No.128643

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第8話

第8話です

いや~人様の作品をみると…こう…ムラムラと創作意欲がわいてきますね~

自分のを見直すと…ショボーンな感じですが

2010-03-07 13:53:32 投稿 / 全18ページ    総閲覧数:11536   閲覧ユーザー数:10255

はじめに

 

 

 

 

この作品はオリジナルキャラを主人公にし、ただ恋姫の名を語る

 

 

不届きな文です

 

 

原作重視、歴史改変反対な方、ご注意ください

 

 

もう8話なのに黄巾の乱から抜け出せない…

 

 

 

 

朝議が終わり

 

がやがやとその場から抜け出す人だかりの中で桂花は一人立ち上がれずにいた

 

…ようやく立ち上がり玉の間の扉を抜けようとした時、比呂が近づいて彼女の耳元に告げる

 

「自らの感情の尺を延ばしたところで人は動かん、理で詰め、相手の心理を掴まなければな」

 

ようするにお前は経験不足な訳だ、まあそれは悪いことではない

ポンと桂花の頭優しく叩き、去っていく比呂に、桂花は何も言えない

 

去っていくその背中に思わず飛びつきたくなる

 

なのに、脚が言うことを聞かない

 

喉が枯れてヒリヒリと痛む

 

声を出して呼び止めたいのに声が出てこない

 

耳の傷痕がズキズキと痛み出す

 

もうとっくに塞がったはずなのに

 

耳に手を当て痛みに耐えようとする

 

比呂の背中が遠くなっていく

 

比呂の背中にあの女の影がちらつく

 

比呂が廊下を曲り、姿が見えなくなった頃

 

桂花は自分の視界が霞んでいる事に気づいた

 

 

 

 

…みみが…いたい

 

 

 

次の日から部隊の訓練は過酷なものとなった

 

「放て」

 

矢が放たれ、それぞれが狙った的に飛んでいく

袁紹軍の中でも弓兵隊は比呂に選ばれた者達だ、千の兵が交互に放った矢はその殆どが的に突き刺さっている

 

「あちゃ~、外した~」

「うわっだっせぇの!」

「今夜の奢りは決定だな」

「ゴチ~」

 

外した者には周りからからかいの声が上がる

 

「…走るぞ」

「「「へっ?」」」

 

腰に手を当てる彼らの将軍は冷めた目で言い放ってくる

 

「聞こえなかったのか?俺は走ると言ったんだ、全員ついて来い」

 

途端に走り出す将軍に慌てて彼らは後を追う

 

「なんだってんだ?」

「どうなっている?」

「お前が外したからじゃねぇの?」

「マジかよ?」

 

口々に言いながらも置いてかれまいと兵達は走る

 

城壁に沿って走り、何事かと周りの視線に耐え、一周してきた兵に比呂は再び告げる

 

「第二射構え」

 

涼しい顔で告げてくる比呂に兵達に疑問が浮かぶ

 

もしかして今日、将軍機嫌が悪い?

 

「放て」

 

再び一斉に放たれる矢…今度は二割の者が外した

 

「ふむ…走るぞ」

「「「なっ!?」」」

 

兵達の驚嘆を他所に比呂は再び走り出す

 

「おいおいおい」

「マジでどうなってんだ?」

「袁紹様と何かあったのか?」

「次は外せねぇな」

 

訳がわからないままに兵達は走る

 

二周目を終えれば今度は半分の者が的を外した

 

肩で息をし始める兵達に比呂は平然と言ってのける

 

「どうした?もう疲れたのか?集中力が途切れてきてるぞ」

 

 

三週目を終えればさらに半分

「また精度が落ちてきたな…走るぞ」

 

五週目

「座るな…ほら立て、よし走るぞ」

 

 

十周目

「おいおい矢が届いてないぞ、走るか」

 

十一周目

ついに的には一本の矢も当たらなくなった

 

「まあ、初日はこんなものだろう」

 

もはや言葉を発する者はなく、皆座り込んでゼーハーと呼吸のみに集中している

そんな彼らを尻目に、汗でまとわりつく髪を払いのけて比呂は弓を構える

 

 

その先には彼らがそれまで狙っていた的は無く

 

 

「っふぅ…っし!」

 

 

空を飛んでいた鳥を落とし振り返る

 

「…確か外した者は酒を奢ってくれるそうだな」

 

ニヤリと笑う比呂を前に兵達は息を飲んだ

 

 

所変わって執務室

 

「討伐軍に随伴する?」

「ええ」

 

桂花は悠が戦場に出ると聞いて驚きを隠せない

 

「比呂から姫に進言いただいてですね…まあ剣は振れないですが、他の諸侯の軍勢には軍師がついてまわるものだと」

「…」

 

読み終えた竹簡に何やら書き込みながらカラカラと巻いていく悠

 

「基本的には比呂を通してこちらの戦術を伝えることになりますが、まあいきなり軍師だと出しゃばっても兵も面白くないでしょうし」

「…」

 

背中を向けているお互いの表情は読み取れず

 

「先ずは戦術を兵に刷り込むために明日からの演習にも参加する事になりました」

 

スラスラと筆を進める悠とは対象に桂花の手は止まったままだ

ふと書きかけの報告書を見つめる

 

 

 

 

私は何をしているんだろう?

 

 

 

 

ただ墨をする毎日が酷く陳腐な物に思えた

 

 

「…で、これが初日の成果と言うわけですか?」

 

 

比呂の部屋に呼ばれてきてみれば其処には大量の酒瓶が積み重ねられていた

 

「さすがに飲みきれなくてな、一部引き取ってきた」

 

涼しい顔で比呂、既に空の酒瓶は十を数える

 

「明日からは俺も参加するわけなんですが…潰れないでくださいよ?」

「誰に言っている?」

 

ニヤリと比呂、まぁ心配はしてないですが

 

「顔良将軍と文醜将軍の方は?」

「問題ない、意向は伝えてある」

 

「そっちはどうだ?」

「こちらも問題ないです、尤も戦術を他人に教えるのは初めてですが」

 

酒を注がれながら悠は問題ないと答える悠に比呂はまたしても笑いを浮かべる

 

「明日が軍師殿の門出となるわけだ」

「からかわないでくださいよ、お手柔らかにお願いします」

 

 

翌日の合同演習

 

「文醜隊っ突撃~!あたいに続けぇ!」

「数に怯むな!押し返すぞ!」

 

 

「顔良隊!敵を側面から突きます!私に続いてください!!!」

「全員抜刀!弓だけではないところを見せてやれ!」

 

 

「中央の部隊は転進!鶴翼の陣にて敵を包囲します!!」

「構わん!そのまま中央を突破する!離脱の後陣を再構築する…遅れるな!!」

 

 

 

演習が終わっても比呂の部隊に休みはなく

 

「上出来だ!それじゃ城まで走って戻るぞ」

「「「何ぃ~っ!!」」」

 

城に戻れば

 

「…お前等、俺を酒で殺す気か?走るぞ」

「「「…マジで?」」」

 

 

さらに翌日

 

「今日から重槍隊の装備で訓練を行う…早速だが走るぞ」

「「「…うっそ???」」」

 

 

五日目

 

「今日から三日間、特別に顔良将軍、文醜将軍に個別に稽古をつけてもらう、生憎彼女達に合う模擬武器がなくてな、一応手加減は頼んである…まあ頑張れ」

「「よろしくお願いしま~す♪」」

 

二人の将軍に兵達の顔が引き攣る

 

「ちなみに部隊全員が負けたら俺が彼女達に望む物を買ってやる約束をしてある…解っているよな?」

「「「………」」」

 

「頑張るぞ~斗詩!呱呱栖全品食べ放題があたい達を待っている♪」

「うん!文ちゃん!!江流召棲の茶器~♪」

 

 

八日目

 

「ぐはっ!」

「うっし!終わりぃ~♪」

「こちらも終わりました~♪」

 

さすがに三日間で述べ千人の兵と剣を交わし疲労の顔を浮かべる二人だが、比呂との約束に思わず顔が綻ぶ…と

 

「さすがだな…それじゃよろしく頼む」

 

滅多に抜かない腰の剣を抜き比呂は構える

 

「あの~、比呂さん?」

「アニキ?なんだその剣?」

 

斗詩と猪々子の頭には?マーク

 

「部隊全員が負けたらという約束だからな、最後は俺だろう?」

 

ニヤリと比呂

 

「ずるいですっ!!」

「汚ねぇぞアニキっ!!」

「「「そうだそうだ~っ!!!」」」

 

いつの間にやら自分の部下まで加わっての抗議にも比呂は清ました顔で

 

「まあ疲れているだろうし二人同時に掛かってきて良いぞ、そうだな…ついでに買ってやる物も二つに増やしてある」

 

紗錬瑠の腕輪…

天下一飯店の品、全品大盛り…

 

最後に欲に負けた二人は同時に飛び掛る

 

 

私の存在価値はどこにあるのだろう

 

報告書をただ睨む毎日

 

墨を磨るだけの毎日

 

当主に進言一つ侭ならない文官

 

私の居場所は

 

本当の居場所は

 

此処じゃない?

 

此処ではない何処か

 

私は唯の文官じゃなく

 

…軍師

 

廊下の向こうからやって来る彼女の眼は十日前のそれとは変わっていた

 

「…桂花?」

 

明日からの日程の調整を纏めていた比呂は彼女の変化に気づく

 

「悠が…討伐軍に参加するって…」

 

迷っている、だがそこには確かな決意の光

 

「…ああ」

 

怒っているでもなく静かに

 

「私は…一緒にいけない?」

「…ああ」

 

お前はまだ早い

だが彼女の瞳はいつかの親友…かつての自分に重なる

 

「比呂…一つ聞いても良い?」

 

 

自分の中の

 

もう一人の自分が言う

 

 

 

やめなさい

聞いては駄目

 

 

 

「…ああ、何だ?」

 

 

 

 

引き返しなさい

それを聞いたら此処には居られなくなる

 

 

 

 

大好きな人のそばに居られなくなる

比呂から離れなくてはならなくなる

 

 

 

 

比呂の目が見れない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どうして、袁紹様を抱いたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

比呂にはさ、なりたいものはある?

 

 

 

比呂には、守りたいものがあるんじゃないかな?

 

 

 

おまえも…悠もそうなのか?

 

 

 

俺はさ、試してみたいんだ

 

 

 

自分にはあるのか

 

 

 

王佐の才ってやつが

 

 

 

 

ああ

 

 

 

彼女は

 

 

 

桂花は決意したんだ

 

 

 

此処を出ると

 

 

 

此処を出て自分の王を探すと

 

 

 

それは逃げの道ではなく

 

 

 

いないのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の王は此処に

 

 

 

 

 

「どうして…か」

 

 

 

ならば自分の役目は

 

 

 

彼女を押してやること

 

 

 

彼女を救ってやること

 

 

 

かつて自分の親友がそうしてくれたように

 

 

 

今度は俺が桂花を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「抱き心地が…良さそうだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乾いた音が

 

 

 

廊下に響き渡った

 

 

 

 

 

 

桂花が去ったのを見て

 

「…趣味が悪いぞ」

 

廊下の隅の柱に語りかける

 

「すみません…どう出たものかと…」

 

いつもとは違う苦笑に比呂はため息をつく

 

「知ってたな?」

「まあ…」

 

気づいていたのか、悠は…桂花の本心に

 

「相変わらず比呂の言葉は厳しいですね…もっと言い様があったでしょうに」

「以前のお前の真似をしただけだ」

「何気に酷いですねそれ」

 

やれやれと笑う悠だが比呂の言葉に顔色を変える

 

 

 

 

 

「桂花には王佐の才がある」

 

 

 

 

 

彼女は歩く

 

 

街行く人に肩をぶつけても関係なしに

 

 

 

彼女は歩く

 

 

視界がぼやけるのも構わずに

 

 

 

彼女は歩く

 

何かに躓いて転んでも

転んだ拍子に擦り剥いたのだろう、膝からは血が滲む

 

 

それでも

 

 

彼女は歩く

 

 

 

目指すは陳留

 

 

そこに待つのは

 

 

 

後に乱世の奸雄と呼ばれる少女と

 

天より遣わされたと噂の青年

 

 

あとがき

 

のどかな日曜の昼下がり

風にバタバタと煽られてベランダから飛んでいく布団をみてねこじゃらしはつぶやいた

 

布団が…ふっとんだ

 

遠くで鳴くカラスの声がベランダに立ちつくす身に響く

 

 

 

どうも、ねこじゃらしです

 

ここまでお読みいただきありがとうございます

桂花さん行っちゃいましたね

 

三話分の内容にストックはもうありません

 

次話からは即興なります

さらに言えば作者には二つの視点を同時進行などど起用な真似はできません

となれば…

 

デデーン!!

桂花、アウト~!!

 

…じゃ、そういうことで

 

 

 


 
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