No.108439

真剣で私と戦いなさい! 6話:日常が異常

ろしあさん

激動の週末が終わり、恐るべき月曜日到来。
朝からランニングをしたり、日中はワン子と一緒に筋トレしたりと新しい日常を過ごす大和。
しかし、修行の途中に…

最近、自分の周囲では風邪の人が増えてるので皆さんもお気をつけて・・・

2009-11-23 01:38:27 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3508   閲覧ユーザー数:3289

早朝、普段ならまだ布団の中で心地よい暖かさに包まれているであろう時間帯。

 

 

京と一緒に川原を走る。

散歩をしている人たちに挨拶をされたりする。

 

何でこんな時間に走っているかと言うと、基礎体力をつけるためだ。

 

学園長改め、総代曰く何事も基本が大事とのこと。

 

特に俺は『纏身』によって人間離れした力を手に入れたが、武術は全くの素人。

ワン子にも負ける可能性は高いらしい。

 

武術の修行も変身してやればいいと思ったが、日中あの姿でいるのは勘弁してほしい。

何より纏身を解除すると1時間ほど目が赤くなったり、肌の一部が変色したりする。

 

結果はご覧の通り早朝からランニング等の基礎体力をつけるためのトレーニングである。

一朝一夕でどうにかなるとは思わないが、小さな一歩でも一歩に変わりはない。

 

 

 

 

京「ペース下げようか?」

 

 

ワン子がつけているものよりも軽いが錘が入ったリストバンド等もつけているから通常よりも体力を消耗してしまう。

すでに息が上がっている俺と比べて京はまだ余裕がありそうだ。

 

 

大和「いや、…ワン子はもっと先にいるんだぞ…」

 

 

本来、俺は総代の指示でワン子と一緒に走るはずだったのだが、ワン子の邪魔をしたくないので先に行って貰っている。

 

 

京「ん、分かった…時に二人きりで早朝ランニングしてると恋人に見られるかな?」

 

大和「…部活動に見えるんじゃないか?」

 

 

動きやすい服と言うことで俺も京も体操着だ。

 

 

ちなみに怪人によって破られてしまった制服は残念ながら処分した。

制服はもうすぐ衣替えだから夏服で行くように総代から言われているので問題はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さすがに夏服一人だけだと浮いてしまい周りからチラチラと見られているのを感じる。

袖が無いためリストバンドは丸見えだが、常に身につけておくように言われているのではずせない。

 

教室に入るとやはり夏服について聞かれたが冬服が破れてしまったとだけ言っておく。

梅先生も学園長から制服については聞いていたらしくお咎めは無かった。

 

 

そして昼休み。

 

まゆっちが気を利かせて作ってくれた弁当箱を持って屋上に向かう。

キャップが珍しく着いてくる。

 

多分昨日の事について話があるのだろう。

 

 

 

設置されている長いすに座る。

隣にキャップが座り、弁当箱を開く。

 

今回はしょうが焼きをメインにしているようだ。

 

 

キャップ「なあ、昨日のことだけどよ…」

 

大和「駄目」

 

 

昨日、ヴァンプさんからの情報で『ジガ』と呼ばれる人の居場所が分かった。

情報を聞くためすぐにでも行こうと思ったが、学生の本分を忘れちゃ駄目だとヴァンプさんに正確な位置を教えてもらえなかった。

 

そのかわりに土曜日に連れて行ってくれることになった。

 

そのときにキャップたちも着いていきたいと騒いだが、『ジガ』は家族にもあまり話していないらしく流石に大人数で押しかけるのは悪いだろうと言うことで却下した。

 

 

キャップ「そうか…」

 

大和「そのかわり、日曜日の準備よろしくね」

 

 

フロシャイムのデモムービー作成のためにシナリオを考える役目をキャップが担当するらしい。

ヴァンプさんからは『かっこよく負けるように』指示があったとのこと…

 

 

キャップ「任せとけ!完璧にこなしてやるぜ!」

 

大和「無茶はさせるなよ…」

 

 

過剰なアクションを要求されても無理がある。

 

二人で話していると屋上の扉が開く。

目をやれば葵たちだった。

 

 

冬馬「おや、今日は風間君も一緒ですか」

 

大和「そだな」

 

準「あれ?お前なんで夏服なんだよ」

 

大和「冬服が破れたんだよ。そうd…学園長にも許可は貰ってる」

 

 

危うく総代と呼びそうになる。

 

どこから情報が漏れるか分からない。

普段は川神院に入門したことは伏せておくことにしよう。

 

 

準「そうかよ、どうせなら男じゃなくて女の子の夏服が見たいぜ」

 

大和「…お前の場合ウチのクラスの委員長だろ?」

 

準「当たり前だろうが!!…直江!そこに直れ!!俺がお前にロリの善さを説いてやる!!!!」

 

大和「うげっ」

 

 

葵の方を見るが面白そうにこっちを見ていて助けてくれる気はなさそうだ。

榊原さんの方もケタケタと笑っているだけで援護は期待できない。

 

 

準「安心しろ、数を分ける。毎週昼休みにここに来い。卒業までには終わらせる!!」

 

大和「長ーよ!!」

 

 

その後、昼休みが終わるまで井上のロリに賭ける情熱と信念について語られた。

どうやら本当に毎日やるつもりらしい。

 

 

準「あっ、でも火曜日は放送があるから火曜日は勘弁しておいてやる」

 

大和「……(もう屋上には来ないようにするか)」

 

準「もし来なかったら放送使って、若とお前の有る事無い事言いまくってやるから覚悟しておけよ」

 

大和「ふざけんな!何もないだろうが!」

 

冬馬「釣れませんね」

 

 

葵はちょっと残念そうだった。

 

ちなみにキャップは危険を察知して逃走していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

今までの俺ならばコミュニティを広げるために行動を起こしているはずだが、今日からは川神院通いだ。

 

姉さんは後輩の子たちと商店街の方に行った。

フロシャイムの皆さんが川神一帯を警備してはくれているが、姉さんも念のために警戒するつもりらしい。

 

そんな訳で川神院の門をワン子と二人でくぐる。

ここまでの道中は俺の速度に合わせて走ってきた。

流石にワン子の速度に俺はついていけない。

 

 

ワン子「修行♪修行♪」

 

大和「お前は元気だな…」

 

 

朝のランニング、日中の錘、基本的にはワン子が普段からやっていることの劣化版。

なのに俺は既にへとへとなのにワン子は常に元気いっぱいだ。

 

 

ワン子「大和もそのうち慣れるわよ」

 

大和「…急がないといけないんだけどな」

 

 

最悪の場合、今すぐにでも戦わなくてはいけない。

 

正義の味方として登録するためには怪人を一定数以上倒す必要があるらしく、次に怪人が現れたときは俺一人で倒すように言われている。

無論ピンチになれば助けてくれるらしいが、修行の量が増大するらしい。

 

 

鉄心「そう焦れるな。武術の道に近道なぞ無いからの」

 

大和「総代…」

 

 

普段はエロ爺の癖に偶に良いことを言う。

 

 

鉄心「お前、何か変なこと考えとりゃせんか?」

 

大和「気のせいでしょう」

 

鉄心「まあ、よい。直江、安心せい、今日は初日じゃからあまり過酷なことはせんよ」

 

大和「一般基準でお願いしますよ?」

 

 

普段から鍛えている人を基準にされても困る。

 

 

鉄心「信用がないのう、小さい子もおるのにいきなり山篭りからはじめるわけあるまい」

 

 

そう言いながら総代が元気な声を出しながら組み手をしてる年少組の方を指差す。

 

俺のことは基本的に秘密にしてもらうように頼んでいるので裏手の方に向かう。

 

 

鉄心「それに今回は体を動かすわけではない。座禅じゃ」

 

大和「何で座禅を?」

 

鉄心「精神集中の修行じゃ、お主は集中すると動きがよくなるようじゃからな」

 

大和「あの時の…」

 

 

総代と組み手をやらせてもらった時の体感時間が長く感じる状態を思い出す。

動きが遅くなり、ほんの僅かの集中の乱れで解けてしまうがアレはかなり使い勝手が良い。

 

 

鉄心「そういうわけじゃ。ついでに一子、お前も一緒にやるんじゃ」

 

ワン子「座禅苦手~」

 

 

ワン子が嫌そうにしながらも座禅開始。

ワン子の性格上じっとしておくのは難しいだろうからな。

 

 

鉄心「喝っ!」

ワン子「ふにゃ――――!!」

 

鉄心「直江も反応したの?」

大和「痛っ―――!!」

 

 

僅か1分でワン子が叩かれた。

その声に反応した俺も叩かれた。

 

 

鉄心「横で一子が叩かれても微塵も反応せんようにな」

 

 

ワン子の所為で難易度が上がる。

しかし、戦いの最中で集中を乱してはいけないことを考えればこのくらいで根を上げるわけにはいかない。

 

集中するために意識を右手の人差し指に向ける。

指輪に意識を集中する。

感覚的に指輪が出現したのを確認した後、意識が闇に飲まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に鏡があるように自分と向かい合う。

 

 

大和(?)「またあったな」

 

 

前回も会ったがこいうは指輪の精霊なのだろうか?

 

 

大和「お前は一体何者なんだ?」

 

大和(エゴ)「『エゴの指輪』に憑いてる残留思念さ。昔、この指輪を使って魔を祓っていた者のね」

 

 

つまり姉さんが苦手な幽霊というわけだろう。

今度姉さんにそれとなく言って見るかな。

 

 

大和「この前よりフレンドリーだな」

 

大和(エゴ)「君の知識を吸収したからね。こんな風に姿を…変えれるんですよ」

 

 

体がぶれたかと思うと最近よく話す葵冬馬に姿が変わった。

 

 

大和「その格好だけは勘弁してくれ、…それよりもいろいろ聞きたいことがるんだけど」

 

 

チャンスだ。

こいつからあの怪人や『ジガ』に関する情報が手に入るかもしれない。

 

 

冬馬(エゴ)「おや、つれませんね。まあ、情報をあげたいのは山々なのですが、困ったことになりまして…、本来ならばもうしばらく残れる予定だったのですが、思ったよりも消費が激しかったようで、もうすぐ私は消えてしまうんですよ」

 

大和「消費が激しかった?」

 

 

葵の姿がぶれ、変身後の姿に変わってしまった。

 

 

エゴ「この間の戦いで私が戦ったからね、回復出来ないくせに大技を使ってしまった…」

 

大和「馬鹿なの?」

 

エゴ「様式美だよ、君も見習いたまえ。それに君の体を直すのにも使ったんだから仕方ないさ」

 

大和「で?情報はどうするつもりなんだ?」

 

エゴ「安心して良い、奥の手がある」

 

 

のどを鳴らすような笑い方をしながら眉間に片手を当てるエゴ。

なにやら寒気がしてきた。

 

エゴ「夢を覚えているかい?私をその身に受け入れた夜の…」

 

大和「いちいち言い方が気持ち悪い!…覚えてるよ、戦ってる夢だった」

 

エゴ「ならば僥倖、私の使命は新たな戦士が困らないように知識を与えることでね。夢という形で君を洗n…おっと、知識を刷り込むんだ」

 

 

不穏なキーワードが聞こえた気がしたがとりあえず聞き流そう。

 

 

エゴ「だから、本来数回に分けて行うものをまとめて流し込むのさ。大丈夫、とても痛くて、下手したら廃人になるかもしれないけど、大丈夫さ」

 

 

そういうとエゴの姿が液体のように溶け俺の周囲を囲む。

逃げ道はなさそうだ、最近流されてばかりだな…

 

 

エゴ「何か言い残すことは?」

 

大和「死んだら祟ってやるよ」

 

エゴ「安心したまえ、私は既に死人だよ」

 

 

最後にエゴの声を聞いて俺の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひどい頭痛で目が覚める。

昨日と同じ部屋だ。

 

俺が起きたのに気づいたのかワン子が近づいてくる。

 

 

ワン子「大和、大丈夫なの?」

 

大和「何があったんだ?」

 

 

体を起こしながらワン子に聞く、良く見れば少し涙目になっている。

座禅中にエゴとあったのは覚えているが、結局あいつから情報は入ってきていないみたいだ。

 

 

鉄心「寧ろこっちが聞きたいわい。座禅中にいきなり気を活性化させたんじゃぞ…」

 

大和「気の活性化?」

 

 

気といえば姉さんのコロニーレーザーや総代の毘沙門天ぐらいしか思い浮かばない。

 

 

鉄心「意識を失っておるにも拘らず垂れ流したまま、あのまま放置しておれば…死んでおったぞ」

 

大和「…死ぬ?」

 

鉄心「うむ。気とは言うなれば生命の力じゃ、それが枯渇すれば死ぬ。枯渇せずとも碌に鍛えておらぬお前の体では内側から崩壊するのが関の山。お前を救うために龍封穴を施した」

 

大和「龍封穴?」

 

 

聞いたことない技だ。

もっとも、姉さんはそれほど技を多用しなくても敵を倒せるし、ワン子が戦うところもあまり見ないので知らない技の方が圧倒的に多いけどね。

 

 

鉄心「川神流極義、龍封穴。己の力と引き替えに敵の力を封じる大技じゃ」

 

ワン子「でもじーちゃん平気みたいだけど?」

 

鉄心「直江程度の力を封じるのにわしの力の10分の1も必要ないからの」

 

 

わかってはいた、総代や姉さんはおろかワン子たちにだって足元にも及ばないことぐらい。

でも指輪の力で平時も少しくらいなら強くなっても良いじゃないか…

 

 

鉄心「ともかく、今のお前は常に気が暴走状態じゃ。変身後ならば肉体は耐えられるじゃろうが長くは持たん…」

 

 

そこまで聞いて俺の頭に気の扱いに関する知識が流れ込んでくる。

エゴから得た知識はしっかりと入っているらしい。

 

 

大和「総代、気の扱いなら知識として頭に入っています。解いてもらって良いでしょうか?」

 

鉄心「…龍封穴ほどの大技はかなり疲れるんじゃが…まあ、良かろう。いくぞ!」

 

 

そういわれた瞬間内側から外に流れ出ようとする力を感じる。

確かにこのままでは死んでしまうかもしれない、だけど意識を集中して流れを止める。

 

慣れれば意識しなくても使えるようになるだろうが、今はまだ集中しなくては操作できそうにない。

 

 

大和「まあ、これで…」

 

ワン子「これで?」

 

大和「足りなかった項目が書き足せると思ってね」

 

 

業者に正義の味方として登録するための用紙の項目はまだいくつか埋まっていなかった。

今回得た知識である程度埋まっていくだろう。

 

 

ワン子「そうなんだ、良かったじゃない」

 

大和「ああ、そういえば今何時くらい?」

 

鉄心「もうじき7時じゃ、今日はもう帰って良いぞ。ただし、明日から修行の量を増やすぞ、気の扱いが出来るならば多少無茶しても回復に回せば直りは早くなるからの」

 

 

そう言って総代は部屋から出て行った。

部屋にはワン子と俺だけが残った。

 

しばらく沈黙が続いた。

ここ最近泣くことがなかったワン子が涙目になっていた。

俺が死ぬかもしれないという状況が、岡本のおばあちゃんが死んだときのことでも思い出したのだろうか…

 

 

大和「ワン子、帰るから護衛よろしく」

 

ワン子「うん」

 

大和「…いざというときは助けてくれよ?」

 

 

心配をかけないためにも強くならないといけない。

 

右手を強く握りながらそんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

番外編

 

 

直江大和がエゴから意識を強制注入されて意識を失ったのと同時期に小規模な小競り合いが発生していた。

 

 

それはある意味運命的な出会いであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AVコーナー

 

 

そこで二人の男は出会った。

 

あたかも図書館で同じ本を同時に取るように同じ作品に手を出した所で向かい合ったまま停止していた。

 

 

ヘンゲル「…少年、その手をどけたまえ」

育郎「…おっさんこそどけよ」

 

 

いがみ合う二人。

しかし、互いにこの場で争いを起こすのは良くないと判断した。

 

二人は店を出て近くのファーストフード店に入った。

そしてどちらがよりエロスにかける情熱が上なのか、公共の場であるにも拘らず二人はぶつかり合った。

 

1時間に及ぶエロスに欠ける情熱のぶつかり合いはいつしか二人の間に種族を超えた深い友情を作り上げていた。

 

二人は熱く握手を交わし、互いの連絡先を教えあった。

警察を呼ばれたいるとも知らずに…

 

後にこの二人の出会いは変態紳士たちに美談として語り継がれる事となる。

 

 

番外編

~痴将と童帝~

 

 

 

 

あとがき

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

番外編として他キャラとフロシャイム関係の人たちとの触れ合いを書いて見ることにします。

 

大和はまた一つ、段階を踏まずに強くなったためあまり強くなってません。

知識だけで実践できない状態が続く予定です。

 

 

次回こそ心の出番です。

 

 

補足

 

『エゴ』という名前は姉しよ公式ファンブックより最後の戦士の名前です。

姉しよ本編には未登場なので勝手に拝借しました。

 

クロウは設定上、別次元から帰ってきているということで空間移動を行うようにしました。

その空間の裂け目や霊的な異常を察知し、知覚・修復できるのがエゴの能力ということにしました。

エゴは本来後方支援や結界を張るのがメインということにしています。

 

なお、この設定は、倒すだけなら百代たちでも十分に可能なので、大和が戦う理由がほしかったので勝手につけ足した設定です。

 

 

 


 
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