No.1117088

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅53

Seigouさん

陰翳の修羅

2023-03-24 18:22:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:915   閲覧ユーザー数:752

来たる乱世に備え、各員の人事と処遇決定を推し進めていく陳留陣営

 

そんな中、一刀の扱いをどうするかで、もめることとなった

 

なにせあの事件のせいで、治安関係の職務に付かせられなくなったのだ

 

ただでさえ民からの不穏な噂が絶えないというのに、姿を見せようものなら逆に治安を乱す要因となりかねない

 

であれば、文官の職務はどうかというと、これも問題が有る

 

なにせ天の御遣いである以上、他の文官は天の知識を彼から引っ張り出そうとするからだ

 

彼自身は、自分が作った書物を全て廃棄しているため、天の知識を使うことは無いであろう

 

しかし、それでは一文官として使いつぶすだけにしかならない、従来のやり方しかしないなら、他の文官で事足りるからだ

 

彼の能力は政全般に運用可能であるが、今はその万能性がかえって足枷となってしまっている

 

一体どう扱ったらいいものかと頭を悩ませていた矢先、彩香が手を上げた

 

自身が率いる、曹操軍最精鋭、虎豹騎に組み込んではどうかという提案をした

 

確かにそれなら彼の力の一旦を最大限に活用出来るであろう、なにせ春蘭を退けるほどの武の持ち主である

 

懸念が一つあるとすれば、彼のあの邪気である

 

どうも彼の邪気は、人を殺すにつれ強くなっている気がする

 

あのひったくり犯を殺した後も、微妙に強くなったような気がするのだ

 

あのまま邪気が強くなっていけば、果たしてどんなことになるかと、先が読めない

 

しかし、このままでは穀潰しにしかならないため、試験的に虎豹騎に編入することとした

 

更にそこで新たな問題が発生した、もともと菖蒲、氷環、炉青は一刀と同じ部隊にしか入る気はないと明言していたので、この三人に関してはそれでよかった

 

だがここで、一刀愛溢れる麗春、元袁紹軍将軍、悠、斗詩、猪々子も虎豹騎に入りたいと言い出したのだ

 

これは戦力のバランスを欠いた一極集中になってしまうのではと、問題視された

 

だが、袁紹軍は解体されているため、再びこの三人の部隊を編成するとなると、要らぬ軋轢を生みだしかねない

 

斗詩はしっかり者であるし、猪々子と悠の手綱さえしっかりと握っていれば、という条件の下、こちらも試験的に虎豹騎への編入が決まったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩香「皆さん、此度は新たな人員を紹介します、こちら・・・・・」

 

そして、虎豹騎の訓練場に一同を招き、紹介しようとすると

 

「おお、北郷さんだ♪♪」

 

「本当だ、北郷さんだ♪♪」

 

「あの時は、大変お世話になりました♪♪」

 

「怪我を治してもらって、本当に助かりました♪♪」

 

「あなたは、命の恩人です♪♪」

 

一刀の姿を確認した虎豹騎達が、一斉に一刀に群がっていく

 

絶賛放出中の邪気など目に入っていない様子だ

 

あの反董卓連合にて一刀の治療を受けた者達も大勢いるため、虎豹騎内での一刀の人気は凄まじいものだった

 

そのため、北郷包囲網を敷いた袁紹軍に、虎豹騎達は親の仇でも討ちに行くかの如く襲い掛かった

 

烏丸討伐でも、虎豹騎の活躍は留まるところを知らず、隊長である彩香もびっくりな程だった

 

麗春「おお、流石一刀だ、私も鼻が高いぞ♪♪」

 

彩香「皆さん、そこまでにしてください・・・・・一刀君に関しては紹介する必要はないですね、では他の皆さん、自己紹介をお願いします」

 

そして、次々と自己紹介が行われていく

 

菖蒲、氷環、炉青は問題なかったが、斗詩、猪々子、悠の紹介になると場の空気が一気に重くなる

 

それも当たり前である、なにせ元袁紹軍将軍であるのだから

 

あの傍若無人な袁紹一味である以上、風当たりは激しい

 

麗羽「最後に私が、この虎豹騎の軍師を務める、司馬懿仲達である、よろしく頼む♪♪♪」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

最後の力一杯、嬉しそうに自己紹介をする麗春にあてられ、虎豹騎一同は袁紹軍将軍の事などどうでもよくなる位の肩透かしを食らった

 

そして、早速虎豹騎の訓練が行われる

 

新規参入した人間全てが部隊を率いたことがある将軍、隊長、副隊長であり、一兵士からやり直すこととなるのであるが、結果からすれば余裕を持って訓練に付いていけた

 

一刀、菖蒲、斗詩、猪々子、悠は尚の事であり、妖術使いの氷環と炉青が少し心配だったのであるが、この二人とて元董卓軍の副官である

 

普段から妖術に頼り過ぎないことを心掛けて鍛錬を欠かしたことは無いため、虎豹騎の訓練に難無く付いて行った

 

斗詩「ふぅ、こんな訓練久しぶりだね♪」

 

猪々子「だな、長いこと部隊の指揮とか訓練とかしてきたから、ずっと忘れていた感覚だぜ♪」

 

悠「ああ、初心に戻るにはうってつけだな♪」

 

虎豹騎の訓練は、曹操軍最精鋭と言うだけあって、一般人なら逃げ出すくらいの訓練内容である

 

であるのに、新参者達は余裕を持ってこなしていることが分かる

 

彩香「そこまで、本日の訓練はここまでとします!」

 

訓練が終わると、虎豹騎の殆んどがその場にへたり込んだり、肩で息をするなりして疲れた表情をしていたが

 

一刀「ん、何だ、もう終わりなのか」

 

当の一刀は、汗一つかいていなかった

 

麗春「おお、流石一刀だな、この程度では苦にも入らぬか♪♪」

 

彩香と共に部隊全体の動きを管理していた麗春は、息一つ乱していない一刀を称賛しまくっていた

 

彩香「私も驚いています、一刀君は普段どんな鍛錬をしているんですか?」

 

一刀「北郷流の乱取り稽古と比べれば、これくらいなんてことは無い」

 

前の世界に居た時から祖父のしごきを受けていたため、この程度の訓練など訓練の内に入らなかった

 

むしろ不完全燃焼も良い所だった

 

「うおおお~~、北郷さんすげえ♪♪」

 

「流石北郷さんだ、尊敬します♪♪」

 

「あんたらもやるじゃないか♪♪」

 

「ああ、あんたらなら虎豹騎に相応しいぜ♪♪」

 

斗詩「え、ああ、ありがとうございます!」

 

猪々子「へへ、なんだか初めて軍に入った頃を思い出すぜ♪」

 

悠「だな、あたしらは大切な事を忘れていたってことだ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩香「というわけで、彼等を虎豹騎に編入して問題は無さそうです」

 

秋蘭「あの虎豹騎の訓練に難無くついて行くか、流石と言うべきか」

 

春蘭「むぅ、やはり北郷は北郷か・・・・・」

 

氷環「この程度、隊長様ならなんてことありませんわ♪」

 

炉青「はいな、ウチ等の敬愛するあに様が、あれくらいの訓練に付いていけないわけが無いどす♪」

 

悠「うぅ~~~ん、久々に基礎的な訓練をしたからな、体の使っていない所が思っていたより多かったぜ♪」

 

麗春「うむ、私と一刀の居場所は虎豹騎こそが相応しい♪♪」

 

彩香「それでなのですが、これほどの人材を一兵士として扱うのは惜しいので、私に告ぐ虎豹騎の副長に任命したいと思うのですが」

 

華琳「そう、では今後一刀の肩書は虎豹騎の副隊長という事でいいのかしら?」

 

彩香「ええ、後は一刀君の承認次第ですが」

 

華琳「だそうだけど、あなたはどうしたいの?」

 

一刀「勝手に決めていいと言った身だ、その言葉には責任を取る」

 

炉青「やったどす、あに様はそうでないといかんどす♪」

 

氷環「これからは、胸を張って隊長様とお呼びできますわ♪」

 

一刀「それと、俺から報告がある・・・・・俺は、五斗米道は使えないからな」

 

春蘭「は、それはどういう事だ?」

 

秋蘭「ああ、まさかお前は治療まで下らないことと言い出すのではないだろうな?」

 

一刀「違う、文字通りの意味だ、俺は五斗米道は使えなくなったという事だ」

 

彩香「本当です、一刀君は治療術を使えなくなっています・・・・・」

 

桂花「はあっ!!?いったいどういうことなのよ!!?」

 

彩香「訓練で怪我をした虎豹騎の治療をしようとしましたが、かえって傷を悪化させるだけでした・・・・・」

 

こんな邪気を纏っている人間が、人の治療なんて繊細なことが出来る筈が無い

 

五斗米道は、純粋な陽の氣と清らかな心の持ち主にしか扱う事の出来ない究極医療である

 

そこに邪な氣が少しでも入れば、陽の氣の妨げとなり治療は失敗する

 

一刀「よって今後、俺の治療は一切期待するな」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

五斗米道と言う保険が利かなくなった、これは一同にとって大きな誤算である

 

今後、大怪我を負えば、それで戦線離脱をすると思った方がいい

 

油断も慢心も、一切出来なくなった

 

桂花「これは、秘にした方がいいでしょう・・・・・」

 

華琳「そうね、最上の手が消えたことを敵に知られるのは、拙いわ・・・・・」

 

一刀「それともう一つ・・・・・これを返しておく」

 

華琳「え、これはまさか!!!??」

 

桂花「た、太平要術!!!??」

 

かつて賊の侵入を許し、盗まれてしまった太平要術をいきなり差し出され、一同はギョッとした

 

彩香「なぜ、一刀君が持っているのですか!!!?」

 

一刀「張三姉妹を捕まえた時に取り上げていた、今まで返す機会はいくらでもあったが、返しそびれていた」

 

彩香「まさかとは思いますが、一刀君のその邪気は、太平要術によるものですか!?」

 

一刀「何を言っているんだ、これは俺による俺だけものだ、借り物の代物だと思われるなら、心外だ」

 

彩香「そ、そうですか・・・・・」

 

華琳「まぁ、保管してくれていただけでも、ありがたいわ・・・・・彩香、二度と奪われること無きように」

 

彩香「はっ、謹んで管理いたします!!」

 

三姉妹を匿っていたのだから、太平要術も迂闊に返すことが出来なかったのであろうと察した

 

もともとは、自分達が賊の侵入を許し外部に流出してしまった代物なのだから

 

太平要術を受け取った彩香は、久方ぶりに帰って来た遺産を二度と盗まれまいと、気の引き締まった表情となるのだった

 

一刀「報告は以上だ・・・・・俺は部屋に戻る」

 

彩香「待って下さい、これから他の人員の肩書も決めなければなりません、一刀君も聞いてください!」

 

一刀「どうせ後で聞くことになるんだ・・・・・一足先に副隊長の仕事を片付けてくる」

 

そして、一刀は一人玉座の間を退出していった

 

桂花「まったく、何処まで勝手なのよあいつ!」

 

彩香「そう言わないで下さい、一刀君は自分の職務を全うしようとしているだけです」

 

氷環「では、早く私達の肩書を決めてくださいませ!」

 

炉青「はいな、早くあに様の所に行きたいどす!」

 

秋蘭「・・・・・前から思っていたんだが、どうしてお前達は北郷の事をそこまで好いているんだ?」

 

春蘭「ああ、命を助けられたのは聞いているが、それだけでは説明できん気がするぞ」

 

氷環「おかしいですか・・・・・確かに傍から見れば、狂っていると見られるのでしょうね」

 

炉青「ウチだって、内心そう思うどす・・・・・でも、自分の事を棚に上げとる自覚があるどすか?」

 

好きな人の為とあれば、人をも殺す・・・・・そんな人間が正常であるはずがない

 

彼女達もそうではあるが、華琳への忠義の為に人を殺すことを良しとする者達とて人の事をどうこう言えた義理ではない

 

だがそこまで狂った理由は、本人達にも分からないらしい

 

氷環「何故だか分かりませんが、一目見たとき思ったんです・・・・・あ、この人だ・・・・・って」

 

炉青「自分の人生を全部賭けてもいい・・・・・いや、地獄の果ての先まで付いて行く・・・・・そう思わせる何かが、あに様にはあったんどす」

 

春蘭「まぁ、その気持ち分からないでもないか・・・・・菖蒲はどうなのだ?」

 

菖蒲「私は最初は、占い師の導きで幽州に仕官して一刀様に出会ったのですが・・・・・本当のあのお方を、私は知っているんです、ですからあのお方がどの様に変わったとしても、最後までついて行くと誓ったんです」

 

桂花「ふん、尤もらしいこと言って・・・・・どうせ謹慎の七日間を利用してあの全身精液男とよろしくやっていたんでしょう・・・・・良かったわね、女に成れて」

 

麗春「くぅ~~~、羨ましいぞぉ、私も今夜一刀の夜這いに行くぞ♥♥///////」

 

氷環「・・・・・そうだったら、どれだけ良かったか」

 

桂花「は?」

 

炉青「ウチ等三人で、七日間あに様を誘い続けたんどすが・・・・・結局、一度も抱いてもらえなかったどす」

 

菖蒲「はい、添い寝をさせていただいただけでした・・・・・」

 

麗春「それは本当なのか!!?お前達の方から襲ったりしなかったのか!!?」

 

悠「そうだぞ、いくらでも方法はあるだろうに!!」

 

菖蒲「一刀様は、それを見越してなのか・・・・・」

 

炉青「はいな、ウチ等三人を敢えて抱き締めて密着したまま眠るんどす・・・・・」

 

氷環「あれはあれで嬉しいのですけど、あれでは召し物を脱ぐことも出来ず、結局七日間何の進展も無しで・・・・・」

 

華琳「(そうなのね、一刀、あなたはそこまで本気で・・・・・)」

 

残念がる三人を他所に、華琳は悲しみの中に納得を含ませる表情をしていた

 

悠「マジなのか、あたしが男でお前達にそこまで誘われたら、あっという間に狼になる自信があるぞ!!」

 

麗春「なんてことだ・・・・・一刀の奴、そこまで女に興味が無いのか・・・・・」

 

氷環「いえ、そういう訳ではないのですけど・・・・・」

 

炉青「あに様は、別に陰萎でもないどす・・・・・」

 

菖蒲「はい、一刀様とて、健全な殿方ですから・・・・・」

 

一刀が童貞ではないことを、この三人は密かに知っている

 

なにせ梨晏が初めての相手であることを彼女自身から聞き、一刀も肯定しているのだから

 

桂花「まったく、何考えてるのよ、あんた達、本当に襲われたらどうする気だったのよ!?」

 

氷環「決まっているではありませんか、本望です♥♥♥///////」

 

炉青「はいな、ウチはその日を待ち続けるどす♥♥♥/////////」

 

菖蒲「私は、いつでもいいのですけど♥♥♥/////////」

 

一刀の初めての相手が梨晏であることを知った時から、この三人は吹っ切れていた

 

一番は駄目であったがせめて二番はと、チャンスがあれば逃しはしないと虎視眈々と狙っていた

 

悠「いいじゃないか、その心意気、天晴だぜ、あたしもお前達が気に入ったぜ♪♪」

 

サワサワサワサワ

 

菖蒲「きゃあっ!!!??////////」

 

一刀直伝の縮地で菖蒲の背後を取った悠は、彼女の臀部を撫でまわす

 

反射的に菖蒲は、予備の剣を後ろに振り下ろすも、それは空を切る

 

続け様に氷環と炉青の背後を取り

 

モニュウ  ムニュウ

 

氷環「っ!!!??」

 

炉青「っ!!!??」

 

右手で氷環の右胸を、左手で炉青の左胸を、その張りのある豊満な美乳を鷲摑みにし揉みしだいた

 

すると

 

氷環「っ!!」

 

炉青「っ!!」

 

悠「熱ち、冷てっっっ!!!??」

 

途端に触れた手が燃え上がり、凍り付き、咄嗟に手を引っ込めた

 

氷環「この体に欲望を持って触れることが出来るのは、この世にたったお一人だけですわ」

 

炉青「はいな、いくら悠さんでも気安く触らんで欲しいどす」

 

菖蒲「うう、お尻を触られてしまいました・・・・・」

 

華琳「(これは、迂闊に手を出せないわね・・・・・)」

 

気軽にこの三人を襲おうものなら、消し炭か、氷の彫刻か、真っ二つにされるかの三つである

 

いずれこの三人を閨で可愛がるつもりであったが、それは諦めた方が身の為であることを見せ付けられた

 

彩香「しかし、そこまでして一刀君は靡かないなら、あなた達の恋慕は決して実を結ばない、という事ではありませんか?」

 

華琳「ええ・・・・・あなた達、自分が如何に不毛な道を歩んでいるか、分かっているの?」

 

氷環「それでも構いませんわ・・・・・隊長様の意思がそうであれば、それでいいと受け止める・・・・・それが私の愛の形ですから」

 

炉青「ウチがどう思っていようと、あに様にとってどうでもいい存在であるのは耐えられない・・・・・それだけどす」

 

菖蒲「はい、例え不毛であったとしても、それでもその道を行くと割り切っていますから」

 

周りにどう思われようと構わない、一度決めたことは最後まで貫き通す

 

その確固たる決意が伝わってきて、これ以上の言葉は無粋であると悟らされた

 

悠「はっはっはっはっはっは、ますます気に入った、惚れ直したぞ、お前ら♪♪♪」

 

麗春「これは、私も見習わねばなるまい、私も一刀への愛は誰にも負けない自負があるからな♪♪♪」

 

そして、虎豹騎に新規参入した六人の美女達の肩書は、一刀のお供ということになるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎豹騎副隊長としての職務をあっという間にこなした一刀は、一人城をフラフラと散策していた

 

なにせ幽州宰相をしていた頃と比べればなんてことは無い仕事なので、時間を持て余す事を余儀なくされていた

 

そんな一刀が廊下を通る度に文官達が道を開けていく様は、さながらモーゼの十戒のようだ

 

なにせ常に邪気が体から溢れているため、常に畏怖の眼差しを浴びせられる

 

誰もが近付き難い雰囲気を醸し出しながら歩いていると

 

沙和「あ、一刀、さん・・・・・」

 

そこに偶然通りかかった沙和が、恐る恐る声をかけてきた

 

一刀「どうした、何か用か」

 

沙和「あの、用と言うより、相談があるの~・・・・・」

 

一刀「なんだ、言ってみろ」

 

沙和「うん・・・・・前に言ったことがあると思うんだけど、兵士の訓練について相談があるの~・・・・・」

 

一刀「ああ、あの時のか・・・・・すまなかったな、幼稚な理屈をこねて相談を断ってしまった」

 

同盟締結の旅で、この沙和に新兵訓練について相談されたことを思い出した

 

かつての自分は、治安維持をするだけならまだしも、それが戦争という悪事に利用されるっていうなら、話にならない、などとほざいていた

 

漢王朝を正し、今ある平和を確かなものにする為に行動しているんだ、華琳の目指す覇道なんて、クソ喰らえだ、などと思い出すと顔から火が出そうな羞恥心に襲われる台詞である

 

沙和「そんな謝らないでなの~・・・・・」

 

一刀「ああ、確かこうだったか・・・・・新兵がお前の指示を聞かなくて、持て余していると」

 

沙和「そうなの、あれから沙和も色々と工夫しているんだけど、全然上手くいかなくて・・・・・」

 

一刀「そうか・・・・・なら俺の言う通りにしろ、そいつらに・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙和「貴様ら、これまで良くも舐めた態度を取ってくれたなのー!!!」

 

「な、なんだ!!?」

 

「う、于禁隊長?」

 

いきなり怒号が鳴り響き、それまで訓練場でだべっていた新兵達は慌てふためいた

 

沙和「これまでの于禁文則と思ったら大間違いなの、貴様らのそのグウタラ根性を叩きなおしてやるなの、分かったらとっとと立てなのー!!!」

 

「わ、分かりました!!」

 

その迫力に圧倒され、グダグダだった新兵達は一斉に姿勢を正し立ち並んだ

 

沙和「なんだその返事はなの、どこぞの合衆国のヘタレ訓練のサーだのなんだのと、気の抜けた掛け声をする輩などお呼びではないのー!!」

 

「さ、サーでありますか?」

 

沙和「誰がサーなの、ヘルコマンダーと呼べなのー、貴様それでも誇り高きドイツ軍かなの、恥を知れなのー!!!」

 

「ど、ドイツ・・・・・え?」

 

沙和「黙れ小僧共なの、貴様らは祖国に従順な犬になればいいなの、それ以外になる必要はないなのー!!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

沙和「分かったなら、この于禁の言う通りにするなのー!!!・・・・・回れ、右!!!!」

 

そして、それまでユルユルだった新兵達は、キビキビと行動するようになった

 

沙和「撃てなの、弾幕射撃なの、突撃なの!!!」

 

指示の通りに、新兵達は弓を目標に射ていく

 

沙和「警戒なの、隠れろなの、伏せろなの、止まれなの!!!」

 

次々と、沙和の指令を完遂していった

 

沙和「戦場へ、前線へ、そして死の淵まで、命を捨てたその覚悟を示すなのー!!!」

 

訓練をしながら、沙和は新兵達に言葉を投げかける

 

沙和「諸君、沙和達の任務は何なの、殲滅なの、一騎残らずの殲滅なの、為すべきことはただ一つ、地獄を創るなのー!!!」

 

「「「「「・・・・・はっ、ヘルコマンダー!!!」」」」」

 

沙和「矢の雨に打たれる為に行く?笑止千万なの、国の為に行くなの!!!忠誠を、従順を、そして其の魂を全て捧げて勝鬨を上げるなのー!!!」

 

「聞こえるぞ、抵抗する蛆の聲だ!!!」

 

「踏み潰せ、踏み潰せーーーーー!!!」

 

沙和「さあここに築いて見せろなの、天に届く死体の山をー!!!」

 

何となくノリが分かって来たのか、新兵達はここが戦場であることを想定し、沙和もそれに便乗していく

 

沙和「お前達のどこに恐怖があると言うんだなのー!!!??」

 

「「「「「ありません!!!!!」」」」」

 

沙和「見るなの、血肉が花火の様だなのー!!!」

 

「「「「「撒き散らせ、撒き散らせえええええええ!!!!!」」」」」

 

沙和「千の傷跡、忘れないなのー、炎の熱も、零れた臓腑も、最後の瞳も、濁った瞳も!!!」

 

「「「「「嗚呼、それこそを求めます!!!!!」」」」」

 

沙和「安寧も平穏も、増して和解なんて、牙を捨てた飼い犬の所業なの、絶望と動乱を駆けた狂気の沙汰は、地獄よりも楽園のようだなのー!!!」

 

「「「「「この四肢は踊る為に、踊り狂う為に有ります!!!!!」」」」」

 

沙和「人間に価値なんてないなの、価値無き者同士の争いに、命の徒花を咲かせて見せろなのー!!!法律も秩序でも、狂った奴が創ってるのー、まさに笑劇、不条理だけの起承転結なのー!!!」

 

新兵達と沙和の息は、一つの人体の様にシンクロしていく

 

沙和「戦場へ、前線へ、そして死の淵まで、命を捨てたその覚悟を示すなのー!!!忠誠を、従順を、そして其の魂を全て捧げて勝鬨を上げるなのー!!!」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 

沙和「さあここに築いてみせろ、天に届く死体の山を、木霊する憎しみさえ、掻き消すなのー!!!!!」

 

訓練が終わった頃には、新兵達の目はきりっとした、しっかり者のそれとなっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙和「一刀さん、どうだった、沙和上手に出来ていたなの~?」

 

一刀「ああ、なかなかだったぞ、あれを続けて行けば、あいつらもお前の従順な手駒だ」

 

沙和「うん、自分の思った通りに動いてくれるようになって、面白かったなの~♪」

 

いわゆる洗脳訓練の手応えを感じ、沙和は上機嫌だった

 

沙和「本当にありがとうなの、沙和自信が持てたなの~♪」

 

一刀「礼はいい、かつて変な理屈で相談を断った陳謝だと思え」

 

沙和「うんなの、これで早く戦乱の世を終わらせるなの、沙和の夢を叶えるなの~♪♪♪」

 

いつか自分のファッションを大陸に広める壮大な夢を叶えることを、盛大に宣言するが

 

一刀「は、夢・・・・・そんな下らないもの、粗大ゴミにでも捨てておけ」

 

沙和「・・・・・え」

 

いきなり自分の夢を全否定されて、沙和は呆気にとられた

 

一刀「確か、阿蘇阿蘇だったか・・・・・それも全て廃棄しておけ」

 

沙和「そんな、阿蘇阿蘇は沙和の生き甲斐なの・・・・・」

 

一刀「甘えるな、これから華琳の覇道を共にするなら、そんな幼稚なものが通用すると思うな」

 

沙和「いくら一刀さんでも、沙和の夢をどうこう言わないで欲しいなのー!!!」

 

流石に自分の夢をここまで否定されて、激昂するが

 

一刀「は、自分の夢をどうこう言うなだ・・・・・ならお前はこれまでどれだけその夢を刈り取って来たんだ」

 

沙和「え・・・・・」

 

一刀「これまでお前達が殺してきた者達、そしてこれから殺す者達がお前と同じような夢を持っていないとでも思ったか」

 

沙和「そ、それは・・・・・」

 

一刀「そんなお前が、のうのうと自分の夢だけは叶えられると思うなら、それこそ我が儘もいい所でしかないだろうに」

 

沙和「・・・・・・・・・・」

 

他人の夢を切り捨てる自分が、自分の夢は否定されたくないなどと、そんな都合のいい物言いが成立すると思っているなら、それこそお門違いである

 

自分の手を見てみると、うっすらと血が付着しているような感覚に襲われる

 

既に自分の手は汚れているのだ、こんな血塗れな手で作った自分のファッションが人々に受け入れられるか?

 

どう多角的に客観的に見ても、それはもはや有り得ない

 

なぜなら、自分がそのファッションを受け取る側だったら、そんな代物を受け取るなど気持ち悪いだけなのだから

 

一刀「分かったらそんな餓鬼な物言いは今すぐ捨てろ・・・・・今更まともに戻れると思うなよ、お前はもう道を外れているんだからな」

 

沙和「・・・・・・・・・・」

 

訓練場を去っていく一刀の後ろ姿は、沙和の目には殆んど映っていなかった

 

もしかして自分は、とんでもなく甚だしくも恐ろしい事に加担しているのではないか

 

自分から相談したのは分かっているが、その後、沙和は本当にこの訓練を続けてもいいものかという恐怖心が付き纏い、この訓練法を封印するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に訪れたのは、真桜の工房であった

 

中に入ると、今日は非番の真桜がモノ作りに専念していた

 

一刀「精が出るな、真桜」

 

真桜「あ!!?・・・・・一刀はん・・・・・」

 

後ろから声を掛けられ体が強張る

 

あのひったくり犯殺害から、真桜も一刀に僅かながら恐怖心を抱くようになってしまった

 

一刀「なんだ、何かあったか」

 

真桜「ああ、まぁ、何でもあらへん・・・・・」

 

意識していれば恐怖心も引っ込む、なにせこれまでの事で筋と道理は必ず通す人物であることは分かっているのだ

 

そこは共感出来るので、下手に怖がってもしょうがないと自分に言い聞かせている

 

一刀「で、今は何を作っているんだ」

 

真桜「ああ、華琳様から注文受けててな、兵士の人数分の槍を作っとるんや」

 

工房の中に設置されている炉を見ると、溶けた鉄を型に流し込んで形を形成し槍が作られていた

 

既に制作された多くの槍が、壁に立てかけられている

 

一刀「鋳造か・・・・・ま、理には適っているか」

 

真桜「ああ、鍛造も出来るっちゃ出来るんやけど、刻限に間に合わせんとあかんからな・・・・・」

 

鋳造とは、主に鉄・アルミ合金・銅・真鍮などの金属材料を高温で溶解させ、砂などで作った型に流し込み冷やし固めることで目的の形状にする技術である

 

古くは貨幣や寺院の鐘、現代では自動車の部品など工業製品を中心に幅広い分野で活かされ、その技術によって社会・生活における様々な製品が支えられている

 

似たようなものを次々と作り出せるため、大量生産が必要な時はこの工法が使われる

 

鍛造とは、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高め、目的の形状に成形する技術である

 

この叩く作業を「鍛える」というので、「鍛えて造る」ことからこの製造法を「鍛造」と呼ぶ

 

金属をハンマーやプレスで叩くことで内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えることで強度が高まるのが特徴である

 

鉄は叩くことで介在物を除去し強くなることが古来から知られていて、その性質上、強度が必要な製品が作られる、特に日本刀がその粋ともいうべき物であろう

 

質の高いものが出来上がるが、量産には向かない所がデメリットと言える

 

しかし、真桜の言う通り大人数分を刻限までに揃えなければならない以上、質の劣る量産品でカバーする他ない

 

真桜「そういや、何か用なん?」

 

一刀「俺の武器を作れるかと思って来たんだが、そっちを優先してくれて構わない」

 

真桜「量産品じゃ駄目なん?」

 

一刀「邪気を込めると一瞬でボロボロに崩れるからな」

 

北郷流の剣術は、それ相応の強度を持つ剣が必要である

 

氣を流すことで刀身に掛かる負担を軽減するのだが、まずその氣に耐えられるだけの質が求められるのだ

 

こればかりは強度と柔軟性を高次元で兼ね備えた、日本刀の業物のみに許された特権と言える

 

この世界では、炎蓮の南海覇王、または桃香の靖王伝家がそれに入るであろう

 

南海覇王は言わずもがなであるが、靖王伝家もかなりの業物である

 

しかし、そんな古来から伝わる骨董品を探していたところで時間の無駄なので、新たに創れないかと真桜の工房を訪ねたのであるが、これは期待しない方がいいだろう

 

そもそも一刀は無刀術に慣れ過ぎている、今更武器を取ったところで扱い切れるか怪しい

 

真桜「そういや、一刀はんの腰にあの刀が無いけど、どないしたん?」

 

一刀「兼元か・・・・・あれは無くした」

 

真桜「は?無くしたっ、て・・・・・」

 

一刀「反董卓連合が終わった直後に落とした」

 

真桜「マジかいな、いつか見せてもらお思てたのに!!?」

 

この時代ではオーバーテクノロジーともいえる真桜の技術力なら、日本刀並みの業物を生み出すくらい出来るかもしれない

 

しかし、一振りの日本刀の制作期間はざっと一か月弱、複雑極まりない工程を踏みに踏んでようやく出来上がるのだ

 

自分一人の為に、他を蔑ろにするわけにはいかないので、諦めた

 

一刀「あれを見せれば真桜はより良いものを作れるようになったんだろう・・・・・すまなかったな」

 

真桜「いや、謝らんでええて、無いもんはしゃあないし・・・・・」

 

一刀「俺が謝っているのはそれだけじゃない、かつてお前に人殺しの兵器は作るなだの、幼稚な事を吹き込んでしまったことだ」

 

真桜「え・・・・・」

 

この真桜にも、かつての同盟締結の旅にて、物理法則の軍事転用はするなと釘を刺してしまっていた

 

かつての一刀は、あらゆる武器、武術の存在を全否定していたが、そんなものは全て偽善であったのだ

 

そもそも、軍事技術の発展は人類の発展には必要不可欠なものだ

 

それは、ありとあらゆるものに至り、現代人の生活のあちこちに散らばっているのだ

 

例えば電子レンジ、これは食材を中に入れてタイマーを捻ればそれだけで食材を加熱することが出来る優れものである

 

しかし、この電子レンジのマイクロ波は、元々は兵器開発の過程で偶然発見されたものであり、それを民間に転用した代物である

 

分かるであろう、兵器開発が如何に民間の生活向上、人類の発展に貢献しているかを

 

であれば、その技術発展の為とあらば、あらゆる犠牲は許される

 

例え何百万、何千万、何億もの死人が出ようと、それも全て許容される

 

その果てに、人類の輝かしい未来があると言うなら、むしろ少ない犠牲である

 

自分自身がその実験台、礎になったとしても文句を言う権利も資格も無い

 

その恩恵を受けている人間が、自分達がその兵器開発の実験台には使われたくないと言うなら、とんだお門違いである

 

あの広島、長崎の原爆投下とて、必要不可欠なものだ

 

そもそもあそこで核兵器が実戦投入されていなければ、人類は核兵器の恐ろしさを知らずに冷戦に突入することとなる

 

そうなればどんな結果になるかは・・・・・言わずもがなである

 

ならば現代人は、第二次世界大戦を起こしたアドルフ・ヒトラー、真珠湾攻撃を決断した東条英機、原爆投下を指示したハリー・S・トルーマンに感謝しなければならない

 

彼らが偽悪と言う名の仮面を付けてくれたお陰で、今の自分達は存在しているのだから

 

いや、感謝しなくてもいいであろう、冷戦時代で世界が滅べば、それはそれで重畳である

 

一刀「俺が言ったことは全て忘れろ、これからは、お前は効率的に人を殺す兵器を作ることだけを考えればいい」

 

真桜「・・・・・・・・・・」

 

工房を去っていく一刀の後ろ姿を見ていると、複雑極まりない気持ちとなってくる

 

自分は物作りが好きである、思い描いていた物が生み出された時の達成感ときたら、他では味わえない

 

しかし、それが遠い未来にどんな出来事を引き起こすかと考えると、それはそれで恐ろしくなってくる

 

このまま自分は物作りに打ち込んでもいいものかと、真桜は心に常にモヤモヤを抱えることとなるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傾「お前達に一つ問おう・・・・・このままにして良いか?」

 

瑞姫「良いはずないじゃない」

 

風鈴「同感です」

 

楼杏「ええ、一刀さんをこのままにしておけません」

 

城の一室にて、元官軍の秘密会議が開かれていた

 

瑞姫「あのままじゃ、絶対に良くないことが起きるわよ」

 

楼杏「ええ、あれは妖術よりも危険な気配がします」

 

傾「風鈴よ、お前は妖術には明るいか?」

 

風鈴「私が知っているのは、一般的に知られている妖術の危険性のみです・・・・・何せ下手に手を出そうものなら、碌でもない事になりかねませんので」

 

傾「そうか・・・・・ならば一刀の邪気をどうにかする方法を知らないか?」

 

風鈴「邪気の対処法に関する知識は私の中には有りません・・・・・それに如何せん、一刀君は特異過ぎる存在ですので・・・・・」

 

楼杏「前例がない以上、これだとは言えないか・・・・・」

 

瑞姫「天の御遣い・・・・・厄介極まりないわね」

 

謎が謎を呼ぶ北郷一刀と言う存在に、一同は頭を悩ませる

 

しかし、このまま何もしないと、状況は何も進展しないどころか、悪い方向に転がり落ちていくであろう

 

今のうちに何とかしておかなければとんでもない禍根を残すどころか、残す事そのものさえ出来なくなってしまう気がする

 

瑞姫「・・・・・こうなったら、一刀君に夜這いを仕掛けるわよ」

 

楼杏「はあぁっ!!?それはどういう事ですか!!?/////////」

 

瑞姫「方法がないなら、私達で作ればいいのよ」

 

楼杏「それと夜這いとどんな関係があると言うのですか!!?///////」

 

傾「なるほど、邪気を一刀の溜まったものごと搾り出せばいいと言う訳か♪」

 

楼杏「そんな単純なものとも思えませんよ!!いくらなんでも荒唐無稽です、風鈴もそう思うでしょ!!?」

 

風鈴「いえ、もしかしたら名案かもしれません」

 

楼杏「ええ!!!??」

 

風鈴「なぜなら、一刀君の色恋に関する話を聞いたことが無いのです」

 

傾「そうであるな・・・・・氷環、炉青、菖蒲もいくら誘っても靡かないと聞いているからな」

 

瑞姫「一刀君って、玉付いているのかしら?私程じゃないけど、あの三人もかなりの上玉よ」

 

風鈴「瑞姫様の容姿については、この際置いておいて・・・・・今夜私達四人で、一刀君を発散させるのです」

 

傾「それは良い、余の手練手管を総動員して、一刀を天の彼方へ昇天させて見せよう♥♥/////」

 

楼杏「しかし、そこまで頑ななら、私達が誘ったとしても、断られるのが関の山では!?///////」

 

瑞姫「大丈夫、私のとっておきを使わせてもらうわ♥♥////////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夜となる

 

傾「よし、それでは行くぞ♪」

 

風鈴「はい、待っててね一刀君♪」

 

瑞姫「落とさないようにね、それって滅多に手に入らない貴重なものなんだから」

 

楼杏「あ、はい、分かりました/////////」

 

夜の廊下を、外套に身を包んだ怪しい四人組がひそひそと話しながら進んで行く

 

この四人の外套の下は、それはもういやらしくも破廉恥極まりない下着だけの姿である

 

これだけの美女達がこれだけの下着姿で迫ろうものなら、これだけでも並の男ならムラムラが抑えられないであろう

 

そこから更に、瑞姫は駄目押しとばかりの秘密兵器を用意した

 

それは、楼杏が持ち運んでいる香である

 

これは少量嗅いだだけでも、男女問わずあっという間に色狂いになるという媚薬香であった

 

部屋に入っていきなり一刀を襲う算段であるため、既に火を付け蓋を被せた状態である

 

しかし

 

楼杏「うう、凄いです、漏れた煙だけで、もうあそこが疼いて♥///////////」

 

傾「おい、もう暫く耐えろ、ここで一人で始める気か!?//////////」

 

瑞姫「ちょっと、私だって耐えてるんだから、我慢しなさい////////」

 

風鈴「ええ、これは一人が始めてしまったら、連鎖的に全員が手淫を始めそうです/////////」

 

隙間から漏れ出る煙が、四人の雌の本能を刺激してくる

 

こんな少量でもこれだけの効果を発揮するなら、蓋を取ったらどんなことになるか

 

正に雌豹の如く、自分達は乱れ狂うのであろう

 

一刀も野獣の如く襲い掛かってくるのが簡単に想像出来る

 

果たしてこの四人だけで相手が務まるか怪しいものであるが、もう後には引けない

 

そうこうしているうちに四人は一刀の部屋に辿り着く

 

傾「良いな、お前達♥/////////」

 

瑞姫「いいわね、部屋に入ったら蓋を開けるのよ♥/////////」

 

風鈴「一刀君、先生らしいところを見せるわよ♥////////」

 

楼杏「私は、もう限界です♥♥//////////」

 

媚薬香を運んでいる楼杏が一番拙い事になっている様だ

 

そして、ここで一刀の子を孕むも良しの覚悟で風鈴が扉を開ける

 

風鈴「楼杏、今よ!/////////」

 

楼杏「んっ!!///////////」

 

香を机に置き蓋を開けると、中に充満していた煙が一気に噴き出す

 

楼杏「んんんんんん、凄いいいいいいいいい♥♥♥////////////」

 

傾「これは、想像以上だな♥♥♥//////////」

 

瑞姫「私も初めて使ったけど、これだけでもイっちゃいそう♥♥♥//////////」

 

風鈴「んはあああああ、欲しい、欲しいのおおおおおおおお♥♥♥///////////」

 

すると、一瞬で四人の顔は蕩けた表情となる

 

理性と言う名の鎖を噛み千切った雌豹達が一斉に一刀の寝台にダイブし、布団を引っぺがすが

 

傾「ん?」

 

瑞姫「え?」

 

風鈴「か、一刀君?」

 

楼杏「そ、そんな・・・・・」

 

布団を取ると、そこはもぬけの殻だった

 

少し膨らんでいた物の正体は枕であった

 

傾「そこか!!?」

 

勘で寝台の下を覗き込むが、そこにも誰も居ない

 

傾「おい、部屋を間違えたのか?」

 

瑞姫「そんなはずないけど・・・・・」

 

確かにここは一刀の部屋で間違いない

 

しかし、もう就寝の時間を過ぎたはずなのに寝台の中はもぬけの殻

 

一体何がどうなっているのか訳が分からないことを他所に

 

楼杏「んふううううううううう、もう限界いいいいいいいい♥♥♥♥♥///////////」

 

風鈴「私を滅茶苦茶にしてえええええええええええ♥♥♥♥♥////////////」

 

香の効果がこの二人を容赦なく襲う

 

外套を脱ぎ捨て股間を晒し、弄り抜いていた

 

瑞姫「ちょっと二人共、止めなさい!!」

 

傾「ここで始めたら止まらなくなるぞ!!」

 

発情した雌豹を何とか押さえ付けようとするも

 

傾「んおおおおおおおおお、余も限界だああああああああ♥♥♥♥♥//////////」

 

瑞姫「あああああん、こんなの耐えられないのおおおおおおおお♥♥♥♥♥/////////」

 

この二人にも香の効果が襲い掛かる

 

風鈴と楼杏の陰気にも当てられ、狂ったように股間を弄り始める

 

その後、四人は一晩中、媚薬香の煙とその効果が切れるまで、お互いの肢体を貪り合う百合の宴を展開するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、この夜一刀は部屋には戻ってこず、何処に行っていたのかを朝方聞くも、徹底して黙秘を貫かれたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、Seigouです

 

甘いです、もしこの一刀の閨シーンを読みたいと言うなら、ここで期待するのは甘過ぎます

 

この作品のダークファンタジー感は、こんなものではありません

 

ダークファンタジーの金字塔、ベル〇ルクがありますが、自分としてはあれと同じかそれ以上のものを目指していますので

 

もし読者の皆様がこの作品を読んで、悲しくなったり、憂鬱になったり、果ては胸糞悪くなったりすると言うなら、ダークファンタジーとしてこの作品は成功していると言えるでしょう

 

阿修羅伝をお待ちの読者の方々もいらっしゃるでしょうから、スピードアップしていきたいものです

 

では、待て・・・・・Magia・・・・・


 
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