No.117146

~薫る空~52話(洛陽編)

52話です。
えー、最初に謝っておきます。申し訳ないw
もう今回作者の好き勝手やってしまいました。
色々突っ込みどころ満載です。
あとついでに作者のネーミングセンスのなさは許してくださいorz

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2010-01-07 18:01:05 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3474   閲覧ユーザー数:2972

 

 

 

 

 

 ――side華琳

 

 

 

 【華琳】「…………」

 

 一瞬、嫌な悪寒が走った。

 気のせいのだとも思える程度のものだったけれど、ひどく気になる。

 

 【華琳】「……急ぐわよ」

 

 行軍速度を上げて、洛陽への足を速める。

 虎牢関を抜けて、そろそろ洛陽が見え始める頃。

 華琳が間に合うかは、微妙なところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――side薫

 

 

 【薫】「…………」

 

 ――今のって……。

 

 頭の中で、”司馬懿”の声が震えていた。

 さきほど、人ひとり分の意識が消えた。気を失っただけなのか、それとも、もう目を覚ますことがないものなのか。

 それは、内にいる彼女だけではなくて、当然”私”も感じ取ったもの。

 

 【薫】「…………大丈夫……」

 

 自分にも言い聞かせるように呟く。

 

 ――大丈夫って、何!?今のどう聞いたって一刀の!

 

 【薫】「分かってるから!!」

 

 叫びだす薫に怪訝な視線を送る兵達。

 彼らには薫の聞いている声が聞こえるはずもないので、当然ながら、薫の言葉の意味なんて理解できるはずがなかった。

 

 【薫】「わかってるから……」

 

 二度目の言葉は、俯いたまま、静かに口にしていた。

 

 【兵】「司馬懿様!!敵軍が迫ってきています!!」

 

 現状を伝えるために、伝令が飛び込んでくる。

 敵兵はそこまで来ている。

 

 【薫】「そう、ありがとね。休んでていいよ」

 

 薫の言葉に兵は理解できないという顔になる。

 そんな伝令を横切って、薫は前へと出る。

 腰にぶら下げていた、いつか、真桜からもらった黒い扇を持って。

 前へとかざすようにして、叫ぶ。

 

 【薫】「右翼は転進して、敵を迎撃せよ!夏候惇へ合図を送れ!!」

 

 大きく扇を振るう。

 大げさにも見える動きは、兵を鼓舞するためのもの。

 これは勝てる戦なのだと。

 しかし、それでも不安な兵は残るものだった。

 これは……と、不安げな表情を見せる兵。小隊をまとめる立場であるその兵は、他の者よりも、不安は大きいようだ。

 

 【薫】「仮にも曹操軍の精鋭なんだから、都の親衛隊が相手だろうが、総崩れなんてことはそうそうありえないよ」

 

 諭すように、一つ一つ答えていく。

 その合間にも、先ほどまで圧されていた戦は、互角にまで巻き返していた。

 

 【薫】「夏候惇将軍にお願いしたのは、二つ」

 

 一つは、”自身は一部隊を連れて伏兵の中にまぎれる”こと。

 もう一つは、”たとえ負けていようと、絶対に指示を出すな”ということ。

 

 指揮官がいなければ、たとえ強兵といえども、連携の取れた軍相手では戦闘はきびしいものになる。

 当然、こちらが崩れ始める。

 元々総兵数でいえば、こちらが少ないのだから、それは当たり前。

 だから、あえて右翼のほうを少し手薄にする。

 先に崩れ始める右翼を撤退させ、敵軍が追ってくれば、そのまま二分し、追わずに左翼へ向かうようなら、右翼を再び転進させる。

 どちらにしても、敵の左翼が動き出した時が、こちらの勝機になる。

 それが、敵の懐にまで忍び込ませた獅子を、眠りから目覚めさせる合図になるから。

 

 【薫】「獅子埋伏の計とでも名づける?」

 

 ペットに名前でも付けるように、その顔はいつも以上に子供のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【春蘭】「……む。合図か!」

 

 戦場を見据えるように、身をふせていた春蘭。 

 その合図に、表情を歓喜のものへと変える。

 

 【春蘭】「行くぞ!!!敵将の頸をあげてやるのだ!!」

 

 春蘭の号令に、兵達は雄たけびで答える。

 その声をきっかけに、伏せていた兵達はいっせいに戦場へと走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――洛陽

 

 【???】「後悔するくらいなら、立ち上がるんだな」

 【賈駆】「あんた……何者よ」

 

 赤い髪に白い衣。

 この時代では見ることのないような形の衣装だ。

 

 【???】「この男は俺に任せろ。君には救いたい者がいるんだろう?」

 【賈駆】「……え……えぇ」

 

 質問には答えず、たずね返してくる。

 何処まで知っているのか。男はまっすぐにこちらを見てきた。

 

 【賈駆】「…………」

 

 ゆっくりと立って、男を通り過ぎるように歩いていく。

 

 【賈駆】「…………その男、もう死んでるわよ」

 

 言い捨てるように、賈駆は告げると、男は静かに呟く。

 

 【???】「彼はまだ死ぬべきではない。……それに彼もまた、その事実を受け入れてはいない。ならば、俺の五斗米道になせないことなど無い」

 【賈駆】「…………」

 

 最後まで聞き届けると、何も言わずに、賈駆は走り出した。

 

 【一刀】「…………」

 【???】「…………」

 

 そして、男が一刀の傷口に触れはじめると、一刀の体が傷口から輝き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――洛陽・郊外

 

 

 

 

 【春蘭】「はっ!!」

 

 敵本陣に奇襲をかけ、将を討つ。

 それができれば、戦などどれほど簡単なものだろう。

 だが、実際に彼女にかかれば、よほどの軍が相手で無い限りそんな事すら可能だった。

 剣を振るい、敵兵を退ける。

 だが、本陣に乗り込むまではよかったが、未だに肝心の敵将が見当たらない。

 

 【春蘭】「くっ……敵将はどこだ!!この夏候元譲が相手となろうぞ!!」

 

 叫ぶも、群がるのは敵兵ばかり。

 

 【春蘭】「ちぃっ!」

 

 煩わしいほどに食い下がる敵兵。

 本陣を守る兵ともなれば、一振りというわけには行かず、敵の剣を弾いて切りつける。

 しかし、どれほど倒しても、敵将の姿が見えることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 【薫】「将がいない?」

 

 伝令から伝えられた前線の状況。

 伏兵に本陣が狙われたことで、敵軍に混乱がみられるものの、大きく決め手になるような崩れ方はしない。

 まるで先鋒が崩れているだけ、というような対応だ。

 

 【薫】「これは……」

 

 【李儒】「貴様は期待はずれだったということだ」

 

 【薫】「な――っ」

 

 後ろから、ありえない声。

 振り返れば、そこにはいるはずの無い、敵将と数騎の敵兵。

 こいつがここにいるということは、本陣を捨てたということ。

 

 【李儒】「軍師”ごっこ”は楽しかったか?仲達」

 

 がさりと、後ろにいた敵騎兵が前にでる。

 

 【薫】「…………」

 

 扇ぐように、上をみる。

 空はもうすぐ夕方になろうとしていた。

 

 【李儒】「ふ…――行け」

 

 その合図を元に、敵兵が一気に突撃を開始する。

 一瞬で距離をつめてくる騎馬術はたいしたものだとおもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【薫】「クス……―――ばーか♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薫が笑う。

 

 【李儒】「っ!?」

 

 その瞬間。李儒は目の前の光景が信じられなかった。

 突撃した騎兵は”ある一定の位置”から前へ進めなくなっていた。

 いつの間にいたのか、薫の後ろには、弓を構えていた兵がいる。

 その矢を受け、攻撃を仕掛けた騎兵はすべて、地へと討ち伏せられ、李儒自身もまた、矢を受けた馬から振り落とされてしまう。

 

 

 【李儒】「な……馬鹿な……」

 【薫】「……どうだった?分かりやすい伏兵だったでしょ?あんたも軍師なら、見破った時は嬉しかったよね?」

 

 そんな事をいいながら、実際に楽しそうなのは寧ろ薫のほう。

 元敵兵の屍をまたぐように、李儒へと近づいていく。

 

 【薫】「敵軍を本陣側に引き寄せて、その間に伏兵でしとめる……なんて策だとおもった?」

 

 喜劇でもみているように、笑いは止まらなかった。

 それとは反比例するように、李儒の表情はどんどん凍り付いてく。

 

 【薫】「まぁ、全部……おとりだけどね」

 

 見下すように、薫の表情もまた、冷え切っていた。

 夕方に近づいた空は、どんどんその色を変え、やがて紺色へと変色していく。

 それと同時に、薫の瞳は、いつか見た金色へと変わっていった。

 

 【薫】「…………」

 

 そして、少しの間の後に、すべて語るように、耳元で薫は囁いた。

 

 【薫】「ふふっ……期待はずれだったよ。”董卓”さん♪」

 【李儒】「――!?」

 

 李儒が薫の意図に気づいたとき、それが彼の意識が存在していた最後の瞬間だった。

 

 

 

 

 

あとがきという名の言い訳。

 

 

えー、随分と好き勝手やってしまい、もうしわけありませんですw

あのお方のほとんどチートのような設定がないとこのお話は詰んでいました。はい

もう寧ろ自分を光にしてください(

 

その上で薫の鬼のような設定ですが・・・

つい、やっちゃうんだ★

ああああああ、ごめんなさいごめんなさい!

 

今回の話でお分かりかと思いますが・・・

はい、李儒はどうみてもかませ犬です。

あと、前回の琥珀もそうですが、少しオリキャラが強すぎるんじゃないかと、作者も思い始めてきました。

まぁ琥珀はそこまでチートってわけではないので、次回その辺はっきりさせます。

 

あぁ、薫と馬騰の能力は強すぎるといわれても否定できないので、あきらめちゃってください。

強すぎる理由も、いつか明らかになると思います。

 

では、予定ではあと2~3話で洛陽編も終わりになると思います。

もう少しですので、更新速度マッハでがんばりますのでヨロシクお願いしますm(__)m


 
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