No.111017

Sky Fantasia(スカイ・ファンタジア)二巻の4

3の続きです。こんな山があったら大変です。

2009-12-07 14:56:49 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:648   閲覧ユーザー数:636

四章   ドラゴン

 

 

 あの一泊研修から二週間たった。

 リョウたちは平穏な学園生活を過ごしていた。

 リョウの頭の中には山で現れた影が、いったい何だったのか気になったままだった……

 そんなある日、いつものようにリョウたちは、課外授業を受けるために学生課に来ていた。

学生課の掲示板で自分のやりたいのを見つけていると、掲示板の端の方に、一つだけ違う紙が張られていた。

それに一緒についてきていたサブが、いち早く気付いた。

「やっぱり、ここにも掲示されたか……」

「何の課題だ? それ?」

「……見てみろよ」

サブはその張られている電子紙を指した。

「なんだ?・・・おい・・・」

「ああ、たぶんお前が見たってやつだ」

リョウはそれを見て、驚くとサブはその問いに答えてきた。

 その内容は、

《Aランク任務。ミュルクヴィズの森に出る魔物の討伐。最近ミュルクヴィズの森に大きな魔物が現れ、近隣の住民に被害を出している》

 それを一緒にいたリリも読んだ。

「……この場所って、この前の一泊研修に行った所の隣だよね?」

「ピンポーン。だけど、俺が目をつけているのは・・・ここ」

すると、サブはその電子紙の下の方に書かれている数字を指した。

 リリはその数字を見ると、数え始めた。

「えーと、いち、じゅう、しゃく……五十万ゴールド!」

「そう。でだ、そこで相談なんだが。この賞金を逃すのは惜しいと思わねぇか? 惜しいよな! そういう訳で、手を組もうぜ!」

サブが力説するが、リョウは「また巻き込まれるのか」と呟くと、溜息をついた。

「・・・まあ。俺は別に良い・・・てか、どうせ無理やりやらすんだろ」

「さすがリョウ! 話が早い!」

サブは嬉しそうにリョウの両肩をポンポン叩いた。

 だが、リリは少し困った表情を浮かべると、

「でも、これってAランク任務だよ。私たち、Cランクより上は、まだ受けられないよ」

そんな言葉に、サブはち、ち、ち、と指を揺らすと、

「それは大丈夫。学園の課外授業じゃなくて、個人参加だがら」

と抜かりは無いと言わんばかりに答えた。

 そして「リリもいいだろ?」と誘ってきた。

 その誘いに、リョウは「おい、リリをこんな面倒ごとに巻き込むな」と呆れながら突っ込んだ。

だが、リリは「いいよ」とサブの誘いに乗ってきた。

「おいおい。いいのか? 学園の単位には関係ないんだぞ?」

「うん。試したい魔法があるし・・・もしかして、邪魔?」

リリは少し暗い顔をして聞いてきた。

「別に、お前の魔法は戦力になるし、な」

と、リョウは言うと、リリは「うん!」と返事をして、表情がパッと明るくなった。

 そんな会話を、いつの間にか外野に追いやられていたサブが、

「ゴホン・・・じゃあ、お前らに参加してもらうから、もう一人ぐらい呼ぶな。それじゃあ、邪魔者は蹴られる前に退散するかな」

と茶化すと、部屋から出て行った。

 その言葉に、リリの顔が見る見る赤くなっていった。

「そ、そんなんじゃ・・・サブ君!」

部屋から出るサブの背中にリリが叫んだ。

 

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「……で、なんでオレをここに呼びやがった?」

と不機嫌な顔でリニアは、サブに聞いた。

 週末、リョウ、サブ、リリ、そしてリニアは、駅前で集まった。

「別に良いだろ。俺たちの中じゃねぇか」

「何時から、テメエらとダチなった!」

「まあまあ、そろそろ電車来るから行こうよ」

と、リリはサブとリニアの会話に割って入った。

 その言葉に、リニアは舌打ちをすると、ホームへ向かった。

三人もその後に追った。

 

 四人は電車で双子山の近くの駅に向かった。

そこから歩いて山を登り、ミュルクヴィズの森の入り口前の宿に向うことにした。

その山道で、リニアはサブに魔物のことについて聞いた。

「・・・で、今回の獲物はどんなんだ? まさか、デケェー猪とかじゃねぇよな?」

「いんや。確認されている情報だと、翼が生えてるみてぇだ」

「じゃー、デケェー鳥か?」

リニアが想像を膨らませながら、質問していく。

だが、サブは「判んねぇ。見たわけじゃねぇから」とサラッと答えた。

「まあ、何でもいいか。なんにしろ、ぶっ潰すだけだからよぉ」

と、リニアは楽しそうに言った。

 

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 そんなこんなで、四人は宿に着いた。

だが、ターゲットは夜に一番現れているようなので、ご飯のときにまた集まることにして、その時間まで自由時間にした。

 なので、山を登るのに汗をかいたリリとリニアは、お風呂入ることにした。

 

 この宿には、露天風呂があり、二人はお湯にゆっくり浸かっていると、不意にリニアがリリに話しかけた。

「……そういやー。テメエ、カイザーって奴と付き合ってんのか?」

「ふぇ?」

不意な質問にリリは変な声をあげると、リニアの方を凝視した。

「ち、違うよ! リョウ君とはその・・・家族なだけで、そういうんじゃないから!」

リリは顔を真っ赤にして、必死に否定した。

 その反応に、リニアは悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「そうかー? てっきり、アイツの女だと思ったんだけどよぉ。ちげぇのか・・・でも、その反応はおもしれぇな」

その言葉に、からかわれたと思い、自分の顔を隠すようにお湯に半分ほど顔を浸けた。

その様子がまた面白くなったのか、リニアは楽しそうに笑うと、湯を囲んでいる岩に両手を置いた。

その姿をジーと見つめていると、リニアがその視線に気付いた。

「……何見てんだ?」

「え? ガーベルさんって、綺麗だなーと思って・・・」

その言葉に、リニアは目を細くして、不敵な笑いを漏らしながら近づいてきた。

「何言ってん、だ……テメエもカワイーのがついてるじゃねぇか」

と言うと、急に胸を触ってきた。

 すると、いきなりの事に、リリは悲鳴をあげた。そして、何とかリニアの魔の手から逃げると、距離をとった。

 リリはゼェーゼェー息を整えながら、怯えた目でリニアを見た。

「そ、そういう意味じゃなくて。リョウ君にすごい力だった、って聞いたのに、腕とか細

いなぁーと思ったの」

 その言葉に、リニアは疑問に思ったのか、首を傾げた。

「力?・・・ああ、あれな。あれは魔力を込めてただけだ」

リリはそのリニアの言葉に「どんな?」と訊いた。

「オレは重力を少し弄れるんだ」

「レアスキル保持者なんですか? じゃあ、ガーベルさんは自分の力だけでリョウ君の攻撃を弾いたわけじゃなかったんだ」

「まあ、あんな細せぇ奴なんて、魔力を使わなくても、吹っ飛ばせるけどな」

と笑いながら言った。

 その言葉に、リリは真剣な顔になると、

「そんなことないよ。リョウ君は強いから」

とリニアに言い返した。

 すると、リニアは「はぁ?」とさっきまでとは違う空気になり、睨みつけてきた。

そして、二人はお互いを向かい合ったまま沈黙した。

だが、それは一、二分であり、リニアは噴出し、笑い出した。

「いいぜ! テメエ! 最高だ! どこぞのお嬢様かと思ったけど、肝が据わってるじゃねぇか。気に入ったぜ」

 リリはいきなりの事に「え?」と驚いた。

 そのまま、リニアは言う。

「そういやー。〝ガーベルさん〟って、やめてくれねぇか?」

その言葉に「じゃあ、なんて・・・」と返すと、

「リニアでいい。ガーベルって言われんの、あんま好きじゃねぇんだ」

その宣言に、おかしくて、笑ってしまった。

 その姿に、リニアは目を細くして、

「なに笑ってん、だ? テメエ」

「なんでもないよ。それより―――」

リリはリニアのすぐ近くに寄ると、リニアの目をまじまじと見て、

「な、なんだテメエ?」

「〝テメエ〟じゃなくて。リリだよ」

そう言うと、リニアは一瞬、呆気にとられ、目を丸くしたが、すぐに笑い出した。

すると、リニアは立ち上がり、湯から出ると、脱衣所の方へ少し歩くと、こちらに向かって、「そろそろメシ食いに行こうぜ。リリ」と言った。

その言葉に、リリも「うん」と返事をして、あとを追って湯から出ようと、立ち上がろうとした。

「―――まて」

だが、リニアが急に静止してきた。すると、徐に近くにあった桶を拾うと、近くにある木

に向かって投げた。

 その桶は何かに当たると「ガッ! ギャ―――――」と声をあげて、影が・・・というかサブが、派手な音をたてて木から落ちた。

 地面に落とされたサブは、目を回しており、気絶していた。その手にはカメラが握られている。

 リリはいきなりのことに「きっ・・きっ・・・・」と声を引きつらせた。

「・・・ベタな奴。お約束か?」

と、リニアは言いながらサブに歩み寄ると、そのカメラを踏み潰し、粉々にした。

それが合図のように、リリの叫び声が山に木霊した。

 

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夜、夕ご飯を食べ、各々は準備を終えると、宿の入り口で集まった。

みんなは戦闘着を着替えており、容易は万全だ。

しかし、一人だけ、すでにダメージを追った奴がいる。

「・・・ッててて、まったく。もうちょい手加減しろよ。魔物退治の前に死ぬとこだったぜ」

そう文句を言いながら、サブは顔を擦りながら、リニアに視線を向けた。

「覗くテメエがワリぃんだよ。殺されなかっただけでもありがたく思え」

と言うと、リニアはガントレットを着けながら、サブを睨らみつけた。

 リリも不機嫌な顔を浮かべて、その言葉に続く。

「そうだよ。まったく・・・それに、リョウ君も止めてよ」

「知らねぇよ。俺が気づいたときにはもう、アイツはいなかったんだから」

リョウは欠伸をしながら反論した。

「大体、俺とたいして変わ―――!」

「・・・なんか言った?」

リリが鬼の形相で睨みつけてくると、リョウは「なにも・・・」とあまりの威圧感に、すぐにその先を言うのをやめた。

 すると、何もなかったかのように、サブが三人に向かって、

「そろそろポイントに行こうぜ。もうすぐ現れるはずだ」

と言うと、ポイントに歩いていった。

その後ろ姿を、リニアは目で追いながら、

「・・・逃げやがったな」

呆れながら言うと、あとを追った。

 リリもリョウの顔からプイっと視線を外すと、リニアのあとについていった。

その行動に、リョウは疲れたようにため息をつくと、三人のあとを追った。

 

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四人は森に入り、魔物がよく目撃されたというポイントに着いた。

サブは地図を片手に、辺りを見渡しながら言った。

「この辺のはずなんだけどなぁー」

「……居ねェじゃねーか。間違ってんじゃねェか?」

「そんなことは・・・ん?」

「……どうした?」

「何か聞こえねェか?」

その言葉に、四人は耳をすませた。

 そうすると、翼を動かす音に聞こえた。

その音のする方に向くと、リョウは刀を鞘から抜いた。

そして、みんなに「・・・来るぞ!」と促がした。

その言葉に、他の三人も反応して、身構えた。

音はどんどん近づいてくる。

 次の瞬間、空から炎玉が、四人に向けて飛んできた。

 サブとリニアは飛び退き、リョウも近くにいたリリを抱きしめると、その場から離れた。そして、四人のいた所に炎玉が落ち、大きな爆発を起きた。

リョウはすぐに炎玉が落ちたところに視線を向けた。

そこでは、地面に大きな焼けあとを残し、そこから煙が出て、抉れていた。

その光景に驚きの表情が隠せなかったが、すぐに羽の音がする空へ視線を向け直した。そこには、翼をはためかす影が浮かんでいた。

その影は空からゆっくり降り、着地すると、その場に地面を砕く大きな音を響かした。

その影は月の光を浴び、その輪郭を現す。

その姿は、ドラゴンだった。


 
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