No.1100799

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅46

Seigouさん

銷魂の修羅

2022-08-23 12:24:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1581   閲覧ユーザー数:1295

氷環「・・・・・そのようなことが」

 

炉青「五胡の奴ら、月様のご好意を何だと思っているんどすか」

 

詠「まぁ、向こうも色々と問題を抱えているからね・・・・・」

 

月「うん、仕方ないよ・・・・・」

 

幽州に到着した一同は、事の経緯を聞いた

 

五胡については、月と共に交渉に赴いていた詠が一番詳しいため、若干諦め気味だった

 

一刀「・・・・・今は、目の前の問題を片付けよう」

 

白蓮「そうだな、早く帝を見つけ出さないとな」

 

涼州の現状には心が痛むが、今はどうしようもない

 

いつか五胡の問題も解決することを誓いながら、一刀達は出発の準備をする

 

氷環「あら、隊長様、兼元はどこに?」

 

炉青「そうどすな、北斗に乗せてあるんどすか?」

 

思い人の腰に、思い人のトレードマークが無いことを訝しむ

 

一刀「兼元は・・・・・落としてしまった・・・・・」

 

白蓮「は、落としたってどういう事だ?」

 

一刀「ここに戻る時に、虎牢関でな・・・・・」

 

氷環「そんな、あれは隊長様の大切なものなのでしょう!?」

 

炉青「探しに行ってくるどす!」

 

一刀「そんなものはいい、それより今は空丹様と白湯様を探し出す方が先だ!」

 

あんな刀一本より、遥かに重大な問題が目の前にある

 

このままでは一刀が一番恐れている、戦乱の時代が訪れてしまうのだから

 

星「しかし一刀殿、当てはあるのですかな?」

 

菖蒲「はい、闇雲に探しても意味はないかと・・・・・」

 

このだだっ広い大陸を虱潰しに探すなど、ナンセンス極まりない

 

時間の無駄にしかならないことは容易く想像が付く

 

秘密裏に探す必要がある以上、情報収集にも限界がある

 

一刀「いや、奴らは冀州の何処かにいる」

 

傾「なぜそのようなことが分かる?」

 

一刀「ああいう奴らは、高みの見物というのが好きなんです、この状況を楽しむには冀州が一番の特等席でしょうから」

 

それだけではない、反董卓連合の情報をいち早く仕入れたいが故に、十常侍は冀州から迂闊に離れられない

 

空丹と白湯は旅に慣れていない故、移動する上ではお荷物にしかならない

 

事が終わった後、洛陽に返り咲く為にも、麗羽という操り人形がどうしても必要なのだ

 

瑞姫「でも、冀州も割と広いわよ、探し出す事なんて出来るの?」

 

一刀「大丈夫です、それも当てはあります」

 

その当てというのは、かつて一刀が白湯に渡した五百円硬貨である

 

回天丹田の氣を注ぎ込んだ五百円硬貨は、常に氣を発しているためそれを感じられれば一つの発信機にもなる

 

一刀の未完成な湫歩と合わせれば、恐らく何とかなる

 

問題は時間である、なにせ揚州の美羽に渡した五百円硬貨でさえも消えかけであったため、一刀が回天丹田をかけ直したのである

 

同盟締結の旅で洛陽に寄った時にかけ直しをしなかったのが悔やまれる、帰り道に冀州があったにもかかわらず感じられなかったのはそのためであろう

 

だからこそ急がねばならない、今この瞬間にも五百円硬貨に封じられた一刀の氣が底をつくかもしれないのだ

 

そうなってしまったら見つけられる可能性は絶望的となるだろう

 

瑞姫「それなら、連合が結成される前に冀州に探しに行けばよかったんじゃないの?」

 

傾「そうだな、早々に十常侍を見つけ出していれば、このようなことには・・・・・」

 

風鈴「そうなると、ここにいる全員は、今生きていないかもしれませんね」

 

楼杏「そうですね、一刀さんが連合に付いてくれていたからこそ、私達は円滑に策を成すことが出来たわけですから」

 

傾「・・・・・・・・・・」

 

瑞姫「・・・・・・・・・・」

 

そう言われると返す言葉もない

 

仮に一刀が先に冀州に空丹と白湯を探しに行ったとしても、それで見つけられたという保証もなかったのだ

 

それが外れた場合、自分達は洛陽で息絶えていた可能性大であろう

 

一刀「それじゃあ、皆は幽州に隠れていてくれ!」

 

白蓮「私達が何としてでも帝を探し出して見せますから!」

 

星「吉報をお待ちくだされ!」

 

菖蒲「何があってもここを出ないで下さいね!」

 

月「一刀さん、陛下の事をくれぐれもよろしくお願いします!」

 

一刀「任せておけ!」

 

氷環「隊長様、どうか私達も連れて行ってくださいませ!」

 

炉青「そうどす、役に立って見せるどす!」

 

一刀「駄目だ、お前達もここに残れ!」

 

支度を終え、冀州へと赴こうとした時

 

「お待ちくだされ北郷様!!」

 

突然、文官の一人が呼び止めてきた

 

一刀「こっちは急を要しているんだ、帰ってからにしろ!!」

 

「そうも言っていられませぬ、このままでは烏丸と戦になるやもしれませぬぞ!!」

 

一刀「・・・・・なんだ、一体何があったんだ?」

 

烏丸とは友好関係を結んでいるのに、戦争になるとはどういう事か

 

緊迫した文官の様子が感じ取れ、報告を聞くことにした

 

一刀「な、なんだと・・・・・」

 

文官が持ち込んで来た報告に唖然とする

 

その報告とは、北方民族烏丸にとある大問題が発生したというものだった

 

それは、万里の長城を越えた烏丸の農作地に、蝗が大量発生したというのだ

 

いわゆる、蝗害というものである

 

蝗害は、一刀が暮らしていた時代でも根強く残る問題であったためそれに対する対策もあるにはあった

 

しかし、今回はそれを実施する前に相変異したバッタの大群に先手を打たれてしまった

 

一刀が烏丸の地で推し進めた農耕の現場を食い荒らしていったため、飢えた民衆が暴徒になる寸前だというのだ

 

傾「おいおい、冗談ではないぞ!」

 

瑞姫「なによそれ、幽州は安全じゃなかったの!?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

茫然自失とはこの事である、相手は理性も何もない昆虫であるだけに、悲愴感しか募ってこない

 

十常侍の陰謀にしろ、反董卓連合にしろ、今回の蝗害にしろ、どうしてこうも悪いことが立て続けに起きるのか

 

これまで血の滲む様な努力の末に築いてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れていく絶望感

 

まるで世界が結託して、自分の行く手を阻んでいるかのような

 

何をどうしようと、人は戦争をする運命

 

自分がどれだけ足掻こうと、世界の意思を覆すことは出来ない

 

人は、神から用意されたレールの上を木偶人形のように進むのみ、そこに本人の意思はない

 

仮にあったとしても、それもまた神から与えられたものにすぎない

 

一刀「(・・・・・ふざけるな!!!!!)」

 

そのような運命論や決定論など、クソくらえである

 

人間の進む道が、最初から一から無限まで決まっているなど、誰が認められようものか

 

一刀「(徹底的に抗ってやる、神とやら、この俺を敵に回したことを死ぬほど後悔させてやるぞ!!!)」

 

この理不尽極まる輪廻を断ち切る為に、再び一刀は自分を奮い立たせる

 

一刀「こうなったら手分けしていこう、烏丸との交渉は詠に一任していいか!!?」

 

詠「分かったよ!でも蝗害となると、かなり面倒だよ・・・・・」

 

一刀「幽州の国庫を使うんだ、それも詠に一任する、躊躇わず使ってくれ!!」

 

惜しくないと言えば嘘になる、なにせこれまで貯めてきた国庫は、幽州の人々の血と汗と涙の結晶なのだ

 

だがこのままでは、せっかく友好を築いた烏丸との関係が崩壊しかねない

 

こんな時こそ、国庫を使わずしてどうするというのだ

 

失った分はまた取り戻せばいいのだ、史実の通りに烏丸と漢帝国がいがみ合うよりは遥かにましである

 

しかし、神とやらは一刀が思っている以上に悪辣だった

 

「お待ちを、実は烏丸から使者が来ておりまして、責任者としか話をしないと言われまして!」

 

一刀「そこはそっちで何とかしろ!!」

 

「我々もそう宥めたのですが、向こうは頑として聞く耳を持たず、北郷様しか信用しないと!」

 

一刀「あーーもーーーー、くそったれが!!!」

 

恥も外聞もなく、悪態が自然と出てきてしまう

 

どうやら神とやらは、徹底的に行く手を阻んでくるようだ

 

一刀「分かった、すぐに行くと伝えろ!!」

 

瑞姫「ちょっと一刀君、主上様はどうするのよ!?」

 

傾「そうだぞ、そのようなものより、陛下の御身の方が重要であろう!」

 

一刀「分かっています、しかしこのままではこの幽州が戦場になるかもしれません!!」

 

空丹と白湯の捜索には、自分自身の氣を見極める為に一刀自身が赴く必要がある

 

一流の武人である星と菖蒲も氣の感知は出来るが、一刀程の働きは期待できない

 

烏丸との交渉は詠に任せたいが、向こうが一刀としか話さないと、取り付く島もないのではなんともしようがない

 

どちらも一刀の身が必要な以上、近場から解決していく他ない

 

一刀「空丹様と白湯様を無事見つけて帰って来たとしても、幽州が焼け野原になっていたのでは全く意味がありません!!」

 

瑞姫「う・・・・・」

 

傾「ぐぅ・・・・・」

 

一刀「こうなったら、速攻で烏丸の問題を解決して、その後すぐに陛下達の捜索に向かう・・・・・詠、手伝ってくれ!」

 

詠「もう、どうしてこうも厄介事ばかり・・・・・いいわ、手伝ってあげる」

 

氷環「微力ながら、私もお手伝いさせていただきますわ!」

 

炉青「はいどす、何でも命じて下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二週間後、ようやく烏丸の騒動は鎮静の兆しを見せた

 

一刀「ふぅ、これで一段落したか・・・・・」

 

詠「そうだね、後は他の文官に任せて大丈夫でしょ・・・・・」

 

蝗害の規模は、一刀達の予想を遥かに超えたもので、予想よりも日数がかかってしまった

 

幽州全体が一丸となり問題解決の為に奔走したが、国庫の大半を使い切ってしまった

 

一刀「よし、すぐに陛下達の捜索に向かうぞ!」

 

白蓮「ちょっと待て一刀、お前連合が終わってから殆んど寝てないだろう!」

 

星「さよう、目の下に隈が出来ていますぞ!」

 

菖蒲「せめて仮眠を取ってからでも!」

 

一刀「馬鹿な事を言うな、疲れているのは皆同じだ、ここで俺達が踏ん張らないでどうするんだ!」

 

ここ二週間まともに睡眠もとらず烏丸の地を駆けずり回っていたため、完全に睡眠不足であった

 

だがここでへばってもいられない、刻一刻と白湯に渡した五百円硬貨の氣は無くなっていくのだ

 

支度を整え、いざ冀州に赴こうとしたその時

 

「お待ちを、北郷様!!」

 

一刀「今度は何だ!!!??」

 

またもや文官から呼び止められ、感情が露わとなる

 

しかし、文官が持って来た報告は

 

「冀州が・・・・・袁紹軍が、幽州に攻め入ってきました!!」

 

一刀「・・・・・な、なんだと」

 

更なる絶望を齎すものだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は、反董卓連合が解散された三日後、一刀達が烏丸の問題を何とか解決した十日ほど前に遡る

 

洛陽から帰還した麗羽達は、再び城の執務室にて張譲と相対していた

 

真直「これはどういうことですか、張譲殿、洛陽には董卓はおろか帝もどこにもいませんでしたよ!!」

 

張譲「それは董卓が帝を攫って何処かに隠れたからに違いない、今すぐ足取りを追うのじゃ!!」

 

真直「なんですかその言い分は・・・・・宮殿を見ましたが、あなた方が言うような大将軍による激しい政権転覆の痕跡などどこにもありませんでしたよ!!」

 

斗詩「私も、真直ちゃんの言っていることは正しいと思いますよ、麗羽様」

 

麗羽「え、ええ、そうですわね・・・・・」

 

張譲「じゃから、それは董卓による隠蔽工作じゃ、騙されてはいけませんぞ、袁紹殿!!」

 

真直「そのような戯言、誰が信じますか!!?あれほどの規模の隠蔽などどこの誰に出来るというんですか!!?」

 

洛陽の宮殿内部は綺麗に清掃され、むしろ十常侍がいた時よりも綺麗なくらいであった

 

それは月と詠が、いつ帝が帰ってきてもいいようにと反董卓連合が終わるまでの間に大掃除を敢行したからだ

 

護衛の兵達も動員したとはいえ、あれだけ広い宮殿の掃除は骨が折れたであろう

 

ここまでは能力さえあれば誰にでも出来る、問題は宮殿の更に外にある

 

洛陽の街並みは、以前より確実に改善され治安も見違えるものだった

 

それは氷環と炉青の功績が大きい、一刀から教えてもらった割れ窓理論を駆使し、董卓軍総出で洛陽の清掃をした結果だった

 

更に、情報収集をしようと洛陽の住民に話をしたところ、知らないだの、暴政は無かったの一点張りで、董卓と帝の行方に関する情報も一つも得られなかった

 

これも、月と詠による徹底した口止めだった、空丹と白湯の身を優先し、自分達の情報を連合に一つも与えない為だ

 

これがもしも暴君の所業であったのならこうはいかないであろう、民から慕われる名君であるからこそ出来たのだ

 

張譲「そ、それは・・・・・あれじゃ!!董卓は、妖術を使って洛陽の民達を洗脳したのじゃ!!」

 

真直「なんて見苦し言い訳、そんなものがあったら誰も苦労などしませんよ・・・・・大体妖術の恐ろしさはあなたとて知っているはずですよね、そのような大規模な術の行使などしようものなら、あっという間に術に精神を乗っ取られて、逆に洛陽は灰燼に帰します!!」

 

張譲「それこそ董卓による陰謀じゃ、董卓は五胡と和睦し交易をしておるというではないか、であれば妖術の行使も心得ておるはず!!術に乗っ取られずに洛陽を洗脳下に置くなど容易いはずじゃ!!」

 

真直「何が容易いですか、五胡とて妖術の扱いは厳格なんですよ!!知らないとは言わせません!!」

 

麗羽「え、ええと・・・・・」

 

張譲「それこそ愚門であろう、董卓軍には二人の妖術使いがいたであろう!!ええと、なんていったか・・・・・」

 

真直「まさか徐栄と張済の事を言っているんですか、あの二人の妖術は張譲殿の言う妖術とはまるで違う代物です!!それにあの二人は北郷殿が捕虜として幽州に連れて行ったはずです!!」

 

張譲「それじゃ、董卓は幽州の天の御遣いと結託しておったのじゃ!!奴は諸侯と同盟を結んでおった、その中には董卓も含まれる、であれば話の辻褄は合う!!」

 

真直「な、何が辻褄ですか、当てつけにも程があります!!それを言い出したら北郷殿と同盟を結んだ各諸侯、私達袁紹軍とて北郷殿と結託していたということになるではありませんか!!」

 

麗羽「あ、あの・・・・・」

 

張譲「袁紹殿、幽州が、天の御遣いこそが全ての黒幕でありますぞ、帝を誘拐したのもあ奴に違いないのじゃ!!あ奴こそがこの国を転覆しようとしておるのですぞ!!」

 

真直「あの北郷殿がこの国を転覆しようとているなんて、それこそ有り得ない話です!!」

 

張譲「袁紹殿、長年帝のお傍に仕えてきた私の言葉を信じないおつもりですか!!?」

 

真直「騙されてはいけません麗羽様、彼らの言動には矛盾した点が多過ぎます!!」

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

分からない、一体どっちが正しいのか

 

両者の言葉に頭の中がグルングルンとかき乱され、目の前が歪んで見えてくる

 

混濁する意識の中、何もかもがどうでもよくなってくるような感覚を覚える

 

麗羽「ええ、そうですわね・・・・・」

 

真直「よかった、分かって下さったんですね♪」

 

今度こそ、まともな判断をしてくれると真直は安堵する

 

しかし

 

麗羽「私は、張譲さんの言葉を信じますわ!!」

 

真直「・・・・・は?」

 

斗詩「・・・・・え?」

 

最早やけくそな麗羽の言葉に、真直と斗詩は唖然とする

 

張譲「おお、なんという賢明なご判断、この張譲感服いたしましたぞ♪♪」

 

麗羽「そうでしょうとも、この袁本初の判断が間違っているなど有り得ませんわ、お~~~~っほっほっほっほっほ♪♪」

 

斗詩「ちょっ、麗羽様、正気ですか!!?」

 

真直「どう考えてもこの人の言っていることは滅茶苦茶も良い所です!!」

 

麗羽「お黙りなさい、張譲さんの言う通りですわ、長年陛下に仕えてきた方達を信じずしてどうするというのですか!!?」

 

真直「よく考えてください、あの北郷殿ですよ!!あの人がこれまでどれだけ王朝の為に尽力してきたか、麗羽様も見てきたはずです!!」

 

張譲「それこそ奴の画策に違いないですじゃ、朝廷に忠を尽くすふりをして裏では真逆の事をしていたのじゃ!!諸侯と結んでいた同盟も、王朝に一斉決起をさせるための布石だったのじゃ!!」

 

真直「あの同盟内容でそのようなことが出来るはずありません!!内容は貿易と不可侵だけだったのですから!!」

 

斗詩「そうですよ、それに連合で私達は、一刀様に大変お世話になったんですよ!!あの働きを麗羽も見ていたはずですよね!!?」

 

張譲「それこそ諸侯を油断させる為のものだったに違いないですじゃ!!」

 

麗羽「まあまあ、なんたる策士、危うく騙されるところでしたわ!!」

 

張譲「その通りですじゃ、今こそ天を名乗る不届きものに朝廷の威厳を示す時ですぞ!!」

 

麗羽「そうですわ、思えば陛下以外が天を名乗るなど、不届き千万だったのですわ!!」

 

斗詩「待って下さい麗羽様、こんなのおかしいです!!ここで幽州に進行なんてしたら袁家から条約を破ったことになりますよ!!」

 

真直「目を覚ましてください、そのようなことをしたら袁家の信用は地に落ちてしまいます!!」

 

麗羽「目を覚ますのはあなた方の方ですわ!!早く幽州に進行する準備をなさい!!」

 

真直「そこまで言うのでしたら、勝手にしてください、私は協力などいたしません!!!」

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

この言葉が、麗羽の運命を決定付けてしまった

 

麗羽「・・・・・分かりましたわ」

 

真直「(ほっ、良かった)」

 

今度こそ、自分の言葉に耳を貸してくれた・・・・・そう思えたのは一瞬だった

 

麗羽「斗詩さん、真直さんを、いいえ・・・・・田豊元皓を拘束なさい!!!」

 

斗詩「え、そんな、麗羽様・・・・・」

 

真直「れ、麗羽様、今何と・・・・・」

 

信じられない麗羽の言葉に二人は硬直した

 

麗羽「何をしていますの、早くその不忠者を牢屋に入れるのですわ!!」

 

真直「・・・・・・・・・・」

 

斗詩「・・・・・ごめんね、真直ちゃん」

 

目の前が真っ暗になった真直と、こんな事は間違っていると分かっていながらも命令に従い、真直を連れて退室していく斗詩

 

二人の目にも、麗羽は余りに憐れにしか映らなかった

 

麗羽「こうなれば、もう一度諸侯に書状を出して幽州を包囲いたしますわよ!!」

 

張譲「おお、それこそまさに重畳、これで全ての黒幕とその一味を一網打尽にできましょうぞ♪♪」

 

麗羽「ええ、なんて優雅で華麗な策、我が智謀が恐ろしいですわ、お~~~っほっほっほっほっほ♪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建業に帰還した孫堅軍

 

炎蓮の執務室にて、孫堅軍だけの秘密の会議が開かれていた

 

 

 

炎蓮「なんだそりゃ、要するに全て漢王朝の不祥事ってことじゃねぇか!」

 

粋怜「まさか陛下を攫うなんて、どうしようもない奴らね・・・・・」

 

祭「董卓と大将軍には、お気の毒としか言えんのう・・・・・」

 

雪蓮「宦官に頼り切ると、こんな結果にしかならないってわけね・・・・・」

 

冥琳「ああ、もはや救いようがない・・・・・」

 

事の全貌を梨晏から聞いた一同は、呆れ果てていた

 

梨晏「それで一刀は、月・・・・・董卓の命を救う為に、連合側に付いて朝廷の裏切り者という泥を被ったってことです」

 

炎蓮「へっ、全て朝廷の不手際だってのに、尻拭いにご苦労なこって」

 

蓮華「一刀もそこまで朝廷に侍さなくてもいいのに・・・・・」

 

小蓮「うん、ここまで来ちゃうとどうしようもないよ・・・・・」

 

炎蓮「ま、あいつの立場からすりゃ、帝の命以上に替えられる物なんざないんだろうがな」

 

穏「まぁ、あの人は乱世を防ごうとしていますからね・・・・・」

 

亞莎「私達の為というのは分かっていますが、やるせないです・・・・・」

 

雪蓮「そうね、全部無駄になるのは分かっているもの」

 

冥琳「こちらは忠告したのです、後はあ奴の自己責任ですよ」

 

梨晏「・・・・・それで、この情報は袁術ちゃんにも伝えた方がいいでしょうか?」

 

炎蓮「そいつは止めておけ、傷口に塩を塗りたくるようなものだ」

 

粋怜「そうですね、あの子も迷った末の決断だったのですから・・・・・」

 

祭「じゃな、余計なこと言って不貞腐れても困るわい」

 

穏「今後の我が陣営の為にも、教えてあげる義理はないかと存じます」

 

亞莎「はい、それに雷火さんと包さんがこちらに来にくくなるでしょうから」

 

雪蓮「そうね、あの二人からしたら彼のしていることは、はた迷惑でしかないもの」

 

冥琳「あの二人には、我々も世話になっている身です、気持ちよく寝返ってもらった方が後腐れなくなります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後、再び建業に麗羽からの書簡が届いた

 

 

 

美羽「な、何なのじゃ、これは・・・・・」

 

七乃「今度は、北郷包囲網ですか・・・・・」

 

巴「袁紹様、一体何をお考えなのですか・・・・・」

 

予想の斜め上を行く書簡の内容に、袁術陣営は唖然としていた

 

書簡の内容を要約すると

 

幽州の北郷一刀は、天を語り国家転覆を画策していた模様

 

今こそ天を語る逆賊を討つべし

 

とあった

 

美羽「あ、ありえんのじゃ、一刀が国家転覆を企んでおったなど!!!」

 

七乃「そうですね~、どう考えても誤りでしょう」

 

巴「洛陽を私達も見ましたが、書簡に書かれていたような暴政などありませんでしたからね」

 

もはや麗羽の言葉を信用する者は、反董卓連合に属していた者の中にはいなかった

 

炎蓮「いんや、俺は参加するべきだと思うぜ」

 

美羽「血迷ったか孫堅、お主一刀を婿に迎えるのではなかったのか!!?」

 

炎蓮「同盟を破ってまで進行するって言うんだ、相当な確信があってやってるんだろうよ・・・・・それで間違いだったなら、あいつを諫めてやりゃいい、なにせ従姉なんだろ?」

 

美羽「・・・・・そうじゃな、麗羽は妾が止めるのじゃ!!」

 

七乃「そうですね~、いくら何でもおいたが過ぎるかと~」

 

巴「我々も見ていますからね、一刀の行動の一貫性を」

 

どれだけ一刀が連合に貢献し、漢王朝の為に尽力してきたかを自分達は知っている

 

戦争を憎み、不毛に人が死ぬのをあれだけ嫌がり、それを防ごうと必死だったのだ

 

それら全てが、国家転覆の為の布石だったなど誰が信じられようものか

 

炎蓮「因みに、俺達孫堅軍は、後から行かせてもらうぜ」

 

七乃「え、それはなぜ?」

 

炎蓮「おいおい、連合で俺達はかなりの痛手を受けているんだ、こんなに早く遠征に出かけるなんざ、たまんねーぜ!」

 

冥琳「そうですね、せめてあと十日は欲しいかと」

 

雪蓮「袁術ちゃんは余裕があるでしょう、いつでも出立できるんじゃないの?」

 

美羽「その通りなのじゃ!!七乃、準備出来次第、出発するのじゃ!!」

 

七乃「はいはい~♪」

 

巴「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「うふふふ、簡単に引っかかってくれちゃって♪」

 

冥琳「炎蓮様もお人が悪いですね、身内関係を利用するとは」

 

炎蓮「な~に言ってやがる、俺は本当のことを言ったまでだろうが♪」

 

粋怜「ええ、これは袁家の不祥事とも言えますからね」

 

祭「身内の問題は、なるべく身内で解決するものじゃからな」

 

亞莎「でも、袁紹は一体何を考えているのでしょう?」

 

穏「ですよねー、このままじゃ袁家の評判は地に落ちますよ~・・・・・」

 

炎蓮「へっ、相も変わらず、十常侍にいいようにされているんだろうよ」

 

粋怜「十中八九そうでしょうね・・・・・」

 

祭「まったく、体のいい操り人形じゃのう・・・・・」

 

梨晏「袁術ちゃんもそうだけど、袁家の人達って皆ああなのかな?」

 

雪蓮「でも、紀霊はそうじゃないみたいよ」

 

冥琳「ええ、敢えてこちらの策に乗っている様に見えますね」

 

炎蓮「それならそれで構いやしねぇ、あいつらが幽州に着く頃には、建業は俺達が取り返しているぜ」

 

梨晏「それはそうと、大丈夫かな、一刀・・・・・」

 

粋怜「心配しなくていいわよ、なにせ内の細作を向かわせているんだもの」

 

祭「うむ、危うければ助けに入る様に命じておるからのう」

 

小蓮「でも、やっぱり心配だよ・・・・・」

 

蓮華「・・・・・一刀ぉ」

 

兼元を握り締め、蓮華は思い人の無事を祈っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陳留

 

 

 

華琳「皆、この書簡をどう思うかしら?」

 

秋蘭「どう考えても、袁紹の乱心かと」

 

彩香「はい、このようなことはあり得ません」

 

華琳「そうね、私も同意見よ」

 

冀州から送られてきた書簡に曹操軍は呆れ返っていた

 

桂花「まったく真直の奴、軍師なら軍師らしくどんな手を使ってでも主を止めてみなさいよ」

 

華琳「桂花、麗羽はそんな警告を聞くような主なのかしら?」

 

桂花「・・・・・いいえ、だから私は袁紹軍から曹操軍に鞍替えをしたのですから」

 

華琳「そうよ、己の身を弁えている様ね、偉いわよ」

 

風「しかし、どうするのですか、華琳様~」

 

稟「ええ、また袁紹の茶番に興じるおつもりですか?」

 

華琳「まさか、二度も利用されてやるつもりはないわよ」

 

春蘭「という事は、北郷はお見捨てになるという事ですか・・・・・」

 

華琳「いいえ、一刀には連合で受けた借りを数倍にして返すつもりだし、麗羽にはこの私をあのような茶番に付き合わせた報いを受けてもらうわ」

 

麗春「ならば話は早い、一刀ーーー、今助けに行くぞーーーー!!!」

 

燈「落ち着いてください、麗春様♪」

 

喜雨「そうだよ、まだ話は終わってないよ」

 

麗春「むぅ、では華琳様、この司馬仲達に命じて下さい、傍若無人な袁紹から一刀を守れと!!」

 

華琳「落ち着きなさい、麗春・・・・・一刀を救うこと自体を否定はしないわ、ただし、いくつかの手順を踏む必要があるわ」

 

麗春「手順ですか・・・・・」

 

桂花「そうよ、あんたあいつを助ける事ばかりに気を取られて周りが見えなくなっているわよ」

 

華琳「その通りよ・・・・・まず、袁紹軍が幽州を攻めている間に麗羽の逃げ道を潰す為に、冀州を落とすわ、そして・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徐州

 

 

 

桃香「そんな、こんな事有り得ないよ!!!」

 

愛紗「確かに、もはや袁紹の言動は信じるに値しないかと」

 

鈴々「そうなのだ、お兄ちゃんがこの国を征服しようとしているなんて、あるはずないのだ」

 

劉備陣営も、送られてきた書簡を全否定した

 

朱里「しかし桃香様、御遣い様の言動も信じるに値しないかと」

 

雛里「確かに、あのお方がそのような事の為にあのような同盟をして回っていたとは言い難いです・・・・・しかし、あのお方の構想が誤っていることを、桃香様ももはやお気付きになられているはずですよね」

 

桃香「そうかもしれないけど、この書簡だけは絶対に間違っているよ!!」

 

美花「そうですわね、一刀様に限ってそれはあり得ませんわ」

 

雫「確かに、あそこまで緻密な同盟内容をお考えになるお方が、そのようなことをするとは思えません」

 

まだ一度も一刀との邂逅を果たしていない雫ではあったが、同盟の本質に触れているため、その人柄を想像出来る

 

であるが故に、そのような悪行をしでかす人物とも到底思えないのだ

 

桃香「こんな北郷包囲網なんて、絶対に参加しないよ!!」

 

朱里「であれば、桃香様は恩師を見捨てるという事になりますよ」

 

桃香「え、それってどういう事なの?」

 

朱里「あの後、洛陽を調査しましたが、結局盧植将軍の姿を見かけることはありませんでした、それはあのお方が将軍を幽州に連れて行ったからに違いないかと」

 

雛里「はい、反董卓連合で一番最初に帰投したのは公孫軍です、恐らくは私達が宮殿に気を取られている間に・・・・・」

 

桃香「そんな、なんでそんなこと・・・・・」

 

朱里「詳しいことまでは分かりませんが、洛陽のあの現状と関係があるのかもしれません」

 

雛里「ここからは推測の域を出ませんが、もしかしたら董卓さんもあのお方が連れて行ったのかもしれません」

 

朱里「そして、大将軍、または帝も・・・・・」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

仮に朱里と雛里の言が正解なら、なぜそのようなことをするのか

 

確かにこの二人の言が当たっていたら、自分は恩師を見捨てることとなる

 

しかし、それでも桃香には譲れないことがあった

 

桃香「でも、二人の言っていることが正しかったとしても、これに参加するのは絶対駄目!!」

 

朱里「それでは、桃香様はどのようになさるおつもりですか?」

 

雛里「はい、袁紹さんに反旗を翻しますか?それとも傍観に徹しますか?」

 

桃香「それは・・・・・」

 

二人の言葉に、桃香は考える

 

仮に袁紹軍に反旗を翻したとしても、劉備軍と袁紹軍の戦力には圧倒的な開きがあるため、返り討ちにされる可能性が高い

 

そのような勝ち目の薄い戦いに徐州を巻き込むことなど出来ない

 

かといって、このまま何もせずにいることなど出来ない

 

一体自分に何が出来るか、何をするべきなのか、無い頭で必死に考えていると

 

雷々「桃香様、みんなー、大変だよー!!」

 

電々「南から、凄い軍勢が来てるよー!!」

 

見張りの任に付いていた、麋姉妹が報告に駆け付けた

 

愛紗「南からだと!?」

 

鈴々「南って言うと、孫堅か?」

 

雷々「ううん、旗は袁しかなかったよ~」

 

電々「うん、他には無かったよ~」

 

雫「南から袁の旗が来るという事は、袁術以外考えられませんね」

 

美花「まさか、北郷包囲網に参加する為に・・・・・」

 

桃香「っ!!皆、袁術ちゃんを止めるよ!!!」

 

朱里「と、桃香様!!?」

 

雛里「しかし、袁術軍の戦力も袁紹軍ほどではありませんが、侮れませんよ・・・・・」

 

桃香「そんなの関係ないよ、このままじゃ一刀さんも先生も危なくなっちゃうんだから!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麗羽「まったく、あれから十日も経ちましたのに、何処も来やしませんわ!!!」

 

書簡には冀州に集合するよう書いていたにも拘らず、誰一人来なかった

 

斗詩「やっぱり、皆さんもう私達の言葉を信用しないんですね・・・・・」

 

猪々子「ま~~~、あたいだって信じないだろうな~~・・・・・」

 

悠「まぁな、あたしが諸侯なら参加なんてしない」

 

麗羽「まあまあ、皆さんまでそのようなことを、この華麗なる袁本初の判断が間違っているとでも言うんですの!!?」

 

斗詩「・・・・・・・・・・」

 

猪々子「・・・・・・・・・・」

 

悠「・・・・・・・・・・」

 

最早言葉もない、ここまでくると癇癪持ちの子供である

 

張譲「その通り、華麗なる袁紹殿の判断が間違っているなど有り得ませぬ!!こうなれば諸侯など当てにはなりませぬぞ!!」

 

麗羽「ええ、そうですわね、不忠な諸侯には後で天誅を与えて差し上げましょう・・・・・私達だけでも、朝廷の威厳を天下に知らしめてみせますわよ、お~~っほっほっほっほっほ♪♪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに、史実通りの易京の戦いが幕を開けようとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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