No.136116

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 34話

虎子さん

待っててくれた皆様。
かなり遅くなってごめんなさい
ちゃんと、続きは執筆してますので、見放さないで下さいね!

2010-04-13 00:39:55 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4371   閲覧ユーザー数:3468

【視点・豪臣】

 

「――下種だな」

そう言われた瞬間

 

ブチッ!

 

俺の堪忍袋の尾は完全に切れた。

(分かった、オーケー、了解。・・・つまり、このアマは殴り飛ばされたいと。そう判断して良いのか?良いんだよな?)

俺は、心の中で自問自答。

(どうせ、アレだろ?自分の信じたことのみが“義”だの“徳”だの決めつけてる奴。

 ああ~、俺は駄目。そんなこと言う奴にはついて行けない)

そして、答えが出る。

「俺さ・・・」

そう呟く俺と関羽の視線が合わさる。

関羽は瞳を細め、何だ、と言いたげに睨んで来る。

(あぁあ!?舐めてんのか、このアマ!?・・・そうかよ!そんな目するなら教育してやるよ!思い込みの激しい小娘が!)

俺は

「お前嫌いだ」

そう言って天幕の出入り口に向かう。

「オイ、貴様ッ!!」

後ろから声がする。

「何だ・・・“関羽”?」

俺は、顔を少しだけ振り向き、敬称無しで名を呼ぶ。

「!・・・何処に行く」

関羽も殺る気になった様で、手に持つ偃月刀を握る手に力が入っている。

「表に出るだけだ。お前にお仕置きするために、な」

俺は、わざと蔑んだ笑みを浮かべる。

「キ、貴様ァ!」

関羽の額に青筋が見える。

俺は、すぐに前を向いて外に出た。

関羽もついて出てくる。

(さぁ、自分の小ささに絶望しろ)

 

【視点・終】

 

 

豪臣と愛紗が出て行く。

それを眺めていた朔夜たちの下へ、桃香たちが駆け寄って来る。

「あ、あのぉ・・・」

「何か?」

恐る恐るといった感のある桃香に、朔夜は横目で訊く。

朔夜の無表情に、桃香は、ビクッ、と反応し後ろの軍師二人は桃香の背に隠れる。

そんな中、一人だけ平気な顔をしている鈴々が口を開く。

「さっきの。大丈夫なのか?」

鈴々の言葉に、桃香も軍師たちも心配そうに頷いて同意する。

「問題ありません」

「ですな。ただ、半殺かも知れませんが」

鈴々の問いに、朔夜も星も当然の様に答える。

「へぇ。愛紗ちゃん凄く怒ってたのに・・・。愛紗ちゃん相手に生きて帰って来られるなんて、強いんだね、あのお兄さん」

桃香は、感心した様に笑顔になる。

が、朔夜と星の眉間に皺が寄る。

「何を言っているのです?あたしたちが半殺しになると言ったのは、関雲長のことですよ?」

「「「え?」」」

鈴々を除く三人は驚きの表情を見せる。

鈴々は、よく分かっていない様で首を傾げている。

「仕方が無いでしょう。見ただけですが、関羽殿は私と同格。それでは豪臣殿には勝てますまい」

「愛紗ちゃんの方も強いんですよ!」

「ほぉお!」

星は、自分の眼をしっかりと見据えて言う桃香に感心した。

「だって、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんは私たちの願いを叶えるための矛だって言ってくれた。だから大丈夫です!」

愛紗のことを信じ切っている姿に、星は好感を覚える。

しかし

「残念ながら結果は決まっています」

朔夜は違った。

「豪臣の勝ちで関雲長の負けです」

「違います!愛紗ちゃんの勝ちです!」

睨み合う二人。

そんな二人を見て、星は

(朔夜殿も、案外頑固者なところがあるからな・・・仕方ない)

嘆息して二人に話し掛けた。

「ここは穏便にして下されよ。豪臣殿に続いて朔夜殿も暴れるつもりですかな?」

「・・・・・・仕方ありませんね。もう、何も言いません」

朔夜は、溜息を吐いて天幕を出て行く。

「あ・・・・・・」

桃香は、そんな背中を、何か言いたげに見詰めている。

(全く。仕方ない者たちだ・・・・・・ん?これは“使える”か?・・・よし)

星は、桃香を見ながら何か思いついた様に、ニヤ、と笑い桃香に声を掛けた。

 

 

星と桃香との話が終わり天幕の外に出ると、丁度愛紗が声を発するところだった。

「紫堂!貴様の大剣はどうした!?この関雲長相手に徒手空拳で挑もうと言うのか!武器も持たぬ者に刃は向けることは出来ん!」

天幕から出た面々は豪臣を見る。確かに武器らしきものは手にしていない。

 

“白虎”や“天の御遣い”の噂等が流れてからは、紫堂豪臣=大剣のイメージが官民問わずに植えつけられていた。

そのため愛紗は、何も持たずに相対する豪臣に嫌悪感を強めていた。

 

「にゃはははは!あのお兄ちゃん莫迦なのだ。自分の武器を忘れてるのだ」

鈴々は、頭の後ろで手を組んで笑い出し、周りもその笑いに釣られた様に空気が緩む。

しかし

「そうか・・・なら、これで良いか?」

豪臣はそう言って腰に差していた煙管、三日月(みかづき)を帯から引き抜く。

その瞬間、さっきまでの少しだけ緩んだ空気がまた張り詰める。

「そ・・・それは、何だ?」

愛紗は、必死に自分を抑える様に問い掛けた。

 

 

 

(わざと、ですね。)

朔夜は、愛紗の表情を見て豪臣の行為に苦笑いを浮かべる。

 

「朔夜殿。あれは、煙管と言う煙を吸うための道具では?」

「そうですよ。まぁ、あれは喧嘩煙管と言って元々が殴るために作られてはいますが」

星の問いに答える朔夜。

「殴るために?」

「ええ。あれは豪臣の師匠が作ったものです。関雲長の持つ偃月刀(えんげつとう)程度では、打ち合っても傷一つ付けられませんよ」

「あの偃月刀でもですか。かなりの良品のようですな」

「因みに、その師匠が上弦と下弦の二刀を打った人物ですよ」

朔夜の言葉に納得した様に頷く星。

 

 

 

しかし、当然、豪臣の実力も三日月の頑強さも知らない愛紗には納得がいかない。

「キ、貴様は、何処まで私を莫迦にすれば気が済む!」

「誠意有る謝罪を受けるまで」

即答する豪臣。

 

豪臣は豪臣で、勝手なことを言われて下種呼ばわりされたのだから、謝罪くらいは当然と考えていた。

ただ、謝罪はしてこないだろうと踏んでいた。

何故か。

それは、自身と同列と讃えられる黄忠を莫迦にした件。自身の死のきっかけとなった孫権とその息子を莫迦にした件などを例に上げることが出来る。

これら三國志から読み取れる関雲長の性格(言動)を考慮した上で豪臣が導き出した答え。それは“プライドが高く、傲慢で短気”であった。

 

(痛い目見ないと分からないんだろうな)

豪臣は、怒りと共に内心では苦笑していた。

相手である愛紗の落ち着きの無い態度が、逆に豪臣に怒りを抑えて呆れさせる結果になっていた。

が、ムカついていることは確かなので、このままお仕置きするつもり満点。

「どうした関雲長?お前は、こんな鉄の棒きれ一本に臆してしまうのか?」

「~~~~~~~~~!!」

(オオ、オオ、良い感じにキレてきたな。さて、さっきのお返しをさせてもらおうか)

豪臣は思いきり、ニヤッ、と嗤い

「恐いのであれば、背を向けても良いんだぞ?・・・ククク、臆病者が」

愛紗を嘲嗤ってやった。

 

ブチッ!!

 

愛紗はキレた・・・

 

 

 

【視点・愛紗】

 

男の名は、紫堂豪臣。

世間では、“天の御遣い”と持て囃されている人物。その行いや実績に皆が尊敬の念を抱く、と言われていた。

桃香様は、自身の理想の実現にきっと必要な人だから会ってみたい、と考えていた。

だが、私は違っていた。朱里たちから噂を聞くまでは、どんな好人物なのだろう、と思い焦がれていた。

しかし、それがいけなかったのかもしれない。朱里たちから噂の話を聞いたとき、憎悪の様な感情が一気に膨れ上がった。

だから、接見の最中に口を挿んだ。

どんな反応をするだろう、と。

私は、すぐに反論してくれることを内心で願っていた。『そんな莫迦なことをする訳が無いだろう!』と。

そんな風に否定して欲しかった。

しかし、結果は違った。

男は黙ったままで、何も答えなかった。

私は、悲しくなった。そして、悔しくて憎くて仕方なかった。

自分は、こんな下劣漢に思いを馳せていたのか、と。

私は、その憎しみを乗せて言葉を吐き出した。自分自身、何と言ったのかは覚えていない。

しかし、この男を貶める様なことを言ったと思う。

すると、

「俺さ・・・」

男が口を開いた。

やっと反論するのか、と思ったら

「お前嫌いだ」

(ハ?)

そう言って天幕を出て行こうとする。

私は訳が分からず、呼び止めると

「表に出るだけだ。お前にお仕置きするために、な」

などと言ってきた。

私は、また頭に血が昇り

「キ、貴様ァ!」

叫び

(叩き潰してしてやろう。焦がれた思いと共に)

と、心に誓って外へ出た。

 

 

【視点・終】

 

 

 

【視点・桃香】

 

私は信じられなかった。

だって

「そ、そんな・・・愛紗ちゃん・・・・・・」

目の前で愛紗ちゃんが倒れている。

二人の戦闘が始まって、倒れたのは愛紗ちゃん。

本当に一瞬の出来事。

「・・・・・・・・・」

私は、その光景を見詰めるしかなかった。

 

【視点・終】

 

 

 

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

皆様、非常にお久しぶりでございます。

前回投稿から2週間。

遅れに遅れて、本当にすみませんでした<m(__)m>

ただひたすらに忙しく、執筆時間が取れませんでした。と言いますか、一旦は書き上がったのです。しかし、愛紗の扱いが死ぬ程悪くなってしまい「これでは、あまりにも愛紗が可哀想」と思い、没にしました。

いや、本当に大変な出来になってしまったんですよ?

流石に、読者の皆様方も血みどろの愛紗は想像したくないでしょう?

この2週間は、必要な時間だったんです・・・たぶん(-_-;)

 

まぁ、言い訳はこのくらいにして、作品の話です・・・

今回は、完全に作者のミスによる修正の話です。

前話のまま行くと、愛紗は再起不能になっていたので。

ですので、戦闘シーンも次回に飛ばしました。

戦闘を期待して下さっていた皆様。次回をお楽しみに。煙管の三日月に翻弄される愛紗をお送りします。

一応、劉備軍編は、あと2話~3話書く予定です。

予定通り進むことを、何よりも作者が願っています。

 

次回投稿は、早ければ18日(日)。遅くとも19日(月)までには投稿する予定です。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 


 
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