No.118900

連載小説121〜125

水希さん

第121回から第125回

2010-01-16 17:04:18 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:398   閲覧ユーザー数:398

加藤君からもたらされたとんでもない情報。

それはなんと、加藤君の彼女がここに来るというのだ!

 

 

「やべー! いくらなんでも疑われるって!」

「大丈夫だと思うけど?」

 私はしれっと答えた。

「なんでそんな事言えるんだよ! この面子じゃ疑われるのが当然だろ!」

「だって、ここには加藤君に気のある女の子なんていないし…」

「うん」

「彼氏はいないけど、君にはあんま興味ないし」

「あ! 恋愛的、て意味合いでだから!」

 とフォローを入れたのは蓮ちゃんだけど、効果低いよ!

「興味ないってのも傷つくけど…」

「でもねえ。実際私達が興味あったら、それこそ危ないでしょ」

 全く、修羅場になんかしないっての。修羅場になるなら、二人だけでやって頂きたい。

「で? 後どのくらいで来るわけ?」

「ん~、詳しくは言ってなかった。今どこにいるのかも言ってなかったし。

ていうか、俺も今ここにいるとは言ってなかったし」

 なんですと?

「それじゃ、たどり着き用がないじゃん」

「言われてみりゃ、そうかもな」

 そうかもな、じゃないよ。それじゃあ会えないっての。

「ほら、今から伝えなきゃ」

「い、いや、無効が要求するまでは…て!」

 て?

「あ! ああああああ! ああああああああああああ!」

 ? なんだろう、この驚き方…

「な、なんで!」

 ???

「ちょっと、何がどうしたのさ!」

「そ、そこ! いるんだよ! なんでいるんだよ!」

 この言い方は、もしや…? もしや彼女さん登場なのか?

「香奈!」

「清隆~~っ! なに浮気しとるんか~~っ!」

 へ? 関西弁? なんで?

 

 

~つづく~

いきなり現れた加藤君の彼女。

なんで場所が分かったんだろう。

なんでこんな一瞬で現れたんだろう。

 

 

「この、浮気者~~~~~~~~~~~っ!」

「ち、違うって違うって! んなんじゃねーんだって!」

 あれ? 何この態度。物わかりがいいんじゃなかったの?

「せやったらこの面子はなんやの! 説明しぃ!」

「こ、これはだなぁ…って! さっきメール入れただろ! そもそも、

なんでいるんだよ!」

 うんうん。

「いたらあかんの? うちはいたらあかんのか!」

「そうじゃなくてだな…」

「ちょっと加藤君、負けてるじゃん。ちゃんと説明してよね」

 じゃないと、この空気、火の粉がこっちに降り掛かりかねん。

「メール? あの話、下手な言い訳やないんか? この状況で、

何を信じって言うんや」

 うわー、嘘扱いされてるよ。そりゃそうだよなぁ。

「全面的にだよ。俺は嘘は言ってねーよ」

「うんうん。私らは潔白だから」

「あんたは黙っとき! そもそも、あんたらなんやねん! 四人も居って、

本命はどれや! 誰なんや!」

 ひ~! 取りつくしまがないよ…

「違うって言ってんだろ…全く…」

「何を証拠に言うんや? 証拠もあらへんのに」

 言われてみればそうかも。でも、証拠も難しいよなぁ…

「証拠も何も、こいつら今日知り合ったんだぞ…」

「私はクラスメイトだったけど、今日初めて名前を知ったし…」

「そ、そーなんか?」

「加藤君もえりかも、嘘言ってないよ」

「あたしらなんて、学校すら違うしねぇ」

「こくこく!」

 頼む! みんな援護頼む!

「そ、そやったら、話くらい聞いたってもええけど…」

 お、態度軟化? だといけど…

「うんうん! まず話を聞いて! 本当に浮気相手じゃないから!」

「嘘発見機に誓えるか?」

 う、嘘発見機? 懐かしい単語だ…

「誓うに決まってるじゃん!」

「ならええわ。疑うて悪かったな。清隆も、疑わしい事はせんときよ?」

「あ、ああ…」

 よ、ようやく…かな。

「じゃあ、和解できた所で改めて…」

「そやね」

 さあ、新たな出会いだ!

「なんで彼女さん関西弁なんですか!」

「え、いきなりそれなんか?」

「俺が説明するよ、それは…」

 だって、気になるんだよ~。でも、加藤君が説明してくれて何よりだ。

「じゃ、頼む」

「ああ」

 ほっほっほ。楽しみだ。

 

~つづく~

私は仲直り一番に、彼女さんがなぜ関西弁なのかを訊いた。

そしたら、その答えは加藤君が答えてくれるらしい。

 

 

「こいつ、中学に上がるまで関西にいたんだよ」

「なんだ、普通の理由じゃん」

「ふ、普通じゃあかんの? そもそも、誰が説明しても同じやし…」

 謎は解けたけど、普通過ぎてこれ以上会話が続かないや。

「えと、関西弁の子と接するのは初めてだけど、よろしくね」

「それ、うちの事バカにしとるんとちゃうよな?」

「えりかはそんな事考えないと思うぞー」

「うん、楓の言う通りじゃわ」

「私はえりかちゃんの事よく知らないけど…」

 それぞれのフォローがありがたいやらなんやら。

「で、本人としてはどーやの?」

「バカにするわけないじゃん。それはそうと…」

 私は香奈ちゃん(だっけ?)に席を勧めると、じっと見つめた。

「な、なんやの…」

「彼女さん…ていうのはよそよそしいから名前で呼ばせてもらうけど、

香奈ちゃん、かわいいね~。うへへ」

「あ、それ私も思った。加藤君にはもったいない」

「あたしにも負けてないね!」

 み、みーちゃん。

「ちょ、今度はおだてる作戦なん? なんも出ぇへんよ?」

「大丈夫大丈夫、期待してないから。それより、なれそめは?」

「加藤君のどこがいいの?」

「学校離れて寂しくない?」

「えっと…質問攻めで、ごめんね…」

 私達、質問攻め? でも、こんな状況が悪い!

「お前らなぁ。そんなに質問攻めにするなよ。それよりも、だ」

「ん? 何? 清隆」

 おや? 私らの質問は無視する気かい? この男は。いけないねぇ。

「こいつらの質問より先に答える事があるだろ」

「せやから何? 隠す事なんてなんもないから、なんぼでも答えるよ?」

 おお! なんか、態度がちょっと柔らかい! これが恋か…

「お前…なんでこのタイミングでここに来れたんだよ! どうして、

この場所が分かったんだよ!」

 そういえば! そっちの怪異がまだ謎のままだった! 関西美少女に、

すっかり持って行かれてたよ。

「なんや、そないな事か。簡単な事や~」

 気になる気になる! どきどきワクワク!

「それはやなぁ」

 私達一同は、香奈ちゃんの言葉に耳をダンボにした。

「とその前に、なんや喉乾いたわ。先何か飲んでもええ?」

「だーーーーーーーっ! か、構わないから早く教えろーーーーーーー!」

 加藤君のずっこけっぷりは、それはそれは見事だった。なんていうか、

私達全員分の代表って感じで。

「せやったら、今から持って来るさかいちと待ってな」

「あ、あぁ…」

 香奈ちゃんて、結構マイペースなんだなぁ。

 

 

~つづく~

いきなりこの場に現れる事ができた理由を知りたい私達。

でも、香奈ちゃんはドリンクバーに行ってしまった。

 

 

「ねえ。いつもあんな感じなの?」

「まあな」

「で? 加藤君は彼女のどこが好きなの?」

「あ、それは気になるのぅ」

「ちょっと、あんまり訊いたら悪いよ…」

 蓮ちゃんだけが健気に制止してるけど、私達は興味を止められない。

ここは香奈ちゃんが戻って来る前に訊きたいなぁ。

「ね、どうなのさ」

「お、お前ら…」

「お待たせ~。ん、どないしたんや?」

 ちっ、香奈ちゃんが戻って来ちゃったか。

「あぁいや、別に何も。さ、説明してくれるかな?」

「そやね」

 よかった、深追いされなくて。話に乗ってくれるかキレるか、

多分…その二択だもんね。

「で、どうしてこのタイミングでここに来られたんだ?」

「ん~、簡単な事や。イマドコサーチ!」

 ババッとケータイを取り出した香奈ちゃん。そういえば聞いた事があるなぁ。

「これを使うとな、調べたい番号のケータイがどこにあるか、分かるんや」

「そっかそっか、その機能を使ったわけだね」

 なるほど納得。

「ちょっと待て香奈」

「ん、なんや?」

 おや? 加藤君は納得してない様子。

「説明、不十分じゃないのか?」

「そ~か? 十分やと思うけど…」

 うんうん。

「じゃあ言わせてもらう。まず、イマドコサーチは調べられる側の許可がいる。

次に、それだけじゃあ俺の場所を細かくは突き止められない。第三に、

突き止めてもここまで来るのには時間が必要なはずだ。どうだ?」

「そういえば…加藤君、名探偵?」

「なんやの、名探偵って。しゃーないなぁ。あんま言いたい事やなかったけど、

清隆が知りたい言うんなら説明したるわ」

 ほうほう。加藤君の希望なら叶えるってことか。愛だね。

「前デートした時にな、うちの番号を無条件解除に設定変更したんや

「な!」

 おお、やる~。彼氏のケータイを勝手にいじくるなんて。

「せやから、サーチ確認が出ぇへんかったんや。ま、場所については、

正直博打やね。来週の事についてメールもらったやろ? それでな、

この辺りのお店をしらみつぶしに当たったんや。たまたま、うちもこの近くにおったさかい」

「なんてこった…人のケータイ勝手にいじるわ、店を総当たりするわ」

「でも、そのお陰で私達は会うことが出来た。たまたま近くにいた、

ていうし、これは絶対縁だよ」

 お、いい事言ったぞ私! でも、人との出会いは全部縁だからな~。

ここでみーちゃんと出会ったのも、そのお陰で蓮ちゃんと知り合えたのも。

「あ、そうだ! 蓮ちゃんも香奈ちゃんも、アドレス交換してもいい?」

「えぇよ」

「私も」

 こうして始まるアドレス交換大会。

「えっと…俺は?」

 

 

~つづく~

始まったアドレス交換会。

加藤君? あぁ、スルースルー。

 

 

「俺はスルーかよ」

「だって、毎日会えるじゃん。それに、身内以外は女の子のデータだけで埋めたいし」

「へ~、えりかそういう意識あったんだ」

 おや? 楓さんには初耳だったかな?

「あったよ~。だって、男ったらしみたいじゃん?」

「そうかな。それは受け取る人によるんじゃない? 交友関係が広い、

て思われるだけかもしれないし」

 ふむふむ。ま、言ってる事は分かるんだけどなぁ…

「ん~、うちも口挟んでええ?」

「そりゃ当然だけど、どうしたの?」

 香奈ちゃん、何か言いたい事がある模様…

「あんな? うちもこの子の言う事分かるよ。できれば、家族以外は

清隆以外の男は登録したないもん」

「おお~、ありがたい! 同胞だ! って、そういえば、自己紹介がまだ、

だったね。それなのにアドレス交換だなんて…」

 ふと気付いた大事なこと。そこで私達は自己紹介を始めた。

 

         **********

 

「そんで、えりかが清隆のクラスメイトなんやね」

「そうそう。といっても、今日知り合ったんだけどね」

 はっきり言って、男子に興味のないわたし。加藤君には悪いけど。

「俺、正直ショックだったぜ?」

「ごめん~。でも、ホントに男の子に興味なくて」

「えりか、恋愛せぇへんの?」

 な!

「ちょ、ちょっと! 香奈ちゃん何言ってるの!」

「そやけど、そやろ? 彼氏おれへんのやし、気になるやん」

 ~~~~~~っ!

「楓! 楓は何も言わないでよ?」

「分かってるって。私も今は彼氏欲しいモードじゃないし」

「ほうほう、楓もか」

「みーちゃん、私もなんだけど…」

 と、遠慮がちに挙手するのは蓮ちゃん。おお、蓮ちゃんらしいよ!

「仲間!」

 私はその手を取った。

「仲間? う、うん…」

「で、みーちゃんは? 彼氏は?」

「あぁ、こっちも沙汰はないよ」

 お、みーちゃんも仲間だ。

「なんや、幸せなんはうちだけか」

「し、幸せって! 私、彼氏いないけど幸せだもん!」

 ここは言っておかねば、力説せねばなるまい。

「みんな、同意をお願い!」

 私は力強く訴えた。

「え?」

 でも、なんか、みんなの反応が悪い…

「ちょっと、どういう事?」

 ねえ、どういう事?

 

 

~つづく~


 
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