No.103392

鬼畜王文台 蘇りし虎は曹魏を食らう 14 第十一章二節

Degradationさん

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2009-10-27 01:03:33 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6707   閲覧ユーザー数:5309

第十一章

 

 

 

-2-

 

 

 

洛陽郊外の川面。

今日もまた、孫策・曹操・夏侯淵の三人は、人知れず孫堅の特訓に付き合っていた。

 

 

雪蓮「てええぇぇぇりゃああぁぁ!!」

 

華琳「疾ッ!!!」

 

 

孫策と曹操の二人が、同時に孫堅に斬りかかる。

しかし、二本の南海覇王を構えている孫堅に、なすすべもなく吹っ飛ばされてしまう。

 

華琳「いだっ!!」

 

雪蓮「あたたたた!!」

 

煌蓮「オラアァァ、どうしたボンクラ共オォ!!!

   鎌はもっと真ん中を持てってあれほどしつっこく言ったじゃないかい!!

   後ろのほう握って遠心力だけで振ろうとしたって、二刀流の相手にゃ、振り下ろしの隙を押さえられて、

   懐に入り込まれて蹴り入れられたらオシマイさねぇ!!

   でなきゃ鉱山で使う鶴嘴(つるはし)みたいに双龍式(そうりゅうしき)に改造せぇ!!!」

 

華琳「…も…申し訳…ありま「御託はいいんだよ!!! ゴチャゴチャ抜かしてる暇あったら

   二人とも力ずくで来ォイィ!! うらああぁぁぁ!!」 は…はい!!」

 

秋蘭「……容赦のかけらもないな…文台様は」

 

華佗「二人とも、毎日大変だな。 孫堅さんに手も足も出ないみたいじゃないか。

   まぁ俺がついてるから大事には至らないと思うけど」

 

秋蘭「すまぬな華佗殿、毎度の出張、感謝する」

 

華佗「ははは。 これが俺の仕事だしな。 それにしても、本当に強いんだな孫堅さんって」

 

秋蘭「あぁ、間違いなく我らの中では最強のお方だろう。

   あの孟徳さまが、この有様なのだからな」

 

煌蓮「オラァどうしたぁ!!? そんなへっぴり腰じゃ、坊主や蓮華にそのうち追いつかれちまうよ!!

   あいつら暇さえありゃ一緒に特訓やってるんだから、お前らも少しは気張らんかぁ!!

   それとも愛紗ちゃんにも調練に加わってもらうかぁ!!!?」

 

雪蓮「そ、それだけは勘弁して母様!!

   あの子ったら母様に一度勝ったことがあるんでしょ!?

   蜀と戦う前に黄泉路になんて旅立ちたくないわ!!」

 

華琳「雪蓮と同意見です!! 我らは、関羽との調練は望んではおりません!

   なにとぞ、ご容赦を…!!!」

 

煌蓮「だってさ。 愛紗ちゃ~~ん、どうするよ~?」

 

雪蓮・華琳「!!!??」

 

 

 

孫堅がどこに向けて問いかけるまでもなく声をあげると、

ほとりの草むらから、ガサリ、と音がした。

 

 

それは、孫策と曹操を地獄へといざなう戦神の姿。

関雲長、その者であった。

 

 

愛紗「ほ~お。 我が調練を辞退なさるとは、

   おふた方ともよほどの実力がおありと見たが、いかがか?」

 

華琳「ひぃっ!!?」

 

雪蓮「うわっ! 怪力女!!」

 

愛紗「怪力女だと……?」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

華琳「ちょっと雪蓮! 言って良いことと悪いことがあるわよ、謝罪なさい!!」

 

雪蓮「え?? あの……母様??」

 

煌蓮「なぁ…怪力女ってぇのは、このあたしも入るんだろうねぇ。

   何せ、愛紗ちゃんに勝ったってことは、つまりだな……」

 

 

愛紗・煌蓮「覚悟しろ、お前らああぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

 

華琳「な、何でこーなるのよーーーー!!!?」

 

雪蓮「な、何で鬼畜が二匹もいるのよーーーー!!!?」

 

愛紗「むああぁぁぁてええぇぇぇーーー曹操おおぉぉぉーーーー!!!!」

 

煌蓮「待たんかあああぁぁぁーーーーい、馬鹿娘えええぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

秋蘭「……おいたわしや、華琳様、雪蓮殿……」

 

華佗「大丈夫かな、二人とも…?」

 

秋蘭「……まぁ、命までは取りはしますまい。 それより、我らは警戒役も任されている。

   後を追おう。 なにやら胸騒ぎがするのでな」

 

 

 

 

~洛陽はずれ 鬱蒼とした森の中~

 

 

雪蓮「はぁ…はぁ…はぁ…随分と、奥まで来てしまったわね」

 

華琳「そうね、丁度このあたりって、荊州との境目なのよね」

 

雪蓮「そうなんだー。 でもなんか不気味ねぇ~この辺の森って。

   母様たちともはぐれちゃたし、早く引き返したほうがよくない? これって」

 

華琳「まだ日も高いというのに、光がぜんぜん届かないわね。

   たしかに、ここはいったん引き返すべきね。

   賊の襲撃を受けては、私たち二人だけでは、ひとたまりもないでしょう」

 

雪蓮「本当ねぇ。 こーんなところに長居してたんじゃ、化け物でも出るかもしれないわね」

 

 

ガサリ

 

 

 

華琳・雪蓮「っ!!?」

 

突然、後方から草を掻き分ける音が届き、二人は即警戒態勢をとる。

それと同時に、蜀軍の兵と思われる男が三人、二人の前に現れ出た。

 

 

???「曹操殿、孫策殿であらせられますね」

 

華琳・雪蓮「何奴っ!!?」

 

???「我らは蜀軍の者でございます」

 

華琳「蜀の者が我らに何の用だ!? 事と次第によっては、その首、無事ではすまぬと思え!!

   我が友、伯符の毒矢事件は、お前たちとて周知の事実であろう!!」

 

蜀軍兵士「我らに敵意はございません。 ゆえに武器も持ち合わせておりません。

      我らは黄忠様の命により、おふた方、正確には孫堅公と天譴公に、密書を携えてまいりました」

 

雪蓮「黄忠…密書だと?」

 

蜀軍兵士「はっ。 信じていただけぬのは百も承知ですが、

      我らの中には、太守劉表様の皇帝擁立を快く思わない者たちが多いのです。

      かの者は、帝の器ではありません」

 

華琳「して、我らにその書を届けにきたと?」

 

蜀軍兵士「御意」

 

雪蓮「見せろ」

 

蜀軍兵士「こちらに」

 

華琳「(この連中以外に、伏兵は…いないか) 

   良いだろう。これは我らが責任をもって文台様にお届けする。 用件はそれだけか?」

 

蜀軍兵士「以上です」

 

華琳「では、十数えるうちに失せろ。 さもなくば、その首は離れるものと思え」

 

蜀軍兵士「承知。 では、我らはこれにて」

 

 

そう言うと、密使と思われる三人の兵たちは、一瞬でその場からいなくなった。

 

 

 

???「ふ~ん、今の連中、相当な訓練を積んでるねぇ。 蜀にもあんな連中がいたか」

 

華琳「文台様!!」

 

雪蓮「母様!」

 

煌蓮「こっそり追いかけてきて正解だったね。 二人とも、今度からあたしのそばを離れるんじゃないよ。

   それと川は少し危ないね。 今度からはちゃんと城の中でやろうね。 怖かったろうさ」

 

孫堅は二人の頭をなでながら、そう告げた。

 

煌蓮「すまないねお前たち。あたしの可愛いガキ共が命の危険にさらされるくらいなら、

   いっそのことみんなにブッ晒して、おおっぴらに訓練しようじゃないか、ねぇ。

   さぁ帰るよ。 こんな危なっかしいところはもう来ないほうが良い。

   密書だかなんだか知らんけど、全ては帰ってからさ。

   ったく、孫呉にとって、川や森は鬼門だわさ」

 

 

 

~洛陽南方 荊州側河川敷~

 

 

蜀軍兵士「黄忠様、任務完了いたしました。 曹操殿と孫策殿に、書を手渡しました」

 

黄忠「ご苦労様… これで、孫堅殿が気づいてくだされば良いのですけど…」

 

厳顔「願うしかなかろうな。 あとは孫呉次第ということであろうよ」

 

黄忠「それでは帰ってきたばかりで悪いのですけれど、

   星ちゃんに手紙を渡してきたことを伝えてくれるかしら?」

 

蜀軍兵士「趙雲様ですね、了解しました」

 

厳顔「さて、われわれも早々に帰ろうぞ。 いつどこに、あの男の目があるか分からぬからな」

 

 

 

第十一章二節終了

 


 
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