No.101824

真・恋姫無双 季流√ 第14話 陽気な昼下がり

雨傘さん

今回は閑話ということで一休みになります。
短めでですがご容赦を……
そろそろ第一部の終わりが近づいてきました。

2009-10-19 00:33:34 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:38028   閲覧ユーザー数:21788

「一刀、ありがとう。

 秋蘭達が助かったのは、貴方のおかげよ」

 

秋蘭達を助けた次の日の朝、政務室に呼ばれた一刀は華琳に丁寧に礼を述べられると、ある通達を出された。

 

「韓居が居なくなり、この陳留周辺の人事は一新されたわ。

 ここではひとまず黄巾党の話は置いておいて、私はこれから街の大改革を行いたいと考えているのよ」

 

「大、改革……?」

 

「ええ、あなたが以前に提出してくれた書簡を中心に据えた、大規模計画を予定しているわ。

 ……桂花、計画書を」

 

立ち上がった桂花から書簡を渡され、一通り目を通す。

 

「……これは、凄いね」

 

そこに書かれている内容は、自分が以前出した案をこの時代に合わせ、更に改良した計画が数多く載せられていた。

 

この計画が実施されれば、この時代の”統治”という概念がひっくり返るかもしれない。

 

そう感じるほど、大陸の常識を覆すものだった。

 

「そこで貴方には、これから街の再建として要になるであろう、警邏改め”警邏隊”の組織を運営して欲しいのよ」

 

その言葉に視線を上げると、華琳と目が合った。

 

「俺が……警邏隊に?」

 

「ええ……組織形態、運営方法、予算、全てを一任したいと考えているわ」

 

「……それで、いいのか?」

 

これは、つまり……”北郷一刀”を個人として、表舞台に出すということだ。

 

「ええ、決めたわ。

 私は私自身で大陸を獲る。

 貴方にはこれから”北郷一刀”として……私にその力を、貸してくれないかしら?」

 

「…………わかった」

 

1度瞳を閉じた一刀だったが、再び開くとしっかりと頷いた。

 

「ありがとう……次に、以前貴方の書簡にあった、器具や農具を開発する技術開発責任者としても任命するわ。

 後は農……」

 

__ん? 後?

 

「え? ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

「……何かしら?」

 

「いきなりそんな無理だろう?」

 

「貴方を私はかっているのよ?」

 

__完全に、かいかぶり過ぎだろう。

 

そう思った一刀の困った顔を眺め、楽しんだ華琳は愉快に笑った。

 

「フフ……冗談よ。

 その際、これから貴方には3人の副官をつけるわ。

 事前に調べたところ、3人ともその分野に特筆すべき点を持っている。

 ……入りなさい!」

 

華琳の言葉に応じて、後ろの扉が開き3人の娘が入ってきた。

 

「先日の秋蘭の時、街にいた義勇軍を率いていたのが彼女達よ。

 左から楽進、李典、于禁。

 ……貴方達、昨日話したこの北郷一刀が、貴方達の直接の上司となるわ」

 

__へぇ、魏で有名なあの3人か……ふむ、仲は良さそうだな。

 

「ハッ!」

 

「は~……かっこええやん?」

 

「ホントなの~!」

 

三者三様の答えを返してきた娘達は、1人1人自己紹介をし、そして華琳の一声で一刀へと真名を預けていく。

 

「凪が一番武術に優れており、真桜のカラクリに対する造詣は確かよ。

 そして沙和には、趣味を活かした文化向上として、頑張ってもらいたいと考えているわ」

 

「文化向上?」

 

「そうよ、さっきはあなたに止められたから言えなかったけれど……

 この間の老山龍は中々良かったのよ。

 私も気に入っているしね?

 あそこに刺激されて、他の料理店も質を向上させているらしいわ」

 

「それで他にもそういうのをやれ、と?」

 

「察しが良くて助かるわねぇ」

 

白くなりかけている一刀に、愉快そうに笑う華琳。

 

 

__どないせいっつ~ねん。

 

 

とりあえず、後で任命書と予算書を届けさせるということで、部屋を退出した一刀達は親交を深めることになった。

 

すると、凪が一刀に1つ聞きたいことがあるという。

 

「隊長は、華琳様の客将なのですか?」

 

「ん? そうだね」

 

「……何故、ですか?」

 

眉根の寄った凪の視線から、疑惑が突き刺さる。

 

華琳にこれだけの事を任されるというのに、客将という扱いでは、確かに疑問の1つでもでるだろう。

 

しかも華琳に対し、先程のような態度で接して一切のお咎めなし。

 

さらに、これまで手柄などの話を兵達にさりげなく聞いても、全くわからないという……というより”北郷一刀”自体を知らないと答える者がほとんどであった。

 

華琳の家臣としてこれから仕えることになった凪にとって、客将の下につくという事自体が、彼女に不信と疑惑を起こさせるのに十分であった。

 

「ん~……身の振り方を考えてってのが、最初の理由だったんだけどね」

 

「身の振り方……ですか?」

 

「あぁ……詳しくは言えないけど、俺はこの大陸の人間じゃあないんだよ。

 いきなりこんなところに飛ばされて……といっても信じられないだろうけどさ。

 まぁとにかく、俺はこの辺りのことを何も知らないんだよ。

 そんな自身がおかれている状況もわからないような人間が、はい、忠誠を誓いますって言うのも、白々しくないかな?」

 

「…………」

 

彼の言葉を全て信じれば、筋は通っているが……ここへ、わけもわからずに来たというのはどういうことか?

 

「ま、今更改まってっていうものね。

 …………それに……俺はまだ……」

 

「え?」

 

言葉の最後の方が、凪達には聞き取れなかった。

 

だが一刀は深刻そうな表情を変え、はぐらかすように能天気に笑った。

 

「ま! そういうわけで、こんなわけのわからない俺なんだけど、華琳は置いてくれているのさ。

 それでとりあえずは納得してくれないかい?」

 

「え……あ、はい」

 

納得したわけではないが、凪は生返事を返してしまった。

 

これでお終いという風に一刀は、顎に手を当てると、これからのことを考えた。

 

「さて、これからどうしようか?

 ……そうだなぁ、3人とも基本は武官扱いだったよね?

 じゃあこれからのためにも、お互いの力量は知っておいたほうがいいかな……」

 

「「「え?」」」

 

3人は驚いた。

 

正直、戦う人に一刀は見えなかったからだ。

 

「ん? なんで驚いてるの?」

 

「い、いや……失礼ですが……あまり、その……戦うようには」

 

「え? ……あぁ?! ヒドイなぁ! これでも春蘭に勝ったんだけど?」

 

 

「「「え~~!!!???」」」

 

 

「ハハ……じゃあ、準備ができたら訓練場に集合ってことで」

 

そう言い残した一刀は、自分の部屋へと向かっていってしまった。

 

 

「2人とも……どう思う?」

 

「どうもなにもなぁ……まぁ人は良さそうやん?

 でも、春蘭様に勝ったなんちゅうのは正直信じられへんなぁ」

 

「そうなの~! あの黄巾党に突撃していった春蘭様はもう……人! 類! 最! 強! って感じだったの~」

 

この3人には、どうしてもあの優男がアノ春蘭に勝てる姿が思い浮かばない。

 

「まぁ、嘘か真かは今からやればわかるか。

 それに……私も誰だか知らない人の下につくのは、いささか納得がいかないと思っていたところだ」

 

「凪ぃ~? 大将が決めたことなんやで?

 あの大将が、ええかげんな人を選ぶとは思えへんけどなぁ」

 

「そうなの~。

 確かに胡散臭さは爆発だけど~カッコいいの~」

 

「わかっている! ただ……ちょっと納得がいかないだけだ」

 

そう言いながら各自の武器を持って訓練場へ赴くと、黒い服を着込んだ一刀が準備運動をしていた。

 

「さて、やろうか?

 とりあえず怪我させるようなのは無しってことで、後は自由にやろう」

 

「わかりました。

 誰からいきましょうか?」

 

「そうだなぁ……ん? ちょっと待って! 真桜のそれ、ドリルなのか?」

 

訝しげな一刀が指をさしているのは、真桜の武器である螺旋槍だ。

 

「ど、リル? ってなんやしらんけど、この螺旋槍のこと言うとるんか?」

 

「そ、そうそう! それそれ。

 ……回転とかするの?」

 

「ようわかったな~! ……いくで?」

 

真桜が嬉しそうに螺旋槍を構えると、先端部分がギュイイイイイイン! っと、凄まじい音を出して回り始めた。

 

「おお!? すげえ! 浪漫だ……浪漫が回っている!」

 

「ろぅまん? なんやそれ」

 

__ほんとなんでもありだなー……動力はなんなんだ?

 

不思議そうな顔をしている一刀に、真桜が肩を竦めた。

 

そして3人娘も準備運動を始め、各々で動き出す。

 

凪は一刀とは正反対の重厚な手甲を両手足につけながらも、素早い動作で拳撃、蹴撃を織り交ぜて放っている。

 

空気を殴り倒すようなゴウっとした音が響く、真っ直ぐでとても力強い動きだ。

 

真桜は大きいドリルのようなものを先につけた槍で、走りながらの突きを繰り出している。

 

あのドリルの回転力で相手の攻撃をはじき、そのまま突くということか……リーチは通常の槍と変わらないが、西洋の”チャージ”と考え方は近い、一手で攻守を兼ねる戦い方だ。

 

沙和は剣技というよりは、踊るような動きに重点を置いて、辺りを不規則に飛んでいた。

 

その両手には軽量に拵えられたサーベル風の剣が2本……ただ、針のようなものではなく、ちゃんと刃がついているのが特徴的だ……ヒット・アンド・アウェーで相手を翻弄するタイプのようだ。

 

__うん、3人ともいい動きをしている。

 

現在、華琳陣営にいる4人の武官に個々の力では及ばないにしても、まだまだ伸びしろがありそうだ。

 

問題は利点が生かしきれているどうかだが……

 

「よし! ……そろそろやるか」

 

そう言い放った一刀が、ゆっくりと3人の前に立つ。

 

「じゃあ3人一緒にやろうか」

 

何気なく言われたその言葉に、凪の視線が一気に鋭くなった。

 

「……我々を、舐めているのですか?」

 

言葉に多分な怒りが含まれているが、一刀は気にしない。

 

「いや、そんなことは無いんだけれどね……ほら、来な?」

 

くいくいっと一刀は手を立てて招く。

 

「っ!! ……行くぞ! 真桜! 沙和!」

 

「いくらなんでも舐めすぎやでソレ!」

 

「後悔させてやるの~~~!!」

 

3人が一斉に駆け出した。

 

 

「後悔、させてくれるかな?」

 

 

「……沙和~~……大丈夫かぁ~~?」

 

「……………………」

 

「あかん、返事が無い。

 まるで屍のようや」

 

「…………死んではないの~~~……死にそうだけどぉ~」

 

「なぎぃぃはどうや~~~?」

 

「…………動きたくない」

 

訓練場には、ボロボロになった3人娘。

 

「手~も足~も出んかったなぁ~~~~。

 めっちゃ強いやん隊長、しかも……なんか戦いにくくてしゃーないわぁ」

 

「春蘭様が負けたというのも嘘じゃないの~……むしろ納得なの~~~~」

 

「……世界は、広いな」

 

そんな事を、空を見ながら話していると、訓練場から一旦離れた一刀が戻ってきた。

 

「お疲れ~。

 ほら? 傷薬と水持って来たぞ」

 

「あ、北郷様」

 

「ごく……ごく、ぷはぁ! 生き返るわ~~!」

 

「傷薬が~ちょ~染みるの~~」

 

3人に水と傷薬を渡すと、各々渡しあっては使っていく。

 

そしてある程度休んだので息が整ってくると、凪がスクッと立ち上がって、一刀の前まで来た。

 

「ん? どうしたの、凪」

 

「……お願いします北郷様! 私を弟子にしてください!!」

 

「へ?」

 

「「…………」」

 

戸惑う一刀に、真桜と沙和が呆然と眺めている。

 

一刀は目の前で頭を下げている凪に、困惑しながらも言葉を返した。

 

「俺は、そのぉ……弟子を取れるような資格はないんだけど」

 

「私は今日まで武術を独学で鍛え、頑張ってきたのですが、それに限界も感じていました。

 先程の手合わせで隊長の武には、私が目指すモノがある……そう感じたのです!

 お願いです! 私にできることなら、なんでもします!」

 

「ちょっちょ~~凪! 自分なに言うとんのかわかっとんのか?!」

 

「きゃ~~! 凪ちゃん大胆なの~~!」

 

はやし立てる真桜と沙和の2人。

 

深く頭を下げたまま頑なに頼み込んできそうな凪に、説得するのは厳しいかと一刀は判断した。

 

「あ~~~……わかった。

 わかったから頭を上げてくれ。

 弟子は取らないけど、戦い方なら教えてあげるからさ、それでどうだ?」

 

「ありがとうございます! ……師匠!」

 

「師匠は止めて!」

 

どうにも気恥ずかしい一刀は、慌てて師匠発言をする凪を止める。

 

「……では隊長。

 これから、よろしくお願いします!」

 

 

そうして凪の件も落ち着き、3人を引き連れていた一刀は、昼食が用意されているから先に食堂へ向かってくれ、と3人に伝え残し、1人離れていった。

 

 

「あ~~凪ちゃん達だぁ。

 ……どうしたの? そんなにボロボロになって」

 

「季衣様……これは、その……」

 

「お~ボクっ子やないか。

 いや~今日なぁ……うちらの上司になった人と手合わせして、ボッコボコにされたんよ」

 

「超~強かったの~」

 

「へぇ~大変だったねぇ、その上司って誰なの?」

 

「北郷一刀様です」

 

「「え?!」」

 

食卓に座っていた季衣と、話を聞きながら調理をしていた流琉が声を上げた。

 

「ん? なんや知ってんのか? そういや客将なんやったっけ」

 

「いや、え? だって……」

 

「そういえば~噂の季衣ちゃんのお兄さんってどこにいるの~?

 イケメンで~妹思いのお兄さん!

 沙和、助けて貰ったお礼がしたいんだけど~」

 

「へぇ?! 何言ってん」

 

季衣がわけわからずに口ごもっていると、秋蘭に肩を貸して支えながら一刀が食堂にやってきた。

 

「ずいぶんと賑やかだな」

 

「あ、秋蘭様! お体は平気なんですか?」

 

秋蘭に気づいた流琉が心配して声をかける。

 

「大丈夫だ。

 まだ運動はできないが、歩くくらいならば問題ないよ」

 

そういうと秋蘭は食卓へ座った。

 

「兄ちゃん! 凪ちゃん達に、何も言っていないの?」

 

タタタ、と小走りに一刀へ近づいて季衣が腰に抱きついた。

 

「ん? 何を言えばいいんだ?」

 

一刀は季衣を撫でながら、よくわからないと頭を捻る。

 

そのやり取りを見た3人は、自分達の勘違いを悟った。

 

「ええ?! 隊長がボクっ子の兄ちゃんやったんか~! ……そういえば、あん時秋蘭様が北郷とかなんとか言うとったっけ……」

 

「驚きなの~~!」

 

「な!? では隊長が、我々を助けてくださった方だというのか!」

 

よく状況が飲み込めない一刀だったが、話を聞いて納得すると、何度も礼を述べる3人にもういいよ、と言って食卓に座らせた。

 

「流琉! おいしいのを頼むね」

 

「はい兄様! だからもうちょっと待っててね? 季衣」

 

料理の鉄人流琉が、次々と鍋に具材を入れていく。

 

するとやがて、食欲を強烈に刺激する匂いが、食堂一杯に広がった。

 

流琉が出来上がった料理を、皿に次々と盛っては食卓に出していく。

 

「このおいしそうな匂いはなんなの~!」

 

「ホンマや! でもこれって……まるで”ゴチン!!”った~!? 何するんや隊長~」

 

「凄い興味深いです」

 

「ふむ、北郷……これが例の?」

 

「そう、カレーだよ」

 

今日の昼食は秋蘭のリクエストだったのだ、件のカレーを是非食べてみたいという。

 

「ねえ兄ちゃん! もう、ボク!」

 

既にダラダラと涎が垂れ流しになりそうな季衣に、一刀は苦笑を浮かべた。

 

「よし、じゃあ頂こうか? いただきます!」

 

「「「「いただきます」」」」

 

パク、もぐもぐ……!

 

「むっっっっっちゃ旨い!!」

 

「ピリ辛でおいし~の~!」

 

「このような料理があるとは……でももうちょっと辛く……」

 

季衣は何も言わずに、ばくばくばくばくとひたすら食べている。

 

「ん!? こ、これは……北郷、何故前回作ったとき、私も呼んでくれなかった?」

 

切れ長の鋭い流し目を送られた一刀は、秋蘭の背が放つ妙な迫力に、若干の恐怖を覚えた。

 

「え?! いや、あの時は……ほら! 洛陽に俺と春蘭が向かった日だったんだよ。

 だから急いでてさ……」

 

__こ、こええええー!?

 

「これをまだ、華琳様と桂花は食べていないということだが……それでいいのか?

 後で華琳様が知ったらお前の頸が……跳ね飛ぶぞ?」

 

「俺、呼んでくるわ! 流琉! カレーとっといてね!」

 

そう言い残して一刀は、食堂から逃げるように駆け出した。

 

しばらくして帰ってきた一刀は、文句をたれる華琳と桂花、それに春蘭を引き連れていた。

 

「全く、私はこれでも暇じゃないのだけれど?」

 

呆れたように一刀の後ろをついてくるのは華琳だ。

 

「そうだぞ北郷!

 お忙しい華琳様の手を煩わせるな。

 まぁ……私なら、別にいいけど」

 

最後の方がボソボソと聞き取れなかったが、ちゃんとついてきてくれる春蘭。

 

「そうよそうよ! っていうかは~な~せ~!!

 手が穢れる! 手から孕まされるー!」

 

桂花はというと……一刀が無理やり手でひっぱってきていた。

 

「何をわけのわからんことを……まぁ華琳、皆と親睦を深める昼食会ということで、ここは1つ、な?」

 

「何が、な? よ!

 いや~! 孕んだ! もう孕んじゃったわ~!」

 

「孕めるか! ほら、静かにして座れって?」

 

一刀が無理矢理3人ともを食卓へ座らせると、流琉を手伝ってカレーを前に置いていく。

 

「……何よ、これ?」

 

目の前のカレーを見た華琳は、実に怪訝そうな顔をしていた。

 

「これは何?!

 まるで”下品な上に、春蘭と同じネタかぁ”…………え、と……泥じゃない!」

 

__苦しい返しだな、桂花よ。

 

「おお! これは……あー、ほらあれだ! かる”カレーな? 春蘭”わ……私はそう言ったよな? ……な?!」

 

助けを求め辺りを見渡す春蘭の視線から、皆が目を逸らす。

 

「まぁ騙されたと思って食べてみてくれよ、マジで旨いからさ」

 

「ふ~ん?

 それじゃあとにかく頂こうかしら……パク、モグモグ……!」

 

「お、おいしい」

 

華琳と桂花が一口食べて、目を見開いた。

 

__桂花の素直な声を初めて聞いた気がするなぁ……食ってすげー。

 

「一刀……ちょっと危なかったわね」

 

華琳の真剣な表情をチラリと見て、それが本気だと悟った。

 

__これは、地雷だ・

 

一刀はこれから新しい料理を作ったら、華琳には逐一報告しようと心に決める。

 

そしてずいぶん静かだと思ったら、春蘭は何も言わずにバクバクとがっつくようにして食べていた。

 

 

こんな平和な、陽気の良い昼下がり。

 

 

 

「ご苦労様です左慈。

 ……そちらの首尾は?」

 

「あぁ、今は借りた人形に監視をさせている。

 ……お前のほうこそどうなんだ?

 聞いた話だと、俺が行ったほうがよかったんじゃないのか?」

 

「私を少しは信じてくださいよ、左慈。

 ほら……ちゃんとここに、ね?

 あの手の相手には搦め手の方が、こちらの被害が少ないでしょう。

 これで……あぶり出しに成功するでしょうか?

 まさか北郷一刀が黄巾党にいないとは、すっかり騙されましたねぇ。

 どこかの間諜だったのでしょうか?」

 

「ふん、知るか! まぁ……多分魏か呉だろう、この2勢力は人形が入り込む隙がないからな」

 

「まぁ後は、裏をかいて董卓や馬騰ということもあるかもしれませんがね……現状では線は薄いでしょう。

 此度の外史では蜀に劉備がいますし、まだできて間もない義勇軍ですので、こちらは隙だらけですから、身を隠すことなどは出来ないでしょうし……」

 

「とにかく、大々的にやるぞ! そうすれば魏も呉もつられて隙ができる……何かしらの手がかりは掴めるはずだ。

 ……こっちには今までのような力が、なんでか残っていないんだ。

 使えるものは全て使っていくぞ」

 

 

「ええ……そうですね、左慈」

 

 

どうもamagasaです。

 

いつもご声援ありがとうございます!

 

皆さんからのたくさんのコメント・応援メールを頂きまして、感謝感激です。

 

しかも金冠を頂けました!

 

これも皆さんのおかげです!! 本当にありがとうございます。

 

 

今回短い上に、特にオチもなくてスイマセン!

 

実に箸休め的な話になったと、読み直して感じております。

 

さりげに一刀と凪達の処遇が決定いたしました。

個人的には一刀君の扱いが決定したことは大きいと考えております。

 

凪達との絡みなのですが、特殊な関係にするのではなく、やはり個々の役割は原作にできるだけそったほうが違和感が少ないかな、ということでその長所を強化した形になりました。

ただ、3人を警邏隊メインにするのではなく、お互いにフォローしあう形で隊を編成できたらいいなと思っております。

(凪さんが季衣と流琉をどう呼ぶのかがわからなかった……ゲームで探してみたのですが、何故か呼ばない……どこに正解があるのでしょう?)

 

一刀君は”警邏隊隊長”というよりは、警邏、技術、文化を担当する3人娘が、各々の担当でその場を取り仕切って貰い。

それを統合・監督するという原作より広い意義を持った隊長の役割として、一刀君に活躍してもらうつもりです。(この√の一刀君でも、1人でこれだけのことを一斉に仕切らせるのは少々酷だなぁ……っと。まぁこれでもかなり大変だと思いますけどね、まだ増えそうですし)

後、細作についてですが……もう%B


 
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