No.1029599

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第80話

2020-05-13 21:44:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1522   閲覧ユーザー数:1342

 

 

 

 

 

 

~ロゼのアトリエ~

 

「『私達がご主人様の今の状況をどう思っているか』ねぇ……そういう聞き方をするって事は、もし私達が今のご主人様に疑問を抱いていたら、私達にご主人様を裏切らせる算段でも考えているのかしら?」

「そ、そんなこと、考える訳ないでしょう!?………ただ、貴女達も知っているように私達はこの戦争をエレボニアの勝利でもなく、連合の勝利でもない”第三の道”で解決することを望んでいるの。リィンだって、状況が状況だから私達じゃなくて連合を選ばざるを得ない立場だから、心の底では私達と同じことを考えているはずよ………もし、貴女達が本当にリィンの事を大切なら、どんな形でもいいから協力して欲しいのよ……」

「………………」

意味ありげな笑みを浮かべたベルフェゴールの問いかけに反論したアリサは辛そうな表情を浮かべた後真剣な表情でベルフェゴール達を見つめ、アリサの話を聞いてマルーダ城でⅦ組との決別した際のリィンを知るメサイアは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「貴女達に協力した時点で、この身達を我が主を裏切らせる行為になるのですが………それよりも今の話を聞いて気になっていましたが、その”第三の道”とやらは貴女達の祖国であるエレボニアが我が主の故郷に対して犯した愚かな所業に対しても責任を取らない、もしくはメンフィルが求める責任の取り方よりもエレボニアにとっての有利な責任の取り方で責任を取るという事ですか?」

「いや――――――そんな虫のいい話は考えていないよ。」

「ああ…………殿下を含めたここにいる皆は俺を気遣ってくれているが……今回の戦争、前カイエン公もそうだが”アルバレア公爵家はメンフィルやユミルの領主であるシュバルツァー家による裁きを受けなければならない立場”である事は理解しているし、俺自身もそのつもりだ。そしてその”償い”としてユミルに手を出してメンフィルとの戦争を勃発させた元凶である父上や兄上の首に加えて公爵家の全財産もそうだが、皇帝陛下達には大変申し訳ないがクロイツェン州をメンフィルに差し出さなけならない事もな……」

「ユーシス………」

アリサの言葉に対して呆れた表情で指摘したユリーシャは目を細めて問いかけ、ユリーシャの問いかけに対してアンゼリカは静かな表情で答え、決意の表情を浮かべて答えたユーシスの言葉を聞いたマキアスは複雑そうな表情でユーシスを見つめた。

 

「フ~ン……その”第三の道”とやらが本当に見つかるかどうかわからないけど………―――どっちにしても、私は最初からパスよ。」

「ど、どうして……?貴女もリィンの事を大切に思っているんじゃないの……!?」

興味なさげな様子で答えたベルフェゴールの拒否の答えを聞いたエリオットは信じられない表情で問いかけ

「ええ、勿論今の私にとってご主人様は心から大切な人よ?だから、ご主人様が貴方達に味方するんだったら私も味方してあげるけど……ご主人様は”今の立場”を変えるつもりはこれっぽちもないから、当然私も貴方達に協力するつもりなんて一切ないわ。」

「えっと………ベルフェゴールさんはリィン君達と一緒に多くの犠牲を出す事について何も感じないのですか……?」

ベルフェゴールの答えを聞いたトワは複雑そうな表情で問いかけた。

 

「”多くの犠牲”ってご主人様の”敵”であるエレボニアやエレボニアに協力している連中の事よね?――――――何でそんな”虫けら”の事をこの私が気にしてあげないといけないのかしら?」

「”虫けら”ですって!?あんた、自分自身で自分は『魔神の中でも比較的穏便な性格をしている魔神』って言っていたけど、そんな人を人と思わない発言をしたって事は、あれは嘘だったの!?」

興味なさげな様子で口にしたベルフェゴールの冷酷な答えにその場にいる多くの者達が血相を変えて驚いている中サラは怒りの表情で問いかけた。

「別に嘘なんてついてないわよ。正確に言えば”私に敵対しない人達”に対しては何もしないし、状況によっては仲良くしてあげるって事。要するに私に敵対しなければ、大半の魔神みたいに問答無用で殺戮するような趣味の悪い事はしなくて、敵対すれば当然容赦しないわよ。」

「……確かにマクバーンみたいな”戦闘狂”のエヴリーヌよりはマシな性格のようだが……何で敵になった瞬間、”虫けら”呼ばわりするんだよ?」

心外そうな様子で答えたベルフェゴールの話を聞いたクロウは真剣な表情で問いかけた。

 

「だって、”事実”じゃない。”神格者”や”英雄”クラスでもない限り、あらゆる種族の中で”神格者”や”英雄”と言った”様々な存在に成長する無限の可能性”を秘めてはいても、大抵は”ひ弱な種族である人間”なんて”魔神”の私からしたら”虫けら”のように弱すぎる相手だもの。」

「って事は、”人間”のオレ達の事も”ひ弱な種族”として見下しているのか、このアマは………!」

「ま、確かに”魔王”であるその女からしたら、アタシ達なんて”虫けら”も同然の”あまりにも弱すぎる存在”なんでしょうね。」

「そういった冷酷な部分や無意識に”人”を見下す部分に関してはやはり”絶対的強者”たる”魔王”の一柱といった所じゃの………」

「あの…………もしかして、ベルフェゴールさんはベルフェゴールさんにとって圧倒的に下の存在である”人間”のエリゼさん達の事はペットを愛でるような感覚でエリゼさん達と仲良くされているのでしょうか?」

ベルフェゴールの答えを聞いたアッシュは怒りの表情でベルフェゴールを睨み、セリーヌは納得した様子で、ローゼリアは重々しい様子を纏って呟き、ある事が気になっていたエマは不安そうな表情でベルフェゴールに訊ねた。

「や~ね、そんな悪趣味な事は考えていないわよ♪――――――さっきも言ったように、私に敵対しなければ”人”扱いして仲良くする事もあるし、ましてやエリゼ達は私と同じご主人様を想う”女”だからご主人様の次に大切な存在で、ご主人様の仲間であるクルト達や”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の人達だったかしら?その人達の事は私にとっては”友人”と思っているわよ♪」

「彼女の思考は一体どうなっているのか、理解できないな……」

「いや、むしろあんな非常識な存在を理解できる方が凄すぎだろ……」

エマの指摘に対して苦笑しながら答えたベルフェゴールの説明を聞いたガイウスは困惑の表情で考え込み、マキアスは疲れた表情で考え込んでいるガイウスに指摘した。

 

「それに私だって”女”なのだから、ご主人様――――――この私が寵愛している男が”男としての格”を上げる事に反対する理由なんてないでしょう?」

「………そんなことの為だけに、貴様はリィンが多くの兵達の命を奪う事にも何とも思っていないという事か?」

妖艶な笑みを浮かべたベルフェゴールの言葉を聞いたユーシスは厳しい表情で指摘した。

「うふふ、いい事を教えてあげる。――――――『戦争による大量虐殺者は英雄でもある』のよ♪」

「せ、”戦争による大量虐殺者は英雄”でもあるって……!そんなこと、絶対嘘だよ……!」

意味ありげな笑みを浮かべて答えたベルフェゴールの言葉に対してエリオットは信じられない表情で反論したが

「いや………その点に関しては”怠惰”の魔王の言う通りじゃ……」

「え………」

「お、おばあちゃん……?それってどういう事なの……!?」

重々しい様子を纏って呟いたローゼリアの答えを聞くと呆けた表情をし、エマは不安そうな表情で訊ねた。

 

「『戦争による大量虐殺者』とは即ち戦争の勝敗を決定づけるきっかけを作った『戦争終結に貢献した最大の功労者』でもある事から、『英雄』と称えられる存在でもあるのじゃ。――――――例えば”獅子戦役”を終結させた――――――オルトロスの陣営にオルトロスを含めた多くの兵達の命を奪って勝利した事で”獅子心帝”と称えられているドライケルスや”槍の聖女”と称えられているリアンヌもその例じゃな。」

「現代だと”百日戦役”を終わらせたリベールの”守護神”にして”英雄”――――――”剣聖”カシウス・ブライトも間違いなく『敵軍を大量虐殺した事によって戦争で生まれた英雄』でしょうね。実際、カシウス・ブライトが立案した反抗作戦によってエレボニアはリベールを侵略していた自国の兵達の多くを失う羽目になったのだからね。」

「それは………」

「………………」

ローゼリアとセリーヌの説明を聞いたガイウスは複雑そうな表情で答えを濁し、自分にとって身近な人物――――――カシウスまで例に出されて反論すらできないサラは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

 

「…………リィンに絶対の忠誠を捧げているユリーシャ殿はやはり、我らへの協力は難しいだろうか?」

「当然です。我が主に”非”がある訳でもないのに、我が主の”守護天使”たるこの身が大恩ある御方にして”天使”であるこの身にとっては”生涯を共にする相手”でもある我が主を裏切る行為をする等、絶対にありえません。」

複雑そうな表情を浮かべて訊ねたラウラの問いかけにユリーシャは一切の躊躇いなく堂々とした様子で答えた。

「”守護天使”だか何だか知らねぇが、アンタは”灰色の騎士”サマと共にエレボニアの連中を殺しまくる事については何も思わないのかよ?」

「”戦争で兵や将が戦死するのは当たり前”です。”それに我が主は武勇を重ねる事で更なる称賛を受けて昇進されることを望んでおられます。武勇を重ねて”英雄としての格”が上がり、多くの人々から称賛を受ける事は我が主の”守護天使”であるこの身にとって誇らしい事です。」

「要するにユリーシャにとってはリィンの昇進は自分にとっての自慢にもなるから、むしろリィンの今の状況に大賛成なんだね。」

「天使の癖に意外と俗物的な考えを持っていやがるな……」

アッシュの疑問に対して答えたユリーシャの答えを聞いたフィーとクロウはジト目でユリーシャを見つめた。

 

「そもそも、”天使”たるこの身が守護すべき”主”にして”生涯の伴侶”と認めた御方と共に”戦場”で戦う――――――この身が持つ”天使としての力”で時には主達を支援し、時には主達の敵を葬る事が”天使であるこの身にとっての誇り”にもなりますから、この身に”戦場で敵の命を奪う事に忌避感はありません。”」

「て、”敵を葬る事が天使の誇り”って……!」

「なるほどね……その考えは”戦場で多くの敵を殺す事が勲章のようなもの”だと誇っていた大昔の戦士や騎士達の考えに似ているわね。」

「うむ……一部の伝承等では”天使”は”天界を守る天の聖戦士”という伝承もあるから、どうやら異世界(ディル=リフィーナ)の”天使”はその伝承通り、”聖戦士”の役割も兼ねているようじゃな。」

「それもまた、”天使ならではの価値観の違い”か……」

ユリーシャが語った話を聞いたエリオットが信じられない表情をしている中セリーヌとローゼリアは静かな表情で呟き、ガイウスは複雑そうな表情でユリーシャを見つめながら呟いた。

 

「―――それに”邪悪なる存在”を滅する事もそうですが、そのような存在に手を貸している愚か者達を滅してこの身と我が主の”正義”を示す事もまた天使たるこの身の役目です。ですから”邪悪なる存在すらも生かす事も考えている貴方達の考え”に応じる事はありえません。」

「じゃ、”邪悪なる存在”って………」

「そりゃ”天使”のアンタにとっては連中はまさに”滅すべき邪悪なる存在”そのものでしょうね。世界を”終焉”に導こうという考えもそうだけど、連中の中には天使にとっては”この世に留まる事すら許されない存在”――――――”不死者”もいるしね。」

「それらの件を考えると”天使”であるヌシにとっては”黒”を始めとした”黒の工房”の関係者達もそうじゃが、”鉄血宰相”や結社の残党もその”滅すべき邪悪なる存在”なのじゃろうな。」

「………ッ!」

「アリサさん………あの、今の話を聞いて気になる事が出てきたのですが………”天使”であるユリーシャさんにとって”闇夜の眷属”の方々は”邪悪なる存在”とは異なるのでしょうか?レン皇女殿下から少しだけ異世界の種族間の関係について伺った事がありますが、”闇夜の眷属”はその名の通り”闇”の陣営に属している事から”光”の陣営たる”天使”にとっては”闇夜の眷属”も”魔族”も同じようなものだから険悪な関係の為、”光”と”闇”関係なくあらゆる種族を受け入れるメンフィルにすら、メンフィルに所属している天使族の方は数が少ないと伺っていますが……」

ユリーシャの話を聞いたトワは不安そうな表情を浮かべ、納得した様子で呟くセリーヌとローゼリアの話を聞いてユリーシャにとってはアルベリヒとシャロンが”ユリーシャが滅すべき邪悪なる存在”である事に気づいて辛そうな表情で唇を噛み締めたアリサの様子を心配そうな表情で見つめたエマは不安そうな表情でユリーシャに訊ねた。

 

「我が主と出会う前のこの身でしたら、種族だけで”正義”か”悪”かを判断する目が曇った大半の天使達同様そのような判断を下したかもしれませんが……この身が”天使”等関係なく、この身自身の為にこの身を救って頂いた我が主のお陰でその考えを改める事はしましたし、この身が信仰せし”神”たるアイドス様も我が主同様種族関係なく接するという寛大なお心を持たれているのですから、そのような自ら目を曇らせるような考えは我が主と契約した時点で捨てています。」

「まあ、ユリーシャが契約した時点でご主人様のハーレムメンバーの中に”魔族の中で最強の存在”である”魔神”の私もいたものね♪」

「ベ、ベルフェゴール様、今は茶化さない方がいいですわよ?」

「フフ………」

ユリーシャの話を聞いてからかいの表情でユリーシャを茶化しているベルフェゴールの言葉を聞いたメサイアは冷や汗をかいてベルフェゴールを注意し、ベルフェゴールの言葉を聞いたその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アイドスはその様子を微笑ましそうに見守っていた。

 

「女神のアイドスさんはリィンの今の状況や、今回の戦争についてはどう思っているのだろうか?アイドスさんの”女神としての呼ばれ方”を考えると、オレ達とも協力し合える事もあると思うのだが。」

「アイドスさんの”女神としての呼ばれ方”って確か――――――」

「”慈悲の女神”だね。”慈悲”の意味は”慈しみ”や”憐れむ心”、そして”情け深い”事だから、それらの意味を考えると”慈悲”を司っている女神だから、少なくても”戦争”に対する忌避感等がありそうに思えるのだが……」

ガイウスのアイドスへの質問を聞いたトワは目を丸くし、アンゼリカは静かな表情で呟いたアイドスを見つめた。

「…………そうね。確かに私は争い――――――ましてや”戦争”を嫌ってはいるし、その争いによって生まれる多くの犠牲や悲劇はできれば避けたいとは思ってもいるわ。」

「そ、それじゃあ……!」

少しの間目を伏せて黙り込んで考え込んだ後目を見開いて静かな表情で答えたアイドスの答えを聞いたエリオットは明るい表情を浮かべた。

「――――――だけど、私は一度”人”に”絶望”しているの。」

「ひ、”人に絶望している”って……それじゃあ、どうしてその”人”のリィンと……」

(セリーヌ、おばあちゃん。アイドスさん――――――”慈悲の女神”が関わる”神話”だと確かアイドスさんは………)

(”人”の争いが激しくなっていく事で”人”の為に現世に残っていた神々が”人”の愚かさに呆れて次々と天界へと去って行く中、最後まで”人”を信じて姉の”正義の女神”と共に地上に残り続けたけど、結局”人”が自分達の言葉に耳を貸さない所が逆に争いを激化させた事に失意して天界へと去ったという内容だったわね。)

(うむ……それを考えると、ひょっとすると”慈悲の女神”は既に人の争いをなくすことも諦めているのかもしれぬの………)

次に口にしたアイドスの答えにアリサ達がそれぞれ驚いている中マキアスは困惑の表情で呟き、アイドスの答えに心当たりがあるエマは複雑そうな表情で小声でセリーヌとローゼリアに話しかけ、話しかけられたセリーヌは静かな表情で、ローゼリアは重々しい様子を纏ってそれぞれ答えた。

 

「そしてその”絶望”によって私もそうだけど、互いを愛し合っていたお姉様とセリカの”運命”も狂わされたわ。」

「『運命を狂わされた』………――――――!まさかとは思うけど、”神殺し”の誕生にはその件が関係しているのかしら?」

アイドスの話を聞いて察しがついたセリーヌは目を細めてアイドスに確認した。

「………………」

「アンタ……」

「い、今のセリーヌちゃんの推測に反論しないという事は………」

「恐らくだが、セリーヌ君の推測は当たっているという事だろうね……」

セリーヌの推測に対して反論もせず黙って苦笑を浮かべたアイドスの様子を見たセリーヌはアイドスが自分達の想像を遥かに超える過酷な経験をしてきたことを悟ると複雑そうな表情でアイドスを見つめ、不安そうな表情で呟いたトワの言葉にアンゼリカは重々しい様子を纏って呟いた。

 

「………だけど”人”によって”絶望”させられ、”運命”が狂わされた私やアストライアお姉様を救い、私とアストライアお姉様に”人に対する希望”を抱かせてくれたのもまた”人”。その”人”のお陰で一度は諦めた”道”を私は探していて、そんな私にとってリィンはアストライアお姉様にとってのセリカと同じ”運命の相手”だからリィン――――――いえ、リィン達と共に歩む事を決めたのよ。そんな今の私――――――いえ、”私達”が目指す”道”の為にもその”道”に立ちふさがる人達の犠牲はやむを得ないと思っているし、その”犠牲”を決して無駄にするつもりはないわ。」

アイドスはある人物――――――エステルと自分が関わっていたエステルが為した自分に”希望を抱かせた偉業”――――――影の国の”想念”の力によってエステルが心から願っていた事――――――自分が関わっていた悲劇によって分かたれていたセリカとサティアを再会させた上、エステルが将来生まれ変わる事になるサティアの母になって真の意味でセリカとサティアを再会させる事が決まっている事実、そしてエステルの周りには様々な種族達が種族関係なく共に笑い合っている光景を思い浮かべて優し気な微笑みを浮かべた後、静かな表情に変えて自分の意思をアリサ達に伝え

「ほとんど意味不明な話だったが、結局は他の二人と同じ答えって事じゃねぇか。」

「しかもその話の流れで、どうしてリィンが女神であるあんたにとっての”運命の相手”とやらになるのかの説明もないから、増々あんたに関する謎が深まったじゃない……」

「ん。あの4人の中でアイドスが一番意味不明だよね、”色々と”。」

アイドスの答えにアッシュとサラは呆れた表情で指摘し、フィーはジト目でアイドスを見つめた。

 

「後はメサイアだけだが………”クロスベル帝国皇女”という立場上、メサイアがリィンやヴァイスハイト皇帝達の意思に反して俺達に協力する事は厳しいだろうな。」

「……ええ。それに私はリィン様が今回の戦争、メンフィル軍側について”戦場”で活躍し、”上”を目指すという辛く、険しい道を歩むと決められた時に私もリィン様の使い魔として――――――そして将来の伴侶としても全身全霊を持って支える事を決めましたし………それに最近のリィン様を見ていると、リィン様のその決意は”リィン様にとって本当によかった”とも思えるのです。」

「それって、もしかして……」

「リィンが”メンフィル帝国人”だから、祖国のメンフィルに逆らうような事をする羽目にならず、リィンを利用するつもりでいた鉄血宰相――――――エレボニアと違ってメンフィルはリィンの活躍を正当に評価して、リィンを出世させ続けているって事?」

重々しい様子を纏って呟いたユーシスの推測に静かな表情で頷いたメサイアは複雑そうな表情を浮かべてアリサ達を見回し、メサイアの話にアリサ達がそれぞれ血相を変えている中心当たりがあるエリオットは複雑そうな表情をし、フィーは真剣な表情で訊ねた。

 

「はい。メンフィルのように功績を残した者が適切に評価されると期待できる慣習があるからこそ、その国に仕える者達はより大きな功績を残そうと努力しますわ。功績を残しても評価しないどころか、ましてや”利用”するような国は優秀な人材の流出を許し、その結果決して明るくない未来になる事は目に見えていますわ。」

「そ、それは………」

「……くっ………」

「ハハ……”尊き血”を”エレボニアの誇り”とする考え―――”血統”が重要である慣習があるエレボニアにとっては耳が痛い話だし、リィン君に限らずステラ君達という”実例”もあるから反論もできないね……」

「………………」

メサイアが語った話に反論できないアリサは辛そうな表情で答えを濁し、メサイアが口にしたエレボニアやアルノール皇家に侮辱も含まれた厳しい意見に反論ができないユーシスは無念そうな様子で唇を噛み締め、アンゼリカは疲れた表情で呟き、トワは悲しそうな表情で黙り込んでいた。

 

「それに加えてリィン様の今の周りの方々――――――”灰獅子隊の方達の事を抜いたとしても、リィン様にとって本当に良い環境だとしか思えないのです。”」

「は、”灰獅子隊”の件以外でも今のリィンの周りの人達は、リィンにとって本当に良い環境ってどういう事なんだ!?」

メサイアが口にした驚愕の推測に仲間達が驚いている中マキアスは信じられない表情で訊ねた。

「メンフィル軍側の総大将にして前メンフィル皇帝であられるリウイ陛下は”英雄王”とまで称えられている”メンフィルの生ける伝説”で”王”として――――――そして”武人”としても心から尊敬できる人物ですし、メンフィルの将来の女帝にしてリィン様が妹のエリゼ様共々直接仕えているリフィア皇女殿下は破天荒な方ではありますが”王の器”は十分に備わっている方の上部下の方々を気遣う方ですし、皆さんも話は聞いている思いますがお二人は夏至祭でリィン様がアルフィンさんのダンスパートナーを務めた際にリィン様の事を存じているエレボニアの貴族達がリィン様に対する暴言を口にすると、その事に他国の貴族である帝国貴族達に対して”一喝”した上リィン様や自分達に対して”土下座で謝罪させる”というエレボニアの貴族達にとっては”屈辱的な命令”をし、その貴族達にその”命令”を実行させました。そしてリィン様の直接の上司に当たるリフィア殿下の親衛隊の隊長と副長であるカドール夫妻もそれぞれ個人の武、性格共にまさに理想的な上司と言っても過言ではありませんわ。」

「それは………」

「そりゃそんな完璧連中の上、自分の為に他国の貴族に喧嘩を売る事も躊躇わないメンフィルの皇族達とエレボニアの連中を比べたら、リィンがメンフィル側にいる方がリィンにとって”本当によかった”と思うのも無理はないだろうな。ユーゲント陛下はギリアスに”全て”を委ねた結果エレボニアを今の状況に陥らせたと見られてもおかしくないし、ユーゲント陛下の跡継ぎの内アルフィン皇女は国を出奔してリィン側についた上、皇太子はギリアス達に操られてミリアムを殺させられて幽閉の身、”軍”に関しては軍人として尊敬できる人物だったエリオットの親父さんやナイトハルト教官がギリアス達からの命令とは言え”焦土作戦”を実行しちまったからな。おまけにそのギリアスも今回の戦争の件がなければ、リィンを利用するつもり満々だったらしいしな。」

「……………」

メサイアの説明を聞いたラウラが複雑そうな表情で答えを濁している中疲れた表情で呟いたクロウの推測を聞いたエリオットは辛そうな表情で顔を俯かせて黙り込んでいた。

「……メサイア君。ユーゲント陛下達に対して厳しい意見をする君のその口ぶりから察するに……君もヴァイスハイト皇帝同様、陛下達――――――”アルノール皇家”の方々の事を皇族としてはあまりよろしくないと思っているのかい?」

一方ある事に気づいたアンゼリカは複雑そうな表情でメサイアに訊ねた。

 

「………残念ながら。アルフィンさんと皇太子殿下はまだ成長の余地がある事や未成年である事等でお二人の件は一端置いたとしても、貴族達を抑えられず、臣下であるオズボーン宰相の専横を許した結果エレボニアを今の状況に陥らせているユーゲント皇帝には”王としての資格はございませんわ。”」

「ッ!どうしてメサイアまでヴァイスハイト皇帝のように、陛下に対してそんな厳しい意見を言うの!?リィンの使い魔として私達と一緒にエレボニアを見てきた貴女なら、陛下の苦悩も知っているはずでしょう!?」

静かな表情で答えたメサイアの非情な意見に唇を噛み締めたアリサは悲痛そうな表情でメサイアに問いかけた。

「むしろメサイアはその”ヴァイスハイト皇帝の娘”だから、そんな厳しい意見を言えるのじゃないかしら?」

「そうじゃの………ドライケルスをも超える偉業を為して”誰よりも皇族としての自覚”がある皇帝である父の背中を見て育った姫君なのじゃから、”皇族としての考え”も当然父親であるヴァイスハイト皇帝を基準にしているじゃろうな。」

「………………」

複雑そうな表情で語ったセリーヌとローゼリアの推測を聞いたユーシスは重々しい様子を纏って黙り込んでいた。

 

「それじゃあ……それじゃあ陛下はどうすればよかったって言うの!?」

「………そうですわね。内戦の件に関しては皇帝である自分に対して特に反抗的かつ反乱の主犯格になるであろう人物――――――前カイエン公と前アルバレア公に対して猟兵団を雇うなり、暗殺者を雇うなり、両公爵家の使用人を買収して毒を盛らせるなりして二人を秘密裏に”暗殺”しておけば、内戦の為に一致団結していた貴族達は混乱に陥り、”ベストな結果”としては内戦は勃発せず、”ベターな結果”でも内戦が勃発する時期を大きく遅らせる事で内戦が勃発しても早期に鎮圧できる準備の時間を稼ぐ事ができましたわ。」

「”暗殺”ですって!?幾ら皇帝陛下であろうと、やっていい事と悪い事があるのがアンタにはわからないの!?」

「しかも今の時代に”毒殺”を提案するって……やっぱりアンタもゼムリアと違って古臭い慣習がまだ残っている異世界(ディル=リフィーナ)出身だけはあるって事ね……」

悲痛そうな表情で声を上げたエリオットの疑問に対して静かな表情で答えたメサイアの非情な答えにアリサ達が驚いている中サラは怒りの表情で指摘し、セリーヌは目を細めてメサイアを見つめた。

「――――――”王”とは国家の、国民達の為に時には”非情”にならなければなりません。そしてその為には自らの手を血で染めるべき時もありますわ。その点を考えると、今の状況ですとミルディーヌ公女が今のエレボニアの”王”として相応しい人物かもしれませんわね。」

「ええっ!?皇女殿下や皇太子殿下、それにオリヴァルト殿下どころか、ミルディーヌ公女がですか!?」

「ハッ、あんなゆるふわ女のどこに”エレボニア皇帝としての器”とやらがあるんだ?」

サラの指摘に対して答えた後に口にした驚愕のメサイアの答えにアリサ達が再び驚いている中エマは信じられない表情で声を上げ、アッシュは鼻を鳴らして指摘した。

 

「ミルディーヌ公女はエレボニアを正す為とはいえ、宗主国であるエレボニアに対して逆らう所か”下剋上”までしようとするクロスベルもそうですがかつて”百日戦役”で祖国の領土を奪ったメンフィルと連合を組み、更には自分達の情報収集が目的と理解していながらもその人物――――――”蒼の深淵”が持つ”魔女”としての力は自分達にとって有用である事から”客将”として迎え入れる柔軟な考えを持っている事に加えて、メンフィルとの和解の為とはいえ”エレボニア帝国貴族の中でも最も尊き血”を引く自分がエレボニア帝国貴族達の中で最も忌み嫌われている存在であるリィン様と結ばれることに一切の躊躇いを持たないという合理的かつ”血統主義”であるエレボニア帝国の上流階級の中ですと革新的な考えを持っている事、”領邦軍の英雄”と称えられている勇将自らに忠誠を誓わせる程の”器”がある事、そして自分の”敵”となる者達は例えその相手が祖国の正規軍であろうと、自分と同じ帝国貴族であろうと一切の容赦をしない非情な考えを持たれている事ですわ。………彼女の異能じみた”盤面を読める力”を抜きにしたとしてもミルディーヌ公女に”王の器”は現時点でも十分にありますわ。」

「………確かに言われてみれば、あの公女には動乱の時代となった今の状況を”為政者”として生き残るための能力があるわね。しかも前カイエン公の姪でもあるから、オルトロス帝――――――”アルノール”の血も引いている事から、あの公女がその気になれば即位もできるでしょうね。」

「ハハ……しかも幾らオズボーン宰相達からもマークされていなかったとはいえ、私達よりも年下という若さで内戦終結から連合との本格的な戦争までの僅かな期間で貴族連合軍の残党を纏め上げて今の状況へ持って行った実績があるから、戦後万が一ミュゼ君が即位するなんて話が挙がれば、少なくても貴族連合軍の関係者達もそうだが、帝国貴族の大半も反対しないだろうし、皇女殿下もあちら側だから、帝位継承権を持つ皇女殿下にその継承権を”禅譲”してもらって皇帝に即位するというやり方もあるね………」

「しかも”メンフィルとクロスベル以外の国”にも今回の戦争に関わらせてエレボニアを徹底的に叩きのめしてまでエレボニアを一度浄化(リセット)しようとしているから、ミュゼの考えを知る他国のVIP達のミュゼに対する印象は悪いものじゃないんだろうね。」

メサイアの指摘を聞いたセリーヌは複雑そうな表情で同意し、アンゼリカは疲れた表情で、フィーは真剣な表情でそれぞれ推測した。

 

「話をリィン様の状況の件に戻しますが、その件にはリィン様の”生まれ”も深く関係していると思っていますわ。」

「リ、”リィンの生まれ”って………どうして今更それが関係してくるのかしら?」

メサイアの推測を聞いたアリサは不安そうな表情で続きを促した。

「ここにいる皆さんもご存じの通り、リィン様は幼い頃父親であるオズボーン宰相によってユミルの雪山に捨てられ、そのリィン様を見つけたシュバルツァー男爵閣下によって拾われてシュバルツァー家の長男として迎えられ、シュバルツァー家の方々からは”例え血が繋がっていなくても本当の家族同然”に接してもらっていますわ。」

「まあ、エリゼとエリスはご主人様に対して”家族以外の感情”も間違いなく抱いていたでしょうね♪」

「……ベルフェゴール、今の話の流れで茶化すのはさすがにどうかと思いますよ。」

(ひょっとしたらベルフェゴールなりに重くなりかけた空気に茶々を入れる事で少しでも軽い空気にする為だったかもしれないわね……)

メサイアの話の後にからかいの表情で答えたベルフェゴールの推測にアリサ達がそれぞれ冷や汗をかいて脱力している中ユリーシャは静かな表情でベルフェゴールに注意し、その様子をアイドスは苦笑しながら見守っていた。

 

「コホン。そんなシュバルツァー家は”百日戦役”が終結するまではエレボニア帝国の貴族だった事から、当時両親すらわからなかった”捨て子”であったリィン様を養子にした男爵閣下に誹謗中傷を浴びせてシュバルツァー家を事実上の社交界からの追放をし、またリィン様自身の事も忌み嫌っています。更には去年の内戦の”真実”は”オズボーン宰相達によって仕組まれた内戦”であり、オズボーン宰相達はリィン様を”英雄”に仕立て上げて政治利用しようとしていました。」

「……………」

メサイアが話を続けている中、リィンを利用しようとしていた人物の中に亡き兄ルーファスも含まれている事を察していたユーシスは重々しい様子を纏って目を増えて黙り込んでいた。

「対してメンフィルはリィン様を”生まれ”もそうですが今回の戦争でリィン様がメンフィル軍入りした経緯――――――”敵国であるエレボニアを救う為”という理由だけで判断するような目が曇った判断は決してせず、今回の戦争でのリィン様の活躍を称賛し、更にはその活躍に相応した”立場”を用意し、そしてその将来を期待してくれています。また、皆さんもご存じのようにリィン様の訓練兵時代の同期生の方々――――――”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の方々の中には元エレボニア貴族出身もそうですがメンフィル帝国の貴族の中でも名門貴族出身の方達もいらっしゃり、その方達はリィン様の”生まれ”等関係なく親しい友人、後輩として接してくれています。――――――リィン様がオズボーン宰相の息子や”鬼の力”という”異能”を持っていた事を知った今でも。それらの件を考えるとリィン様は恐らくですが、”無意識に自分の生まれや異能を知ってもなお、自分を認めてくれる人達”を求めている傾向があるように見えるのですわ。」

「リィンが”無意識に自分を認めてくれる人達を求めている”、か………」

「そしてリィンがそうなってしまった原因は、オズボーン宰相もそうだがエレボニア帝国貴族による”尊き血”という”伝統”を重要視するあまり、”尊き血”を引いていないリィンやリィンを養子として受け入れたシュバルツァー家に対して排他的な態度を取った事なのだろうな………」

「………確かに今までのリィン――――――”仲間の為だったらどんな無茶も平気で行った事”もそうだけど”剣鬼”として呼ばれるようになった経緯も考えると、今メサイアが言った傾向に見えるわね。」

「リィン………」

「…………ッ!」

メサイアの推測を聞いたガイウスとラウラは重々しい様子を纏って呟き、セリーヌは複雑そうな表情で今までの出来事を思い返して呟き、アリサは辛そうな表情を浮かべ、サラはリィンの担当教官としてメサイアが口にした推測に気づかなかった自分の愚かさに対して怒りを感じて唇を噛み締めて身体を震わせていた。

 

「なるほね~。メサイアのその推測、間違いなく当たっているでしょうね♪」

「えっと………ベルフェゴールさんはどうして、そう断言できるんですか?」

一方納得した様子で呟いた後からかいの表情で答えたベルフェゴールが気になったトワは不思議そうな表情で訊ねた。

「それは勿論ご主人様が”絶倫”だからよ♪」

「な、ななななななななな……っ!?」

「何で今までの話の流れから”そっち”の話に繋がるとか意味不明だぜ……」

「つーか、ちょっとは空気を読んで発言しやがれ、露出狂が。」

からかいの表情で答えたベルフェゴールの答えにその場にいる全員が冷や汗をかいて脱力している中マキアスは顔を真っ赤にして混乱し、クロウとアッシュは呆れた表情で指摘した。

 

「あら、今言った私の推測は、結構的を射てると思うわよ?」

「え、えっと……ベルフェゴール様は何故そう思われているのでしょうか?」

ベルフェゴールの答えにメサイアは冷や汗をかいて表情を引き攣らせながら訊ねた。

「メサイアもさっき言ったようにご主人様は無意識で色々と”訳アリ”な自分を認めてくれる人達を求めているのでしょう?――――――当然、その中には自分を想う異性――――――要するに私やエリゼ達のような存在は含まれているわよね?しかも今のご主人様のハーレムメンバーのメンツも考えてみなさいよ。私は”魔神”、アイドスは”女神”、ユリーシャは”天使”、メサイアとセレーネ、それにアルフィンは”お姫様”と”普通の女の子達の中でも相当な高嶺の花の女の子達”だし、エリゼとエリスは言わずもがな目に入れても痛くないくらい心から大切にしている”義妹(いもうと)”。そんな女の子達――――――しかも全員容姿端麗な女の子達が揃って”訳アリ”の自分と結ばれる――――――つまり、”家族”になる事を求めているのだから、性欲も相当高まるでしょう♪ミュゼやアルティナ、それにステラは”まだ”だけど、あの三人も”普通の女の子達とは違う女の子達”じゃない♪」

「そ、それは………………」

「えーっと…………………」

「……確かに今の我が主を慕う方々を考えると、この身達は”普通の女性”とは異なる女性である事は認めざるを得ませんが………」

ベルフェゴールの指摘に反論できない事や心当たり――――――自分達やエリゼ達と性行為をする際のリィンは”中に出す事が圧倒的に多い事”を思い出したメサイアは表情を引き攣らせ、アイドスは困った表情でそれぞれ答えを濁し、ユリーシャもアイドス同様困った表情を浮かべつつもベルフェゴールの推測に若干同意する様子を見せ、その様子を見ていたアリサ達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「やれやれ………現代の灰の起動者(ライザー)は朴念仁の割には一途だったドライケルスとは正反対のようじゃの………」

「いや、朴念仁の点に関しては一致しているわよ。――――――それにしても前から疑問に思っていたけどアンタ、本当に”怠惰”の魔王なの?アンタが”サキュバス”の最上位種族である事もそうだけど今までの言動からして、”怠惰”じゃなくて”色欲”の魔王にしか見えないわよ?」

「セ、セリーヌ。実際に”色欲”の魔王と会った事があるオリヴァルト殿下やミュラー少佐の話によると”色欲”を司る魔王――――――”アスモデウス”は”匠王”の使い魔だそうだから、間違いなくベルフェゴールさんは”色欲”の魔王ではないわよ。」

我に返ったローゼリアは苦笑し、ローゼリアの推測に突っ込んだセリーヌはジト目でベルフェゴールを見つめ、セリーヌの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいて指摘した。

 

「えっと……話を戻しますけど、これはリィン様の件とは直接関係しない件だと思うのですが………最近のエリゼ様のリィン様を見る目が”安堵”や”穏やか”と言った感情が見られるのですわ。」

そしてメサイアは複雑そうな表情でⅦ組にとって意外な事実を口にした――――――

 

 

 

 


 
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