ついに噂の変人を見つけた。おかしな扇におかしな靴、間違いない。「おいお前!」と呼び止めかけた瞬間、足元の影が急に盛り上がってキツネの形になった。
「げっ、影法師!?」
こいつ、いつの間にまた俺の影に隠れてたんだ? 影法師は何食わぬ顔で俺を振り向いて、帽子を上げた。そしてすぐ、目の前の変な男に向き直る。
「あんた天狗ですね?」
「ほう、吾輩を知ってなさる」
「そっちもあっしのことは存じてるはずですが」
「さあのう、そんな影の薄い知り合いがいたやら?」
「よくまあそんな法螺を。あんたあっしを探して来たんだしょうに」
「吾輩が? 一体何の用で」
「キツネの師匠に何かあったんでは?」
影法師と男が睨み合う。何を話してるんだかサッパリだが、
「吾輩に追いつけたら、教えてやらんでもないが?」
男は何か言うとくるっとあっちを向いて、カランカランとおかしな靴を鳴らしながら走り始めた。間髪入れずに影法師が俺に言う。
「狼さんよ、追いますぜ」
「おう! いや、追う?」
待てと言う前に、足が勝手に動き出した。奇妙な男が飛ぶように走っていった方へ、足から体が引っ張られる。男は路地に入ったらしいが、同じ道へ曲がるともうそこには人影がなかった。
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イリヤーは(神出鬼没な影法師がしょっちゅう自分の影に隠れておちょくってくるので)激怒した。
以下、前回同様のがんばるぞ抱負(コピペ)です:
作品完成しない病を克服したいので、創作15分ルーティンをがんばってます。その日に思いついたテーマでランダムに書いて投稿します。
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