No.126374

真恋姫無双 おせっかいが行く 第二話

びっくりさん

お久しぶりです。

今回、ようやく・・・ようやく。
女の子キャラを出すことが出来ました。

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2010-02-24 06:42:34 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:23253   閲覧ユーザー数:17835

 

 

突然、現代から三国志の世界へと連れてこられた少年。

北郷一刀。

最初こそ、現代と三国志の時代との違いに圧倒されるも、持ち前の性分と祖父の言葉を思い出したことで壁を乗り越えることが出来た。

 

現在、彼が持っているもの。

 

普段着

食料

荒れ果てた畑

アイガモの卵4つ(有精卵)

女王蜂(ミツバチとスズメバチ)

 

廃村に一人という孤独な状況だが、彼は楽しんでいた。一人というのは確かに寂しいとは思う。しかし、農業に専念できる今の状況は彼の夢である。楽しくないはずがない。

彼は現代で培った知識を総動員してこの世界で自給自足の生活を始めるのだった。

 

最初は火を起こすのも一苦労した。家事は一通り出来る一刀だったが、洗濯も、掃除も、何もかもが便利化された現代とは一味も二味も違うものであり、なかなかうまくできない。しかし、そのどれもが新鮮に感じられ楽しむことができていた。

 

これは、そんなおせっかいが歩く物語の軌跡である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀が最初に取り組んだこと。それは意外にも防犯装置の設置である。貂蝉が見せてくれた野党のことから、この世界ではいつ襲われるかわからないことを知った。少しでも安全にする為、一刀は鳴子を廃村の周りに設置した。侵入者を早く察知できればそれだけ逃げることも容易であるし、相手を攻撃する態勢を整えることも出来るからだ。長い草を縛って足を引っ掛ける罠や落とし穴を作成して、防犯・逃走の準備を強化していく。

このときの一刀の頭には野盗対策としかなかったが、襲ってくるのは何も人だけではない。この時代は自然が多い、その為、多くの野生動物が暮らしている。その中には虎やパンダ、熊など、人間を襲うことがある猛獣も潜んでいる。そんな動物の察知にも役立つのだが、これはまだ先の話である。

 

「よっし。設置完了。次は畑に取り掛かりますか」

 

元は農村だっただけあって、鍬など畑を耕すのに必要な道具は一通り揃っていた。ただし、放置されていた為に傷みが激しく使い物にならなかったり、補修が必要だったりと問題もあったが。

 

「何作ろうかな~?小麦は必須として、大豆もいいな。それから、米は絶対だな・・・日本人なら米を食えと誰かが言ってたし」

 

畑を耕しながら、今後何を育てていくかを楽しそうに考える一刀。まず、どのように作物を育てて行くかについては輪栽式農業を選択。別名ノーフォーク農法と呼ばれるこの農法は小麦などの冬穀、カブ・てんさいなどの根葉類、大麦・ライ麦などの夏穀、クローバーなどの地力を回復する性質を持つ牧草と、順にローテーションを組んで耕作する農法である。これにより、地力が低下したことによる作物不良の解消が出来る上、冬に家畜に与える飼料不足も解消出来る。これと同時に田んぼを作るので二毛作も行う。二毛作とは春から秋にかけて稲作を行い、収穫後は大豆や麦を栽培する農法だ。しかし、これでは地力が低下していずれは作物不良になってしまう為、ある一定の時期に休耕させなければならない。それでも一刀は、アイガモの卵もあるため、米を作るのは必須と決めており、なるべく広く土地を耕していく。そこから田んぼと畑に分けるのだ。そうすれば、田んぼが休耕地になっても、畑で作物がとれる。

田んぼの水源だが、近くにある川を探してそこから水を引っ張る予定である。が、これだけのことを一人で行うには時間が必要だ。結果、田んぼに水を引き、畑に種が撒ける状態にするまで一月の時間を要したのだった。

 

 

畑を耕す一方で、もう一つ考えなければならないことがある。それは2種類の蜂の女王蜂をどうするかである。不思議なことにこの二匹の蜂は非常に一刀に懐いており、針で刺すことがなかったのだ。また、言葉も理解しているようでたまに一刀の独り言に反応することがある。このおかげで、一刀は友達といるような感覚になり、寂しさを感じることは少なかったのだ。いくら、農業が楽しく感じていても見知らぬ土地に一人では孤独感に押し潰されてしまっていたはずだ。おそらくというか確実に貂蝉のてこ入れがあったに違いないが、この女王撥の存在は非常にありがたいものであり、内心で貂蝉に感謝しながら蜂の設置場所を考えるのだった。

 

「元気な子であってくれよ~」

 

外も暗くなり、街灯がない村は夜には真っ暗で何も見えなくなる。薄暗くなった時点で一刀は作業をやめ、家に戻る。しかし、家に帰っても一刀にはやることが残っていた。それはアイガモの卵を温めるということ。日中は日当たりの良いところにおいておき、太陽の光を十分に当てておく。もちろん、毛布で包んでおり、寒さには十分の注意を払ってではあるが。夜になると冷え込むので火を起こし、冷えないように温度を調節するのだ。

ちなみに、一刀は自分の家の床の一部を壊し、そこに囲炉裏を作っていた。

 

「やっぱ古き良き時代の農家はこれだよな!」

 

自己満足の為である。

 

 

 

 

さて、畑、田んぼを作ってからしばらく時間が経過した。蜂の巣も順調に大きくなり、働き蜂の数も一層多く見られるようになり、蜂蜜を採取できるのも時間の問題である。そんなある日、一刀の楽しみにしていたときがやってきた。そう、農作物の収穫である。この日、畑に植えていたカブをついに収穫することになったのだ。

 

「やっと・・・やっとこの日がやってきた!俺も農家の道を踏み出したんだって実感できるよな」

 

今まで現代との違いに戸惑いつつも一生懸命育ててきたカブを収穫する。なんと感慨深いことか。ここまでしてきた苦労を思い出し、思わず涙を流しそうになるも、我慢してカブの収穫を始めるのだった。そして、この日、一刀は初めて村の外へと出ようと予定を立てていた。なぜなら、数日前から貂蝉からもらっていた食料と同時に調味料も尽きたのだ。食料のほうは大自然に囲まれた村である。そのへんをちょっと探せば山菜やら木の実やらを見つけることが出来るし、魚を釣ってもいい。だが、調味料となるとそうはいかない。そこで、今回収穫したカブを売って、そのお金で調味料やその他もろもろ買ってこようと考えたのだった。

 

「カブを積み込んだし、財布も持った・・・よし、出発だ!」

 

収穫したカブを自分で食べる用と売る用に分けて荷台へ積み込む。この荷台も家の外においてあったものだ。やはり、収穫したものを売りに行くときに使ったものだろう。そう考えると一刀は農業してるんだと実感が沸き、嬉しく思うのだった。

 

「どうか、野盗に出会いませんように」

 

外出するにあたって一刀が心配しているのは発言の通りである。荷台を引いての遠出だ。思い出されるのはこの世界に初めて連れてこられたときに見た野盗達の姿。今、襲われたら太刀打ち出来ず殺されるのは確実。だからといって、街にいかないというわけにもいかない。出来るのは野盗に出くわさないことを祈りつつ、足を進めることだけだ。村から出たことがない一刀だが、野盗を見たときに馬車が進んでいたところが道路のようになっていたことを覚えていたので、そこを辿っていけば街につくと考えていた。

 

「ふぅ・・・やっと到着だ」

 

一刀の考えた通り、道を辿った先にはそれなりの規模の街が存在していた。ただ、予想以上に時間がかかったことで疲労を感じるのは致し方ないことだろう。そこでしばらくもしないうちに野菜を扱っている店を発見する。一刀は早速交渉を開始するのだった。

 

「うぅ~、結構値切られてしまった。貂蝉に頼んでこのへんの知識も教えてもらうべきだったな~」

 

交渉を終えて商談を成立させた一刀。相手の経験豊富な話術であれよあれよという間に値切られてしまい、結局相場の7割程の値段で売ることになってしまったのだ。もちろん、相手の話術が上手だったこともあるが、これだけが問題ではない。一刀はこのあたりの相場をしらなかったことも原因の一つだった。

これからは交渉や相場などの勉強もしなくてはと考えながら、一刀は今回の儲けで調味料や日用品、食料などを買って回る。さらに、一刀は今回とある店であるものを注文した。それは一週間後に出来るというので、後日また出荷するときに取りに来ることにして、その日は村へと帰るのであった。

 

 

 

一週間後・・・。

 

一刀は再び街を訪れた。今回もカブと平行して作っていたタマネギ、ニンニク、大根を携えて。まずは前回のリベンジとばかりに食料品店の店主との交渉である。一週間前の敗戦から一刀は勉強をし始め、今回が勉強の成果を確認する初めての実践だ。

 

「店主・・・再戦と行こうか」

「来たか、坊主。返り討ちにしてやるぜ」

 

この二人は案外中が良いのかもしれない。結論から言うとこの日も一刀の完敗で終わった。たかだか一週間勉強したくらいでは、長年店を出している人に勝てるわけがない。全く無駄でもないのだが。その証拠に今日は7割3厘の値段で売りつけることに成功していたからだ。僅かにであるが、勉強の成果が発揮できたといえるだろう。むしろ、僅か一週間で成果を出せたことは驚愕に値するかもしれない。

 

「くっそ~・・・今日も完敗だったな~」

 

経験豊富な商売人との戦いに本気で悔しがる様子には呆れるしかない。そんなとき、一刀は出くわしてしまう。最近増え続けている野盗という存在と。

 

「ま、待て!そ、その積荷をおいてけ」

「そ、そうだぞ。痛い目見たくなければ積荷を寄越すんだ」

「そうよ。一人で私達5人相手に勝てると思ってるの?」

 

気がつくと一刀は5人の男女に囲まれていて、それぞれが武装していた。考え事をしていた一刀は一度目も無事に帰宅できたこともあり警戒心が緩んでいたのだ。少しでも警戒していたら、囲まれるまで気づかなかったなどという失態を犯すことなく、逃げるなり助けを求めるなり出来ただろう。そんな後悔をしても後の祭り、今はこの危機的状況をどう乗り切るかである。死にたくはない・・・が、せっかく丹精こめて作った作物から得た利益だ。こんなやつらに渡したくもない。渡すわけにはいかないという思いとは裏腹に一刀の状況はあまりにも不利であった。

 

「これは俺が汗水たらして得たものだ。お前達にただで渡せるわけないだろ!」

 

どう考えても勝ち目のなさそうな状況に覚悟を決めて玉砕覚悟で抵抗しようとした一刀。

そんな一刀に救いの手が差し伸べられる。

 

「そこの貴様ら!何をやっている!!」

 

まさに両側が激突しようという雰囲気になった場に一つの凛々しい声が割って入った。

 

「一人によってたかって物を奪おうとは、その腐った精神を叩きなおしてやろうか!」

 

一刀を背に庇うように一人の美しい黒髪をサイドに纏めた少女が、野盗に立ちはだかった。野盗達は思わず足をとめてしまう。少女の放つ力強い眼差しに、その手に握られている偃月刀の迫力に、何よりも少女が醸し出す圧倒的な殺気に。相手が一刀と変わらぬ年頃の少女一人というのに本能が“こいつには絶対勝てない”と告げたのか野盗達は回れ右で逃げ出そうとしていた。

 

「逃がさないのだ!」

「略奪はいけないことだと思います!」

 

野盗達の進路を塞ぐように新たに少女二人が立ちはだかる。一刀より年下の赤毛の少女とおっとりとした顔立ちの黒髪の少女と同年代くらいの女の子だ。が、これまた野盗達は足を止める。おっとりした少女は見た目通りだろうが、赤毛の少女が何気なく放つ殺気とその背丈にはあまりにも似つかわしくない長い矛の存在感を前にしては、体がそれ以上進むのを拒否するかのように動けなくなってしまったのだ。

野盗のとれる行動は・・・降参しかなかった。

 

 

「すいませんですだ~~~!!」

「私達が生きていくにはこうするしかなかったんですぅうう」

「本当はやりたくなかったんだ。だけど、こうしねぇと明日食う飯もねぇんだよぉおお」

 

野盗は武器を捨て泣きながら土下座する。それに対しておっとりとした少女は肩の力を抜いて息を吐いているが、偃月刀と矛を持った少女は油断なく構えたままだ。野盗の言うことは信じられないと言わんばかりの姿勢である。これは、狡猾な者であれば気を抜いた瞬間に斬りかかられて死ぬ可能性があることを理解しているからの行動である。その後、野盗達は赤毛の少女によって縄で縛られるのだった。

 

「助けてくれてありがとう。なんとお礼をしていいやら」

「いえ、たまたま我らは通りかかっただけだ。お気になさるな」

 

一刀は自分と積荷を助けてくれた少女達にお礼を言うと、少女達を代表して黒髪の少女が答える。

 

「そういえば、この者達はどうしましょうか?この街の警邏の者に引き渡しますか?」

「「「「「ひぃい!!」」」」」

 

黒髪の少女の言葉に野盗達の小さな悲鳴が上がる。一刀は少し考えた後、縛られて座り込んでいる野盗達に近づき、同じ目線になるようにしゃがみこんだ。黒髪の少女は注意しようと思ったが、相手が縛られているということを考えそのまま無言を貫き一刀が何をするのかを見守る。ただし、いつでも飛び出せるように心構えは忘れていない。

 

「君達はどうして野盗をやっていたのかな?」

「お、俺らにはもう金も飯も家も何もかもないんだ」

「働けど働けど、重い税を払うことで精一杯で、手元に残るものは何もない」

「明日のご飯でさえなくなって・・・仕方なく」

「でも、略奪はいけないことだ」

「それでも、死にたくなかったんだ」

 

彼らも元は農家の人たちだった。しかし、今の時代の重税に払いきれず野盗になるしかなかったという。いわば、彼らもこの時代の被害者と言える。またしても考え込む一刀。

黒髪の少女と赤毛の少女、おっとり少女は一刀が何を考えているかさっぱりわからない為、黙って見守るしかない。

 

「もう、これに懲りて野盗から足を洗うかい?」

「それも出来ない。生きる為には野盗をやらなけりゃ・・・」

「生活を保障できればやらない?」

「ああ。俺らも好きでこんなことやってるわけじゃないんだ。でも、そんなこと無理だべ」

「よし、わかった」

 

野盗達の話を聞いた一刀は大きく納得すると、こうのたまった。

 

「君達は俺の村で働いてもらうよ!」

 

 

一刀の発言にその場の全員は凍りついたように固まる。まさか、命を狙った相手を自分の村に招待しようとする命知らずが目の前に存在するなんて夢にも思わなかったからだ。

その中で、発言した当の本人はじっと答えを待っていた。

 

「そ、それはどういう意味ですか?」

 

理解が追いつけておらず、思わず質問を返してしまう野盗。その場の全員が首を立てに振っていた。さりげなく、後ろで見守っていた少女達も同じく縦に振っている。

その質問に一刀はにっこりと笑って答えた。

 

「そのままの意味だよ。君達に俺の村・・・って言えるのか?とにかく、一緒に来てもらって、農耕をしてもらおうってこと。元は農家だったんでしょ?だったら問題ないしね」

「よろしいのですか?あやつらは一度、あなたを襲ってきているのですよ?」

 

一刀の言葉に思わず口を挟んでしまったのは、後ろの見守ってくれていた黒髪の少女である。一度襲ってきた相手を罪を不問にするどころか、自分のとこで働けという始末。正直わけがわからないのである。

 

「いいんだよ。彼らも生活が保障できれば野盗なんてしないって言ってるし。その言葉を信じる」

「嘘かも知れませんよ?」

「それならこっちにも考えがあるから大丈夫。さすがに襲われてるから、全面的に信頼するのは厳しいからね」

 

黒髪の少女と話を終えると、再び野盗達に話かける。

 

「話の続きだけど、俺のとこにくるかい?住む場所と食べ物は保障するよ」

 

一刀の話はそれで終わった。野盗達は少し逡巡し、話し合う。このままでは警邏の者に引き渡されて牢屋に入れられることは確実。そこから何をされるかわからない。対して、この男の話を受け入れれば、明日食べる食料を心配する必要がない上、どれほどかわからないが収入も手に入れられるようだ。でも、信用できるのか?意見は様々でたが、10分間話し合った結果。

 

「私達を雇ってもらえますか?」

 

一刀の提案を受け入れた。

 

「はぁ。こうなっては仕方がない。私達も同行しましょう。せっかく助けたのに道中で斬られてしまっては、私たちの行動が無駄になってしまう。二人とも、いいですか?」

「うん。私達の目標はみんなが笑って過ごせる世を作ることだもん。困ってる人は助けないとね」

「お姉ちゃんが賛成なら、反対する理由がないのだ」

 

一刀達の様子を黙って見守っていた少女達はここで初めて会話に参加する。黒髪の少女は一刀のやりとりにため息交じりに、他二人の少女は状況を良く理解していないらしく、黒髪の少女が何故ため息をはいているのかわからず首を傾けながら。こうして、少女達も一刀の村へ同行することになったのだった。

 

 

 

 

 

お久しぶりです。

ようやく女の子キャラを登場させることが出来ましたよ。

 

まだ、名前が出てませんけどね。

誰だかはみんなわかるはず。

次回はちゃんと自己紹介させる予定です。

 

 

物語の更新についてです。

たぶん、2週間に一回のペースでの投稿になると思います。

今回の分量で1週間と少し。

後、少し分量を増やそうと思っているからです。

もしかすると3週間になるかもしれませんが・・・。

 

一ヶ月に一回は更新したいと思ってます。

 

 

さて、あとがきには他に何を書いたらいいのだろうか?

毎回ここを書くときに悩みます。

 

あまりに短いと紹介文を書く欄で用件が済んで、ここで書く意味がないですからね。

 

もう少し話が進めば、誰の話を書いて欲しい~とかリクエストや、登場人物の設定など

書けるんですけどね。

まぁ、まだ序盤ですから。難しいですね。

 

では、今回はこのへんで。

次回予告。

 

本日登場した女の子三人との自己紹介

野盗達の新生活

新たな出会い

 

以上の三本となる予定です。

ありがとうございました。


 
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