No.126672

輪・恋姫†無双 七話

柏木端さん

七話投稿です

今回は短めです。すいません。
最後の部分に本編というか……根幹に関わる話が入り始めました。
こちらはとびとびで進む話なのですが、どうか暖かいまなざしで見守ってください。

2010-02-25 22:11:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2932   閲覧ユーザー数:2577

 

自分達の陣へ戻る華琳たち。そして、

 

「くくくっ……」

 

「華琳様?」

 

もう耐えられないとばかりに笑いだす華琳。

 

「ど、どうされたのですか!?華琳様!?」

 

「ふふっ…今日は本当にいい日ね。英雄となる器を見つけただけにとどまらず、相沢といったかしら、あんな面白い男に会えたんですもの。」

 

「そ、そんな!?華琳様!?」

 

上機嫌の華琳と、絶望する桂花。

 

「桂花、そんなこの世の終わりを目撃したかのような目をするなよ…」

 

「うるさいわよ!この全身精液男!!はっ!そうよ、あんたがいなければ華琳様があんな男に興味を抱くこともなかったのよ!!死んでわびなさい!今すぐに!!」

 

「ひでぇ!!」

 

一刀も、もういつもの調子を取り戻している。祐一を前に啖呵を切ったときの一刀はもう表面上にはいない。

 

「桂花。」

 

「は、はい、華琳様!」

 

「劉備たちとの事務的なやり取りはあなたに任せるから、良いようにしなさい。…いつまでも一刀と遊んでないでね。」

 

「そ、そんな!?誤解です華琳様!」

 

そんなやり取りをしている少し後ろ。

 

「それにしても北郷、よくあいつに向かってあんなことを言えたな。」

 

「ああ…あそこで言い返さないと、祐一の言葉に屈したら、みんなと一緒にいる資格がないような気がして…さ。」

 

天を仰ぎ見る。

 

「それに、あれは今の俺の本心だ。祐一には微妙とか言われたけど、これだけは否定させない。」

 

「そうか。」

 

彼女をよく知らない人なら素っ気なく答えたようにも感じるが、それは充分に満足いく返答であることに喜んでいるようだった。

 

これが彼女の姉ならば、あの程度の言葉では足りん!とか言い出して華琳の素晴らしさを足りなすぎる語彙で語り出すのだろうが。

 

「部隊の準備が整い次第出陣する。さあ、裁きの時間よ。」

 

いつものような不敵な笑みを浮かべて、華琳は告げた。

 

 

「お頭!おかしら~!!」

 

「ん?」

 

居眠りしていた祐一を太郎が起こす。

 

今、手のあいた将は義勇軍を集めたり、曹操から借りた兵の編成作業をしたり、

 

曹操軍の軍師である荀彧と劉備軍の軍師である朱里、雛里が作戦会議していたり、とりあえず暇な将は居ないはずである。

 

なのに平気で居眠りする祐一。

 

特に何も言われていない桃園の三人と一緒に義勇軍参加を呼びかけようとしたところ、愛紗が少し表情を変えたことが原因だろう。

 

さすがに、普段ふざけ過ぎたと反省した。改める気はないが。

 

実際、愛紗は別に同行を拒否したわけでも、悪い感情を持っていたわけではなく、

 

一刀を前にした時の祐一の豹変に完全においていかれてしまってどう接したものかと悩んだのがつい表に出てしまっただけなのだが。

 

黄巾党の本拠地は冀州のある砦である可能性が高いという曹操からの情報により、進路はそちらへ~的に決まるんだろうな~と思いながら横になっていたら、いつの間にか寝てしまっていたというのが現在の祐一に対する説明のすべてである。

 

まあ、要するに暇で昼寝してただけだが。

 

「なした?太郎?」

 

「へい、お嬢たちと大将たちが帰ってきやしたので、そいつを知らせに。」

 

「そか、あり~」

 

起き上がり軽く尻を払って桃香たちがいるであろう場所に向かおうとしたが、太郎の様子に気づいた。

 

どうやら用事はこれだけではなさそうだ…

 

「んで?お前の用事は?」

 

「………へい…」

 

急かすことはしない。ただ、穏やかな表情で待つ。

 

「あっしは、戦います。剣をもって、戦場で。」

 

「後悔しないな?」

 

「はい!」

 

「了解。死なないように努力しろよ?」

 

そう言って軽く太郎の背中を叩き、笑みを浮かべる。

 

「りょ、了解しやした!」

 

「ほかの連中には?お前が決めたことは?」

 

「いえ、言ってやせん。」

 

「そっか、まあ、言うも言わないもお前の自由だからな。俺に遠慮はしなくてもいいが……いや、なんでもない。んじゃな。」

 

そう言って祐一は手を振って歩いていく。

 

「お、お頭、どちらに?」

 

「んあ?ああ、俺は桃香たちのところに行ってくるから、何かあればそこに来な~」

 

「へ、へい!」

 

そう言えば桃香たちは何処に居るんだろうな~とか、聞いてから歩きだせばよかったとか、色々な後悔を全部わきに捨て置いて、とりあえず歩きだした祐一であった。

 

 

 

 

                           夢

 

 

                         夢を見ている

 

 

                      空から舞い降りる白い雪が

 

 

                   赤く染まった大地を塗りつぶしていく

 

 

                      もう動かないものを見て

 

 

                      もう喋らないものを見て

 

 

                        明日からの自分に

 

 

                      ただ一つのことだけを誓い

 

 

                        動かない者たちに

 

 

                      ただ一つの言葉をたむける

 

 

                      何をしてしまったとしても

 

 

                      絶対に後悔はしない と

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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