加藤君からもたらされたとんでもない情報。
それはなんと、加藤君の彼女がここに来るというのだ!
「やべー! いくらなんでも疑われるって!」
「大丈夫だと思うけど?」
私はしれっと答えた。
「なんでそんな事言えるんだよ! この面子じゃ疑われるのが当然だろ!」
「だって、ここには加藤君に気のある女の子なんていないし…」
「うん」
「彼氏はいないけど、君にはあんま興味ないし」
「あ! 恋愛的、て意味合いでだから!」
とフォローを入れたのは蓮ちゃんだけど、効果低いよ!
「興味ないってのも傷つくけど…」
「でもねえ。実際私達が興味あったら、それこそ危ないでしょ」
全く、修羅場になんかしないっての。修羅場になるなら、二人だけでやって頂きたい。
「で? 後どのくらいで来るわけ?」
「ん~、詳しくは言ってなかった。今どこにいるのかも言ってなかったし。
ていうか、俺も今ここにいるとは言ってなかったし」
なんですと?
「それじゃ、たどり着き用がないじゃん」
「言われてみりゃ、そうかもな」
そうかもな、じゃないよ。それじゃあ会えないっての。
「ほら、今から伝えなきゃ」
「い、いや、無効が要求するまでは…て!」
て?
「あ! ああああああ! ああああああああああああ!」
? なんだろう、この驚き方…
「な、なんで!」
???
「ちょっと、何がどうしたのさ!」
「そ、そこ! いるんだよ! なんでいるんだよ!」
この言い方は、もしや…? もしや彼女さん登場なのか?
「香奈!」
「清隆~~っ! なに浮気しとるんか~~っ!」
へ? 関西弁? なんで?
~つづく~
いきなり現れた加藤君の彼女。
なんで場所が分かったんだろう。
なんでこんな一瞬で現れたんだろう。
「この、浮気者~~~~~~~~~~~っ!」
「ち、違うって違うって! んなんじゃねーんだって!」
あれ? 何この態度。物わかりがいいんじゃなかったの?
「せやったらこの面子はなんやの! 説明しぃ!」
「こ、これはだなぁ…って! さっきメール入れただろ! そもそも、
なんでいるんだよ!」
うんうん。
「いたらあかんの? うちはいたらあかんのか!」
「そうじゃなくてだな…」
「ちょっと加藤君、負けてるじゃん。ちゃんと説明してよね」
じゃないと、この空気、火の粉がこっちに降り掛かりかねん。
「メール? あの話、下手な言い訳やないんか? この状況で、
何を信じって言うんや」
うわー、嘘扱いされてるよ。そりゃそうだよなぁ。
「全面的にだよ。俺は嘘は言ってねーよ」
「うんうん。私らは潔白だから」
「あんたは黙っとき! そもそも、あんたらなんやねん! 四人も居って、
本命はどれや! 誰なんや!」
ひ~! 取りつくしまがないよ…
「違うって言ってんだろ…全く…」
「何を証拠に言うんや? 証拠もあらへんのに」
言われてみればそうかも。でも、証拠も難しいよなぁ…
「証拠も何も、こいつら今日知り合ったんだぞ…」
「私はクラスメイトだったけど、今日初めて名前を知ったし…」
「そ、そーなんか?」
「加藤君もえりかも、嘘言ってないよ」
「あたしらなんて、学校すら違うしねぇ」
「こくこく!」
頼む! みんな援護頼む!
「そ、そやったら、話くらい聞いたってもええけど…」
お、態度軟化? だといけど…
「うんうん! まず話を聞いて! 本当に浮気相手じゃないから!」
「嘘発見機に誓えるか?」
う、嘘発見機? 懐かしい単語だ…
「誓うに決まってるじゃん!」
「ならええわ。疑うて悪かったな。清隆も、疑わしい事はせんときよ?」
「あ、ああ…」
よ、ようやく…かな。
「じゃあ、和解できた所で改めて…」
「そやね」
さあ、新たな出会いだ!
「なんで彼女さん関西弁なんですか!」
「え、いきなりそれなんか?」
「俺が説明するよ、それは…」
だって、気になるんだよ~。でも、加藤君が説明してくれて何よりだ。
「じゃ、頼む」
「ああ」
ほっほっほ。楽しみだ。
~つづく~
私は仲直り一番に、彼女さんがなぜ関西弁なのかを訊いた。
そしたら、その答えは加藤君が答えてくれるらしい。
「こいつ、中学に上がるまで関西にいたんだよ」
「なんだ、普通の理由じゃん」
「ふ、普通じゃあかんの? そもそも、誰が説明しても同じやし…」
謎は解けたけど、普通過ぎてこれ以上会話が続かないや。
「えと、関西弁の子と接するのは初めてだけど、よろしくね」
「それ、うちの事バカにしとるんとちゃうよな?」
「えりかはそんな事考えないと思うぞー」
「うん、楓の言う通りじゃわ」
「私はえりかちゃんの事よく知らないけど…」
それぞれのフォローがありがたいやらなんやら。
「で、本人としてはどーやの?」
「バカにするわけないじゃん。それはそうと…」
私は香奈ちゃん(だっけ?)に席を勧めると、じっと見つめた。
「な、なんやの…」
「彼女さん…ていうのはよそよそしいから名前で呼ばせてもらうけど、
香奈ちゃん、かわいいね~。うへへ」
「あ、それ私も思った。加藤君にはもったいない」
「あたしにも負けてないね!」
み、みーちゃん。
「ちょ、今度はおだてる作戦なん? なんも出ぇへんよ?」
「大丈夫大丈夫、期待してないから。それより、なれそめは?」
「加藤君のどこがいいの?」
「学校離れて寂しくない?」
「えっと…質問攻めで、ごめんね…」
私達、質問攻め? でも、こんな状況が悪い!
「お前らなぁ。そんなに質問攻めにするなよ。それよりも、だ」
「ん? 何? 清隆」
おや? 私らの質問は無視する気かい? この男は。いけないねぇ。
「こいつらの質問より先に答える事があるだろ」
「せやから何? 隠す事なんてなんもないから、なんぼでも答えるよ?」
おお! なんか、態度がちょっと柔らかい! これが恋か…
「お前…なんでこのタイミングでここに来れたんだよ! どうして、
この場所が分かったんだよ!」
そういえば! そっちの怪異がまだ謎のままだった! 関西美少女に、
すっかり持って行かれてたよ。
「なんや、そないな事か。簡単な事や~」
気になる気になる! どきどきワクワク!
「それはやなぁ」
私達一同は、香奈ちゃんの言葉に耳をダンボにした。
「とその前に、なんや喉乾いたわ。先何か飲んでもええ?」
「だーーーーーーーっ! か、構わないから早く教えろーーーーーーー!」
加藤君のずっこけっぷりは、それはそれは見事だった。なんていうか、
私達全員分の代表って感じで。
「せやったら、今から持って来るさかいちと待ってな」
「あ、あぁ…」
香奈ちゃんて、結構マイペースなんだなぁ。
~つづく~
いきなりこの場に現れる事ができた理由を知りたい私達。
でも、香奈ちゃんはドリンクバーに行ってしまった。
「ねえ。いつもあんな感じなの?」
「まあな」
「で? 加藤君は彼女のどこが好きなの?」
「あ、それは気になるのぅ」
「ちょっと、あんまり訊いたら悪いよ…」
蓮ちゃんだけが健気に制止してるけど、私達は興味を止められない。
ここは香奈ちゃんが戻って来る前に訊きたいなぁ。
「ね、どうなのさ」
「お、お前ら…」
「お待たせ~。ん、どないしたんや?」
ちっ、香奈ちゃんが戻って来ちゃったか。
「あぁいや、別に何も。さ、説明してくれるかな?」
「そやね」
よかった、深追いされなくて。話に乗ってくれるかキレるか、
多分…その二択だもんね。
「で、どうしてこのタイミングでここに来られたんだ?」
「ん~、簡単な事や。イマドコサーチ!」
ババッとケータイを取り出した香奈ちゃん。そういえば聞いた事があるなぁ。
「これを使うとな、調べたい番号のケータイがどこにあるか、分かるんや」
「そっかそっか、その機能を使ったわけだね」
なるほど納得。
「ちょっと待て香奈」
「ん、なんや?」
おや? 加藤君は納得してない様子。
「説明、不十分じゃないのか?」
「そ~か? 十分やと思うけど…」
うんうん。
「じゃあ言わせてもらう。まず、イマドコサーチは調べられる側の許可がいる。
次に、それだけじゃあ俺の場所を細かくは突き止められない。第三に、
突き止めてもここまで来るのには時間が必要なはずだ。どうだ?」
「そういえば…加藤君、名探偵?」
「なんやの、名探偵って。しゃーないなぁ。あんま言いたい事やなかったけど、
清隆が知りたい言うんなら説明したるわ」
ほうほう。加藤君の希望なら叶えるってことか。愛だね。
「前デートした時にな、うちの番号を無条件解除に設定変更したんや
「な!」
おお、やる~。彼氏のケータイを勝手にいじくるなんて。
「せやから、サーチ確認が出ぇへんかったんや。ま、場所については、
正直博打やね。来週の事についてメールもらったやろ? それでな、
この辺りのお店をしらみつぶしに当たったんや。たまたま、うちもこの近くにおったさかい」
「なんてこった…人のケータイ勝手にいじるわ、店を総当たりするわ」
「でも、そのお陰で私達は会うことが出来た。たまたま近くにいた、
ていうし、これは絶対縁だよ」
お、いい事言ったぞ私! でも、人との出会いは全部縁だからな~。
ここでみーちゃんと出会ったのも、そのお陰で蓮ちゃんと知り合えたのも。
「あ、そうだ! 蓮ちゃんも香奈ちゃんも、アドレス交換してもいい?」
「えぇよ」
「私も」
こうして始まるアドレス交換大会。
「えっと…俺は?」
~つづく~
始まったアドレス交換会。
加藤君? あぁ、スルースルー。
「俺はスルーかよ」
「だって、毎日会えるじゃん。それに、身内以外は女の子のデータだけで埋めたいし」
「へ~、えりかそういう意識あったんだ」
おや? 楓さんには初耳だったかな?
「あったよ~。だって、男ったらしみたいじゃん?」
「そうかな。それは受け取る人によるんじゃない? 交友関係が広い、
て思われるだけかもしれないし」
ふむふむ。ま、言ってる事は分かるんだけどなぁ…
「ん~、うちも口挟んでええ?」
「そりゃ当然だけど、どうしたの?」
香奈ちゃん、何か言いたい事がある模様…
「あんな? うちもこの子の言う事分かるよ。できれば、家族以外は
清隆以外の男は登録したないもん」
「おお~、ありがたい! 同胞だ! って、そういえば、自己紹介がまだ、
だったね。それなのにアドレス交換だなんて…」
ふと気付いた大事なこと。そこで私達は自己紹介を始めた。
**********
「そんで、えりかが清隆のクラスメイトなんやね」
「そうそう。といっても、今日知り合ったんだけどね」
はっきり言って、男子に興味のないわたし。加藤君には悪いけど。
「俺、正直ショックだったぜ?」
「ごめん~。でも、ホントに男の子に興味なくて」
「えりか、恋愛せぇへんの?」
な!
「ちょ、ちょっと! 香奈ちゃん何言ってるの!」
「そやけど、そやろ? 彼氏おれへんのやし、気になるやん」
~~~~~~っ!
「楓! 楓は何も言わないでよ?」
「分かってるって。私も今は彼氏欲しいモードじゃないし」
「ほうほう、楓もか」
「みーちゃん、私もなんだけど…」
と、遠慮がちに挙手するのは蓮ちゃん。おお、蓮ちゃんらしいよ!
「仲間!」
私はその手を取った。
「仲間? う、うん…」
「で、みーちゃんは? 彼氏は?」
「あぁ、こっちも沙汰はないよ」
お、みーちゃんも仲間だ。
「なんや、幸せなんはうちだけか」
「し、幸せって! 私、彼氏いないけど幸せだもん!」
ここは言っておかねば、力説せねばなるまい。
「みんな、同意をお願い!」
私は力強く訴えた。
「え?」
でも、なんか、みんなの反応が悪い…
「ちょっと、どういう事?」
ねえ、どういう事?
~つづく~
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第121回から第125回