもっと恥ずかしくなって俺も急いで教室の一番

後ろの窓際にある自分の席に座った

 

 

俺が座ったと同時に男の担任が、教室に入ってきた。

 

 

「全員おるか?遅刻者はおらんな?」

 

 

教卓を出席簿で叩いたので、騒がしかったクラスの中が少しずつ静かになっていった。

それに満足したのか。小さく何度も頷き話を再開した。

 

 

「ここで出席を取りたいがその前にやらないといけないことがある。ほら入ってきなさい」

 

 

担任の言葉に、静かになったクラスがまた騒がしくなった。

 

 

だが健二だけは、事前に知っていたのか知らないがただニヤッと笑って、ドアの辺を見つめるだけだった。

 

 

担任の声でドアがゆっくりと開く音がしたので、すぐさまそっちに目を向けた。

 

 

そして綺麗な女性が、軽く頭を下げて教室に入ってきて、担任の横に立つと騒がしかったクラスはもう一度静まった。

 

 

その女性は、髪は背中にかかるくらい長く、顔は葵と比べてもほとんど差ないくらい整っており、背は低めの身長をしていた。

 

 

「ほら自己紹介をしたまえ」

 

 

「今日から2―Bのみなさんと勉学を一緒にさせて貰います。近藤(こんどう) 早耶(そうか)です。どうぞよろしくお願いします」

 

 

緊張気味の様子で、また深々と礼をすると、同時に静まっていたクラスが勢いよく盛り上がった。

 

 

特に男子が特に綺麗な子が、増えるため、その勢いの度合いはもの凄かった。

 

 

「えっと近藤はどこの席がいいかね……そういえば田村、お前の席の横空いていたよな?そこを席にしようか……いいか?近藤」

 

 

俺の席の方を担任が指をさしてきた。

 

 

近藤さんは、軽く頷くと、健二以外の男達からなぜか嫉妬や恨みをこめた目で睨まれることになっ

た。

 

 

(なんで俺が睨まれる羽目にあうんだ)

 

 

俺は憂鬱な気分になり顔を下げ、深いため息をついた後、再度顔を上げると、いつのまにか近藤さんが、目の前におり、微笑みを浮かべていた。

 

 

「田村君よろしくお願いしますね。」

 

 

近藤さんはどうやら俺が顔を上げるのを待っていたようで俺の方にちゃんと挨拶をしてきた。

 

 

「あと近藤、今日教科書あるか?ないのなら田村に見せて貰え、あと学校の質問はすべて田村にきいてくれ」

 

 

担任のなぜか責任逃れにも似た言葉が聞こえてきた。

 

 

近藤さんは担任の言葉に再度頷くと、指定された席に座った。

 

 

今後どうなるんだろうと思いつつも、それでも何事もなく過ごしたいなと呑気なことを考えていた。

 

 

 

だが、まだこのときの自分はまさかこの出会いをきっかけにあんなことになるとは夢にも思いはしなかった。

あとがきという名の言い訳

 

 

はい、桜草をお読み頂きありがとうございます。

 

 

楽しんでいただけたでしょうか?

 

 

なるべくないようには心がけていますが、もし誤字脱字があったならば申し訳ありません。

 

 

ありがちな展開かも知れませんが暖かい目でみてください。

 

 

まあありがちでも……こんな美人が転校してくるんなら俺は……人生をかけてもいい(ぉぃ


 
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