No.1023617

Octo Story エピローグ

Nobuさん

オクト・エキスパンションノベライズ、Octo Storyの最終回です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。

2020-03-21 09:18:15 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:720   閲覧ユーザー数:720

 世界をネリ返そうとしたタルタル総帥の野望は、切なく打ち砕かれた。

 その時の彼の表情は、無念に満ちながらも、どこか申し訳なさそうだった。

 

「やったぜ!」

「先輩! 本当に……世界を救ったんですね!」

 ヒメは、何も無くなった海を見て喜ぶ。

「先輩……先輩のおかげです!」

「うおっとっとと!」

 イイダは、世界を救った英雄の一人であるヒメに満面の笑みを浮かべながら抱きつく。

 勢いが強かったのか、ヒメもイイダも倒れてしまった。

「やったぞィ! ワシらの完 全 勝 利じゃ!」

 アタリメ司令は作戦の成功で大喜びしている。

 私は、アタリメ司令とテンタクルズ、そしてセピアの顔を見つめていた。

 

「……ん……」

 しばらくするとセピアが起き上がり、目を開ける。

 おはよう、ここが地上だぞ、セピア。

「……キミは……オクタリアン……?」

 ああ、と私は頷き、セピアに手を伸ばす。

「どうして……? オクタリアンなのに……インクリングと、仲良くしたいの……?」

 私はインクリングと対になる、オクタリアンだ。

 昔からイカとタコは敵対していた。

 でも、同じ地球に住む、未来を担う新人類なんだ。

 今は共に手と手を取り合おう。

 そう促すと、セピアはゆっくりと立ち上がって、私の手をぎゅっと握った。

 セピアは最初、戸惑っていたが、しばらくすると微笑みを浮かべた。

 その笑顔こそが、世界を救った最高の祝福だ。

 

「……そういえば、キミの名前は?」

 セピアが私の顔を見て、名前を聞いてくる。

 No.10008というオクタリアンはもういない。

 私は――ポリュープ。

 満面の笑みを浮かべながら、私はセピアに自身の名前を名乗った。

 

 インクリングとオクタリアン、その懸け橋になる。

 私とセピアはそう誓い、握手をした。

 

 分厚かった雲が晴れ、美しい太陽が見える。

 古きもの――ネルス像の残骸が、海に沈んでいる。

 新たな時代の始まりを表す夜明けが、私達の視界にはっきりと映った。

 

 古き時代は完全に終わったのだ。

 それも、私一人の力ではない。

 みんなが一緒にいてくれたから、私達は新たな時代を開いたのだ。

 過去に縛られていては、いつまで経っても前には進めない。

 私達はそれを、証明する事ができた。

 

 これからは、新しい時代をみんなで一緒に生きていこう。

 どんな種族も、どんな性別も、どんな身分の者も。

 私達はそう、誓うのであった。

 それから一週間後。

 

「合格じゃ! おヌシは晴れて、New!カラストンビ部隊『8号』となったぞィ!」

 私、ポリュープはNew!カラストンビ部隊に8号として正式に入隊した。

 セピアも、あの冒険で受けた心身の傷を癒した後、New!カラストンビ部隊の3号として復帰した。

「合格おめでと~、ポリュープ」

「オクタリアンはこれで二人目だよ」

 1号と2号は、2年前に活躍したシオカラーズのアオリとホタルで、

 二人はアタリメ司令の孫娘で従姉妹同士だという。

 また、私が初めて出会った4号(本名はコウ)は、私が地下からの脱出を図る間に、

 ホタルと共にアオリをオクタリアンの呪縛から解放して街を救ったとか。

 まったく、インクリングが二人も操られるなんて、笑ってしまうな。

 ……ん? オクタリアンは、二人目……?

 

「Yo、ポリュープ! アタシもNew!カラストンビ部隊に6号として入隊したぜ!」

「ワタシは7号です、初のオクタリアン隊員です!」

 ……テンタクルズ、もうとっくにNew!カラストンビ部隊に入隊していたのか。

 いつ頃入隊したんだ、と聞くと、私が入隊する3日前だという。

 流石、新たなアイドルグループ……抜かりがない。

 

 ちなみに、ここにはいない5号の本名は、マールというらしい。

 そんな事はさておき、私達New!カラストンビ部隊は日々パトロール、

 時々ナワバリバトルに励んでいる。

 そしてイカもタコも関係なく、全ての魚介類が共に仲良く暮らす地球にしたい。

 それが、New!カラストンビ部隊の夢だ。

 

 そして3日後。

 私達のおかげで、New!カラストンビ部隊はシオカラーズ、

 テンタクルズに続く第三の人気グループとなった。

 インクリングとオクタリアン、二種族の溝も少しずつではあるが埋まってきていた。

 「生きる」という気持ちに、種族はないのだ。

 

「New!カラストンビ部隊もすっかり有名になったね」

「でも、シオカラーズもまだまだ現役だよ」

 アオリとホタルは、ハイカラスクエア中にNew!カラストンビ部隊の名前が広がって、

 ちょっと複雑な表情だった。

 

 タルタル総帥は分かってくれただろうか。

 いや、分かっていると信じたい。

 

 人間の時代は12000年前に終わった。

 これからは私達、魚介類がこの地球を背負っていく番だ。

 魚介類が二度と過ちを犯さないためにも、私はお前と戦った教訓を隊員に伝えていく。

 

 大丈夫だ、ここは必ず美しい世界にする。

 だから、お前は私達を見守ってくれ。

 博士と共にいる「約束の地」で――

 

 高き地上から聞こえてくる物語が、始まった。

 

 Octo Story

 

 True End


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択