No.121653

涼州戦記 ”天翔る龍騎兵”3章13話

hiroyukiさん

アハ、アハハハハハハハハハハ……(ばたっ)
今回の話しを書き終えた時の作者の心境です。
それはさておき、今回、翠が絶対絶命の危機に陥ります。
それを助けに来る白馬の王子様は…ジャカジャン!
白蓮「白馬と言えば、当然のことながら白馬長史と謳われる私の出番だ!」

続きを表示

2010-01-31 20:42:26 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:7064   閲覧ユーザー数:5452

第3章.過去と未来編 13話 馬超危機一髪

 

「とりあえずここまでは何も仕掛けてこなかったわね」

 

やや薄曇りの空の下、曹操軍は済北の城を出立し陳留へと向かっていた。

 

鮑信の軍勢1万を取り込む予定だったのだが……

 

「えーーーー、全部持ってくのーいやーーやめてーー馬騰が来る、馬騰がーー(ゴスッ)」

 

「……申し訳ありません…ですが万一のことがありますので半分ほど残して頂けないでしょうか?」

 

という鮑信側の要望?により半分を残して5千を組み込み曹操軍は総数3万になっていた。

 

「そう言えば、秋蘭。仁礼(鮑信の真名です)どうしたの?」

 

空に向けていた視線を後方に移した曹操はふと思い出したように夏侯淵に問いかける。

 

問われた夏侯淵は苦笑いをしながら

 

「汜水関で死にそうな目にあった上、馬騰殿が立ち寄った際にひと悶着ありまして…どうも精神的に…」

 

「…あの人はまったく…それにしても仁礼も困ったものね。頭はいいんだけど心の方がね」

 

やれやれと前を向く曹操だが、その心は既に馬超達との戦いへと向いていた。

 

「(董卓と劉備は当面封じ込めた。孫策や劉琦が援軍に来るとしても10日以上はかかる。さあ、1万余の兵でどう抗うか馬超、お仲間は当てにできないわよ)」

 

その後、しばらく行軍した後本日はここまでということで夜営の準備に入ったのだが、曹操達を監視するように見つめる者達がいることには気づかなかった。

 

 

「隊長代理、どうやら奴ら寝たようです」

 

「そうか、では後1刻ほどしたら作戦を開始するぞ。各自準備を怠るな」

 

さて、ここで馬超というか郭嘉、程昱の考えた策について説明しておこう。

 

特にややこしいものではない、孫策、劉琦の援軍が到着するまで時間を稼ぐべく曹操軍の足止めを行うのであるが、その足止めの方法が難しいのだ。

 

こういう場合、定石として輜重隊を叩く等して補給を断つことや橋や崖を崩す等して進軍を妨害することが上げられるが今回はほぼ不可能である。

 

なぜなら済北-陳留、陳留-陳においてはほぼ平原で橋や峡間はない。

 

それに曹操軍は自領内を進軍している為、輜重隊を叩いたところで近隣の町や村から補給することが出来、余り影響はないのである。

 

予州の奥深くまで曹操軍を引き込むことにより曹操軍の補給線を延ばすと共に孫策、劉琦との合流を早めるという方法も考えられるのだが、今回は予州の事情によりこの方法はとれない。

 

予州の事情、それはそれをやると予州の豪族が曹操に靡きかねないということである。

 

馬騰の統治に予州の豪族達は素直に従ってはいたもののそれは馬騰軍の力を恐れてのもので心からの臣従ではない。

 

馬騰が重傷を負い、中核が壊滅した今、ここで引くようなことをしたら馬騰軍の弱体化を表しているようなもので豪族達の離反を促しかねない。

 

引くに引けないところまで追い詰められた馬超に郭嘉と程昱が提示した方法とは?

 

ちなみに足止めの方法を話した時の馬超と馬岱の反応はというと

 

「お、おい!こんなことして大丈夫なのかよ?」

 

「んー、まっ死ぬ訳じゃないからいいんじゃない?」

 

というものだった。

 

さて、曹操軍が寝静まってから1刻ほどした頃、

 

「そろそろいいだろう、いくぞ!」

 

隊長代理の声と共に全身黒尽くめの男達が闇夜の下、曹操の陣へと駆けて行った。

 

 

次の日の朝

 

朝餉の用意が始まっている。

 

静かだった陣は朝の喧騒を露にし人々は慌しく走り回っている。

 

1人の少女が数人の兵士を引き連れ、朝餉の用意をしている輜重隊の所へ走りこんでくる。

 

「華琳様や将軍様達の朝餉の用意は済んでますか?」

 

「あ、はい!そちらに出来てます」

 

彼女の名は典韋、許緒と共に親衛隊の隊長を務める武将である。

 

幼い姿ながら伝磁葉々という大の大人でも使いこなすのが難しい武器を使いこなす武と天才的な料理の腕を買われて曹操に仕官したのであるが。

 

「皆さん待ちくたびれているかもしれません。急ぎましょう」

 

そういうと典韋は朝餉の乗った膳を左右にそれぞれ持つと兵士を引き連れ曹操の天幕へと駆け出した。

 

曹操の天幕へと駆けていた典韋だが、途中で膳に乗っている朝餉をふと見た時何かを感じたようで首を傾げた。

 

典韋の後にいた兵士はなんだろう?と思ったのだが典韋はそのまま天幕の中へと入って行った。

 

しばらくして天幕から出て来た典韋は兵士と共に輜重隊へと駆けて行った。

 

その様子を昨夜陣に潜入していた馬超と共に戻ってきていた一刀の部下達が離れた所から望遠鏡で見ていた。

 

「どうやらうまくいったようだな」

 

「でも、えげつない策だよな~」

 

「郭嘉殿達が我らの軍師でよかった」

 

望遠鏡には慌しく動き回る曹操軍兵士が映っていた。

 

腹を押さえながら蹲る者や肩を担がれながら天幕へ歩く者、陣内は騒然となっていた。

 

もうおわかりと思うが彼らが昨夜潜入してやったこと、それは曹操軍の糧食に毒を仕込むことであった。

 

毒と聞いて「えーー」と思う方もいるかもしれないがそこはご安心あれ、命に関わるようなものではなく単なる下剤なのだから。

 

さて、なにはともあれしばらく様子を見た後4名を監視に残し他の者達は本拠地の陳へと帰っていった。

 

 

最初に帰ってきた部下の報告を聞いた馬超、郭嘉、程昱は策の成功に安堵したのだが、その次に帰ってきた部下の報告を聞いて困惑し早速軍議を開くことにした。

 

「策はうまくいったと思ったんだけど、どうしたものかな」

 

「ええ、これで3,4日は稼げると思っていたのですが」

 

毒(下剤)により多くの将兵を一時戦闘不可にし時間を稼ぐ予定だったのだが2番目に帰ってきた部下の報告、曰く

 

「曹操軍の半数が進軍を開始、残りの半数は近隣の町や村に分散して運ばれている」

 

により状況が変わってしまった。

 

半数とはいえ約1万5千、馬超達とほぼ同数であるが陳留まで辿り着けば残してきた予備を組み込めば上回るのは自明の理だ。

 

「考えることないんじゃない?こちらと同じ数になったんだし、進軍してくる中に騎馬隊はいないってことだし叩いちゃおうよ!」

 

馬岱の言うとおり、今なら将も数名抜けているし叩くなら絶好の機会なのだが

 

「お待ちください!この戦いは負ける訳にはいかないのです。陳留の予備戦力と合流したとしても2万強というところ、その戦力で予州に攻め込むのは無理。必ず残してきた部隊の回復を待ちます。だから焦る必要はないのです!」

 

郭嘉の言うことももっともな話である。

 

馬超達の現状を考えれば今無理するよりも必勝の態勢を構築するべきで待てば援軍が到着するのだからそれを待つべきなのだ。

 

両者の意見はもっともである為馬超は迷った。

 

史実や演義の馬超はどうだかわからないがこの世界の馬超は基本的には猪である。

 

だから本心としては馬岱の言うように半数に減った曹操軍を叩きたいのだが馬騰が戦場に立てない以上馬超が総大将となるのだ、全軍の命を預かる責任を思えば軽々しく自分の好みで決める訳にはいかない。

 

迷った馬超はまだ一言も発言していない程昱の意見を聞くべくそちらに顔を向ける。

 

「ぐー」

 

「寝るな!」

 

「おおぅ、まじめに考えてる翠さんを見てたら思わず睡魔が…」

 

「…どういう意味だよ…」

 

「いえいえ~そこは聞き流す方向で…さて、攻めるべきか待つべきかということですよね~?」

 

「なんか釈然としないけど、風はどう思う?」

 

「そうですね~」

 

 

馬岱の言うとおり策が成功し曹操軍の戦力が半減した上、進軍しているのならこれを叩くのも悪くないだろう。

 

相手が1万5千なら騎馬隊9千騎だけでも十分相手取ることはできるし、策が成功したという勢いを生かすのはもっともだ。

 

しかし元々この策は曹操軍の足止めを狙ったものなのだ。

 

郭嘉の言うとおり目的は十分に達したのだから予定外の攻撃による戦果拡大と欲張るのはいかがなものか?それに…

 

「それに~半数での進軍、罠の可能性があるのですよ~」

 

郭嘉や程昱の予想では策が成功した場合、曹操軍はその場で防御を固めて回復を待つか、近くの城もしくは砦に拠って回復を待つはずだった。

 

しかし健在な半数で進軍してきた。

 

一刻も早く陳留の予備戦力と合流したいというのはわかるが馬超達の主力が騎馬隊というのはわかってるはず。

 

その機動力を生かして合流前に叩きにくるのが予想できないはずがない。

 

それに曹操側としては援軍が着く前に馬超を叩きたいはずで半数での進軍は誘き出す為の餌の可能性が高い。

 

「う~~ん」

 

程昱の話しを聞いても馬超は迷っていた。

 

いや、迷っていたというのは少し違うかもしれない。

 

馬超自身半数となった曹操軍が進軍したという報告には違和感を感じていたのだ。

 

その違和感がなんなのかは郭嘉と程昱の説明によりはっきりとわかり待つべきと理性は判断しているのだが、感情の部分がそれを否定する。

 

自分達を逃がす為散っていったホウ徳達7百騎の仇が戦力を半減させており絶好の機会が目の前にある。

 

これを討たずしてなんとする、それに大陸最強の涼州騎馬隊はまだ9千騎いる、1万5千の歩兵ならこれで十分だと心の奥のなにかが馬超を煽ってくる。

 

だがと馬超は思い留まる。

 

その騎馬隊の最強の所以は馬騰の統率力、武力そしてホウ徳達部隊長による部隊間の連携といったものによる処が大きい。

 

しかし今それはない、当然騎馬隊の力は落ちる。

 

それにここでの負けは馬超だけでなく董卓や劉備をも窮地に追い込むことになる。

 

馬騰の名代として同盟全てに責務を負うこととなった馬超はなんとしても感情を押さえ込まなくてはならないのだ。

 

「蒲公英、ここは援軍を待とう」

 

苦渋の顔で決断する馬超に馬岱は驚く。

 

「へぇ~~猪のお姉様が待つなんてびっくりした、成長してるのかな?」

 

「いえいえ~寧ろここまで翠さんを調教したお兄さんの手腕に驚きますね~」

 

「…こら、調教とか言うな!?」

 

唖然とする馬岱、からかう程昱、顔を真っ赤にする馬超。

 

緊迫していた場が緩んでいく…はずだったが

 

「調教…一刀殿が…翠殿を…鞭で……ぶはっ!」

 

「わぁーーー稟―!衛生兵―衛生兵―!!」

 

緩んだ場は一気に混乱した。

 

「…ねえ、風ちゃん。わざとやってるの?」

 

「ふふふっなんのことでしょう~」

 

 

進軍中の曹操軍にて

 

「華琳様、密偵より報告です、馬超に動く気配なし」

 

「あら?猪とのことだったけど意外に自制心があるようね」

 

荀彧の報告に曹操はにやりと不敵な笑みを浮かべる。

 

「いかが致しますか、華琳様」

 

「特に変更はないわ、予定通りに進めなさい。なんとしても馬超を引っ張り出すのよ」

 

「御意!」

 

荀彧は周りの伝令に指示を出し伝令達は四方へと散っていった。

 

「ふふふ、なんとしても相手してもらうわよ馬超、いえ…」

 

曹操の呟きは周りの喧騒にかき消され、最後の言葉は誰にも聞こえなかった。

 

 

 

馬超達が軍議を行った次の日、城は慌しさを増していた。

 

「馬騰討ち死にの噂が流れており梁や沛などの豪族に不穏な動きが見える」

 

との知らせとともに董卓軍より早馬で次のような伝令がきていた。

 

曰く「司州を窺っていた袁紹軍が兗州方向へ移動し出した。注意されたし」

 

馬超達は再び軍議を開くことになった。

 

「稟、かなりやばい状況じゃないか?」

 

「翠殿、残念ですがその通りです。菖蒲様のことは洩れないよう注意を払っていたのですが、恐らく曹操が流したのでしょう」

 

予州を短期間で掌握できたのは馬騰のカリスマによる処が大きい。

 

その馬騰が死んだとなれば今まで従って来た豪族がそろって離反する恐れがあるのだ。

 

実際、馬騰は死んでないが姿を見せることができないとなるとその噂が信憑性を増してしまう。

 

このまま座しているのは予州の崩壊を意味する、それを打破するには

 

 

「もはや打って出るしかないということだな、稟」

 

「ですが!」

 

灰汁まで馬超を止めようとする郭嘉は反論しようと立ち上がるが

 

「まあ、聞いてくれよ。稟」

 

馬騰が馬超によく言い聞かせていたことであるが、

 

自分達は民が汗水垂らして得たものを税として徴収する。

 

しかしそれは自分達が偉いからとか強いからとかではなく民達の生活を守る為に徴収しているのだ。

 

そして民達も自分達の生活を守ってくれると信じているから税を納めてくれるのだ

 

だからいざという時は命にかけても守らなければならない。

 

「そして豪族達も民なんだよ」

 

その豪族達が離反するということは自分達に豪族達を守る力がないと見限られたことになる。

 

郭嘉は例え予州の北半分を曹操と取られたとしても援軍と合流できれば奪い返すこともできると思っているのかもしれないが、それでは民達を戦いに巻き込むことになりその生活を壊してしまう。

 

奪い返すことができたとしても見限られ、生活を壊してしまった自分がどうしてここに居られるのか。

 

見限られるのは仕方ないとしても自分の手で民の生活を壊したくない。

 

「だから、もう此処に至っては打って出るしかないんだ」

 

「翠殿…」

 

馬超の独白に郭嘉は言葉を失い、場はしーんとなる。

 

それまで無言だった(寝ていた?)程昱が徐に声をかける。

 

「軍師としては稟ちゃんが言おうとしてたように退いて援軍と合流することをお勧めしますけど~でも翠さんのその民のことを思っての決断、嫌いではないですよ~多分稟ちゃんも同じだと思いますけど?」

 

「ふ、風!?わ、私は…ふぅ~仕方ありませんね、総大将がそう決断したのならそれに沿った最良の策を考えるのが私達軍師の仕事です」

 

「すまんな、稟、風。よっし!それじゃあ戦の準備だ!!」

 

馬超の掛け声と共に全員部屋から出て行き、それぞれの準備へと向かった。

 

 

2日後、準備の整った馬超達は兗州と予州の境へ進軍していた。

 

どうやら曹操軍も気づいたようでこちらへと進路を変えていた。

 

「翠殿、どうやら今の処はうまくいってるようです」

 

「うん、わかった」

 

今回の出陣に際し郭嘉と程昱は騎馬隊の機動力を生かすべく、歩兵5千は陳に残すことにした。

 

そして10騎で1つと為す隊を10編成しそれぞれに望遠鏡を持たせて曹操軍の進路に配置した。

 

これにより曹操軍の斥候を徹底的に潰すと共にその動きを監視させたのである。

 

これが功を奏し先の様子がわからず奇襲を警戒してか曹操軍はその進軍速度を落としていた。

 

「戦うとしても開戦は少しでも遅らせた方が我らにとって有利になりますから」

 

とそこに斥候に出ていた兵が帰ってきた。

 

「只今、帰りました」

 

「応、向こうはどうだった?」

 

「はっ、陳留の予備兵力約5千出てきました」

 

「んっ、わかった。ご苦労だが一休みしたら戻ってそのまま監視せよと伝えてくれ」

 

「はっ!」

 

下がっていく兵を見送った馬超は郭嘉の方を向く。

 

「やっぱり出てきたか、これで仕掛ける時期が決まったかな?」

 

「そうですね…曹操軍が今の速度で進軍するならば3日後には合流するでしょう。ならば2日後に仕掛けましょう」

 

「よし!じゃあ明日中に接敵予定地点に移動し待ち伏せるぞ」

 

2日後、曹操軍は予州との州境に到達しようとしていた。

 

「しかしここまで馬超が手を出さないとは驚きね」

 

「はっ、でもそれもここまででしょう。我らが州境を越えたのにそれを座して見ているようでは求心力を失うことになりますから今日にでも攻めてくるでしょう」

 

前方を見ながらの曹操の呟きに傍にいた夏侯淵が律儀に答えた。

 

馬超達に斥候を悉く潰された為、ゆっくりした進軍となっていたが今日にも州境を越えようかという所まで到達しており曹操は焦ってはいなかった。

 

「秋蘭、『アレ』の準備はどうなっているかしら?」

 

「先ほど連絡が入りまして準備は整っておりこちらの合図待ちとのことです」

 

「ふふふ、後は馬超待ちということね」

 

『アレ』とはいったいなんなのか?それはやがて起きる馬超との戦いの中で判明することになる。

 

 

1刻後、曹操軍の前陣が州境を越えようとしていた。

 

今、曹操軍は3つに軍を分けていた。

 

前に5千、後に5千、そして真ん中に5千。

 

曹操は中軍におり、その周りを1千が守り、その左右に2千を配置してどの方向から奇襲を受けてもすぐに対処できるようにしていた。

 

前軍が州境を越えたところでそれは起きた。

 

蒼天を貫き甲高い音を立てながら一本の矢が飛んできた。

 

それと共に前方から凄まじい規模の砂煙を立てながらかなりの数の騎馬隊がこちらに向けて突っ込んでくる。その旗印は「馬」である。

 

「敵襲!!敵襲!!」

 

飛び交う怒号、慌しく動く兵。

 

混乱が収まるとそこには迎撃態勢を整えた曹操軍がいた。

 

その様子を馬超は疾駆する馬上から見ていた。

 

「流石は曹操軍ってところか、槍隊を前に出し迎撃態勢を整えてやがる。蒲公英!予定通りに行くぞ!」

 

「うん!お姉様、がんばってね」

 

馬超と馬岱は声を掛け合うと前に向き直り、曹操軍まで1/4里(約100m)辺りまで来たところで左右に分かれた。

 

突っ込んでくると身構えていた槍隊は肩透かしを食らったように唖然とするのだが、横に回られたことに気づき隊形を変えようとするが間に合わなかった。

 

横に回った馬超達は弓を構えると猛然と矢を放ってきた。

 

ヒュン、ドスッ

 

「ぐわぁっ」

 

槍隊に降り注ぐ矢、辺りに響き渡る悲鳴

 

「弓隊、構え!」

 

しかし馬超、馬岱はそれに気づいたかのように曹操軍より離れていく。

 

「放て!」

 

馬超達は既に進路を変えており無人の地に矢が降る。

 

先手は馬超が取ることとなった。

 

 

1刻後、戦いは膠着状態に陥ろうとしていた。

 

うまい具合に先手を取れた馬超はそのまま曹操軍の後方へと移動し反転した所、後陣の隊形がまだ整ってないことに気づき今度は騎射の後そのまま突撃するつもりで突っ込もうとしたが曹操軍親衛隊所属の2百騎が機先を制して突っ込んできた。

 

多勢に無勢であったが2百騎は怯む事無く戦い、後陣の隊形を整える時間を作ることに成功する。

 

2百騎を片付け終えた時には後陣の槍隊は槍衾を形成し突っ込み辛い状況になっており、それを見た郭嘉は一旦馬超達を下がらせる。

 

馬超達を下がらせた郭嘉は馬超と馬岱に1千騎を率いさせて曹操軍を牽制させると、その間に5百騎を1隊として10隊に再編成し直した。(残りは予備として待機)

 

そしてそれを横一列にすると先頭の1隊を猛然と曹操軍へ向けて突撃させる。

 

馬超や馬岱に意識が向いていた槍隊は突っ込んでくる5百騎へと槍衾を向ける。

 

だが弓隊の射程距離に入ろうかというところで銅鑼が鳴り、5百騎は疾駆させたまま騎射を行う。

 

通常、騎射に使う弓は小型のもので普通の弓隊が使う弓よりも射程距離は短い。

 

しかし疾駆する騎馬の速度を上乗せすることにより射程距離を延ばした訳である。

 

届かぬと思っていた矢が降り注ぎ混乱する槍隊の前を騎馬隊は急制動を掛けると左右に分かれていく。

 

慌てて弓隊が矢を放つが騎馬隊は悠然とかわし後方へと立ち去っていく。

 

そこに次の隊が同じように突っ込んできては一斉射し後方へと立ち去る。

 

これを10隊が繰り返す。

 

全力疾走中の騎射である為、余り命中精度は良くなくある程度被害は与えているようだが寧ろそれよりも自分達の攻撃が届かないところから一方的に叩かれるという恐怖心の方が大きいようである。

 

10隊が一通り騎射した後、郭嘉は攻撃を止める。

 

曹操軍の様子を確認してみるがやはり命中精度は良くないようで戦闘不能となった兵士の数はおおよそ5百~千といったところであった。

 

郭嘉は考え込む。

 

やはりまともな調練を行っていない攻撃方法では効率が良くない。

 

だが相手の射程外から一方的に攻撃できる為これを続ければ曹操軍に継戦不可能な大打撃を与えることも可能だろう、但し矢が無限にあるのならば。

 

馬騰軍は元々突撃系の攻撃を得意とする為余り弓を使用せずそれ故に矢の備蓄が少ないのである。

 

この攻撃方法を思いついてより矢の備蓄を増やしていたのだがまだ始めたばかりで今回5千騎に10本ずつで5万本、馬超と馬岱に5本ずつで1万本、合わせて約6万本注ぎ込むのが精一杯だった。

 

このまま全矢を注ぎ込めば計算上は5千~1万の戦果を上げられることになりそれだけの損害を与えれば後は得意の突撃で止めを指すことも可能と思われるが曹操軍はそんなに甘くは無い。

 

もう既に盾を用意しており損害は減ることだろう、全矢を注ぎ込んで十分な損害を与えることができなかったら、後は突撃しかなくなる。

 

郭嘉としてはそれはなるだけ避けたかった。

 

突撃をかければどうしても損害は出る、ましてや曹操の精兵相手ではそれなりの損害は覚悟しなければならないだろう。

 

しかし騎馬隊は育成に時間と金がかかるのだ、鐙のおかげで従来より時間の短縮は図れているが。

 

騎馬隊に大打撃を受ければ一朝一夕には回復できない、それは騎馬隊を主力とする馬超達にとって死活問題なのだ。

 

そう思うと郭嘉は踏ん切りをつけられず、様子見の状態になっていた。

 

曹操軍の方は簡単で迎撃を主体にした軍構成の為、馬超が攻めてこない限り動きようがないのとある事情により時間を稼ぐ必要があった為である。

 

だが曹操本人にはかなりの忍耐力を必要とすることだった。

 

史実や演義の曹操がどうかはわからないがこの世界の曹操は武に関しては攻勢の人で守勢の人ではなかったのだが事情によりどうしてもしばらくは守勢に為らざるを得ず不本意な戦いを強いられていたのだった。

 

「秋蘭、今の攻撃 どう思う?」

 

「は、涼州の騎馬隊が精強なのはわかってるつもりでしたが、まさかここまでとは予想だにしませんでした。唯、なぜ一巡でやめたのでしょう?こちらの射程外からのあの攻撃を続ければかなりの損害を受けたはず」

 

「それは私も思ったわ。でもこの結果を見てその理由が大体わかったわ」

 

「結果?」

 

「あれだけ矢を放った割にはこちらの損害が少ない。おそらくあの戦法の調練が十分ではないのでしょう、へたをすればぶっつけ本番かもしれないわね」

 

「なんと!?」

 

その証拠に矢がかなりの広範囲に散らばっている、狙いが確かではないのだ。

 

その為、かなりの矢が無駄弾となっていた。

 

しかしこちらの攻撃が届かないところからの騎射、1,2割とは言え損害は与えている訳で続ければ無視できないような損害になるだろう。

 

ではなぜ続けなかったのか?

 

先ほど言ったようにぶっつけ本番だとしたら馬超達もこの戦法がどれだけの戦果を生み出すか知らない。

 

だから最初は一巡だけ行いどれだけの戦果を得られるか確かめてみたのではないか?

 

その結果、狙いが定まらず余り良くない。

 

でもほぼ無傷で相手に損害を与えられるのだ、際限なく続ければかなりの損害を与えられるだろう。

 

ではなぜ続けなかったのか?それは際限なく続けられない、つまり矢の備蓄が心もとないからではないか?

 

「となると何れ突撃を仕掛けてくるわね…秋蘭、その時こちらも仕掛けるわよ!」

 

「はっ!」

 

その後、曹操と夏侯淵は簡単な打ち合わせを行い、夏侯淵は前線の指揮へと戻っていった。

 

 

その頃、馬超と馬岱も隊を副官に任せ、郭嘉の所へ戻っていた。

 

「稟、余り戦果は良くないようだな?」

 

「翠殿、ええ、やはり無理があったようですね」

 

「でも、蒲公英が見た限りじゃ一巡で5百~1千は戦果があったみたいだよ?このまま続ければ槍隊の半分くらいは潰せるんじゃないの?」

 

しかし馬岱の問いに郭嘉は首を左右に振りながら答える。

 

「いいえ蒲公英殿、そういう訳にはいかないと思いますよ。先ほどのは相手の虚を衝くことができたからこそ狙いが定まらずともそれなりの戦果を出すことができましたが、次からはそうはいかないでしょう。ほら、御覧なさい、もう盾の用意をしています」

 

と言うと郭嘉は視線を曹操軍へと向け馬超、馬岱もそれに倣うとそこには盾の準備をしている曹操軍の姿があった。

 

「でも…じゃあどうすればいいの!?」

 

馬岱の悲痛な声に馬超も郭嘉も声が出ない。

 

少し沈黙が続いた後、搾り出すように馬超が言う。

 

「やはり数巡騎射した後、機会を捉えて突撃かけるしかないんじゃないか?」

 

しかし先ほどの感じでは数巡で槍隊の槍衾を崩すのは難しいと言わざるを得ない。

 

そしてその状態で突撃すれば例え槍隊を突破できたとしてもこちらの損害も馬鹿にならないものになり、万一その攻撃で曹操を討つことができなければ馬騰軍は打つ手がなくなってしまう。

 

「ですからギリギリまで…」

 

「失礼します!後方に放っていた斥候より伝令が来ております」

 

必死に馬超を説得しようとする郭嘉の声を遮って兵が伝令の到着を告げる。

 

「伝令?……まさか!?」

 

「ほ、報告します!陳留方向より約2万の大軍がこちらに向かって来ています」

 

驚愕する郭嘉の前に伝令が走り寄り内容を伝える。

 

「2万だと!?旗は見えたのか」

 

「夏侯の他に楽、李、于の旗を確認しました」

 

その報告を聞いた郭嘉は顔を青ざめる。

 

「くっ…後どのくらいでこちらに着く?」

 

「はっ、あの勢いでは2刻もしない内に着くと予想されます」

 

「…わかりました、ご苦労でした、下がっていいです」

 

「はっ!」

 

報告を終えた伝令は離れていった。

 

 

「おい稟、陳留の予備兵力は5千じゃなかったのか?」

 

「翠殿、申し訳ありません。曹操に謀られたようです…」

 

夏侯惇、楽進、李典、于禁、この4将は郭嘉の毒(下剤)を用いた策で離脱を余儀なくされたはずだった。

 

ところがその4将が2万を率いてこちらに向かって来ている、それが意味するところは。

 

そう、曹操軍は策に引っかからなかったということで、寧ろその策に乗じて馬超達を誘き出し、出てきた所を叩こうとする曹操の策に嵌ってしまったということである。

 

ここで郭嘉の名誉の為に言っておくが今回の策、現在の曹操軍以外だったらほぼ成功していた可能性が高い。

 

郭嘉が今回の策で用いた毒(下剤?)は飲料水に混入したのだが、その状態では無味無臭で恐らく誰にもわからないだろう。

 

だが熱を加えるとほんの僅か、ほんの僅かであるが酸っぱい匂いがするのである。

 

唯、郭嘉も確認し何人かの人にも確かめてもらったが、微量すぎて殆どわからず唯一わかったのが予州でも1,2を争う料理人で味覚や臭覚に絶対の自信を持つ人物だった。

 

行軍中の軍にそのような一流の料理人が居るとは思えず、この匂いについては問題無しとしていたのだが曹操軍には曹操と典韋という一流の料理人が2人居たわけである。

 

さて、それはさておき馬超は追い詰められていた。

 

「稟、2刻もないとなるとやるしかないようだな」

 

「…残念ですがそのようですね」

 

馬超と郭嘉は向き合うと大きく頷いた。

 

「よし!皆聞け!これより乾坤一擲の攻撃をかける、我が母馬騰と皆の先輩であり兄貴分であった精鋭7百騎を騙まし討ちした曹操軍に皆の怒りをぶつけてやれ!」

 

「「応!!」」

 

掛け声と共に各騎は列を整えなおし攻撃開始の銅鑼を待つ。

 

馬岱達が持ち場に着いたのを確認して馬超は手を挙げ振り下ろす。

 

「攻撃開始!!」

 

ジャーン、ジャーン

 

銅鑼の音と共に一隊が動き出し瞬く間に全速力になる。

 

馬超の乾坤一擲の大勝負が始まった。

 

……………

 

2巡目の騎射が終わったところで馬超と郭嘉は状況確認の為攻撃を一旦止め曹操軍の様子を見る。

 

「稟、思ったよりは削れてるんじゃないか?」

 

「そのようですね、まだこちらの攻撃に慣れていないのか盾が有効に使えていないようです」

 

見ていると曹操軍槍隊の後方では負傷して戦闘不能になったのか担がれたりしながらより後方へと兵を慌しく移している。

 

「よし、じゃ攻撃続行だ」

 

再び攻撃が始まる。

 

それから3巡したところで馬超が郭嘉に話しかける。

 

「稟、もう十分だ。そろそろ行くぞ!」

 

「わかりました、翠殿、御武運を」

 

馬超は郭嘉から離れ3番目の隊の真ん中に移動する。

 

「前2隊は騎射の後左右に分かれ蒲公英達に合流、その後機会を見て突撃せよ」

 

「応!」

 

「3,4,5隊はあたしと共に鋒矢陣を組み突撃、槍隊を突破し、そのまま敵本陣を目指す」

 

「応!」

 

「残りの隊はあたし達の後ろに続いて槍隊を突破後、左右に分かれて槍隊の後方を蹂躙してやれ!」

 

「応!」

 

兵達の気合の入った掛け声を聞いた馬超は前を向き号令をかける。

 

「いくぞ!!攻撃開始!!」

 

一番隊、二番隊と疾駆しながら騎射をし左右に分かれる。

 

そして二番隊が左右に分かれて前面が開いた。

 

馬超は鋒矢陣を組みそのまま曹操軍へと突撃する。

 

「うらぁぁぁぁーーー」

 

また騎射かと盾を構えていた曹操軍兵士はそのまま突っ込んでくる馬超達を見て慌てて槍衾を形成しようと混乱する。

 

それを見て取った馬超は(よし、いける!)と思い、そのまま突っ込もうとする…が

 

「突っ込め……えっ」

 

混乱していたはずの曹操軍槍隊は馬超達に道を譲るかのごとく左右に分かれていく。

 

開いた道を通り過ぎた先に馬超が見たものは・・

 

姿勢を低くしながらも槍衾を形成する槍隊とその後ろからこちらを狙う弓隊だった。

 

「まずい!左右に反転しろ!」

 

「放て!」

 

 

降り注ぐ矢の雨。

 

馬超はその馬術を発揮し辛うじて回避したものの3,4,5番隊は悲惨だった。

 

降り注ぐ矢を全身に受け絶命する者、回避しようとして隣の騎馬とぶつかり落馬する者

 

反転できずにそのまま突っ込み槍衾の餌食となる者、なんとか回避することに成功した数十騎を残して壊滅した。

 

馬超達にとって最悪なのは後続の5隊が止まりきれずに突っ込んでしまっており、壊滅した3,4,5番隊を含めて約4千騎が馬超ごと包囲されてしまったことである。

 

「ふふふ、包囲してしまえば助走して加速することはできず突破力を奪ったも当然、馬超、ここまでよ」

 

槍隊は既に内側に向けて槍衾を形成しており、機動力を奪われた馬超達に逃げ場はなかった。

 

「(ちくしょう、あたしはここまでなのか?)……一刀―――」

 

馬超の悲しき叫びが辺りに木霊する。

 

絶体絶命の危機、錦馬超ここに死すのか?

 

手を揚げた弓隊の指揮官(本来は夏侯淵であるが槍隊の指揮を行っている為、夏侯淵の副官(典韋ではありません)がやってます)が馬超の命を奪うべく手を振り下ろそうとした正にその時。

 

ヒュン

 

一筋の閃光が兵達の隙間を縫い、指揮官に襲い掛かる。

 

ドスッ

 

「ぐっ」

 

ばたっ

 

それと共に弓隊に矢の雨が襲い掛かる

 

ザー、ドスッドスッ

 

「「ぎゃあああ」」

 

その衝撃で番えていた矢は在らぬ方向へと飛んでいく。

 

「何事!?」

 

矢が飛んできた方向に視線を向ける曹操の目に映ったのは…

 

翻る「孫」の字が入った真っ赤な牙門旗、今、正に周囲を囲んでいる槍隊に突っ込まんとする騎馬隊、その先頭を疾駆する凄まじい殺気を撒き散らす桃色の髪の女性、そしてその横で弓を背負いなおしつつ同じく疾駆する太陽光を浴びて光り輝く白い服を着た一人の男であった。

 

 

「翠―――」

 

ドカーーーン

 

槍隊の兵士は意識が内側に向かっていた為、一溜まりも無く吹き飛ばされる。

 

そのまま槍隊を突き抜けた騎馬隊は左右に展開して開けた穴を広げに掛かるが、白い服を着た男のみ馬超の元へと向かう。

 

「翠―、大丈夫か!?」

 

「一刀!なんでここに?」

 

そう、やって来た男は天の御使いにして馬騰軍軍師、北郷一刀。

 

そして桃色の髪の女性は、

 

「雪姉まで」

 

孫策である。

 

「翠、話しは後だ。今は皆を包囲から救い出すのが先だ」

 

そう言ってまだ言い募ろうとする馬超を止めると周りを見回す。

 

「皆聞け!!直ちに開けた穴より脱出する。馬を失った者は近くの者の後ろに乗れ、怪我をした者は周りが助けてやれ。時間がないんだ、どんどん行け」

 

兵達は次々と駆け出し包囲を抜け出していく。

 

そして最後に生き残りがもういないのを確認し一刀は馬超と共に駆け出す。

 

「俺達で最後だ、行くぞ!翠」

 

「応!」

 

そして開けた穴を維持していた孫策達と共に鮮やかに陳の方向へと去って行った。

 

後に残ったのは2千に届かんとする死体と混乱から立ち直ろうとする曹操軍のみであった。

 

「逃げられたか…」

 

馬超達の去っていった方向を見ながらの曹操の呟きは蒼空に消えていく。

 

「華琳様、申し訳ありません」

 

夏侯淵が曹操の前に跪き謝罪するが曹操は口の端を吊り上げ不敵な笑みになる。

 

「ふふ、謝罪は無用よ。それに馬超との戦いがこの一戦で終わってしまってはつまらないでしょう?」

 

見上げる夏侯淵に微笑みを向けた後、曹操は視線を周囲に一通り向けて

 

「全軍で戦場掃除をしつつ春蘭達を待つ。合流の後しばらく進軍して野営を行う」

 

と言った。

 

戦死者数 馬超:約千 曹操:約五百

 

馬超対曹操の戦いの第一回戦は曹操の勝ちであった。

 

 

<あとがき>

 

どうも、hiroyukiです。

 

はあっ、今回は疲れました。

 

年末に更新した後、正月休みに進められるだけ進めようとしてたんです…

 

でも仕事が始まるとペースが落ち、その内体調を崩す等してまたペースが落ち…

 

そして恐れていたことが…

 

頭の中…真っ白。

 

今まで調子のいい時は湯水のごとく、そうでない時でもそれなりに出ていたイメージと文章が…

 

からっぽ…

 

「あはははははははははは、orz]

 

実はこうなる危惧があることはかなり前からわかってました。

 

この話しのプロットを考えていた時、この3章の曹操パート以外はいろいろと案が出てあーでもないこーでもないとやれたんですが、なぜか曹操パートだけは何も出なかったんですよ。

 

でも馬超対曹操というと潼関の戦いがあるのでそれをモチーフに考えればいいかと思い執筆を始めることにしたんですが…甘かったです。

 

孫策パートを執筆し始めると同時に曹操パートのプロットを再考したんですが、当然、戦いだけを書けばいいのではなく戦いの前後、その時の状況等を十分に考慮しなければならず、その結果…

 

「潼関の戦い使えねーーーorz」

 

もう脳内は阿鼻叫喚の地獄絵図…真っ白に燃え尽きました。

 

しばらくは仕事に逃げたりしてましたが、完結させることを約束しましたし、自分としてもこの話しの中で一番書きたいのは最終章とそれに続くエピローグの部分なのでやめる訳にはいかないと空雑巾を絞るかのごとく案を出しなんとか13話を更新することができました。

 

その為といい訳にするつもりはないのですが出来としてはしょうもないモノになったかもしれません。ごめんなさいm(__)m

 

そんな訳で次回の更新も遅れがちになりそうですがどうか寛大な心で御待ちください。

 

では、あとがきはこのくらいにしてまた次の更新でお会いしましょう。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
86
12

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択