No.130506

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん その4

感想返せていませんがとても嬉しゅうございます。
そのためにもなんとか更新して、完結させたいですね?

2010-03-17 02:43:43 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:22606   閲覧ユーザー数:16168

 

黄巾党の乱が終結し、つかの間の平和を楽しんでいた雪蓮たちに凶報入った。

 

 

それは、袁術が天の御遣いの存在に気付いたという報告だ。

 

 

前回の戦で、雪蓮たちの戦いを偵察に来ていた袁術の細作に、戦場に出ていた一刀の姿を見られたのである。本来ならばそれだけでなんともないのだが、現在の一刀は戦場に出るはずもない子供であった。それを疑問に思い調べ上げた結果、天の御遣いという答えに行き着いたのである。

 

 

そして雪蓮たちは急遽、軍議を開くことになった。

 

 

「……迂闊だったわ」

 

そういって頭を抱える冥琳。

 

 

見た目は子供ながらも、大人びた言動や行動、そしてたまに良い策を出すので、すっかり大人として接してしまい、子供というのを忘れていたのだ。

 

しかし、目の前で雪蓮に抱きしめられている姿を見て、それが誤りだったということを自覚した。

 

 

「まだ時期が来てませんから、袁術さんに一刀さんの存在を知られたのはまずいですね~」

 

 

のんびりとした話し方ながらも表情は真剣に穏。

 

 

「どうするのですかお姉様?」

 

 

蓮華は一刀のことをチラチラと目にしながら雪蓮に問う。その視線は、私にも抱かせろコラという感じである。

 

 

「んー。……なんとかなるんじゃない♪」

 

蓮華に、アンタは昨日のお昼にずっと抱きしめてたじゃないという視線を返しながら雪蓮があっけらかんと答えた。

 

 

その言葉に全員の表情が、「はぁ? 何言ってんのこいつ?」みたいな表情になる。

 

 

「……それはいつもの感か?」

 

「そうよ♪」

 

一同何も言えなくなるのが、現状では打つ手なしということでその日は解散となった。

 

そして次の日、袁術からの使者がやって来て、雪蓮を呼び出した。

 

 

天の御遣い、、北郷 一刀と共に。

 

 

「な、なぁ雪蓮? いったいどうするつもりなんだ?」

 

袁術と会うので抱っこはなしだった。雪蓮が駄々をこねたが一刀は何とか言い聞かせた。代わりに手を繋いでいるのだが。

 

 

「大丈夫だって♪」

 

しれっと言う雪蓮の顔は全く心配してないようだったが、ますます一刀は不安になる。

 

「お、俺今さら雪蓮たち以外のところに行けないよ」

 

 

一刀が一番心配していたのはそのことであった。この世界に来て右も左もわからない状態だった一刀を打算的ではあったが保護した雪蓮。雪蓮たちはもちろんのこと、兵や民まで優しくしてくれた。まだまだ袁術の客将という立場であるが、そこには確かに雪蓮たちの国があった。一刀はそんな国を少しでも支えていきたいと思っている。今さら、他の所に行けるはずがなかった。

 

 

そんな一刀の思いを見透かしてか、雪蓮は一刀を抱きあげ優しく頭を撫でる。

 

「あたりまえよ一刀。……あなたはもう私たち孫呉の仲間であり、家族なんだから。……私は家族を守るためならどんなことだってするわ」

 

「雪蓮……」

 

「だから安心して? あなたは私が守ってあげる」

 

慈しむような優しい笑みを浮かべる雪蓮を見て心から安心する一刀。

 

(ならこの笑顔を絶やさないように、俺が雪蓮を守るんだ!)

 

心の中で人知れず決意表明をする一刀であった。

 

 

そこで雪蓮の表情が一変して、楽しそうな笑顔に変わっていく。一刀は嫌な予感しかしなかった。

 

 

「そこでねか~ずとっ♪ 一つ提案があるの♪」

 

 

その提案とやらを聞いた一刀は、

 

「ほわあああああああああああああああああああああ」

 

 

叫んだ。

 

 

「袁術ちゃん、入るわよ~?」

 

玉座の間の扉の前に到着した雪蓮と一刀。

 

にっこり雪蓮に、どんより一刀と言ったところだ。

 

「うむ、入ってくるのじゃ!」

 

早く天の御遣いを見たいのか、扉の向こうではしゃぐ金髪幼女。

 

(逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ!)

 

 

自分に言い聞かせる一刀連れて雪蓮は扉を開けた。

 

 

 

「このちっちゃいのが天の御遣いなのか?」

 

「そうですよぉ美羽様ー。細作さんの報告では確かにこんな人ですよ」

 

美羽と呼ばれたのが袁術。そしてその美羽を補佐するのは張勲。真名を七乃という。

 

二人にじろじろ見られる一刀。

 

「ではでは、早速ですけど~、天の御遣い様は、私たちが保護させてもらいますね~」

 

 

動いた。

 

それを見た雪蓮は早速作戦を開始した。

 

「いいわよ~。その子ワガママばっかり言うから困ってたのよね~」

 

 

やっと手放せると言った感じの雪蓮。

 

 

「はい、大丈夫ですよー♪ ワガママは美羽お嬢様で慣れていますからねー」

 

「そうなのじゃ! もっと褒めてたも!」

 

 

いつも通りの二人組。

 

 

そして、小さな悪魔が動き出した。

 

 

「おねーちゃん、お腹減ったー!」

 

いきなり子供になる一刀。

 

 

美羽と七乃はそれが普通だと思っているが、雪蓮は必死に笑いを堪えていた。

 

 

(くそ~! 覚えていろよ雪蓮!)

 

 

「は~い。すぐ準備しますからねー」

 

 

侍女にお願いして、食事を用意させる。

 

そして用意した料理を前にした一刀は、

 

 

「とっても美味しいねお姉ちゃん♪」

 

明命がいれば間違いなくモフモフの餌食になったであろう100万ドルのスマイル。

 

 

 

「…………あははー♪ もっと食べますか―? それとも蜂蜜水なんかどうですー?」

 

 

一瞬ものすごくデレっとしたとした七乃だがすぐに笑顔を張り付ける。

 

 

「うん! 飲みたい!」

 

笑顔を絶やさず元気に答える一刀。

 

「七乃! 蜂蜜水は妾のじゃ! 妾に入れてたもー」

 

「美羽様は少し黙ってましょうねー♪ えっと、確か一刀くんですよねー?」

 

美羽を軽くあしらう七乃。美羽はふくれっ面になるが七乃は見向きもせずに一刀に名前を尋ねる。

 

「そうだよお姉ちゃん♪」

 

「はぅ~、素晴らしいです~。今すぐ持ってきますからねー。待っててくださいねー」

 

自ら蜂蜜水を取りに部屋を出て行った七乃。

 

 

ふぅ、っとため息をついた一刀は雪蓮と目が合い、お互いに作戦の成功を確信していた。

 

 

雪蓮の作戦はこうだ。

 

 

「張勲を籠絡すればいいのよ♪」

 

訳がわからないといった感じの一刀。

 

「あの二人はね、互いが互いに依存しあっているのよ。だから一刀が張勲に気に入られると袁術ちゃんはそれに嫉妬する」おろか

 

「そして、袁術にお前はいらないと言わせればいいのか」

 

「そういうこと」と

 

 

しかしここで疑問が生まれる。果たして張勲に気に入られることが出来るのかということだ。

 

「大丈夫よ♪ あなたはね、蓮華はおろかあの思春まであなたの可愛さにやられているわ。だから張勲ごとき相手にならないわ」

 

このようにお墨付きをもらった一刀は、これが失敗すれば袁術保護されてしまうと思い、覚悟を決めたのだ。

 

 

結果は火を見るよりも明らかだった。

 

「美味しいよお姉ちゃん! もう一杯だめかな?」

 

上目遣いで甘えたような声をだす一刀。

 

そして七乃は走り出す。

 

 

そして無視され続けた美羽の怒りが爆発した。

 

「……我が事なれり」

 

雪蓮は小さく拳を握りしめ呟いた。

 

 

「うがあ~~~! そんなやついらないのじゃ! 孫策! 早く連れて帰るのじゃ!」

 

「お、お嬢様! ダメですよー! 一刀くんは私のモノなんですからねー!」

 

「うるさいのじゃ! 七乃は妾のモノなのじゃ! そんなやつはどっかいってしまうのじゃーー!」

 

 

大声で喚く美羽を横目に雪蓮は一刀を抱きあげる。

 

「これ以上袁術ちゃんが怒らないように連れて帰るわね♪」

 

こうして足早に去って行った。

 

 

「あーー! 一刀く~~~~~ん!」

 

引き裂かれた親子のごとく打ちひしがれる七乃であった。

 

 

こうして一刀は袁術に保護されずに済んだ。

 

 

そして袁術公認(?)で天の御遣いを保護することとなった雪蓮たちは大陸全土に、孫家が天の御遣いを保護したという噂を流した。

 

 

こうして独立に向け、着々と準備を進めるのであった。

 

<おまけ>

 

雪蓮と一刀が呼ばれている頃。

 

「くそっ袁術め! わ、私の一刀ごにょごにょ」

 

「蓮華様、最後のほうが聞き取りづらかったのですが」

 

「し、思春! なんでもないのよ?」

 

「…………………………そうですか」

 

「…………思春はどう思っているの?」

 

「なにがです?」

 

「…………一刀のことを」

 

「特にどうとは」

 

「し、心配ではないのか!」

 

「はい。何かあれば袁術の頸を刎ねる程度ですね」

 

「( ゚д゚ )」

 

 

ってことがあったりなかったり。

 

 

完。


 
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