No.101232

新たなる外史の道 2.5

タナトスさん

恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。

2009-10-16 00:48:17 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:10918   閲覧ユーザー数:8613

幽州を統治してから1ヶ月目の夜、俺は眠れず部屋に置き忘れた煙草を取りに、自分の執務室に向かった。

 

 

(ん、人の気配・・・今は深夜、人などましてや俺の執務室に人などいないはず・・・)

 

 

俺は慎重に部屋のノブに手をかけ、開けてみる。

 

 

誰もいない・・・確かに人の気配がしたはず。

 

俺は執務室の明かりをつけ、辺りを確認するが誰もいない。

 

ふと、執務机の上に紙が置いてあった。

 

おかしい・・・確かに俺は書類を片付けたはず。

 

 

机の紙を持ってみるとその紙は封筒だった。

 

俺は裏を見たとき驚きを隠せなかった。

 

裏には英語で『Kazuto Hongou 』と書かれていた。

 

しかもコイツはこの筆跡は!!

 

俺は慌てて封筒を開け手紙を取り出す。

 

内容も英文で書かれていた。

『二人だけで話がしたい、明日、20時に、近くの森で待つ

 

 

                       ソリッド・スネーク』

 

 

「そんな・・・馬鹿な!?!?!?!?」

 

俺の動揺は凄まじいものだった。

 

だってそうだろ、死んだはずの師匠からの手紙。

 

しかも、次元を越えて遥々、幽州の俺の執務室に届いたんだ。

 

しかも、英文で師匠の直筆・・・

 

ありえない・・・が・・・ありえない事が立て続けにおこっては信じてしまいそうになる。

 

真意を確かめてみるか・・・

翌日・・・

 

俺は、一通り執務を終わらせ、自分の部屋に戻り、自分のトランクからスニーキングスーツを取り出し、着替える。

 

CQCナイフを後腰のナイフの鞘に入れ、白鷹を右レッグホルスターに収め、マガジンをポーチに収める。

 

ホワイトコートを着込み、誰にも気づかれないように外へ出る。

 

体内通信は勿論カットした。

 

暫く歩いていると、森の入り口に差し掛かる。

 

俺は白鷹と白牙を引き抜き、同時に構え全集警戒をしながら森へと入っていく。

 

小川の辺に差し掛かった時、視界に蘭の花畑が広がっていた。

 

全集警戒を怠らず開けた中央まで進む。

 

「待たせたな・・・」

 

突如、聞き覚えのある、力強い老人の声が月夜の静寂を切り裂いた。

 

その声は静かでありながら、とてつもない力を秘めていた。

 

「そんな・・・貴方はあの時死んだはず!? どうしてだ!? 師匠!?」

 

俺はまさか? と言う感情と、やはり! と言う感情がない混ぜになっていた。

 

「ある仙道に無理やり生かされた。いや・・・ここにいるのは魂の自由を奪われた。人形だ」

 

「人形?」

 

「そう、そして・・・お前を殺す目的で作り出された人形だ」

 

そういい師匠は『パトリオット』を片手で構え、CQCナイフを左手に持ち構える。

 

(なんて闘気だ!! 本当に紛い物かよ!?)

 

「お前に技術を教えた、知識を教えた、戦うすべを、俺の過去さえも・・・俺はお前を息

子と思いその持てる技術と知識をお前に授けた。後は俺の命を、お前が奪え、自分の手で・・・

どちらかが死に、どちらかが生きる。生き残ったものが後を継ぐ、俺達はそういう宿命・・・

伝説を継いだものは新たな戦いへと、終わり無き戦いへ漕ぎ出して行くのだ」

 

 

「さあ・・・行くぞ!!!!」

 

俺達の戦闘は始まった。

 

師匠はパトリオットを片手で乱射し、5.56mmの弾幕の壁を作り上げる。

 

「クッ!?」

 

俺は全力で横っ飛びしながらかわし、白鷹を乱射するが、此方も綺麗にかわされ、パトリオットのお返しを大量にもらう。

俺は5.56mmで体を傷だらけにしながら何とか除ける。

 

「その程度か? 一刀!!」

 

そう言い、一気に俺の視界から消える。

 

(嘘だろ!?)

 

俺は辺りを見回したが、それが隙になった。

 

師匠は俺の右側面から接近し、俺の右脇に腕を通し右肩を押し、右足を同時に払った。

 

俺は受身も取れないまま勢いよく背中から地面に叩きつけられた。

 

「がは!?!?!?!?!?!?」

 

肺の中の酸素が一気に吐き出される。

俺は一瞬意識を飛ばされながらも立ち上がり、パトリオットの銃口から逃れる。

逃れた直後、多数の5.56mmの弾丸が俺の寝ていたところに吐き出される。

 

「糞!!!! 手加減なしかよ!?」

 

俺は師匠の左側面に移動し、左の手の甲を外側に捻り上げようとするが、パトリオットのグリップ底部で後頭部を叩かれ、鳩尾に膝蹴りをもらい、襟を前側に力の限り引っ張られ、同時に左足を払われ、うつ伏せに倒される。

 

「グフ!?!?!?!?」

 

俺は悪あがきとばかりに、足払いをするが、顔面に蹴りをもらい転げるように吹っ飛ばされる。

 

「グファ!!!!!!?????」

 

師匠は突如こう言った。

「諦めたほうがいい・・・」

俺は師匠の言葉に鼻血を垂らしながら答えた。

「悪いが・・・アンタから諦めるということは教わってない!」

 

とは言うものの全然勝てる気がしないのもまた事実・・・

ふと、師匠の言葉を思い出す。

『一刀、まず、CQCの基本を思い出せ』

『相手をよく見ることだ、相手の動き、呼吸、目線をよく見ろ』

『焦るな、焦りは失敗を招く』

『決して諦めるな、諦めは死を招く』

 

俺は鼻血をぬぐい、逆手に持った白牙を前に突き出し、白鷹を腰付近にやる。

 

俺は師匠に一気に正面に近づき、白牙を師匠の左首目掛けて振るう。

 

勿論師匠はよける。

 

俺はその体制から師匠の襟を掴み、左脇から右手を通し、二の腕で師匠の左腕を持ち上げ、左膝を鳩尾に叩き込む。

「ぐっ!?」

師匠が苦しげな声を上げ、くの字になる。

俺はそれを逃す事無く、俺の方に襟を引っ張ると同時に、左足を払った。

 

師匠はうつ伏せの状態で地面に叩きつけられる。

「ガッ!!??」

俺はすぐさま白鷹を構えて発砲、師匠はそれをとこに回転しながらかわすが、脇腹に弾がヒットする。

「クッ!!」

掠り傷だがあの師匠に弾丸を当てることが出来た。

 

俺は浮かれる事無く師匠に接近、左拳を突き出す。

それを師匠はかわし、俺の左手を両手で外側へ捻る。が、

俺は師匠の左間接に右手を通し、外す。

怯んだ隙に、左手首を回し、師匠の拘束から逃れる。

隙が出来た師匠に俺は左手を左肩に伸ばし、左肩を掴む。

右手で師匠の右腕を掴み、後ろへ倒すと同時に足払いを行う。

師匠は受身を取れず。地に叩きつけられた。

「ぐわああ!!!!!!」

俺は師匠に白鷹を数発打ち込む。

狙いを付けない射撃、だが、師匠の腹に2発、右胸に1発当たる。

「グフ!?!?!?!?」

 

師匠はすぐさま立ち上がり、パトリオットを乱射するが、先ほどのような命中精度は無い。

 

「・・・強くなった・・・」

 

師匠の言葉はどこか嬉しそうだった。

 

お互いもう余力は殆ど残ってない・・・コイツで最後だ・・・

 

俺はパトリオットの弾幕を回避しつつ、師匠に近づき白鷹の引き金を引こうとするが、師匠に白鷹のスライドを後に引っ張られ作動しない、スライドストップを外され、マガジンキャッチボタンを押されマガジンが地に落ちる。

そして、師匠はスライドを前側に引っ張る。

スライドは本体から離れ、グリップだけになる。

俺はすぐさま、白鷹を捨て、白牙を振るが師匠に白牙を奪われ、投げ捨てられる。

 

その時、師匠に大きな隙が出来る。

白牙を弾いた手を掴み捻り上げ、右腕で師匠の首を上へ締め上げ、足払いと同時に後へ倒す。

物凄い音と共に地面が砕け、人間位の大きさのクレーターが出来た。

 

「ッッッッッ!!!!」

 

師匠は痛みで声が出ないらしい・・・

 

心身ボロボロだ、『氣』を使う暇すら与えてくれなかった・・・

俺は師匠に近づく・・・

 

「・・・ようやく・・・ようやく開放される・・・傀儡で無くなる・・・

 

・・・これを離すな」

 

「愛国者・・・何故これを・・・」

 

「俺は・・・仙道の手により傀儡になった・・・だが・・・! 俺は俺の意思で戦いたか

った・・・お前と戦い、お前に殺され、開放されたかった・・・

ありがとう・・・一刀・・・俺を解き放ってくれて・・・

俺は・・・ようやく無にかえることが出来る・・・

全てには始まりがある・・・始まりは1ではない・・・世界は0から生まれる・・・

そうだ・・・俺を消してもゼロは消えない・・・

この世界にお前と愛紗ともう一人・・・そう、お前の嘗ての親友・・・この世界にこの3

人を呼んだもの・・・≪ゼロ≫を殺さない限りは・・・」

 

「≪ヤツ≫も≪テン≫もこの世界に来ているのか!?」

 

「ああ・・・ずいぶんお前に固執していた・・・

いいか、ゼロを倒せ! それが俺がお前に与える最後の任務だ!!」

 

「最後に、質問したい、≪ゼロ≫とは何者で何処にいるんだ?」

 

「≪ゼロ≫はいずれお前達の前に立ちはだかる・・・存在しない存在・・・

全ての始まりにして・・・全ての終わり・・・外史を否定する強硬派のリーダーだ・・・」

 

左慈達のリーダーか・・・

 

「左慈達も出てくるのか?」

 

「あいつ等は消えた・・・お前達の勝利によって・・・

 

・・・言うべきことは言った、さあ・・・俺を殺せ・・・」

 

俺はパトリオットを構える。

 

師匠は微笑みながらこう言った。

 

「ありがとう・・・一刀・・・」

 

 

銃声が辺りに響いた。

そして、師匠はこの世界から光になって消えた・・・

 

 

 

某所

「どうやら・・・失敗したみたいだな・・・」

 

金髪に青い目と黒いコートを着た男が語りかけてきた。

 

「・・・・・・・」

 

沈黙する白い法衣を着た男。

 

「まあ、当然か・・・消え逝く魂を無理やり定着させればそうなる・・・

伝説の男とはいえ、所詮、紛い物、紛い物ではあの男は殺せんよ」

 

白い法衣を着た男が不意に口を開く。

 

「では、お前は奴を殺せるかな?」

 

黒いコートを着た男は顔に獰猛な笑みを湛えながら言う。

 

「俺しか出来ない、他の奴では死体の山を築くだけだ」

 

「そうか・・・期待しているぞ、≪テン≫」

 

「フン、まかせろ・・・≪ゼロ≫」

 

 

 

俺は、フラフラになりながら森を抜ける。

右手にはパトリオット、左手には師匠のCQCナイフが握られていた。

 

ふと顔を上げると、愛紗がいた・・・

 

「お疲れ様でした・・・一刀様・・・」

 

「ああ・・・今日は・・・疲れた・・・」

 

愛紗は泣きそうな顔をしながら言う。

 

「もう朝日が昇っています・・・

それと、一刀様・・・もうこんな無茶はしないでください・・・」

 

「ああ・・・出来る限り気を付ける・・・・・・」

 

そういい、俺は愛紗の胸に顔を埋めた。

 

「・・・・・・・・・お休みなさい、一刀様・・・・・・・・・」

 

 

 


 
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