No.121462

真・恋姫無双 ~美麗縦横、新説演義~ 短編3

茶々さん

茶々です。
また茶々ですすいませんでしゃばりまくります。

まとまった更新はこれが最後です。この後は推敲した作品が出来次第投稿していこうと思います。

続きを表示

2010-01-30 22:20:42 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2968   閲覧ユーザー数:2652

 

*注意!

 

 

 

・この短編に北郷一刀は出てきません!

・オリキャラ乱舞です。オリキャラ×原作の誰か、です!

・暗かったりアレだったりコトがあったりなかったり、です!

・原作完璧無視です!時間軸とかそんなの一切無視です!

・書いた当時のテンションにより男なのに真名あります!(司馬懿=白叡、太史慈=轟蓮、姜維=怜麟)

 

 

以上の事が許せる、という方のみご覧ください。

 

 

追記:タイトルの幾つかは「群青三メートル手前」様より拝領仕りました。

 

『月夜の誘い』 (茶々オリキャラ司馬懿×??。続きます)

 

 

 

「月夜夜這行」

 

司馬徽先生の私塾に通う生徒の間では、そんな名の禁則破りが密かに流行っていた。

 

男女が別々に分けられたこの私塾の中で、夜間に意中の相手に夜這いをかけ相手の了承を得れば、両想いになれるという。

半ば嘘の様なこの行事が実在したのだと知ったのは、男子生徒からある話を持ち掛けられた時になって漸くだった。

 

「なあ司馬懿、あの壁はどうやったら抜けられる?」

 

男子棟と女子棟を分け隔てる壁の夜間突破方法。

持ち掛けられた時は首を横に振って無謀だと言ってやった。

 

先生の飼いならした優秀な犬が夜間は何匹もあの辺りをうろつく。

加えて、日中ですらげんなりするくらい高いあの壁をよりにもよって視界の利かない夜間に抜けようというのだから無謀にも程があるだろう。

 

「でもよぉ……あれを抜けないと女子棟には行けないんだぜ?」

 

「行きたいなら一人で行けばいい。ばれて退塾になってもいいんだったらな」

 

夜間は厠以外での外出を禁ずる。

 

司馬徽先生の私塾の五大禁則の一つであるこれは、破った事がばれれば問答無用で塾を叩きだされる。

 

実際、何人かの生徒はこの禁則を破って夜這いをかけようとしたために塾を追い出されている。

 

(これだけの騒ぎだというのに、先生も先生だよな……)

 

 

 

「月夜夜這行?ああ、あれね。いいじゃない、面白そうだし」

 

禁則を作った張本人の言うには、「要はどうやってばれないように夜這いをかけるかという実習訓練。隠密行動の基礎を養えるし、ばれたら塾を叩きだされるのだからそれなりに緊張感が伴うだろう」との事。

 

楽しけりゃなんでもありなのか、この塾は。

 

 

 

などと無関心を装ってはみたものの、年頃である以上はやはり異性に対してそういった感情を抱かなかった訳ではない。

 

かくいう僕にも、意中の人がいない訳ではない。

 

ただ、怖いのかもしれない。

夜這いをかけて想いを伝えて、それを拒絶されるのが。

 

「……でも」

 

諦めたくない。

例え叶わないのだとしても。

 

「決行は今夜……」

 

今日の夜は満月。しかし雲が立ち込めており明日は恐らく雨となる。

これ以上ない、絶好の好機。

 

「やってやるさ。月夜夜這行」

 

徐々に日が傾き始めた夕焼け空を眺めながら、一人決意を固め自室へと帰路を急いだ。

 

 

 

それは、正に青天の霹靂と呼ぶに相応しかった。

 

『今宵、我が想い人の元へ参る』

 

そんな挑戦状とも呼べる書状が、女子棟へと投げ込まれたのは夕餉の頃。

筆跡を調べれば、師である司馬徽が告げた名は「司馬仲達」。

 

秀麗にして博学、多芸に秀で女子の間ではダントツの人気を誇る、水鏡門下一の天才である。

 

これを見た司馬徽は声をあげて笑った後、「面白い」とただ一言言ってすぐに迎撃の用意に入った。

 

見廻りの犬の数を普段の数倍にし、壁には特製の滑り薬を塗りたくって、更には半刻毎に各部屋を見回るという徹底した用意周到ぶり。

 

流石に師として教え子に出し抜かれるのは不愉快なのか、その執念もかなりのものと見受けられた。

 

水鏡とまで謳われた司馬徽と、門下随一の才を持つ天才児司馬懿。

どちらが勝つのか、そして司馬懿は誰の元へと向かうのか。

 

就寝までの間、女子棟からはその話題が尽きる事はなかったという。

 

 

 

―――予告した時刻まで、後僅か。

 

「……行くか」

 

満月の下、思惑を胸に少年は月夜に躍り出た。

 

 

 

『少しだけ速まる鼓動』

 

『きみの視界をしあわせで埋め尽くしたい』 (茶々オリキャラ司馬懿×雛里。さっきの続きです)

 

 

 

その日、珍しく鳳統―雛里―は中々寝付けなかった。

 

理由は至極単純、夕餉の時に叩きつけられた司馬懿からの挑戦状である。

 

密かに想いを寄せていた相手からの行き場所不明の襲撃予告。

乙女心というものは、やはり淡くても期待してしまうものであった。

 

(司馬懿くん、大丈夫かな……?)

 

ふと、そんな疑問が雛里の頭をよぎった。

 

これまで夜這いを試みた生徒はかなりの数いたはずだが、未だ成功例は皆無。それをあんな予告をして成功させるなど、危険にも程がある。

 

万一失敗すれば、この塾を追い出され、二度と会えなくなるかもしれない。

 

想い人を失う不安と恐怖と、もしかしたら来てくれるかもしれないという淡い希望とが入り混じって、何度も何度も雛里は寝返りをうった。

 

 

 

―――そういえば、今日は満月だっけ。

 

何を思ったのか雛里は床を出ると、窓から洩れる淡い月光に誘われるかの様に窓辺に立った。

 

そして何の気なしに窓に手をふれ、開けてみる。

 

ふわり、と夜の風が雛里の頬を撫でた。

 

否、撫でられたのは頬だけではない。

そして撫でたのも風だけではない。

 

半開きになっていた自身の唇に、まるで言葉を発するのを止めるかのように触れる少し冷たく感じる指。

 

一瞬ぐらついた視界に映るのは、誰かの肩越しに夜空に浮かぶ満月。

 

雛里は、自分が誰かに抱き締められており、そしてその誰かとは意中の相手であり今夜夜這いをかけると宣言していた司馬仲達その人であると気づくのにおよそ数秒を要した。

 

そして理解すると同時に、一瞬で顔を真っ赤に紅潮させた。

 

が、何か発そうとしたその口は動く事無く、代わりに優しい声音で彼は耳元で囁く。

 

「もうすぐ先生が見廻りに来る。君は寝たフリをしていて」

 

甘美な囁きに浸る暇もなく、廊下を歩く足音が雛里の意識を現実に引き戻す。

 

 

 

徐々に遠ざかる足音が、やがて聞こえなくなると同時に司馬懿は息を漏らした。

 

そしてそんな司馬懿に、小さな人形の様にされるがままに抱きしめられながらも雛里は顔を相変わらず真っ赤にしながらその抱擁を甘んじて受け入れていた。

 

密着した二人の息遣いはそれぞれの聴覚を刺激し、何処か不用意に話しかけ難い雰囲気を作り出していた。

 

しかしそんな状況下でも、雛里は現状に若干混乱していた。

 

「あ、あの……司馬懿、さん」

 

おずおずと、司馬懿から見れば上目遣いで雛里が尋ねてきた。

 

「え、と…その、ここに来たってことは、その……」

「ああ、予告通り、夜這いをかけにきたよ」

 

赤くなっていた頬を更に染め上げて雛里は眼をパチクリさせる。

 

意中の人と夜の部屋に二人っきり、しかも相手に抱擁されてこれほど密着して。更に自分に向かって夜這いをかけにきたという発言。

もし夢だったら絶対に覚めないで、と雛里は心の底から願った。

 

が、生憎とこの状況は夢ではなく現実である。

 

その事を雛里に認識させたのは、彼女の小さな体を床に押し倒し、司馬懿が紡いだ言葉だった。

 

「ねえ、鳳統。どうして僕がここに来たか、分かる?」

 

 

 

司馬懿さんの一言に、私の心臓は限界を超えてるんじゃないかと思うくらいに鼓動を速めて動き続けた。

 

「本当は卑怯だって分かってたよ?こんな真似して、自分の気持ちを伝えるなんて」

 

優しく微笑みながら、司馬懿さんは私の髪を優しく梳く。

 

どうしよう。

頭の中がこれから何をされるのかという不安でいっぱいなのに、すぐ傍にいる司馬懿さんの吐息が私の感覚を刺激して何も言えなくなってしまう。

 

「でも、僕は自分の素直な気持ちを君に伝えたかった。紛れもない本当の気持ちを」

 

少し顔を動かせば、司馬懿さんの唇がそこにある。

そんな至近距離で、彼はゆっくりと言の葉を紡いだ。

 

「僕は、君の事が好きだ」

 

それは、とても甘美な囁きで。

 

気がついたら、私は彼の唇に自分のそれを重ねていた。

 

柔らかくて、温かくて、とても優しいひと時。

 

ほんの数秒だったのかもしれない。

でも、私はその刹那がとても愛おしく、とても長く感じられた。

 

「……わたし、自惚れてもいいんですか?」

「ああ。ほんの少しの間だけど、君の望むままに」

 

もしこの世界に、私達を見守る者がいるのならば。

 

どうかこの刹那を、永劫のものにして下さい。

 

「……大好きです、司馬懿さん」

 

 

 

静寂の中、静かに紡がれた言葉。

 

雛里と司馬懿を映す月影は、ゆっくりと重なった。

 

 

 

『内緒話するみたいにくちづけ』

 

『月を浮かべた瞳』 (茶々オリキャラ姜維×愛紗。設定集作る前なのでキャラがかなり違います。続きます)

 

 

 

「なあ、怜麟」

 

星が土産にと持ってきた酒を飲みながら、傍らで共に飲んでいた怜麟に不意に話しかけた。

 

「何ですか、愛紗様?」

 

怜麟。

蜀軍きっての英才であり、武では私とも互角に戦える程の使い手で、智では時に朱里すらも驚かせるような策を出す。

 

そんな怜麟は、荊州方面を任された私の軍師でもある。

 

「桃香様は益州をとり、近く漢中に兵を進める。だがもし魏軍が漢中に援軍に赴けば、間違いなく苦戦を強いられる。そなたはそうなる前に、本隊と呼応して動けといっていたな?」

 

「ええ、襄陽を守っているのは恐らく徐晃。電撃戦においては、恐らく神速の張遼とも互角の猛者です。山岳戦も得手のようですし、漢中という要害で奇襲をかけられれば本隊が危うくなります」

 

「だがもし私達が兵を進め、万一不覚をとれば蜀軍全体への影響は計り知れないんだぞ?」

 

元々蜀の領有する荊州は曹魏が謀計によって手に入れた土地。

利に群がり転ぶ輩がそれこそ雲のように溢れている。

 

「だからこそ、ですよ」

 

いいながら、怜麟は酒を注いだ杯を一気に傾けて飲み干した。

月に照らされた喉は妙に色っぽく、何処か落ち着かなくなったので少し視線をそらした。

 

「この気に不穏分子を一気に排除し軍内の粛清を断行すれば、荊州における不安は全て取り除かれます」

 

裏切る連中はどうせそのうち裏切る。

ならばこの気に纏めてあぶり出して潰してしまえ。

 

自分の軍師ながら、なかなか冷酷な策だと思った。

 

「既に策は幾重にも張り巡らせてあります。必ずや我らの勝利を導いてみせましょう」

 

その冷酷とも呼べる策を考え付いた割に、何処か年より幼く感じてしまうその笑顔に、私の心臓は音をたてて緊張した。

 

(ッな、何を考えている……!?私は女である前に武人だ。この様な雑念は捨てなければ!)

 

何時からだろう。こんな風に怜麟を意識し始めたのは。

 

考えれば考えるほど深みに嵌ってしまう。

想えば想うほど、胸が締め付けられる様に苦しくなってしまう。

 

「…………愛紗様」

 

不意に話しかけられ内心吃驚しながらも、平静を装いつつ怜麟の言葉に耳を傾けた。

 

「今回の戦が終わったら、その…つ、伝えたい事があります。そ、それではッ!」

 

言うだけ言って、慌てた様子で怜麟は駆けて行ってしまった。

後に残された私はしばし呆然とした後、何を思ったのか酒を一気に飲み干して呟いた。

 

「……私も、伝えたいことがあるんだ。だから」

 

逃げるなよ。

自分でも分からないその呟きの本心は、再び注いだ酒と共に飲み込んでしまった。

 

 

 

『月下の想い』

 

『たったそれだけのこと、なのに』 (茶々オリキャラ姜維×愛紗。さっきの続きです)

 

 

 

―――必ず、生きて帰ります。

 

人当たりのいい笑顔で、いつも怜麟は言っていた。

 

―――貴方という存在は、最早貴方一人のものじゃないんです!

 

危険を顧みず戦う私を、怜麟はいつも心配してくれていた。いつも世話をかけて、迷惑をかけて。

 

―――私の事よりも、愛紗様にもしもの事がある方が問題です。

 

苦労を一人で背負いこんで、私がどれだけ心配したと思っているんだ。

 

―――今回の戦が終わったら、その…つ、伝えたい事があります。

 

それは、期待しても良かったのだろう?

 

お前も、私と同じ想いを抱いていたのだと。

お前も、私の事が好きだったのだと。

 

言葉にせずとも分かる。

 

あんなにも温かで、優しい気持ちになれるのだから。

 

 

 

「怜麟……眼を開けぬか。私達の大勝利なのだぞ?」

 

戦は、終わった。

 

水攻めによる敵城の攻略、魏軍の増援すら退けた策略。

 

最大の殊勲者である怜麟は、今私の腕の中で微かに息をしていた。

 

全身を血に染め上げて、自分の体が悲鳴をあげていたにも関わらず戦い続け、そして戦の終わりと共に倒れた。

 

「見ろ。敵は退いた。みなお前のおかげだ」

 

武勇に長けた徐晃、造反した味方だった者達、そして魏武の大剣夏候惇。

 

あらゆる敵を相手に、怜麟は一歩も退かなかった。

 

「聞こえるだろう?皆の歓喜の声が。漢中をとった桃香様達の直々の援軍もすぐ近くまで来ている。今回の功労で、お前を襄陽の太守に推するつもりなのだ。お前が寝ていては話が進むまい。起きぬか怜麟」

 

蜀に襲いくる暗雲、その全てを退けた代償に、天は今一人の男の命を奪い去ろうとしている。

 

認めない。認めたくない。

怜麟の命が、その灯火が消えかかっているなど。

 

「なあ、怜麟……頼む。起きてくれ、眼をあけてくれ」

 

もう嫌だ。一人になるのは。

私の大切な人が、私の側からいなくなってしまうのは。

 

「嫌だ……嫌だ怜麟、起きろ。起きるんだ!私を一人にしないでくれ!!私を置いて行かないでくれ!!」

 

まだ伝えていない。

まだ届いていない。

 

伝えたい言葉が、想いが、声にならない。

 

こんなにも想っているのに。

 

こんなにも、愛しているのに。

 

 

 

「・・ぃ、しゃ、さ、ま……」

 

消えかかった命の焔は、しかし最期の刹那まで消える事無く燃え続ける。

 

愛しき者のために染め上げた血濡れの手は、優しく少女の頬を零れ落ちていた雫を拭う。

 

「ゎ、たしは……ぁ、なたの、こと、を…」

 

静かに浮かべた笑みは、その消えゆく火の最期の輝きだったのかもしれない。

 

「……ぃ、し…て…………」

 

絞り出すように。

自らの想いを、最期の言の葉を伝えたいが為に少年の焔は燃え、

 

「ぁい、して……ぃ、ます………」

 

そして、最期の想いと共に燃え尽きた。

 

少女の頬を滑り落ちたその手は、二度とあがる事無く。

優しい笑みを浮かべたその顔は、安らかな寝顔と共に。

 

物言わぬ凍てついた骸となって、今その生涯を終えた。

 

天より降りしきる豪雨は、骸の傍らで泣き叫ぶ少女の涙なのか。 

最期の時まで届くことがなかった、少年の想いの欠片なのか。

 

ただ、その雷鳴の中で、一つの物語が終わった事だけは、確かなのかもしれない。

 

 

 

『答えをなくした間柄』

 

後記

一気にやる投稿はこれが最後です。

次回からはちょくちょく投稿することになります。

 

しっかし口調というか言い回しというか、とにかく変なのばっかりだなぁ……(苦笑)

 

ご意見・ご要望及び指摘等は随時受け付けておりますので、お気軽にどうぞ。

 


 
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