椅子にぐったりと背中を預けて座る。疲れた……嫌な予感はしてたが、やっぱりコイツの「練習」に付き合うとロクなことがない。
「フリードリヒ、付き合ってくれてありがとう! やっぱり凄いねフリードリヒって!」
「ういー……」
嬉しそうな顔しやがって。こういうガキっぽい反応されると、弱いんだよなオレ。多少無茶ぶりされても、まあ聞いてやるかって気になっちまう。……なるほど、そういう手もあったか。カマトトぶって取り入って、わーいとかきゃーとか言いながら相手の懐に潜り込んで、スキを見て魔法式を……悪くねえな。今度やってみるか。
オレが新しいテンプテーションの算段をしている間、ガスパールは机に食いついて何やら真剣に書き物をしていた。何書いてんだ? 座ったまま遠目に覗いてみる。中型本くらいの大きさの紙一面に、文字やら魔法式やらが書かれていた。この短い時間にどんだけ書いてんだよ、優等生め。腰を上げてガスパールに近づく。走り書きしてる割には、かなりキレイな字だった。
「オマエさ、変わった書き方するよな」
そんなキレイな字だったから、多分ピリオドなんだろうが、その割には随分と上に置いてあるおかしな黒い点が気になった。
「そう?」
「フツーこんなとこに点打たなくね?」
「……ああ、うん。そうかも。癖なんだ、ボクの家庭教師をしてたお兄ちゃ……さんの」
「フーン」
お兄ちゃんって言おうとしたよな、今? ククク、可愛いの。笑いをこらえながら、オレはまた元の椅子に戻って腰を下ろした。
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ウキウキ。
以下、前回同様のがんばるぞ抱負(コピペ)です:
作品完成しない病を克服したいので、創作15分ルーティンをがんばってます。その日に思いついたテーマでランダムに書いて投稿します。
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