No.1069444

近未来文明が残る惑星 第17話

meguro さん

閲覧有難うございます。
今回は伏線回収という事で2話連続更新しました。
これからどんどん盛り上がる展開なので、より一層精進してまいります。
もし宜しければ、感想やアドバイス等宜しくお願いします。

2021-08-14 22:07:26 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:274   閲覧ユーザー数:274

前回のあらすじ

この惑星の謎を解く為、リックは真田幸村に連れられその近代文明を入手した場所に向かう。

しかし途中の天候悪化により、リックに落雷が直撃する――――。

 

 

 

雷に直撃した影響なのだろうか、彼の様子がおかしい……。

彼の足元から銀色の液体が湧き出し、蛇の如くうねうねと不気味に動かし、一斉に私に襲い掛かった。

なんとか攻撃を避け素早く抜刀する。そして鉄のように鋭く尖るそれを刀で払いのけた。

 

「……なんなんだ?もう一度聞こうか、君は何者なんだ!?」

 

雷鳴轟く中、土砂降りで足元はぬかるみ自分の身体も寒い。

こんな事なら愛用していた槍を持っていけばよかったかもしれない。

そんな非常時に考え事をしていたせいか、銀色の触手が刀にまつわり付いた。

 

「ぐっ……っ!」

 

大男が引っ張っているのかの様な力強く、自分から刀を引き離させようとしている。

その瞬間――――――――自分の背後に人の気配を感じた。

 

「―――っ伏せて下さい!」

 

女性らしき叫び声が聞こえ、とっさに刀を離し地面に伏せた。

先ほどの雷と同格の大きな衝撃音が鳴り響いた。

 

「……もう大丈夫です。武将のお方に向かって偉そうに命令してしまい、申し訳ございません」

 

自分の近くに真っ白な着物を着た金の髪の女性が佇んでいた。

急いで立ち上がり、リックを見ると倒れ込んでおり所々電流が走っていた。

 

「……これは一体……。助かった、感謝する」

「どういたしまして。あの2人が私をここに連れてきてくれたのです」

 

真っ白な女性は優しく微笑んだ。目線の先には家臣の忍びである、松利と那岐がいた。

 

「良かった間に合った!」

「お怪我はありませんか!?」

 

2人は心配そうに自分に駆け寄って来た。

 

「うう……ううう……」

「っ金の君…」

 

リック・アーガストが数分遅れて意識を取り戻そうとしている。

本来なら心配で彼の元に駆けつけるのだが、今さっき謎の攻撃をされたばかりだ。

警戒心で迂闊に近寄れない。

 

「もう大丈夫ですよ。先ほどの攻撃で暴走を抑えましたから……しかしの手段が少し手荒でした。手当の為に私の研究所まで来ていただけませんか?」

「……いいだろう。こうして其方とは半年ぶりに会ったのだから、ゆっくり話がしたいと思っていた……今の事も含めて」

「はい、同感です。こんな天気ですから傘をどうそ」

 

手渡せられたのは奇妙な透明な傘だった。

 

「なんだいこれは?また奇妙な物を……其方は本当に色々持っているんだね」

 

手渡された傘を開き、女性の後をついていく事にした。

リック那岐が背負って運んでくれるようだ。

 

 

整備された山道から外れ、けもの道を彼女は進んで行く。

気が付くと先ほどの土砂降りも止み、雲の隙間から夕焼けが見えた。

 

「到着しました。さあどうぞ」

 

白く四角い建物の中に案内される―――――いつ来ても不思議で奇妙な所だ。

しばらく細い廊下を歩くと女性はピタリと立ち止まり、右手を差し出した。

 

「その方を私に……今から治療を行う為に、あの装置まで運ぶので」

「しかし、其方一人では重いだろう?その細い腕では……」

「問題ありません。私は200キロまでの物量なら持てます。それに、あの装置は危険ですから貴方方は近寄らない方がいいでしょう。さぁ、早く」

 

圧力を感じさせるように、彼女の琥珀色の瞳が少し赤色に変色した。

こんなつまらない事で彼女と問題を起こしたくない。今後の為にも……。

リックを背負っていた那岐に目を向け、彼を一旦床に降ろした。

 

「有難うございます。ご協力感謝します」

 

彼女はそうお礼を言うと、リックを持ち上げ部屋の中に入って行った。

私と那岐と松利が入口から部屋を覗くと、真っ暗な空間の中に鉄色の大きな筒形の物体があった。筒形の近くにはロウソクが6本置いてある程度。

「……なんですかあれ?銀色の…大きなからくり?」

 

松利が呟くと、白い着物の彼女は器用にリックを抱えたまま、鉄の物体の扉を開けた。

昔話の浦島太郎みたいに重厚な扉から、白い煙がモクモクと湧き出る。

リックをその装置に入れると、扉を閉めた。

 

「……後はこの液体窒素で、彼の体の中に入り込んだ外来種を凍結させ、上手く調教すれば成功です」

 

彼女は振り向き、淡々と我々に説明してくれているようだが全く理解できない。

調教と言った……?

 

「そ、そうなのか、ご苦労だった。有難う」

 

何を言っているが分からないが、ここは上手く受け流すことにした。

彼女は真っ暗な部屋の片隅から、「椅子」という座るための道具を3つ持ってきた。

 

「良ければ、彼の治療が終わるまでここでお話しませんか?そういえば、まだ名乗っていませんでしたね。

私の個体名は美月です。……何からお話ししましょうか?」

「……松利と那岐もいるが、いいのかい?」

「構いません。いずれ皆が辿り着く真実です、少し早く知っても構わないでしょう」

 

30秒ほど考え、覚悟を決めた。

 

「リック・アーガストという謎の来訪者についての事、日ノ本の各地に存在する謎の物体の事、そして……美月殿、貴女の正体だ」

 

私は3つ今聞きたいことを選び出した、美月殿は一度ゆっくり瞬きし、発言した。

 

「―――――――承認しました。以下の質問について答えましょう――――――」

 

次回につづく


 
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