「俺、ウォッカね！　ショット、ダブル！」

「オレは……」

　今日は疲れたし、酒は控えよう。こんなヤツの目の前でやらかすなんてぜってーヤダし。

「ジンジャーエールで」

「は？　ヨーナス飲まねーの？」

「気分じゃねーし」

「とか何とか言って、飲めないんだったりして？」

　コイツマジでイチイチムカツクな、ニヤニヤしやがって！　ディスられてる、オレ今確実にディスられてる。舐めんなよ……。

「ゴメンやっぱジントニック」

「結局ジュース？」

「……コイツと同じの！」

「だよな！　そうこなくっちゃ！」

　そう言って勢いよく背中を叩かれた。イテーんだよこのクソ馬鹿力め。

　バーテンがすぐにウォッカのショットグラスを二個よこした。

「ナズドロヴィエ！」

　フランツは意味不明なことを言うと、一瞬でグラスを空にした。オレも一気にあおった。秒で後悔した。やっぱウォッカなんかやめときゃよかった、こんなアルコールの塊みたいな飲み物。ヤバイ、一杯目でこれはヤバイ。全身が熱くなるのが分かる。ヤバイ。

「はーっ、イイ！　もう一杯！　あ、連れのも！」

　コイツ化け物か！？　っつーかいらねーよなに勝手にオレの分も頼んでんだよクソバイト野郎！