No.1120859

【獣機特警K-9ⅡG】カッコイイお父さんは好きですか?(後編)・改【交流】

Dr.Nさん

実は、この事件(https://www.tinami.com/view/1118376 )でジョニーが見事なライフル捌きを見せたのは、アレクの厳しい指導の賜だったのだ!

 ナタリア https://www.tinami.com/view/551658
 キャロン https://www.tinami.com/view/674636
  アレク https://www.tinami.com/view/376898

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2023-05-14 16:28:56 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:203   閲覧ユーザー数:186

数時間の膠着状態が続き、日も傾き始めている。

 

キャロン「まだ助けは来ないのかな…?」

ナタリア「大丈夫ですよ、きっとクオン隊長たちがうまくやってくれているはずです。もう少し頑張ろ?」

キャロン「うん…」

K-9隊とアレクとフィーアは、観覧車から少し離れた屋外フードコートのテントの中にいた。

 

ダアン!

 

モモンガ男「おい、車と金はまだか!」

 

地上に向けて男が銃を撃ち、客が全て避難した(他のゴンドラに乗り合わせてしまった者を除く)遊園地内にその声が響き渡った。

 

クオン「撃つな! 逃走用の車両はたった今用意した! お前の真下にある! そこからも見えるだろ?」

 

拡声器で返すクオン。

 

モモンガ男「金はどうした!!」

クオン「無茶を言うな! あんな大金そう簡単に用意は出来ない。もう少し待つんだ!」

 

ソウ「ナタリアちゃん…」

イシス「かわいそうに。二人ともさぞ怖い思いをしているでしょうね…」

ジョニー「止まったままの他のゴンドラに乗ってるお客さんも缶詰状態で消耗しているに違いないッス。一刻も早く解決せねば…」

タツヤ「くそっ、でもああ高くちゃ手の出しようがないよ!」

ソラ「係員の人、あの観覧車は全高200メートルって言ってましたね。ナタリアちゃんたちのいるゴンドラは中央で止まっているから、高さは100メートルってことになりますね」

ベルタ「高さのあるアトラクションとか建物とかがあれば狙撃に使えるんだけど、あいにくこの遊園地にはそんなものは無いし、かと言って周囲にそんなビルも…」

ミライ「あ…」

 

客の誰かが残していったのだろうか、ミライは一冊の雑誌を拾い上げた。

パラパラとページをめくっていく彼女。そして──

 

ミライ「ねーねー隊長」

クオン「なんだミライ?」

ミライ「これ見て下さいよこれ」

クオン「ラミナウォーカー? 遊園地特集? 何だこんな時に!!」

ミライ「違うんですよ、この近くにもう一つ遊園地があるんです。ほらこれ」

 

ミライが指さしたのは。

<ラミナヒーローパークに新しいジェットコースターが誕生! 高さ100メートルから一気に滑り落ちるスリルはハマること間違いなし!>

クオン「なるほど、そこからなら狙えるかもな観覧車を! 距離は!?」

ミライ「今、マップアプリで計算します。出ました! ちょうど1500メートルです!」

クオン「遠いな…やれるか、ジョニー?」

ミライ「う…。すいません、オレにはちょっと無理ッス。万が一ナタリアちゃんやキャロンちゃんに当たりでもしたら…」

クオン「そうか…」

 

万策尽きたかと思われたその時、一人の男がスックと立ち上がった。

 

アレク「俺にやらせてくれクオンちゃん!」

クオン「アレクさん!」

アレク「娘たちの命がかかってるんだ、ここは父親の俺が! なーに、こう見えても今はライフルで飯を食ってるんだし」

クオン「しかし、今は民間人となったあなたを使うわけには…」

アイヴィー「その点なら心配いらないわ」

クオン「アイヴィー長官! いらしてたんですか?」

アイヴィー「連絡を受けてさっき来たの。アレクさん、私の権限で今日一日あなたをラミナ署所属の警察官に任命します」

 

バッグから手帳を取り出したアイヴィーは、サラサラとペンを走らせた。

             辞   令

 

アレクセイ・フタロイミツィ

 

右の者、長官権限により、本日1日限りラミナ署所属巡査部長に任命する

 

 

○年×月△日

 

          ファンガルド司法省長官 アイヴィー・ヒルトン

ページを破ってアレクに渡す。

 

アイヴィー「しっかりね、アレクさん」

アレク「はいっ!」

クオン「よし! ラミナヒーローパークにはこちらから連絡しておく。ミライ、君はパトカーでアレクさんを送ってやってくれ!」

ミライ「はいっ!」

警察により、客が全員外に出されたラミナヒーローパーク。

 

ガ、ガ、ガ、ガ、ガ…。

 

ライフルを持ったアレク1人を先頭車両に乗せたジェットコースターが、ゆっくりと坂を登っていく。

 

アレク「ナタリア…キャロン…」

 

ガクン。

 

そして、その車両が山頂で止まった。

 

アレク「ナタリア、キャロン、そしてフィーア…俺に力を!」

 

スコープの向こうにモモンガ男を捉えたアレクは、大切な家族への思いを込め、引き金を引いた──。

 

バシュッ!

バシュッ!

 

モモンガ男「ギャッ!?」

 

眉間にライフル弾を受けたモモンガ男が短い悲鳴を上げ、ゴンドラのドアから逃走用車両のルーフめがけ真っ逆さまに墜落する。

 

バングチャッ!!!

 

クオン「確保しろ!!」

K-9隊「はいっ!!」

クオン「うっ…確保やめ」

ジョニー「これじゃ確保のしようがないっスね…」

アレク「どうやら上手く行ったようだな。フフ、さすが俺だぜw」

 

スコープ越しにニヒルに笑うアレク。

 

ガクン!

 

アレク「えっ?」

 

ゴーッ!!

 

アレク「うわあああーっ!?」

フィーア「ナタリア、キャロン!!」

ナタリア、キャロン「お母さーん!!」

 

抱き合う3人。

 

クオン「これにて一件落着!」

 

アレク『はあ、はあ、はあ…」

 

クオン「あっ、おかえりなさいアレクさん! お見事でした!」

アレク「はあ、はあ…おかえりなさいじゃねえよ! ジェットコースターが動き出すなんて聞いてねえぜ!」

クオン「えっ? あ…すいません、ちょっと連絡の行き違いがあったようですね;;;;」

アレク「…たく」

アイヴィー「よくやったわね。ご苦労様、アレクさん」

アレク「いえ長官、父親として当然のことをしたまでです」

アイヴィー「久しぶりに見させていただきましたよ。風向、風速、気温、湿度、重力…全てを計算に入れた上でのあの距離からの狙撃、お見事でした!」

アレク「恐縮です」

アイヴィー「あなた、警察に戻る気はない? 今日だけじゃなくて、これからずっとね。私が取り計らってもいいわ。もちろんあなたさえよければだけど」

クオン「いいですねそれ! ボクも大歓迎です!」

アレク「長官、クオンちゃん。お気持ちは嬉しいですが、俺はもうこっちの道で生きていくって決めたもので。すみません」

ジョニー「そんなあー。もったいないッスよ先輩ー」

アレク「ハハハ…よしてくれって」

ジョニー「じゃあせめて今度オレたち後輩にライフルを教えて下さい!」

アレク「ん、まあそれぐらいなら喜んでやらせていただくよ」

 

ナタリア、キャロン「お父さーん!」

 

ナタリアとキャロンが走り寄って来た。

 

ナタリア「さすがはK-9隊の大先輩ですねお父さん!」

キャロン「お父さんってほんとにカッコイイ!」

アレク「そ、そうか…?」

ナタリア「これ、お礼!」

キャロン「せーの!」

 

チュッ!

 

ナタリア、キャロンから挟み撃ちで両頬にキスを受けるアレク。

 

アレク「!!! 俺はファンガルド一の幸せ者だぁ~」

アイヴィー「ふふ、よかったわねアレクさん。…アレクさん?」

ジョニー「フリーズしてるッスねアレク先輩…」

クオン「世界一のスナイパーも娘には敵わなかった、かw」

 

みんなの明るい笑い声を、雲ひとつ遮るもののない夕日が照らしていた。

 

 

=END=

 

 

 


 
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