No.137625

清・恋姫無双 第三話 仕官

CANTYさん

やっと、見習いから卒業できます

2010-04-20 20:55:27 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5438   閲覧ユーザー数:4512

俺たち4人が世直しの旅(?)を始めてから半年ほどが経った……

 

近くの邑を回って助けてはいるが、賊の数は増えるばかり……

 

恐らく、もう少ししたら黄巾党が台頭してくるんだろうな

 

「う~ん・・・」

 

「どうしたの、ご主人様?」

 

「いや~、そろそろ4人で動くのも大変になってきたかなって」

 

「そうですね、最近になって賊の数も急に増えてきていますし」

 

「いくら鈴々たちが強くても、あんまり多いと辛いのだ……」

 

「それに、このままだといくら頑張ってもそこに住んでる人しか助けられないね……」

 

「それで、だ。どこかにお世話になることができれば良いかもって思ったんだけど」

 

「しかし、我々のようなものを迎えてくれるところなどあるのでしょうか」

 

「……それが問題なんだよな」

 

「……う~ん」

 

「ん?どうした、桃香」

 

「う~ん・・・あっ!思い出した。町の人に聞いたんだけど今度ここに白蓮ちゃんが赴任するんだって」

 

「誰?」

 

「んっとね、白蓮ちゃんは公孫讃って名前で私が通ってた私塾で一緒だったの」

 

「なら、行ってみる?」

 

「そう簡単に仰らないで下さいご主人様。いくら桃香様の御友人であっても我等は公孫讃殿とは何の面識も無いのですよ。

 

それに相手は我々よりもはるかに位の高い身分、そう簡単に会ってなど下さるでしょうか」

 

「あぁ、そうか・・・」

 

「ううん、案外大丈夫かも」

 

「桃香様?」

 

「なんかね白蓮ちゃんも黄巾党の人たちには苦労してるみたいで、義勇兵を募ってるみたいなの。」

 

「でも、いくら義勇軍を集めても、元はといえば民の集まり。率いる隊長がいなければ役に立たないのでは?」

 

「だから、私たちが行けばいいんじゃない!」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「えっ!?皆どうしたの?」

 

「私たちは、一度も兵など率いたことなどありません・・・」

 

「鈴々もなのだ!」

 

「もちろん無いよ・・・」

 

「でもでも、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんだったら大丈夫だよ!」

 

「まぁ、愛紗と鈴々は強いからな、やれると思うよ。」

 

「なら決定だね、早速白蓮ちゃんの所に行ってみよ~」

 

「「「御意(おう)(いくのだ~)」」」

 

 

こうして、俺たちは公孫讃さんに会いに行くことにした・・・

 

・・・のだが、

 

「え~っと、目の前には賊の群れが・・・」

 

「・・・はい。恐らく3000はいるかと」

 

「う~ん、大変だなぁ」

 

「あっ、鈴々たちとは違う軍がいるのだ!」

 

「えっ!?(!!もしかして)それってどこの軍か分かるか?」

 

「ん~とね、『公』の牙門旗なのだ」

 

「やっぱり。公孫賛さんの軍だ!」

 

「しかし、公孫讃殿の軍はあまり多くないようですね。いくら烏合の衆である賊相手でも、このままでは被害は甚大になるかと・・・」

 

「本当!?じゃあ、白蓮ちゃんを助けに行かなくちゃ!」

 

こうして、俺たちは当初の目的とは違う形になったけど、公孫讃さんに会いに行くことになった・・・

 

 

 

 

 

 

「くっ、やはり正規軍だけでは足りなかったか ・・・」

 

今、私達の軍は1000、対して賊は3000。3倍か・・・

 

「フフッ、何を恐れることがありましょう伯珪殿。この趙子龍一人でも何も問題はあるまい」

 

「なっ、星!?いくら強くとも星一人で行くなど無謀だぞ!」

 

「そんなもの、やってみなければ分かりませぬ」

 

「はぁ~・・・」

 

「失礼します!公孫讃様にお目通りを願いたいと申す者がいるのですが」

 

「わかった、通してくれ」

 

誰だこんなときに・・・

 

「白連ちゃ~ん」

 

遠くから、私の真名を呼ぶ声が聞こえる・・・

 

「んっ?あっ、桃香じゃないか!?久しぶりだな」

 

「うん、白蓮ちゃん久しぶり~♪」

 

「魯伯先生のところを去って以来だから3年ぶりか~懐かしいな」

 

「白蓮ちゃんもいつの間にか太守だもんね~」

 

「まぁな。だが、私はここで留まるつもりじゃないさ。これは通過点に過ぎん」

 

「さっすが秀才の白蓮ちゃんは違うなぁ♪」

 

「そういう桃香こそどうしたんだ?確か、桜桑村に帰ったんじゃなかったか?」

 

「うん、一旦は帰ったんだけど、この人達と出会って、民を助けるために旅をしてたの」

 

後ろにいるのがそうか・・・ん?なんか見たこと無い服着てる奴がいるな・・・

 

「・・・あの~、なんか俺に付いてます?」

 

「あっ!?い、いや別になんでもないんだ」

 

ついつい視線に集中しすぎてしまったな・・・

 

「・・・桃香、紹介してもらえるか?」

 

「えっとね、こっちの二人は関羽に張飛ちゃん」

 

「関羽です」

 

「鈴々は張飛なのだ!」

 

「でね、さっき白蓮ちゃんが見てたのが私達のご主人様。『天の御遣い』北郷 一刀さん」

 

「桃香の紹介の通り、俺の名前は北郷一刀といいます。公孫讃さんよろしくね(ニコッ)」

 

「///!!へ、へぇ~。お前が『天の御遣い』か。てっきり眉唾もんかと思ってたが、本当にいるとはな」

 

「む~、白蓮ちゃんひどいよ~!ご主人様は絶対に天の御遣いなの!」

 

「わかったわかった、桃香が言うなら本当だろう。それにしても何でまたここに?」

 

 

 

 

「うん。それはね・・・「申し上げます!!」」

 

「どうした!?」

 

「先ほど趙雲殿が単騎で賊討伐へと向かわれました!」

 

「なにっ!?いくら星でも、あの数を一人で相手するのは無理だぞ・・・」

 

「愛紗!「はい!」先に趙雲さんのところへ向かってくれ「御意!」」

 

「えっ!?大丈夫なのか?」

 

「あぁ、愛紗・・関羽は強いよ」

 

「鈴々も強いのだ!」

 

「ははっ、そうだな」

 

「おいおい、何でお前が会った事も無い趙雲を助けようとするんだ?」

 

「別に、助けに行くことに理由なんて要らないと思うんだ。桃香だってそう思うよな~?」

 

「ねぇ~♪」

 

「お姉ちゃんもお兄ちゃんもお気楽なのだ~」

 

「はぁ~。まぁ、星なら負けることは無いだろうし、関羽も北郷がそこまで言うんだから大丈夫だろう。で、お前はどうするんだ?」

 

「俺等もすぐに行くよ。俺は右側から攻めるから、鈴々は左側から攻めてくれ」

 

「わかったのだ!」

 

「桃香は公孫讃さんと一緒に来てくれ。じゃあ、俺たちも行くからな」

 

「あぁ~待つのだお兄ちゃん!」

 

ダッ……

 

「あっ・・・行っちまった。なぁ桃香、あいつ等って何時もそうなのか?」

 

「そうだよ♪ご主人様は強いし、やさしいんだもん。だから一緒に頑張ろうって思ったの」

 

「……桃香がここにきた理由はそういう訳か」

 

「……もう私だけが指を咥えて見てる訳には行かないもん」

 

「そうか……よし、私たちも行くぞ!いくらあいつらが強くても、4人じゃまずい。出陣するぞ」

 

 

 

 

 

その頃……

 

「はいはいはいィィィ~」

 

ザシュ!ズバッ!

 

「恐れる者は背を向けろッ!恐れぬ者は掛かって来い!我が名は趙子龍!一身これ刃なり!」

 

戦場では空色の髪を短くまとめ、その一部を長く伸ばしている少女、趙雲がたった一人で賊の群れを相手にしている。

 

彼女は自らの獲物『龍牙』で、次々と賊の連中を切り倒していく・・・

 

所詮、烏合の衆で武器を振り回すだけの賊と武を極めた趙雲では実力の差など歴然であり、彼女の前に立つものは悉く命を絶たれていた。

 

しかし、一人で3000もの敵を相手にしていれば、屍もそこに集まるわけで趙雲は徐々に行動を制限されていった・・・

 

「くっ、まだまだこれからだというのに・・・」

 

「何よそ見してんだ、よっ!」

 

「黙れ、下衆どもが!」

 

ズバッ!

 

「ぐわっ!」

 

「くそ、なめやがって!このまま攻め続けて、あいつの動きを奪うんだ!」

 

「「「「お~!!!!!!」」」」

 

「くそっ、私はまだ負けん!ここで負けるわけにはいかんのだ!」

 

「・・・その心配をする必要は無かろう」

 

ズバッ、ザシュ

 

「ぐわっ」

 

「ぎゃあ~」

 

「なんだこいつ、あの女並みに強ぇぞ」

 

賊の集団を掻き分けて現れたのは黒髪の美しい女性だった。

 

あやつ等の言葉を借りるわけではないが、その所作の一つ一つから相当な使い手だろう・・・

 

「貴女が趙雲殿とお見受けする」

 

「そういう貴女は?」

 

「わが名は関羽。わが主、北郷様の一の家臣にして桃香様の一の矛。このたびは主の命により趙雲殿を助けに参上した」

 

「フフッ、本来ならば必要ないというのであろうが、流石に今回ばかりはそういうわけにも行くまい。

 

それに、ここまで一人で来た所を見ると、貴女も相当な武人であるようだ」

 

「伊達に一の矛を名乗っているわけではないのでな。」

 

「おいおい、何二人で話してんだ。そんなに気抜いてていいのかよ」

 

「・・・無粋な輩どもだ。まぁいい、関羽殿、背中は任せましたぞ」

 

「承知した。下衆なる賊共に力の差というものを見せてやらねばな」

 

「行きますぞ」

 

「ああ!」

 

「……聞けぃ! 下衆ども! 我が名は趙雲! この名を聞いてまだ恐れぬなら、我が命を奪ってみせよ!」

 

「そして賊徒よ、刮目せよ! 我が名は関羽! 我が青龍刀を味わいたい者は掛かって来るが良い!」

 

「たかだか一人増えたぐらいでうろたえんじゃねぇ!数じゃ俺等のほうが勝ってんだ、せめてせめて攻めまくれ!」

 

 

そう考えることは間違いではない。普通に考えれば二人で何千もの敵を相手にすることなど正直自殺行為に等しい。

 

だが、そこは一騎当千の将が二人、一人の武力も相当なものだが二人で相手をすれば、そこから生み出される力は何倍にも跳ね上がる。

 

事実たった二人の美しき少女相手に賊たちはなす術など無いに等しかった・・・

 

「はいはいはいィィ~~!!」

 

「はああああああ!!!!」

 

ズシャ、ドス、グサッ

 

「なんだこいつら!?強すぎる!?」

 

「フフッ、関羽殿は本当にお強いのですな(ザシュ)」

 

「そういう趙雲殿も(ドスッ)」

 

「ここで共に戦えたことも何かの縁だ。わが真名は星。この名を関羽殿に預けよう」

 

「そういうことならば。私の真名は愛紗だ、宜しく頼む」

 

 

 

 

ドゴーン!!

 

「ぎゃ~!」

 

「なんだ!?」

 

ドーン!!

 

「ぐぁっ!!」

 

「こっちもか!?」

 

二人が真名を許しあったところで、突然二人を囲んでいた賊の集団の両脇が吹き飛んだ。

 

現れたのは、愛紗がよく知る人物であった・・・

 

「にゃ~、二人とも今会ったばっかりなのに仲がいいのだ」

 

「うんうん。でもな鈴々、仲がいいことは良い事だと思うんだ」

 

「それもそうなのだ!」

 

「!! なっ!?ご主人様に、鈴々。如何してここに?」

 

「愛紗にばっかりいい格好させないのだ。鈴々だってやるのだ!」

 

「そういう訳じゃないんだけど・・・二人が戦ってる間に俺と鈴々で左右から横撃したから、やつらは今混乱してる。それに、もうすぐ公孫讃さんの隊が来るから・・・「うおおおおおおお~~!」ほら」

 

「これは・・・」

 

「ご主人様!?このような所に来るなど、危険です!」

 

愛紗はまさか一刀自身がここに来るとは予想していなかったようで、かなり心配しているようだ。

 

それを見た一刀は、こんなところで不謹慎だと思いつつ、愛紗の頭を撫でながら、

 

「心配させてゴメンな。でも、俺は皆が戦ってるときに指を加えて待つことなんて出来ない。それに、戦力は多いに越したことは無いだろ」

 

「それでも「愛紗」・・はい。「今は、賊退治が優先だ。その後でならいくらでも話を聞くから、な。」・・・わかりました。」

 

そういって愛紗を優しく諭した一刀は、今度は趙雲のほうを向いて答えた

 

「愛紗から聞いたかもしれないけど、俺の名前は北郷一刀。 趙雲さん、自分の武に自信を持つことはいいことだけど、今回はあまりにも無謀すぎる。・・・貴女は何のためにその武を振るっているの?」

 

「それは……悪逆非道の匪賊より困窮する庶民を守る為です」

 

「なら、貴女はまだここで無理をして死んでいい人間じゃない。生きて、戦って、もっと多くの庶民を助けなきゃいけない」

 

「っ……」

 

もちろん、庶民を助けたいという思いもあった。しかし、それ以上に自らの武を披露することばかりが先に行って今回のような状況を作ってしまったことに、彼女は反省せざるを得なかった・・・

 

そんな趙雲の思いを知ってか知らずか。一刀は、今度は先ほどまでの真剣な表情とは一変して笑顔を彼女に向けて、

 

「・・でも、助かってよかった。だから、今度からは無茶はしないでね。公孫讃さんも心配してたから。」

 

その言葉、笑顔に趙雲は救われたような気がした・・・

 

そして、理解した。この人は本当に誰かのために力を使える人なのだと・・・

 

いつの間にか彼女の顔には笑顔がもどっていた。

 

それを確認した一刀は趙雲と愛紗のほうを向いて、

 

「よし!やつらが混乱している今がチャn・・好機だ。二人とも疲れてるかもしれないけど力を貸してくれ。」

 

「「御意」」

 

「なら・・・庶民を苦しめる下衆どもよ!俺達の力を見るがいい!いくぞ!」

 

「はああああああ!!」

 

「はいはいィィ!!」

 

「うりゃりゃりゃ~!!」

 

 

 

4人が攻め立て始めたほぼ一緒のタイミングで公孫讃軍も賊の集団に攻め入る距離まできていた。

 

「・・・桃香の言うとおりだな」

 

公孫讃は今の状況を見て判断できた。4人とも武に関しては圧倒的だと、

 

「でしょ。3人とも頼りになるんだから……私ももっと強くならなくちゃ」

 

後半の声はあまりにも小さくて公孫讃の耳には届いていなかった。

 

「よし、私たちもあいつらには負けられないな。行くぞ!全軍突撃!」

 

度重なる混乱により、もはや賊たちは壊滅的だった。

 

そこに公孫讃軍が攻めてきたのだからたまったものではない。あっという間に、賊は討伐されていった・・・

 

 

~~一刀~~

 

 

俺たちは今、白蓮の城の玉座の間にいる。

 

星を助けたこと、賊討伐に協力したお礼に何かしたいからと、ここまで呼ばれた

 

ああ、因みにここまで来る途中で白蓮と星・・趙雲の真名を教えてもらったんだけど、

 

二人とも握手をしたときに顔が赤くなったのは何故だろう?愛紗からもため息つかれたし……

 

あと、俺が男だってことは「天の御遣いは実は男だ」っていう噂も一緒に流れてるらしいから、そんなに驚かれることも無かった。(実は、ってところで悲しいけど……グスン)それでも、信じられないって感じで白蓮は見てくるし、星は星でなんか考えてた。絶対にあとで何かあるな……

 

まぁ、なんにせよこれは白蓮の元で働ける願っても無いチャンスだ。頑張れよ、桃香!

 

「今回は星を助けてもらって本当に助かったよ。礼を言う」

 

「ううん、当然のことをしただけだよ」

 

「そうか?ところで桃香たちは何をしに来たんだ。偶然あそこで会ったって訳じゃないだろ?」

 

「うん・・・町で白蓮ちゃんが義勇軍を集めてるって聞いて、私たちを将として手伝わせてほしいの」

 

「そうか!いや~、義勇兵はあらかた集まったんだが、それを纏める者がなかなかいなくてな、困ってたんだ。さっきのを見ても、その武は保障できるな」

 

「でしょでしょ♪」

 

・・・おや、案外すんなり決まったな?白蓮っていい人なんだな~

 

「なら、4人とも将として働いてもらうおう。私に力を貸してくれ!」

 

「「「御意(なのだ)」」」」

 

 

 

あとがき

 

作者「いや~、やっと第三話が終わりましたね」

 

桃香「ねぇ、作者さん。今回私の出番が少なかったんだけど~」

 

作者「うっ・・・そ、それは前話で桃香さんが主役だったんで、バランスよくしようかな~なんて」

 

桃香「そっか~、ならしょうがないね」

 

作者「ほっ」

 

桃香「///でも、私ももっとご主人様と一緒にいたいから、そういう話も書いてね」

 

作者「ええ、できるなら書いていきたいですね。・・・私に文才があれば」

 

桃香「えっ!?」

 

作者「・・・また次話で会いましょう!」

 

桃香「えっ~~~~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白蓮「・・・お~い、わたしのことを忘れないでくれ・・・」

 

 


 
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