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真・恋姫†無双~外史を切り開く者~第八話 黄巾党討伐

私の作品が次々に支援数が30人を超えてきています!本当にありがとうございます!!
コメントもたくさん書いていただき力がわいてきました。

さて、今回は黄巾党との戦いですが一刀たちがどう戦うのかが見ものだと思います。それでは、切り開く者第八話お楽しみください

2010-04-23 09:52:10 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3871   閲覧ユーザー数:3273

【劉備義勇軍 陣営】

 

 

 

朱里を新たに仲間に加えた桃香たちは陣を張り黄巾党との戦いに備え軍議を開いていた。天幕の中には桃香、愛紗、鈴々、そして朱里の姿があった

 

愛紗「今わかっていることは、敵がこの先五里の地点にいるということだけですね」

 

桃香「敵の数とこの辺の様子を今、一刀さんに確認しに出てもらってるよ」

 

愛紗「それでは、一刀が帰ってくる前に今後の方針を決めておきましょう」

 

鈴々「さんせ~なのだ」

 

桃香「えっと、今の目標としては私たちは黄巾党を倒して名を上げて地位を朝廷からもらわないといけないよね」

 

愛紗「そのとおりです・・・・しかし、我々には時間が惜しい、手っ取り早く名を上げるには大きな手柄を上げなければなりません」

 

鈴々「う~ん、でも、今の鈴々たちの軍では大軍を相手にするのは無理なのだ」

 

桃香「そうだよね~」

 

三人「「「はぁ~~」」」

 

朱里「あ、あの~」

 

三人が今後の方針で溜息をついていると、朱里が小さく手を上げた

 

朱里「わ、わたしに考えがあるのですけど・・・・」

 

愛紗「なに!」

 

朱里「はうっ!!!」

 

愛紗が声と共に朱里を睨んだせいで朱里は机の影に隠れてしまう

 

鈴々「愛紗~朱里を怖がらせちゃいけないのだ」

 

愛紗「べ、べつに私はそんなつもりでは・・・・」

 

桃香「ほら~朱里ちゃ~ん、怖くないよ~出ておいで~♪」

 

朱里「は、はう~~~」

 

桃香が子犬や子猫を落ち着かせるような声で朱里を机から出てくるように促し、少しずつ頭を出して様子を窺っていた

 

愛紗「そ、その、すまない脅かすつもりはなかったんだ」

 

朱里「い、いえ・・・こちらこそすみません」

 

桃香「あははは、ところで、朱里ちゃん?なにか思いついたの?」

 

朱里「は、はい!えっと、私たちが手っ取り早く名を上げるには、黄巾党が蓄えている兵糧や物資の貯蔵地を抑えるのがよいかと」

 

鈴々「兵糧?なぜ兵糧なのだ、敵を多く倒せばそれだけ名が上がるのに、なぜ、兵糧を狙うのだ?」

 

愛紗「・・・・・・・・なるほど、相手の衰弱を狙うのだな」

 

桃香「え、どういうこと?」

 

朱里「つまりですね。黄巾党は全国各地に出没しています。それだけの軍をどうやって維持できるのか・・・・答えは全国各地に物資を送れるところに貯蔵地があるからです。それが、無くなれば・・・・」

 

桃香「相手はお腹が減って戦えなくなるんだね」

 

鈴々「たしかに、お腹が空いたら力がでなくなるのだ」

 

朱里「はい、黄巾党の一隊を相手にするよりも、全体に損害を与えたことにより民たちの印象は強くなると思います」

 

愛紗「しかし、問題がある。狙うのは良いが肝心の貯蔵地がどこにあるのかが「それは大丈夫だ」!?」

 

突然の声に皆、天幕の入り口をみると一刀が入ってきた

 

桃香「一刀さん♪おかえりなさい、どうでした?」

 

一刀「ああ、敵の数は一万弱、この先に陣を張っている」

 

朱里「一万ですか我々よりも多いですね」

 

愛紗「一刀、先ほどの大丈夫とはどういうことだ?」

 

一刀「あぁ、さっきの話の貯蔵地な、なんと!この先の更に先にある森の中にあったんだよ!」

 

桃香「おお!」

 

愛紗「そ、それは本当か?」

 

鈴々「お兄ちゃん、お手柄なのだ!」

 

一刀「と言っても、俺も出るときに朱里から話を聞いていなかったら見つけずに帰ってきたかもしれないけどな・・・・・」

 

朱里「はい、一刀さんには偵察のついでに貯蔵地を見つけてもらうように頼んでおいたんです。この辺りに大軍を置くのは不自然だと思ったんです。たぶん、この先の一万の黄巾党は囮と護衛を兼ねているのでしょう。この一万をどうにかすれば貯蔵地を抑えることができるはずです。

 

桃香「でも、一万て言ったら私たちよりも多いよ。どうにかできるの?」

 

朱里「策はあります。まず、隊を千と五千に分けます。五千で相手の一万を誘い出し千の部隊で貯蔵地を抑えます。その後、合流して黄巾党を挟み撃ちにします。」

 

愛紗「ちょっとまて!相手が誘いに乗らなかった時はどうする、それに合流前に五千の部隊がつぶされる可能性もあるだろう」

 

朱里「誘いのほうは大丈夫です、相手は必ず食いつきます。なぜなら、相手血に飢えた野獣・・・自分たちよりも少ない相手だと見たら役目を投げ出して襲ってくるでしょう。次に五千の部隊が倒される可能性ですが・・・地図はありませんか?」

 

桃香「あるよ、白蓮ちゃんが持っていけってくれたの」

 

桃香が地図を広げるとそこにはこのあたりの地形が描かれていた。

 

朱里「えっと・・・・・あ!あった、皆さん見てください」

 

朱里は地図に描かれた地形の一部を指差す。形からして谷のようだが・・・・

 

 

 

 

 

朱里「黄巾党を誘いだしたら、この谷に逃げ込み反転、反撃に移ります。いくら、相手が多くても全てが谷に入ることはできません。時間は十分稼げると思います。」

 

愛紗「なるほど、なかなかの策だな」

 

鈴々「う~ん、鈴々よくわからないのだ、とりあえず敵をぶっ飛ばせばいいのだ」

 

桃香「・・・・・・・・」

 

一刀「ん?どうかしたのか?桃香」

 

朱里「桃香様?」

 

桃香「・・・・・・朱里ちゃん・・・自分たちと相手の損害ってどれくらいになるのかな?」

 

朱里「え!?えっと・・・・・・私たちはそこまでありませんが、相手のほうは増大だと思われます。」

 

桃香「そっか・・・・・・朱里ちゃん、他に手はないの?」

 

朱里「他にですか!?」

 

桃香「できれば話し合いとか無理かな?私はできるだけ、みんなに戦ってほしくないの」

 

朱里「・・・・・・たぶん・・・無理でしょう・・・・ですが、相手を降伏させる方法はあります」

 

桃香「え、どんなの?私ができることなら何でもするよ!」

 

愛紗「ちょ、桃香様、落ち着いてください!」

 

桃香はすごい勢いで朱里に迫るが愛紗がとめに入って落ち着かせた

 

桃香「ごめん」

 

朱里「い、いえ・・・桃香様のお優しい心は十分わかりました。・・・・・・ですが、これは賭けです。それに頑張ってもらうのは桃香様ではありません」

 

桃香「ふぇ?」

 

朱里は話し終えると静かに一刀の方を向く、他の三人も釣られて一刀をみる

 

一刀「え?なに?俺?」

 

朱里「はい・・・・これは、一刀さんにしかできないことです。・・・・しかも、これは賭けなので失敗することもあります。・・・・・失敗すれば死ぬかもしれません・・・・」

 

桃香「そ、そんな・・・・」

 

愛紗「わ、わたしではダメなのか?」

 

朱里「無理でしょう。この中で、一刀しかできないと思います」

 

愛紗「くっ・・・・・」

 

愛紗は悔しかった・・・・一刀にしかできないから悔しかったのではない。一刀を危険にさせてしまう事が悔しいのだ。一刀は自分よりも弱い・・・やる時はやってくれるとは信じているが・・・だが、できることならあまり危険にはさせずに桃香の側にいてほしいと思い、愛紗は唇を噛み締めた。

 

一刀「・・・・・・朱里・・・・聞かせてくれるか、その賭けというのを」

 

桃香「一刀さん!?」

 

鈴々「お兄ちゃん!?」

 

愛紗「一刀!?」

 

桃香「どうして?死ぬかもしれないんだよ!」

 

桃香は一刀の腕をつかみ揺すりせまる。・・・・だが、一刀は桃香の頭にポンと手を乗せた

 

 

 

 

 

桃香「一刀さん?」

 

一刀「桃香・・・・約束しただろ・・・・お前が追い求める理想を俺たちが守るって・・・それに、まだ報酬も貰ってないのに死ぬわけにはいかないからな・・・・・」

 

一刀は頭に乗せていた手を桃香の額に移動させる

 

一刀「依頼を終わらせたら、桃香がもらえるんだ、こんなところで死ぬわけにはいかないからな」

 

一刀は移動させた手の親指で以前自分がマーキングをした位置をなぞる

 

桃香「ふうぇ!えっと、一刀さん!?こ、こんなところで/////// //////」

 

朱里「はわわ!?と、桃香様と、か、一刀さんってそういうか、関係だったのですか!?/////// //////」

 

桃香と朱里は一刀の言葉で顔を真っ赤にさせた

 

ジャキン!!

 

愛紗「まぁ、それも貴様が桃香様の理想が叶う日まで無事でいればの話だがな・・・・私から・・・」

 

一刀の背後には偃月刀を首筋に突きつけ鬼の形相をした愛紗がいた

 

一刀「あ、愛紗さん・・・できれば、貴方にも協力してもらえれば嬉しいのですが・・・・・それに、報酬については初めに契約するときに決めたはずでは?・・・・」

 

愛紗「ふん!生憎と私はまだ許可を出した覚えはないんでな、そのことについてはまだ未定だ!」

 

一刀「未定ってことはまだ可能性があるということだな?もしかして、特典として愛紗も付いてくグホッ!!」

 

一刀が話し終わる前に偃月刀の柄で一刀の後頭部を殴った

 

愛紗「どうやら、貴様は黄巾党よりも私に殺されたいようだな?」

 

桃香「え、えっと愛紗ちゃん少し落ち着いて、ね」

 

愛紗「・・・・・・・・はぁ~、すみません少し悪ふざけがすぎました」

 

桃香「あははは、別にいいよ。愛紗ちゃんは私のことを思って言ってくれてるんだから」

 

愛紗「桃香様・・・・・・・♪」

 

一刀 ボソ「今のは本気だったと思うんだけど・・・・」

 

愛紗「なにか言ったか?」

 

一刀「い、いえ何も言ってません!!」

 

桃香「あはは・・・・・・・・それで、一刀さん・・・・考えは変わりませんか?」

 

一刀「・・・・・言ったろ?俺たちはお前の理想を守る・・・・お前の理想は敵さんも含まれているんだろ?だったら、それを叶えるのが俺たちの役目だ」

 

桃香「・・・・・・・わかりました。・・・・・・・一刀ありがとうございます・・・・・・それと・・・ひとつだけいいですか?」

 

一刀「ん?なんだ?」

 

桃香「・・・・・いきて・・・・生きて私のところまで戻ってきてください!これは主君としての命令です!」

 

 

 

一刀は桃香からの言葉に驚きの表情を浮かべた

 

一刀「・・・・・・初めての命令だな。お願いじゃなく命令なんだな?・・・・・・だったら、絶対失敗はできないな、命令は必ず成功させるそれがプロだからな!わかった、この北郷一刀必ず生きて桃香の元に帰って来るぜ」

 

桃香「はい!必ず!」

 

一刀「朱里!策を教えてくれ、俺は何をすればいい?」

 

朱里「・・・・・・わかりました・・・・・・・一刀さんにしてもらいたい策とは・・・それは・・・・・」

 

作戦は決まった。後は、それを実行に移すだけだ。作戦結構は正午、隊を二つに分け作戦結構の時間を待つ。・・・・・黄巾党を誘い出す囮部隊五千人を率いるのは桃香、愛紗、朱里の三人。貯蔵地を攻撃する強襲部隊千人を鈴々が率いることになった。しかし、二つの部隊のどこを見ても一刀の姿は見られなかった。

そして、ついに作戦の結構時間となった。

 

 

 

 

朱里「そろそろ時間です。桃香様」

 

桃香「うん!」

 

桃香は馬に跨ったまま、兵士に向け言葉を出す

 

桃香「私たちは今から黄巾党と戦います。しかし、私たちは殺しに行くのではありません!止めにいくのです。黄巾党の皆さんをこれ以上悪に染まらないように助けに行くんです。・・・・甘い考えだとは思っています。ですが、私たちは人間です!人間は過ちを償うことができる生き物なんです。彼らにその機会を与えるために私たちが止めに行くんです!」

 

桃香の言葉に兵士たちは黙って耳を傾けていた。彼らは黄巾党から多くの苦痛を味合わせられた農民達である。桃香の言葉は、黄巾党を恨んでいる自分たちにとっては裏切りにも似た行為だったかもしれない・・・・だが、それでも兵士たちは桃香の言葉を最後まで聞こうとした

 

桃香「たしかに、皆さんが黄巾党を恨む気持ちもわかります!・・・・私も正直に言えば、彼らを生かして本当にいいのかと思っています・・・・ですが、彼らにも家族がいます!思う人がいます!思ってくれる人がいます!そんな人たちを私は悲しませたくないんです。だから、私は彼らを助けます!例え一人になったとしても一人でも多くの人を助けます!でも、皆さんが力を貸してくれるならより多くの人を助けることができるんです!どうか、皆さんの力を私に貸してください!」

 

桃香は自分を信じて集まってくれた兵士に頭を下げる。

 

義勇軍「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

しばらくの沈黙が流れる。無理もないはず、黄巾党を倒すために集まったはずの軍がことにあろうか敵を助けるために戦うのだ、ふざけるのも大概にしてほしいはずだ・・・・・・だが・・・

 

 

 

 

 

義勇軍「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~~~~!!!!!」」」」」

 

彼らはそんなふざけた考えに賛同したのだ、桃香の呼びかけに答えてくれたのだ!たしかに黄巾党は許せないだろう。だが、これ以上人が悲しむ悲劇を繰り返さないためには誰かが止めなければならない、この方はそれをたった一人でしようとしている。ならば、自分たちはこの方を支え力を貸そう・・・そう兵士たちの気持ちは一つになった

 

桃香「皆さん・・・・・ありがとうございます!」

 

愛紗「よし!我らは今から前方にいる黄巾党を誘き寄せるために進軍する!皆の者、私に遅れるな!」

 

義勇軍「「「「「応!!!」」」」」

 

朱里「それでは、進軍を開始します!」

 

桃香「みんな、行くよ!」

 

 

 

 

【黄巾党 本陣】

 

黄巾党「ふわぁ~~、ねむたいな~~」

 

黄巾党「暇だなぁ、あぁ、なんで俺たちがこんなことをしなければならないのかねぇ」

 

陣の中では、黄巾党の兵士が怠けていた。いつ、敵が来るかもしれない状況だが彼らは安心していたのだ、このあたりの太守では自分たちの数は相手にできないそう考えていたのだろう

 

黄巾党「そういえば俺、天和ちゃんたちの歌ここ最近きいてないな~」

 

黄巾党「それなら俺もだ、この一月まったく聞いてないぜ・・・・・・ん?」

 

黄巾党「どうした?」

 

黄巾党「いや、なにか向こうから煙が・・・・」

 

黄巾党「煙?・・・・・・ほんとだ、なんだあれは?・・・・・・・・あれは~~~~まさか!?!?」

 

 

 

 

【黄巾党 天幕】

 

ここに一人の大柄な男が椅子に座り酒を飲んでいた。彼の名前は酒元(しゅがん)この軍隊の将軍だ。彼は張三姉妹の親衛隊幹部十人の一人で、顔は髭面で品がないが部下からの信頼が厚く自らの武に誇りを持っている将軍だ

 

酒元「ふぃ~~、そろそろあいつ等に天和ちゃんたちの歌聞かせてやらないとな、何人か向こうに行かせるか?」

 

そんなことを呟き、酒をまた飲み始めると外が騒がしくなっているのに気付き外にでる」

 

酒元「どうした!」

 

黄巾党「酒元様!敵です!東方より敵が現れました!」

 

酒元「敵だと?数は?」

 

黄巾党「はい!数は五千です!」

 

酒元「ふはははは!たかだか五千で我らを相手しようとは片腹痛いわ!全部隊に通達!全軍出陣する!」

 

黄巾党「わかりました!」

 

黄巾党の兵士は通達のためその場から走り去る酒元は天幕に戻り出陣の準備に入る

 

 

 

 

【劉備義勇軍】

 

愛紗「どうやら奴らは出てくるみたいですね」

 

桃香「そうだね、まずは作戦第一段階は成功みたいだね」

 

朱里「それでも、油断は禁物です。相手が出てきたらすぐに反転して例の谷間まで後退します」

 

愛紗「うむ、わかっておる・・・・・しかし、うまくいきますかね」

 

桃香「一刀さんを信じよ、一刀さんならきっとやってくれるよ♪」

 

愛紗「・・・・・・そうですね・・・・信じましょう一刀を」

 

桃香「うん♪」

 

朱里「!?桃香様!愛紗さん!敵が出てきました!今です!」

 

桃香「了解、みんな急いで反転するよ!」

 

愛紗「その後、例の谷まで後退するぞ!全軍後退!」

 

愛紗の号令により、義勇軍は進軍を止め反転し後退を始めた。それは敵から見たら自分たちに恐れを成して逃げたのだと思わせる。敵は進軍の速度を上げ義勇軍を追撃する・・・・・その様子を少し離れた丘の上で伺う集団がいた

 

兵士「どうやら、行ったみたいですね」

 

鈴々「よおし!これから鈴々たちは手薄になったこの先の貯蔵地に強襲をかけるのだ!みんな、準備はいいか~!」

 

義勇軍「「「「おおおぉぉぉぉぉ~~~~!!!!」」」

 

鈴々「全軍突撃なのだ~~~~」

 

鈴々率いる強襲部隊も進軍を開始した

 

 

 

 

【谷の上部】

 

朱里が地図で占めした谷は両側を断崖絶壁で挟んだ谷で崖の高さは100m近くの高さがあった。その崖の上に一刀はいた。

 

一刀「まったく、朱里も無茶を言うなぁ」

 

一刀はそう言いながら崖から身を乗り出し下を覗く

 

一刀「ここから降りて大将を討ち取れって・・・・・無茶だろ・・・・」

 

そう朱里が言った賭けとは崖からの強襲により大将を討ち取るというものだ。これには二つ大事なところがある。一つは絶対に大将に勝たなければならない、勝たなければ相手を倒したことにより指揮があがり押しつぶされてしまうからである。

 

二つ目にタイミングである。一つ目の賭けに勝ったとしても、鈴々たちの援軍が間に合わなければ大将を失ったことにより混乱した黄巾党は目の前の義勇軍に向かって突撃をかけるかもしれないそうなったら、両者の被害は甚大である。相手の指揮が下がったときの敵の援軍が現れ、降伏しろと提案されれば黄巾党は抵抗せず降伏するだろう。これが朱里の出した策である。

 

一刀「まぁ、たしかに朱里の前で壁とかも走れるっていったけど崖をちょっと試したことないなぁ・・・・まぁ、大丈夫だろあいつが造った物だし・・・・・・たぶん・・・・・」

 

一刀がそんな独り言を言っていると向こうから砂塵を上げてくる桃香たちの姿が見えた。その後ろにはぴったりと黄巾党がついてきていた。

 

一刀「うまく誘い出したみたいだな桃香たちは・・・・あとは、俺次第か・・・・」

 

 

 

 

【谷の下部】

 

桃香「みんな後もう少しだよ頑張って!」

 

愛紗「桃香様、我らの軍は全軍谷に入りました!」

 

 

桃香「うん!朱里ちゃん!」

 

朱里「はい、もう十分だと思います」

 

愛紗「よし!全軍反転し応戦するぞ!だが、あまり深追いするな守ることだけ考え、相手の手足を狙え!」

 

義勇軍「「「「「「「「応!!!!!」」」」」」」

 

義勇軍は反転し襲い掛かる黄巾党に備えた

 

黄巾党「酒元様、あいつ等反撃にでるようです。どうしますか?」

 

酒元「ふん!もちろん・・・・・突撃だ!やろうども!」

 

黄巾党「「「「「おおおおぉぉぉぉぉ~~~~!!!!!!」」」」」

 

義勇軍と黄巾党との戦が始まった。両者の先頭がぶつかり合い、激しい轟音が鳴り響く。その様子を上から見ていた一刀は必死に探していた黄巾党を指揮している大将を

 

一刀「どこだ・・・・どこにいる・・・・・早く見つけないと」

 

一刀は単眼鏡で探すも混戦となっているためよく顔が見えない・・・だが

 

酒元「ふはははは!押せ押せ!押しつぶせ!」

 

高々と笑いながら指揮を出している酒元の姿を一刀は確認した

 

一刀「見つけた!」

 

一刀は素早く単眼鏡をしまい靴のダイアルを回し、引力モードに切り替える

 

一刀「よっしゃ!!いくぜ!!!!」

 

一刀は叫びながら崖から飛び降り足を崖につけ駆け下りていった

 

 

黄巾党「しゅ、酒元さま~~~!!」

 

酒元「どうした!」

 

黄巾党「な、なにか崖を駆け下りています!!」

 

酒元「なに?落ちているの間違いではないのか?」

 

黄巾党「ちがいます!なにかが崖を走ってこちらに向かってきています」

 

酒元「なんだと~!?!?」

 

断崖に近かった黄巾党は驚愕していた。自分たちの上から人が駆け下りてくるのを見たら誰でも驚くはずである。すぐさま黄巾党は断崖から離れた。

 

一刀は残り10mという地点で崖を蹴り着地の態勢をとりながら靴のダイアルを反発にする。

一刀が着地した瞬間、土煙が舞い一刀の姿が見えなくなってしまった

 

黄巾党「い、いったいなんだったんだ」

 

黄巾党「お、おい!見ろ!誰か立っているぞ!」

 

黄巾党は土煙の中に誰かが立っている影を確認した。土煙がだんだんと晴れていき隠れていた影がはっきりと見えてきだした・・・・・・そこに立っていたのは黒い服に黒髪を靡かせた一刀の姿であった

 

一刀「ふぅ~、さすがに怖かったぜ。でも、なんとか成功っと」

 

一刀は服についてた土を払いながら前方の黄巾党を見据える

 

一刀「さてと、そんじゃ大将のところまでお邪魔しますか!」

 

一刀は走り出し黄巾党に向かう

 

黄巾党「く、来るぞ!」

 

黄巾党「む、迎え撃て!!」

 

黄巾党は突然の強襲に腰が引けていた。しかし、一刀はそんな黄巾党には目もくれずその間をすり抜けていく

 

一刀「悪いけど、お前らの相手なんかしてる暇なんかないんでね!」

 

一刀は颯爽と駆け抜けていく

 

酒元「どうしたというのだ!早く状況を報告しろ!!」

 

黄巾党「そ、それが何者かが強襲をかけ!ただいまこちらに向かってきています!」

 

酒元「強襲だと!?敵は何人だ?」

 

黄巾党「敵は一人です!黒い服を着た黒髪のガキです!」

 

酒元「ガキだと!?ガキ一人に何をやって「見つけたぜ!!」!?」

 

周りにいた黄巾党の頭上を飛び越えこちらに向かってくる一刀が腰の刀を抜く、酒元は背中に掛けていた大斧を構え一刀の攻撃を正面から防ぐ

 

ガギィイイッ!!!

 

酒元「ふん!!」

 

一刀「くっ!!!!」

 

攻撃を弾き返された一刀は手を地面に付け勢いを殺す。そして、動きを止めた一刀と酒元を囲うように黄巾党が集まる

 

酒元「貴様か?強襲を掛けてきたという、馬鹿なガキとは」

 

一刀「そういうあんたが大将で正解みたいだな、俺の攻撃を防ぐとはなかなかだぜ!」

 

酒元「如何にも!わしがこの黄巾党を率いておる張角様親衛隊の一人酒元様だ!貴様のような細い剣の攻撃などわしには効かぬわ!」

 

一刀「それはどうかな!!」」

 

シュッ!!

 

酒元「おりゃ!!」

 

ブォウンッ!!!

 

一刀「くっ!!!」

 

一刀は一気に酒元との周いをつめるも酒元の一振りで入り込めない

 

―なんつう馬鹿力だよ、風圧だけで吹き飛ばされたぞ―

 

酒元「ふははは、やはり効かぬようだな!お前ら!手を出すなよ、こいつはわしの獲物じゃ!」

 

酒元は大斧を掲げ一刀に向かっていく

 

酒元「そうりゃ!くらえ!岩盤割り!!」

 

ブォウンッ!!!

 

ドッガァッーーーーーーーン!!!

 

一刀「ぐはぁぁぁぁぁ!!!!」

 

酒元の放った一撃をかわした一刀だが、凄まじい力により地面が砕かれその破片が一刀に襲い掛かった

 

一刀「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」

 

酒元「ふはははは、どうじゃ!わしの岩盤割りの威力は?避けたとしても砕かれた岩石が貴様を襲う!次はこの大斧が貴様に襲い掛かるがな!ふははははは」

 

 

 

 

―く、クソ!鈴々まだか?時間を稼ぐのも辛いんだぞ。こいつは確かに強い・・・・だが、倒せないことはない、後は鈴々が来れさえすれば―

 

酒元「そろそろ、楽にしてやろう小僧」

 

一刀「く、クソ!」

 

一刀は痛む体を起き上がらせる。そして、次の攻撃に備え身構える。すると!

 

 

 

 

ピピピピピピピ!!!!!

 

 

 

 

 

酒元「な、なんの音だ!?」

 

突然の怪奇音に周りにいた黄巾党にどよめきが走る

 

一刀「来た!!!」

 

一刀の目つきが変わった

 

一刀「遊びはここまでだ!ここからは本気でいくぜ!!」

 

酒元「ふん!所詮貴様が本気をだしたところでわしには勝てんわ!!」

 

一刀「さっきも言ったが、それはどうかな」

 

酒元「ほざけぇぇぇぇ!!!!」

 

酒元がまた大斧を担ぎ襲い掛かる。さっきよりも早い速度で一刀に迫り大斧を振り下ろす!!

 

酒元「死ねぇぇぇぇいぃぃぃx!!!!」

 

ブォウンッ!!!

 

ドッガァッーーーーーーーン!!!

 

先ほどよりも凄まじく地面を割り、周りに岩石を飛ばす・・・・・しかし、周りに一刀の姿はなかった

 

酒元「な!?どこだ!どこにいった!」

 

一刀「ここだ!!」

 

酒元「なに!?グハッ!!」

 

酒元は声が掛かったほうを向くと目に光が入り目を開けていられなかった!一刀は太陽を背に酒元の真上に飛び上がっていたのである。いくら周りに岩石を飛ばそうとも真上には飛んで来ないのである

 

一刀「これで、終わりにしてやるぜ酒元!!」

 

一刀は紅蓮朱雀に氣を流し込む。紅蓮朱雀が轟音と共に炎を纏いだした

 

一刀「飛来しろ!!!火鳥爆撃(かちょうばくげき)!!!!!」

 

紅蓮朱雀が空中で爆発し一刀はその爆風に乗り急降下する。それは、鷹が獲物を捕らえるときに降下する姿によく似ていた

 

一刀「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

酒元「ぬりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

一刀はまだ目が完全に戻っていない酒元目掛け紅蓮朱雀を振り下ろす!酒元も気配を追い目を押さえたまま一刀に向かい大斧を振り上げる・・・・・・しかし・・・

 

ドガァッッン!!!

 

酒元「ぐはぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一刀「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・た、大将を・・・・倒したぞ!!!」

 

酒元は一刀の攻撃により倒された。それにより、黄巾党の指揮は無くなり混乱が出始めた

 

黄巾党「そ、そんな酒元様が負けるなんて・・・」

 

黄巾党「くっそ~!!こうなったら酒元様の弔い合戦だ!」

 

黄巾党「ちょっとまて!!見ろ!あっちから何か来るぞ!」

 

黄巾党「あれは!?敵の援軍だ!」

 

黄巾党「「「なに~~~~!!!!」」」

 

黄巾党は後方から来た敵の援軍によって自分たちの状況が危機的状況だと認識した

 

一刀「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・ふぅ、よし!聞け!黄巾党の兵士ども!」

 

息を整えた一刀は黄巾党に向かい叫んだ

 

一刀「貴様らの大将は倒れた!これにより戦いは終わりだ!全員武器を捨て投降しろ!投降したものは命の保障はしてやる!」

 

一刀の言葉に黄巾党は次々に武器を捨ていった。それを確認すると、一刀は地面に大の字に倒れた

 

一刀「ふはぁ~、疲れた~、でも、これで任務完了ッと!!」

 

一刀は空に向かい拳を上げガッツポーズをとった

 

 

 

【義勇軍と黄巾党 最前線】

 

 

 

愛紗「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ブォウンッ!!!

 

黄巾党「「「ぐぎゃぁあ!!!」」」

 

愛紗「くっ、一刀はまだなのか・・・まさか、負けたのではないだろうな」

 

愛紗は最前線で黄巾党を相手に戦っていた。しかし、その戦い方は相手の手足を狙い攻撃や動きを封じる戦い方だった。彼女も一刀に習い殺さないで戦う術を身に付けようとしていた。だが、普段の戦い方とはちがうので余計に体力を使ってしまう

 

桃香「大丈夫だよ!きっとうまくやってくれるよ!」

 

愛紗「しかし!このままでは、こちらが持ちません!!」

 

愛紗たちが奮闘しているも、他の兵もまた体力の限界が近かった。幸いこちらの被害も敵側の被害もそこまで大きいものはなかったがこのままでは押しつぶされてしまう。・・・・そんなときだ!!

 

朱里「桃香様!!愛紗さん!!」

 

愛紗「どうした!朱里!」

 

朱里「見てください!黄巾党が武器を捨てていきます!」

 

朱里が指差す方を見ると黄巾党が次々に武器を捨てているのである

 

朱里「きっと一刀さんが勝ったんです!!」

 

愛紗「そうか、一刀が勝ったんだな!!」

 

桃香「そうだよ!!やっぱり一刀さんはすごいよ!!」

 

桃香たちは一刀が勝利したと解かり、歓喜をあげた

 

愛紗「皆の者!我らの勝利だ!勝鬨を上げよ!」

 

義勇軍「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉx~~~~~!!!!!」」」」」

 

夜、黄巾党との戦いが終わり、投降してきた黄巾党は捕縛し収容所へと送られた。義勇軍は戦いが終わったことを祝い宴をやっていたが、そこには桃香たち五人の姿が見られなかった

 

 

 

夜風が吹く谷間に五人の姿はあった。五人は手を合わせ合掌をしていた。お互い被害が少なかったが無かったわけではない、この戦いで何人かは命を落としてのである。この合掌はその人たちへの祈りなのである

 

 

桃香「貴方たちの死は無駄にはしません。次、生まれてくるときは貴方たちが笑える世になれるように頑張ります。どうか見守っていてください。」

 

 

 

祈りを終えると桃香たちは義勇軍の陣営へと歩みだした

 

朱里「そういえば、一刀さん」

 

一刀「ん?なんだ」

 

朱里「どうして鈴々ちゃんが来たのがわかったんですか?本当なら、銅鑼を合図にしていたのですが」

 

鈴々「そうだなのだ!鈴々たちが銅鑼を鳴らす前にお兄ちゃんは鈴々たちに気付いて大将を倒しちゃったのだ」

 

一刀「あぁ、それか、それなら・・・・」

 

ズボッ

 

鈴々「にゅは!!!」

 

一刀は鈴々の首筋から手を突っ込みまさぐる

 

一刀「え~と、どこらへんだっけ・・・・」

 

鈴々「にゃははははははは、く、くすぐったいのだ!!!」

 

愛紗「一刀!!貴様!!鈴々に何をするか!!!」

 

ドガァッ!!!

 

一刀「グフッガ!!!」

 

愛紗のアッパーが一刀の顎に見事に決まった

 

一刀「いてて、あぁ、あった、あった、これだよ!これを取ってただけだ!」

 

一刀は握ってた手を開いて赤いボタンみたいなものを見せる

 

桃香「これは何ですか?」

 

一刀「これは発信機って言ってこれを付けている人がどこにいるのかわかるんだ!」

 

桃香「へぇ~」

 

一刀「範囲は1km、まぁ大体1里ぐらいかな?その中に入ってきたらこの携帯がなるようにしてたんだ。だから鈴々が来たのかわかったんだ」

 

朱里「そうだったんですか」

 

愛紗「ふむ、しかし、一刀いつの間に鈴々の服にそのような物を仕込んでおいたのだ?」

 

一刀「ん?そりゃ、白蓮の城で一緒に風呂に入ったときに何かあったときを考えて仕込んで・・・・・はっ!!!」

 

愛紗「ほほぅ、一緒にお風呂に入ったのだなぁ?それは、とても気持ちのよかったことだろうなぁ」

 

一刀「あ、愛紗さん。ぶ、武器を閉まってください!もう戦は終わったんですよ」

 

鈴々「あの時は楽しかったのだ、また、一緒に入ろうね!お兄ちゃん♪」

 

一刀「り、鈴々!!!」

 

桃香「い~なぁ鈴々ちゃん、私も一緒に入りたかったなぁ」

 

朱里「桃香様、そんなことより愛紗さんを止めないと一刀さんが大変なことに・・・・」

 

愛紗「偃月刀の錆になれ!!!」

 

一刀「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

朱里「遅かったみたいですね・・・・」

 

月が照らす夜空に一刀の叫びが響いたのであった

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

こんにちは、働きましょうです。これでは長いのでこれからはハタショウと呼んでください。まぁ、こんなくだらない作者を呼ぶことなんてないと思いますが・・・・

 

さて、無駄話もほどほどにして今回の話ですが、これは桃香がいかに兵士の心を掴むかというところが重要だったと思います。ただ志を掲げただけでは何にもなりません。行動してこその理想だと思います。ですので、できるだけ両方に被害が出ないように戦おうとすることにより兵士たちの心を掴んだと思われます。

 

次に一刀君、あんたはどんだけすごいんか!と書いてた自分でも思いましたが、これは彼の身体能力がすごいんではなく彼が使う道具の性能がすごいのだと思います。彼が使う道具を作ったのが誰なのかは誰かの拠点の時にでも書けたら良いと思っています。

 

それでは、次回の話ですが・・・・ついに登場します皆さんの魔女っ子が、それに一刀の新しいスキルをみんなに披露します。そして、私が考えたオリキャラも出演します。どうか、次回をお楽しみにしていてください

 

 

 

 

技説明

 

【岩盤割り】

 

凄まじい力で振り下ろした大斧で地面を割る。最初の一撃目を相手が避けたとしても飛んでいた岩石に襲われ動けなくなった後、二撃目で仕留めるというのが酒元の戦闘パターンだった

 

 

 

 

【火鳥爆撃(かちょうばくげき)】

 

空中に飛び上がり刀に力を込め、後方に剣先を向け爆発させることにより爆風を発生させ急加速を生み降下する。この技は一刀が子供のときに祖父が飼っていた鷹が餌を掴むのを見て思いついた技である

 

 

 

 


 
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