No.131455

暁の護衛二階堂麗華アナザーストーリー 〜第三話:妄想と推測と...〜

消去法で、答えは必ず出てくる。元々オレの情報を握っている方が少ないし、あらゆる可能性を考慮しても辿り着くのは......一人。
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2010-03-21 20:12:39 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:13462   閲覧ユーザー数:12880

薫と別れてから三日が経った。

その間ずっと読書に励んでいたのだが、流石にそろそろ意識してしまう。

海「......」

ピッキングツールを握りしめながら、この空間に似つかないモノを睨み付ける。

 

金庫。

 

本で読んだことがあるのだが、意識をするなと思うと意識をするなと意識をしてしまい、結果的に意識してしまうというややこしい現象が起こるらしい。

海「......金庫か」

オレにはまだ宝が何なのか分からない。

当たり前だ。

二階堂を出てまだ一週間ぐらいしか経っていない。

それで都合良く宝を見つけるなんてあってはならない。

でも、そうだ。

宝は見つからないにしても、金庫はオレ自身欲しい。

所持金はポケットに入れればいいし、今までは盗まれて困るモノなんて無かったが、本を入れてみてもいいかもしれない。

親父の真似事みたいで気が進まないし、そもそもこのアパートに人は近づかないだろう。

ただ、それでも万に一を考えれば本を失うのは痛い。

海「......」

あまり高い買い物でもないし、このまま親父の金庫をただ意識し続けるというのは精神的におかしくなりそうだ。

......よし。

気分転換も兼ねて買いに行くか。

 

海斗は支度をすると、街に出た。

その間、憐桜学園の制服が目に留まるとまた変なことを考えてしまう。

......よっぽど重傷だな。

 

それも、非日常に過ぎない。

いずれそれが日常へと変化していくだろう。

海「......」

金庫を買いに来たはずなのに、何故かオレは本屋の前に立っていた。

やれやれだ。

偶然というのは本当に怖い。

気付いたらたまたま本屋の前に立っているのだから。

うん。

なら仕方ないな。

海斗は自動ドアをくぐると、すぐに見覚えのある人物に出会った。

海「ん」

鏡「あ......」

記憶力には自信があるんだが、名前が出てこない。

海「縦ロール」

鏡「黒堂鏡花ですわ!」

海「おお」

その変な口調はまさしくオレの認識している『お嬢様』そのものだ。

海「奇遇だな。いや、その前にお前お嬢様なら古本屋じゃなくて新品買えよ」

鏡「アナタはいきなりなんですの!?」

海「貧乏人のひがみだ。可愛いだろ?」

鏡「くっ......」

何か言いたそうに悔しそうな視線を向けられる。

おお、こいつ少し可愛いぞ。

海「そういえばこの間の映画の著者が知りたーーー」

ビュ!

オレの頭があった場所に旋風が起こる。

それを避けると、背後にいる敵に対して距離を詰めた。

敵の数が判らなければ距離を置くのがセオリーだ。

ただ、こういった室内で隠れる場所がない状況下では70点。

相手が複数いて銃を持っている可能性を踏まえると、それではいずれ蜂の巣にされる。

一人一撃で気絶させながら身を隠し、それと同時並行で状況判断を行うのが100点だ。

いつでも反応できるように膝を曲げた状態で相手の喉に手を持って行き、現状を瞬間的に的確に判断する。

海「......あ」

杏「......」

かろうじで寸止めしたものの、オレを襲った人間はオレを一番知っているアイツだった。

杏「......くっ、」

その後杏子はオレに襲いかかるものの、それらは全て空を切り結果的に杏子だけが体力を消耗していた。

杏「何で殴り返さないの!?」

もう身体を動かす気力は残っていないものの、牙は取れていないようだ。

海「ここで殴ったら警察来るだろ」

杏「......あんたはそんなもの怖くないだろ」

海「怖いさ」

杏「ウソ」

海「法が怖くなかったら、向こうなんかに戻らなぇよ」

杏「......え?」

海「あ」

しまった。

我ながら今のは阿呆だった。

鏡「それで、この男と知り合いなの?」

すっかり空気だった黒堂が口を開いた。

杏「あ、ああ。いや、じゃなくて海斗! 向こうに戻ったって......」

海「......」

杏「あ、はは、そうか。戻ったんだね......」

杏子は一つ一つ言葉を辿り、頭で理解していくと同時に笑みが生まれる。

杏「それじゃあ......」

海「それじゃあまた昔みたいに一緒に暮らそう、か?」

一瞬杏子の中で時間が凍りついたが、そこは踏み越える。

杏「そ、そうだよ!」

海「バカか。お前は何のためにここに来たんだ」

杏「なんのため....ってそりゃ海斗と会うために!」

海「来るな」

杏「なんでさ!」

昔からそうだが、感情的になった杏子は面倒くさい。

海「......」

そうだな。

これはある意味いい機会だ。

杏子のためにも、ここでいっそ突き放した方がいいかもしれない。

杏「私はあんたに会うためだけに.....」

海「オレがお前を連れていた理由」

杏「え?」

海「オレは親父がお前を連れて行け、と言われたから側に置いただけだ」

杏「......」

海「親父は死んだ。もうお前を側に置く理由はない」

杏「なんだよ......」

杏子自身、オレに拒絶されることを全く想定していないわけではないらしい。

だから、ここは強引にでも約束ーーいや、『契約』が欲しいのだ。

杏「なんだよ! なんなんだよそれは! 私は......!」

海「お前の理由なんかいらない。とにかく、オレはお前を必要としてない」

杏「ぇ......」

表情が固まっていく。

当然だ。

ずっとオレに会うためだけに、こいつは色々な場所に足を運んで、再開を果たした途端に拒絶されたんだ。

ここで平常心を保っている方がおかしい。

 

おまえは、オレとずっと側にいた。

おまえは、オレしか知らない。

おまえは一人で生きていけるんだ。

 

海「......」

それを口にすることはできなかった。

情を見せると、こいつはすぐにオレの心に紛れこんで来る。

それは厄介なことに、オレに自身も鬱陶しく感じないのが問題だ。

 

杏「そんな、そんなのって.......」

海「迷惑だ」

杏「......ぁ、」

 

......人を殺したことも、犯したことも、虐待だって経験がある。

ただ、オレの人生の中で『人を壊した』のは始めてだ。

 

海「.......」

なんだこの感情は?

今までずっと会ってなかった女だぞ?

一年以上関わらないで、もしかしたら生涯でずっとすれ違いで終わったかもしれないんだぞ。

なのに、

なのにこの感情は......

 

海「じゃあな」

オレはそれだけ言うと、背を向けて本屋を出た。

あいつは表情ひとつ変えずにその場に固まっていた。

鏡「待ちなさい」

海「......あ?」

ビュ、と平手打ちが放たれたが、そんなものがオレに当たるはずがない。

海「流石お嬢様だ。自分の思い通りにならないと気が済まない」

オレの挑発に、黒堂はただ真っ直ぐ見据える。

鏡「あなた、私のボディーガードと関係があるのね?」

海「お嬢様らしい口調が取れてるぞ」

鏡「アナタがどういう関係か知らないけど、私の配下に手を出したら許さないわよ」

海「もう出してるけどな」

鏡「こいつは、私のもの。もう一度だけ言うわ」

今までのイメージとは違う、強い意志が向けられる。

こういう人間は、基本的に芯があるので強い。

鏡「私の配下に手を出したら、絶対許さないわ」

 

......いらいら、する。

どいつもこいつも、本当に......!

毛布一枚敷いてある床に、腰を下ろす。

買ってきた保存の利く食料を確認すると、早速たった今購入した金庫を開けて中に入れた。

......金庫の中に食料かよ。

結局のところ、本よりも食料の方が盗難の割合が高いとみて食料を優先させた。

海「......」

数年ぶりに買ったタバコに火を点け、口元に運ぶ。

久しぶりのタバコはとにかく苦くてまずかった。

 

黒堂達のやりとりを見たとき、不快な気持ちだった。

......不快?

なんでだよ。

別に不快に思うことは無いはずだ。

杏子の雇用者として、黒堂はただ庇っただけ.......でなくても、同じ女性として味方しただけだろう。

オレに牙を向けたのは変わりないが、たかが数回しか面識がない女があんなに憤りを感じるはずがない。

それなら......やっぱり、

海斗は火を消して横になった。

 

やっぱり、自分を投影させたんだな。

 

黒堂が麗華で、杏子の立ち位置がオレ。

そんな世界もあったかもしれない。

仮定としてありえないが、もしもオレが同じ状況だったらアイツは絶対オレを助ける......いや、黒堂と同じで自分の所有物と言い張って相手を威嚇するだろう。

学園でのやりとりがそれだ。

オレが劣等生のキャラクターを演じて、それを尊辺りがつついてくる。

それに関してオレは何とも思わない。

きっと尊は尊でボディーガードに対する信念と理念は持ち合わせているのだろう。

だが、それでも学園で麗華は常にオレを庇っていて、それと同時に麗華のみがオレを罵っていた。

それが、あの時の日常だった。

 

海「......だから」

『たられば』の妄想は、もううんざりなんだよ。

......そうだよ。

やることが無くなったからそういう妄想に走るんだよ。

ただ、それでなくてもこの世界はあまりにもやることが少ない。

食料を探しに行くか、寝るか欲求を満たすかだ。

食料は確保してあるし、睡眠も充分。

性欲なんて1年以上ご無沙汰で自分がEDじゃないかって疑うぐらいだ。

......そうだな。

まだオレの中で禁止区域での生活が非日常になっている。

なら無理矢理日常を演じるのは今は難しい。

妄想や想像をして自分自身に嫌悪するならば嫌悪しない妄想でもすればいい。

それなら『日常』の感覚で『非日常』の世界を築くことができるはずだ。

 

ここで有意義な妄想はーーー

1,学園で起こるはずのない中傷

2,親父が唯一オレに教え込んだ『宝』の正体

3,佐竹という人物の謎

4,杏子について

 

......ってところか。

佐竹と杏子についてはもう会うことはないからいいとして、親父がオレに唯一残した宝の謎は考えて分かるもんでもないだろ。

となると残ったのは一つ。

 

オレがボディーガードを辞める原因になった学園での中傷だ。

これなら過ぎたこととして割り切れるし、憎むべき対象もいない。

それでいて自分のことながら推理小説気分で三人称からの視点で楽しめる。

......ふむ。

 

それじゃあ学園で起こった中傷でも推理するか。

 

元々暇つぶしで始めた考えだったが、やるなら徹底的にだ。

それから軽い気持ちで紙の上にペンを走らせた。

まずはオレの過去を知りうるであろう人物をリストアップした。

・杏子

・佐竹

......以上。

海「..................」

早速つまってしまった。

......待てよ? 本当にこれだけなのか?

憐桜学園はお嬢様とボディーガードの学校だ。

そもそも、あれだけの成金が本気を出せばオレぐらいの個人情報なんて簡単に割り出せると思う。

いくらここと向こうの世界が線が引かれているといえど、現実的には可能なはずだ。

尤もこちらにお嬢様が足を運ぶとなると先日起きた神崎みたいになるが、わざわざお嬢様が足を運ばなくたっていい。

これは書物で得た知識だが、人工衛星を使うことだってできる。

まず、あのお嬢様達が人工衛星を用いることができるかを検証してみよう。

人工衛星というと、国家単位の力があって希少価値が高く、莫大なコストが必要な印象があるが実際はそんなことはないらしい。

2008年現在で世界の人工衛星の数は3,000近くまであり、民団等の打ち上げも確認している現在では変な言い方をすれば『一般化』されているとも言える。

恐らく倉屋敷は会社として実験に及んでいるはずだし、二階堂や神崎も実際に打ち上げには参加していなくとも提携できる企業や人物との癒着は存在していてもおかしくない。

当然子どもである彼女達にそんな情報を操作できるわけがないが、だからこその『お嬢様』と言い方をすれば納得できる部分もある。

海「おお!」

話しが繋がってきた。

人工衛星の種類として『気象衛星』『通信衛星』『軍事衛星』等様々な種類があるものの、細かい事柄を推測するにはオレ自身の知識が足りない。

なので、今は『そういう可能性も秘めている』とだけ提示して推理を進めるとしよう。

それでは次にお嬢様も犯人候補に入れて考えてみよう。

オレと面識があるお嬢様で、さっきの二人を足すと......

・麗華

・彩

・妙

・黒堂

・萌

・杏子

・佐竹

海「......よしよし」

推理小説みたいに候補がいっぱい挙がってきた。

これは中々いい暇つぶしだ。

次にリストに動機と実行が可能な人間を絞り出す。

・麗華

 →実行:可能。同じ学園なので手紙や黒板を使った中傷が可能。しかし同じ時間に教室に入ったりとアリバイが成立している。

 →動機:オレの情報を少しだけ掴んで、カマをかけた可能性もある。ただ麗華の反応を見るからにその確率は低いと思う。加えて、わざわざこんな回りくどい方法はしないで直接駆け引きしてくると思われる。

海「麗華か......」

紙に書き込んだ文を見直しながら呟いた。

二階堂の巨大組織なら本人じゃなくても誰かに指示することはできるだろう。ただ、あいつの性格的にヒールを演じるのは好きなはずだ。それでいてお嬢様だ。駆け引きではなく、アイツなら強引な流れでオレが嫌がる手法を取るだろう。例えば『朝霧海斗は人殺し』の後ろに『by二階堂麗華』とーーー

海「......」

寒気がしたか、人徳的に反することをあの女ならやっても驚きはしない。

むしろそれを切口にして攻撃してくるだろう。

 

性格上限りなく0%に近いと判断し、次の推理に移る。

・彩

 →実行:可能。麗華と同じ条件に加え、プライバシーを管理していないのでアリバイは成立しない。

 →動機:

海「動機......」

考えろ。必ず何か、ある。

この世界に100%と0%は存在しない。

 →動機:

海「......」

 

彩の好きな男性の名は朝霧海斗。

彼はイケメンで巨根なsuperstarだった。

彩はどんな手を使っても彼を側に置きたかったが、結果的に彼は自分の双子の姉のボディーガードに専属された。

姉は昔から成績でも人間的にも信頼され、いつも私の欲しいものを奪っていった。

貧乳のくせに。

それなのに、私の、否、女性なら誰でも朝霧海斗様は側に置きたいだろう。

復讐してやる!

あの女にダメージを与えるなら、まずは周りからだ!

根も葉もない噂として、まずは愛しの朝霧海斗様に......

 

海「...................................................」

病んでるのか?

大丈夫なのかオレ?

まぁ、でも0%ではないな。うん。

彩は置いといて続けることにした。

 

だんだん疲れてきたから、簡単にまとめるか。

・妙→バカ→以上

海「次」

・黒堂→あの時期には面識がないので除外

海「で、こいつか」

・萌

正直、こいつが犯人じゃないかと思ってきた。

その要因の一つが、先日遭遇した禁止区域での出来事。

あの時はお嬢様の慈愛か興味本位だと思ったが、この手紙の一件と照らし合わせてみるとどうだろう?

少し繋がってこないだろうか?

 

萌えに関する一連のキーワードを並べてみる。

・『萌』『禁止区域』『偽善』『好奇心』『食い意地』『薫』『巨乳』『神崎家』『手紙』『朝霧海斗』『過去』

 

......うーむ。

しかしこうやって見てみると驚くほど動機がない。

こいつも黒堂同様接点があまりにもなさ過ぎる。

仮に禁止区域との接点や興味は見つけ出せたとしても、オレ個人の私怨というのは......

......ん?

海「待てよ.......」

今までは二つの線で推理を進めていた。

一つは朝霧海斗の周囲にいる人間に対してのマイナス効果を持たすため。

二つ目は朝霧海斗に対しての個人的な私怨。

『今すぐボディーガードを辞めろ』

その文だけなら学園でのオレに対しての私怨として同じボディーガードもリストに上がり、加えて動機はオレでなく二階堂麗華、或いは二階堂家も視野に入れなければならない。

『朝霧海斗は人殺し』

この文で、オレに揺さぶりをかけることができる。

実際には確かに人殺しではあるが、ただ単純に人にマイナスイメージを植え付ける効果は成功している。

ただ、その前の手紙に書かれていた言葉。

 

『お前の過去を暴露する』

 

これはオレにのみ送られた情報で、それでいてそれを送るからにはオレに人に言えない過去が無ければこの脅しは成立しない。ならばこれはオレ、朝霧海斗のみをターゲットとした犯行で確定されるが......。

 

本当にそうなのだろうか?

 

いや、朝霧海斗のみをターゲットとした犯行というのは間違っていない。

間違ってはいないが、ポイントはこの先だ。

少なくとも、これが私怨の一つでは進めてはいけない。

もう少し先、オレがこの手紙をきっかけにどういう行動に出たかを考えろ。

 

そうすれば、萌や麗華などより明確な目的を持った人物は自然と絞り出せる。

 

○以下がこれまでの流れだ

・オレにボディーガードを辞めろと催促する。

・辞めないので、朝霧海斗が恨みを買っている印象を周囲に持たせる。

・結果的に、それが二階堂源蔵に触れオレが辞退する原因になる。

・犯人の目的である『ボディーガードを辞めろ』の意図は成功。

 

海「......」

答えがだんだん見えてきたが、まずは一つ一つの可能性について検証しよう。

 

二階堂源蔵ではない。

仮におっさんがオレ以外の何か・誰かからオレの過去について把握していると仮定する。

その辺りは佐竹が口を滑らせたかもしれないし、親父の知り合いだった可能性も0ではない。

おっさんはオレを解雇させる口実を欲しがっているので、動機としては成立する。

加えて、おっさんが憐桜学園の誰かに指示を出すことも可能だ。

最有力候補がここにきて浮上したが、やはり二階堂源蔵ではない。

なぜならおっさんはこんなことしなくても屋敷の中だけで口実を見つけることができるというのが一つ。

もう一つはオレを貶めることで愛娘である麗華の印象も下がってしまう。

もしかすると二階堂のネーム価値にも影響が出るかもしれない。

リスクを抑える方法があるのに、リスクを広げた行為に及ぶというのは絶対的に矛盾が生じる。

それでいてメリットが生じないなら、二階堂源蔵は白どころか犯人が罪をなすりつけたかった人物じゃないか。

 

オレが辞めて一番利益に繋がる人物。

それは間違いなく杏子だ。

しかし杏子でもない。

確かに杏子はオレに依存している。

杏子が幼少期からオレに頼って生きてきたからだ。

杏子自信、オレがいなければ生きていけないことは理解しているだろう。

それは間違いではない。むしろ正しい。

しかしそれは幼少期の話しであって、現代においてあいつは一人で生き抜く力を手に入れた。

結果的にオレに頼る必要なんてない。

ただの依存にすぎない。

 

......杏子の話しでなく、推理に戻るがそれらを抜きにしても犯人は杏子ではない。

杏子ならオレの居場所を突き止め次第直接会いに来るし、現にオレをずっと探し続けていた。

そこに論理の矛盾が生じることに加えて、あいつは憐桜学園に入ることはできないので物理的にも不可能。

 

なら、

オレがボディーガードを辞めることで利益・目的が果たせ、それでいて憐桜学園の関係者はただ一人。

それはーーー

 

杏「海斗!」

海「......っ!?」

 

怒鳴り声と同時に、あいつはここまでやってきた。

......まったく可能性を考慮していなかったわけじゃないが、本当に来るなんて。

 

小さな溜め息を吐くと、海斗は頭を抱えた。

 

 

 

 

ーーーーーー第三話:妄想と推測と..._end

 

次→第四話:悲恋からのいい女

URL:http://www.tinami.com/view/132049

ーーおまけーー

暁の護衛SS1に個人的に気になったところをまとめたんだけど、どうしても一つだけクリアできそうにないのがあるんだけど......

 

自分が暁の護衛で気になった部分

・麗華が海斗を好きという理由に、まさかのオムニバス!!!

・佐竹のキャラ崩壊!!

・ボディーガードを辞めるという超展開!

・↑の原因である中傷の伏線回収がされていない!

・『宝』と親父に対してあまりにも後付けな感じがした!

・海斗が何で麗華が好きなのかあまり判らない

 

うん。これ全部なんとか綺麗にまとめて書きたいんだけど、唯一佐竹のキャラ崩壊で悩んでいるんですよ。

っていうか、キャラ崩壊しているキャラを綺麗にすることでキャラ崩壊が生まれるっていう矛盾はなんだよ!?

それともあのルートの佐竹は黒歴史にしていいのか?

いいんだな?

 

一応自分はファンディスクまでやったからこういう世界観で書けるんですが、ファンディスクやっていない人がいたら杏子とかいらなくね? ってやっぱり思うのかな。

 

それは大きな勘違いだワイパー。

 

妙には流石に可愛さで劣るが、個人的にツキと杏子は2位タイで争っているぞ(このSSは麗華ルートです)

 

○『今回の感想』

なんか今回は書き手として書いててあんまり面白くなかったかも。

というか、そもそもこれで面白いと思ってくれるのかちょっと不安がある。

 

SSを企画した段階でこの流れは自然なはずなんだけど、自分が読み手なら『うおおおお! おもしれえええええぇ!』とか多分思わない。もちろん展開に強弱は入れるべきだけど、それにしてもなんか自信がない。

一週間に一回うpする予定だから書き上げたけど、推理部分がやっぱりEVEと比べるとどうしても落ちるような......。

書き手として推理の書き方を実践しているつもりだけど、まだ『何か』が弱い気がします。

まぁEVEに勝てなくても読者をぐいぐい引き込むような技法や展開が足りていないような......。

この辺りでつまらないと思った方は完全に自分の力不足で申し訳ないですが、何か意見くれるととても有り難いです。

 

ふむ、それにしても推理か......。

自分が一番重要視するのはテンポです。テンポが悪ければ作者自己満足で終わってしまし、逆にテンポが良すぎても推理の必要性が伝わらません。

いかに読者を飽きさせないかを最優先にして、それでいて必要な情報を盛り込みながら状況を変化させているつもりです。

......まぁ、書き手の意図なんて文呼んで判らなければ結果的に工夫されていないのと同じなんでどうでもいいですよね。

 

それと、そろそろキャラ崩壊してるんじゃないかと正直ビクビクしてます。

杏子は今のところまだ大丈夫だとは思っているし、海斗に関しては原作が庶民なのか禁止区域にいる底辺なのか設定が伝わりにくいところがあったから「それじゃあオレは底辺の朝霧海斗で書くZE!」ぐらいな気持ちなんだけど、あの激萌え縦ロールが心配で心配で......(まだ3話目だぞおい!)

 

ああ......なんか今回久しぶりに書いてて凹んだ..........。

書いている間「オレ、この執筆が終わったら田舎に帰ってアイツにプロポーズするんだ」みたいな死亡フラグが頭の中をぐるぐるぐるぐる......。

 

次回は3/28の21:00時にアップ予定です。


 
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