No.1009114

運命が動き出すとき……。後編

どうも、どうも、白石442です。

先週、先週から続けて投稿していたストライクウィッチーズの二次創作『ストライクウィッチーズ 流星の白虎と暴れ馬のウサギ』の最新話&第一部最終話になります!

今回の話のクライマックスであったウィーラーとシャーリーによる、高速飛行型ネウロイとのドッグファイトですが、これはベトナム戦争中のラインバッカー作戦の際にアメリカ海軍のエースパイロット、カニンガム大尉とドリスコル中尉の乗るF-4Jと北ベトナム空軍のエースパイロット、トーン大佐の乗るMig-17とのドッグファイトを参考にした描写となっております。

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2019-11-03 12:33:06 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:222   閲覧ユーザー数:222

501とネウロイとの戦闘が始まって、数時間経ったが、未だに戦闘は続いている。

「くそっ!こいつ、バカに硬いぞ!!」

「ホント、固ったいねぇ~!!」

バルクホルンが、1体の爆撃機型のネウロイに対して、ボヤキつつ、MG42を乱射する中、彼女に続く様に、ハルトマンも次々と銃弾を叩き込んでいく。

二人の近くに居たリーネが、ボーイズ対戦車ライフルを撃ち込んで、追撃を加えるが、そのネウロイの装甲は固く、いとも簡単にボーイズの弾を金属音と共に跳ね返す。

間髪入れずにサーニャが、フリーガーハマーのトリガーを引き、ロケット弾を撃ち込むが、これも、一瞬、装甲に小さな穴を開けただけで、直ぐに再生されてしまう。

「私のボーイズも、あまり効き目がありません!!」

「私のフリーガーハマーもです!!」

「なんて奴ですの!?」

そうペリーヌが呟く様に、圧倒的な硬さと再生力を持つ、爆撃機型ネウロイを前に、歴戦のウィッチ達である彼女達も、思わず困惑を隠しきれない様である。

だが、そんな彼女達に活を入れるかの如く、部隊1の年長者にして、ベテランのウィッチである坂本少佐が、声を張り上げた。

「馬鹿もの!まだ負けた訳じゃ、無い!!撃って、撃って、撃ちまくれ!!!」

そう声を張り上げながら、坂本少佐は、手にした機関銃を撃ちまくりながら、俺とシャーリーに向かって、指示を飛ばす。

「ウィーラー、シャーリー、お前達は左10時の方向に回れ!!」

「「了解っ!!」」

少佐の指示に従い、俺とシャーリーは、ネウロイの左側に回り込みながら、手にしたトンプソンとBARを発砲し、他のメンバーと同様に、ネウロイに銃撃を加えていく。

だが、ネウロイは、相変わらず凄まじい硬さと再生力で、俺達の攻撃をあざ笑うかの様に、装甲を再生させながら、俺達にビームを撃ちまくってくる。

「こんにゃろ~!!」

「もう1発、派手にやるぞ!!」

そう呟きながら、撃ちまくるシャーリーの傍で、俺はグレネードポーチから、手りゅう弾を取り出すと、先程と同じ様に、安全ピンを引き抜き、安全レバーを外し、信管を作動させるなり、全力でネウロイに向かって、投げつけた。

瞬間、先程と同じ様に、爆音と共に、手りゅう弾は炸裂し、破片をまき散らし、ネウロイを攻撃するが、これも余り効果が無く、ネウロイは装甲を再生させていく。

「化け物がっ!」

「本当にキリが無いな!」

俺とシャーリーは、その様子を見ながら、悪態を付く様に、ボヤいている中、そのネウロイは、俺とシャーリーに向け、ビームを撃ち込んでくる。

すかさず、俺とシャーリーは、その攻撃を躱しつつ、ネウロイとの距離を取る。

 

 

んで、ネウロイとの距離を取りながら、”ある事”を思い出した俺は、シャーリーに、再び問いかける。

「なぁ、新兵器のロケットポッドを使っても良いよな!?」

「お前さんの言っている、ロケットポッドって、お前のP-80に付いている、”ソレ”か?」

そう俺の問いかけに対し、シャーリーが、俺のP-80の両翼に取り付けられているをロケットポッドを指さしながら、聞いてくるので、俺は「あぁ!」と短く言葉を返す。

俺の言葉に対して、「おぉ~!」と感心した様な声と共に、最初に俺と出会った時と同じように、目を輝かせながら、こう言い放つ。

「流石は新型!オプションも充実してますなぁ~!!ん~、でも、サーニャのフリーガーハマーでも、効果が無かったみたいが、効くのか?」

「一応、原隊でやった性能試験だと、厚さ100ミリの鉄板をぶち抜いていたぞ。少なくとも歩兵の携帯用対戦車火器で撃ち抜けるのが、鉄板の厚みが平均50ミリだから、軽く倍はある事は保証する!」

「よし、使おう!」

「じゃあ、援護しろ!!」

シャーリーの同意を得た俺が、彼女に援護を要請すると、まさか援護を要請されるとは思っていなかったのか、彼女は「えっ?」と驚いた様子で、俺に何か言おうとするが、それよりも先に、俺は無線機越しに、坂本少佐とミーナ中佐に対し、ロケット弾使用の報告をする。

「少佐、ミーナ中佐、P-80のロケット弾ポッドを使用します!」

『分かった!正面はぶち抜けないだろうから、お前の方から、見て、2時方向の上空に回り込み、上空から撃ち込め!!』

『ネウロイの注意は私達が引け受けるから、頼むわよ、ウィーラー大尉!』

「了解っ!」

坂本少佐とミーナ中佐の指示に対し、復唱を返しつつ、俺は直ぐに傍にいたシャーリーに顔を向けつつ、こう言い放つ。

「今の聞いたな!?」

「……あ~、これ断れないパターンの奴ね」

「パターンって、なんだ?」

「お前は気にしなくて良いの、良いの」

「……そう言うもの?」

とまぁ、彼女の言うパターンが何の事だか、さっぱりだが、それを置いておいて、俺は一回息を吸い、吐き出すと同時に、彼女に向けて、こう言い放つ。

「……まぁ、良い。とりあえず、あの堅物を仕留めるぞ!先行するから、援護しろ!!行くぞ、付いてこい!!!」

悪魔の旅団に所属するコマンドの小隊長として、ベイカー達を率いていた頃の様に、そうシャーリーに言い放つと、シャーリーは、じゃれる様に笑顔で「サー、イエッサー!コマンダー!!」と言いつつ、俺に向かって敬礼してくる。

そんなシャーリーを見つつ、俺はネウロイの方を向き直すと、一気に魔力をP-80の魔道エンジンに集中させ、フルターボで回す。

瞬間、P-80のエンジンが、獣の唸り声の様な、凄まじい轟音を挙げると共に、排気口から、青い炎を吹き出しつつ、俺は一気に加速する。

加速に伴うGや風圧を体全体で感じつつ、横目で、ふとシャーリーの方を見ると、彼女もP-51の魔道エンジンをフル回転させて、俺の後を少し遅れてついてくるのが見えた。

流石は、ブリタニアが誇る最高級性能のマーリンエンジンを搭載しているP-51だ。他の国の技術陣からも、最優秀レシプロストライカーと評されるだけはある。無論、それを使いこなす彼女の高い技術があってこそだがな……。

 

 

付いてくる彼女を見て、そう思いながら、俺は前の方を見返しつつ、右手で持っていたトンプソンM1A1を左手に移し、空いた右手で、P-80の右足側に付いているボックスを開くと、中にある操作レバーを引き出す。

ガチャリ!と言う音と共に、ボックス内から、引き出された、戦闘機の操縦桿を連想させる形をしている操作レバーを握りしめる。そう……これがP-80のロケット弾ポッドを射撃する為の操作レバーだ。

その操作レバーの上部に付いている安全装置の赤いボタンを操作し、安全装置を解除すると、俺は声を張り上げて、叫ぶ。

「射撃準備よーし!!」

「あー、撃てるのね!?」

「そうだよ!」

……と俺の射撃準備完了の報告に対し、問いかけてくるシャーリーに対し、荒々しく言葉を返した瞬間だった。

俺とシャーリーを狙って、戦闘機型のネウロイが、次々とビームを撃ち込んでくる。

「くそっ!!」

「やっぱり、そう簡単には行かせてくれないみたいだな!!」

「どっからだ!?」

「後ろ!!」

シャーリーは、そう俺の問いに答えながら、背面飛行の体制で追撃してくるネウロイを相手にBARを射撃を開始する。

彼女の射撃するBARの排莢口から、吐き出される薬莢と辺りに鳴り響く銃声を見聞きしつつ、俺は一度、ロケット弾ポッドの操作レバーから、手を離すと三度、手りゅう弾をポーチから取り出し、安全ピンを口に加えて、引き抜きつつ、安全レバーを解除するなり、追撃してくるネウロイを目掛け、全力で投げつける。

瞬間、爆音と共に手りゅう弾が炸裂し、ネウロイに凄まじい衝撃波と破片が降り注ぐが、ネウロイはそれに屈する気配を見せず、逆に更に殺気だった様子で、俺とシャーリーを追撃してくる。

「まー、ネウロイさん、派手に怒ってますな~!」

「あ゛?ネウロイに、感情があるのか!?」

「知らん」

「いや、知らんのかい!!」

と追撃で、次々と撃ちこまれてくるネウロイのビームを回避しつつ、何処か漫才の様な、やり取りを交わしていた時だった。

 

 

突然、前の方からも、俺とシャーリーに向け、次々とビームが撃ち込まれてくる。

「「っ!?」」

この攻撃を交わしつつ、俺とシャーリーが、咄嗟に前の方を見ると、そこには別の戦闘機型のネウロイが、俺達の方に射撃しつつ、向かってくる姿があった。

どうやら、俺達の後ろにいるネウロイと共に前後から、挟撃を仕掛るつもりの様だ。

「くそっ!」

「待て、ウィーラー!!」

その前から接近してくるネウロイを視認した俺が、接触を避けるべく上昇しようとした時、シャーリーが、俺を止める様に、俺の左肩を掴むと、続け様にこう言い放つ。

「このタイミングで、不用意に動いてみろ!一瞬で、ハチの巣にされるぞ!!」

「ちっ!!」

確かにシャーリーの言う通りだ。航空歩兵の動きは、戦闘機の機動に準ずる物があり、搭載機銃の銃口の狙いが敵から外れる上昇や下降のタイミングは、まさに絶好の攻撃のタイミングだ。

無論、航空歩兵は人である以上、敵に対し、視線を向けつつ、銃を向け、反撃することも可能だが、牽制程度の反撃に過ぎない。

そうである以上、最初から、狙いを付けて飛んでくるネウロイ側の方が圧倒的に有利……ということは、コマンドから、航空歩兵に鞍替えして以降、教官や姉御方から、耳に胼胝ができる程、言われている……。

 

が、しかし……。

 

「何もせず、やられろって言うのか!?」

と、”結論”に対して、納得できない俺がシャーリーに対し、怒号にも近い叫びを上げる。

対するシャーリーは、俺の叫びを聞きつつ、「ふんっ!」と鼻にかけた様な笑い声を上げると、余裕の表情で、こう言い返してくる。

「まぁ、あたしに任せな!とりあえず、まっすぐ突っ込め!!」

「っ!?」

シャーリーは、俺の左肩をパシッ!と叩きつつ、そう言いながら、前のネウロイに視線を向けつつ、横目で、後方のネウロイにも視線を向ける。

そんなシャーリーを横目に見つつ、俺も彼女と同じ様に、両方の目をフル活用して、前後から迫ってくるネウロイに視線を向ける。

この間にも、挟撃を仕掛けるべく、前後から迫ってくるネウロイは、更に距離を詰めてくる。

そうして、段々と近付くに連れて、大きくなっていくネウロイの姿を目の当たりにして、思わず額を1筋の汗が伝い、心臓が激しく鼓動を打つ中、シャーリーに視線を向けると、その先にいた彼女は、今までに見た事の無い真剣な表情で、ネウロイを見つめていた。

(うおっ!?)

今まで見た事の無かった彼女の真剣な表情を目の当たりにして、声にこそ出さなかったが、思わず胸の家で驚愕する俺。

そんな胸の内を知らないシャーリーは、先程と同様に、前後から、迫りくるネウロイに視線を向けている……と思った瞬間だった。

 

「今だ!右に飛べーっ!!」

「っ!!」

 

まるで覚醒したかのように、大声で叫ぶ彼女の声に驚きながらも、彼女の指示通り、右に体を傾け、回避機動を取る俺。

それと反対に、シャーリーが左に回避機動を取るのを、横目で見た、次の瞬間だった。

『『AAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』』

まるで、人間があげる悲鳴の様な金切り声を上げつつ、俺とシャーリーを前後から、挟撃しようとしていたネウロイが、俺とシャーリーの軌道変更に対応できず、まるで自動車が正面衝突するかの様に、激しくぶつかり合う。

その瞬間、当たりに一面にネウロイの破片が飛び散ったかと思った次の瞬間には、衝突の衝撃に耐えられなかったネウロイのコアが砕け散ると同時に、2体のネウロイは一気に砕け散り、白い破片になっていく。

「………」

この光景を目の当たりにして、思わず呆然とする俺に対して、シャーリーは、自信に満ち溢れた表情で、こう言ってくる。

「どんなもんよ!!」

「……あぁ、やるな。お前」

基地で初めて会った時に見せたスピード狂の様子からは、想像もできない、ベテランとしての風格を見せる彼女に対し、掛ける言葉が見つからない俺。

そんな俺を見つめながら、彼女は「ふんっ!」と鼻で軽く息をすると、こう言い放つ。

「まぁ、こんな感じでやれば大丈夫って事さ!さぁ、あの堅物を仕留めに行こうぜ!!」

「あ、あぁ、行くぞ!!」

彼女の声にそう答えながら、俺は彼女と共に、当初の目的であった爆撃機型のネウロイの撃破の為、動くのだった。

 

 

その間にも、坂本少佐とミーナ中佐の指揮の元、残る501の面々は果敢に爆撃機型のネウロイに猛追を加えていく。

「撃って、撃って、撃ちまくれ!銃身が焼き付いても構わん!!」

「ウィーラー大尉、聞こえる?今どこにいるの!?聞こえているなら、応答して!!」

叫びながら、13号機関銃を撃ちまくる少佐の傍で、ミーナ中佐は素早く無線機越しに、俺達の位置を確認してくる。

このミーナ中佐の呼びかけに、俺は無線機のボタンを押しつつ、応答する。

「はい、聞こえてます!現在、中佐の方から見て、爆撃型ネウロイの後方5時の方向です!!」

俺の報告に対し、『了解、確認したわ!』と言うミーナ中佐に対し、俺は続け様に、こう言い放つ。

「これから上昇して、上空からロケット弾による攻撃を仕掛けます!その瞬間には、合図するので、ネウロイ周辺にいるメンバーを全員退避させてください!!」

『分かったわ!全員にその事を伝えるから、頼むわよ!!』

「了解っ!」

そう言ってミーナ中佐との無線通信を終えた俺は、再びロケット弾ポッドの操作レバーを握りしめつつ、後続するシャーリーに向けて、話しかける。

「今の聞いていただろ?」

「あぁ、バッチリね!さぁ、早くやろうぜ!!」

俺の言葉にそう答える彼女の表情は、まるでサーカスで目玉のショーを今か、今かと楽しみに待っている子供の様な表情だった。

 

こいつ、そんなにロケット弾の発射が見たいのか?いや、彼女の場合は、単にこの新型ストライカーであるP-80の新型である性能が見たい……と言うか、試したいんだろう。全くこの暴走族が。

 

そんな彼女に対し、呆れつつも、同時にこんな状況下でも、マイペースを貫ける事にどこか羨ましさを感じつつ、俺は息を吐き出すと、決意を固め、声を張り上げた。

「よし、行くぞ!付いてこい!!」

一人、自分とシャーリーに言い聞かせるように、声を張り上げた俺は体全体を上に向けると、一気にブーストを吹かし、宙を斬る様に急上昇し、急上昇に伴うGや向かい風を顔や体全体で感じつつ、ふと横目でシャーリーの方を見る。

その視線の先に居たシャーリーも、P-51のプロペラを目一杯回し、俺に続いて上昇していた。

「シャーリー、付いてきてるよな!?」

「んな物、見りゃわかるでしょ!」

「それもそうか!!」

……と二人して、お互いに付いてきている事を確認しつつ、上昇し続け、共に高度10000万を超えた所で一旦、水平飛行に移る。

水平飛行に移ると同時に、俺は一回息を「ぷはぁ!」と深く吐き出しつつ、己の肺の中に新鮮な空気を取り込むと、傍にいるシャーリーに話しかける。

「シャーリー、一気に急降下して仕留めるぞ!準備良いな!?」

「あぁ、いつでもどうぞ!」

そう言って親指を立てるシャーリーを見つつ、俺は「ふぅ……」と再び息を吐き出しつつ、覚悟を決め、叫んだ。

「行くぞ!!」

この叫びと共に、今度は、先程の上昇時とは逆に頭を思いっきり下に向け、重量に引かれる様にして、降下すると、シャーリーも俺と同様に降下していく。

それと同時に、俺は無線機のレシーバー越しにミーナ中佐に連絡を入れる。

「ミーナ中佐!現在、降下中!!数秒後にロケット攻撃を行いますので、退避の用意を!!!」

『了解っ!』

そう無線連絡を終えた俺は、更にP-80の魔道エンジンに魔力を注いでく。

瞬間、P-80のハルフォードエンジンは、まるで獣の叫び声の様なエンジン音を鳴り響かせ、フル回転し、まるでドラゴンの吐き出す炎の様なジェットブラストを吐き出しつつ、速度を上げていく。

速度を上げると、同時に先程の上昇の時とは、比べ物にならないGと風圧によって、体と体内の内臓全体が引っ張られる感覚を感じる。

「っ!!」

思わず、この感覚を前に嘔吐しそうになるのを堪えつつ、一気に高度を急降下し、目の前のネウロイや、周りで戦う他のメンバーの姿が段々と大きくなるのを見ながら、ロケット弾の射程内にまで接近していく。

それと同時に、横目で俺と同じ様に降下しているシャーリーを見つめると、彼女も、俺と同様に急降下に伴うGや風圧に耐えつつ、一気にネウロイに狙いを定めていた。

俺はそんな彼女に、ロケット弾の操作レバーの上部にある発射スイッチに指をかけながら、こう話しかける。

「シャーリー、ミーナ中佐に退避の連絡を入れたら、3秒後に攻撃!お前もタイミング合わせて、ぶっ放せ!!分かったな!?」

「んっ!」

この俺の呼びかけに対し、サムズアップで答えるシャーリー。彼女のOKも確認した所で、俺はミーナ中佐に連絡を入れる。

「ミーナ中佐、ロケット弾による攻撃を開始します!退避を!!」

『分かったわ!全員、退避!!退避しなさい!!!』

そう俺の無線連絡に対し、ミーナ中佐はそう答えると同時に、爆撃型ネウロイとの戦闘を行っていた他のメンバーに対して、退避を指示する。

この退避指示に従い、ネウロイを囲む様にして、銃撃を加えていた他のメンバーが、一斉にクモの子を散らす様に退避するのが見え、それを確認した俺は、先程、彼女に言った合図を出す。

 

「いくぞ……。3……、2……、1……今だっ!!」

 

そう言って、俺はロケット弾の発射ボタンを押し込んだ!!!

瞬間、トンプソンやBAR、MG42と言った銃器はおろか、サーニャの持つフリーガーハマーの発射音とは、全く比べ物にならない凄まじい轟音と共に、ロケット弾が次々と発射され、最終的には8発のロケット弾がネウロイ目掛け、飛んで行った。

時を同じくして、傍にいたシャーリーもBARのトリガーを引き、俺のロケット弾攻撃に続く様にして、ネウロイに銃弾を撃ち込んでいく。

そうして、撃ち込まれたロケット弾及び、BARの銃弾が次々と爆撃型ネウロイの装甲に着弾した瞬間、凄まじい爆音と爆炎にネウロイに包み込まれた。

『GYAAAAAAAAAAAAAA!!!!』

俺とシャーリーの攻撃によって、真っ赤な炎に包み込まれたネウロイは、まるで地獄の底から聞こえてきた断末魔の様な、この世の物とは思えない凄まじい金属音を上げ、それと同時に、ロケット弾と銃撃によって装甲が外れたネウロイは、コアを露出させる。

「ウィーラー、コアだ!トドメをさせ!!」

「あぁっ!!」

コアの姿を確認したシャーリーが、俺に更なる追撃を叫び、俺はそれに答える様にして、再びロケット弾の発射ボタンを押した!

その瞬間、再びロケット弾のブースターが点火し、勢い良くロケット弾ポッドから、飛び出すと、コアを目掛け、一直線に飛んでいく。

『AAAAAAAAAAAAAAA!!!』

そのロケット弾を前に、まるで悲鳴の様な金属音を上げつつ、ロケット弾を迎撃するべく、ビームを撃ちまくるネウロイであったが、そのビームが当たる事は無く、再生途中の装甲の中にあるコア目掛け、ロケット弾は飛び込んでいった。

そして……コアに命中したロケット弾の信管が作動し、ロケット弾は凄まじい轟音と共に爆発!コアは、一瞬にして粉砕された!!

 

『GIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』

 

コアを失ったネウロイは、再びこの世の元は思えない地獄の叫びの様な、断末魔を上げながら、ネウロイは白い破片となり、砕け散っていった。

 

 

その戦闘行為の果てとは思えない、何処か美しさを感じる光景を前にし、俺は戦闘で息を整える様に荒く呼吸していると、シャーリーが俺の傍にやってくるなり、背中をパンッ!と叩きつつ、満面の笑みでこう言ってくる。

「やるじゃん、ウィーラー!初戦闘で中型ネウロイを2機撃墜なんてさ!!」

「……そうなのか?」

「あぁ、新人航空歩兵なんて、初戦闘で小型ネウロイを1機撃墜すれば、良い方だぞ」

じゃあ、出撃のたびに毎回撃ち落とすお前らって……と、このシャーリーの発言を聞いて瞬間、そんな言葉が口から飛び出しそうになるが、なんか後でメンドクサイ事になりそうだから、グッと堪えて、俺は「へぇ」と短く返す。

そんな俺とシャーリーの傍では、他の面々も、戦闘がひと段落した所から、各々のパートナー達と集まり、今の戦闘を振り返り、言葉を交わす中、魔道針が使えるサーニャと流斬が周囲に更なる敵が居ないかを確認していた。

「サーニャ、そっちはどうだ?」

「何も感じないわ。流斬君の方は?」

「あぁ、こっちも何も感じ……っ!?」

と、流斬がサーニャの問い掛けに答えようとした時だった。戦闘の緊張感が抜け、緩んでいた流斬の顔が再び緊張感が走った表情になる。

 

 

その並々ならぬ様子に、俺やシャーリーを含めた、501のメンバー全員に緊張感が走る中、ミーナ中佐が流斬に問い掛ける。

「流斬君、どうかしたの?」

「新手です!ここから、2時方向!距離10キロ!!」

そう流斬が緊張感の漂う声で、新しく出現したネウロイを魔道針で検知しつつ、そのネウロイの居る方位と距離とミーナ中佐に報告する傍で、サーニャも流斬と同様に、魔道針でネウロイとの距離や位置を確かめ、探知するなり、ミーナ中佐に報告する。

「ミーナ中佐、私の方でも確認しました!ですが……」

「ですがって……何よ?」

茶を濁す様なサーニャの発言に対し、困惑と苛立ちの混じったような声で、ミーナ中佐が彼女に問うと、サーニャは信じられないような声で、こう告げる。

「恐ろしく速いんです……推測でも、900キロ以上はあります!もしかしたら、1000キロを超えている可能性も……!!」

「きゅ、900キロ以上ですって!?」

「そんな馬鹿な!?」

「早すぎるぞ!!」

「「!?」」

サーニャの出した驚異の900キロ以上と言うネウロイの推定速度に対し、歴戦のウィッチであるミーナ中佐や坂本少佐、バルクホルン達さえも、困惑する中、俺はシャーリーと顔を見合わせ、困惑していた。

 

だってそうだろう……。ネウロイの速度は種類やタイプによって、変化はあれど、基本的には、旧式のレシプロストライカーの最高速度である700キロが平均最高速度をされており、俺やシャーリー達だって、その様に教育・訓練されてきた。

だが、そんな今までの常識を覆すかのように、今、俺達の近くにいるネウロイは900キロ以上の速度……つまり、俺のP-80と同じか、それ以上の速度で飛行しているのだ。

 

そんな前代未聞のネウロイの出現に対し、俺だけでは無く歴戦の勇士である501の面々全員に並々ならぬ緊張が走る中、ミーナ中佐は直ぐに基地のレーダー主に通信を入れる。

「ミーナ中佐より、レーダー主へ!新しく出現したネウロイを把握している!?把握しているなら、直ぐに報告して!!」

『501レーダーより、ミーナ中佐へ!こちらの方でも把握しました!!新しく出現したネウロイは、現在、地点330-132-228に向かって飛行しています!!』

「なんですって、ロンドンの方向じゃないの!!」

レーダー主の報告を聞き、ブリタニアの首都ロンドンに、ネウロイが迫りつつある事実を前に、並々ならぬ緊張感がミーナ中佐を含めた俺達に走る中、レーダー主は、更に報告を続ける。

『現在、ブリタニア陸軍の対空砲部隊及び、ブリタニア海軍の防空艦が迎撃の為に出撃しており、あと20分ぐらいで、迎撃戦闘を開始するとの報告であります!市民の避難要請も各関係機関に伝えております!!』

「ダメ、それじゃ間に合わないわ!!」

レーダー主の報告を踏まえ、素早く脳内で、状況をシミュレーションしたミーナ中佐が悲痛な叫びにも似た声を上げる中、坂本少佐が俺の方に顔を向け、こう聞いてくる。

「ウィーラー……、新人のお前に頼むのは酷な話なのは分かっている……。だが、奴の速度に追いつけるストライカーユニットは、お前のP-80だけだ……行けるか?」

「……命令ですか?」

「いや……そうではない」

「「「「「「………」」」」」」

「……はぁ」

少佐が俺にそう問うと同時に、他のメンバーも一斉に俺に視線を向ける。

その視線を前にして、俺は目を瞑り、一回息を深く吐き出し、胸や脳内を駆け巡る思いや感情を整理していく。

 

確かに、奴の速度に対抗できるストライカーユニットは、俺のP-80だけ……それは紛れもない事実だ。

だが、俺は今日が航空歩兵としてのデビュー戦であり、さっき上げた戦果も全て仲間との共同での物……つまり、俺一人でネウロイを撃墜した事は、まだ無い。

そんな圧倒的な経験不足な状態で、圧倒的な速度を誇るネウロイを相手にしなければならないのだ……。

戦場では、実戦経験の有無は勿論の事、その経験が豊富か、欠乏か等で、ほぼ生死が決まると言っても過言では無い。

現にコマンドだった頃には、士官学校を出たばかりで、イキってばかりのペーペー士官が真っ先に死に、俺の様な兵卒や下士官からの叩き上げの方が生き残る事が多く、殆ど士官学校出身のエリートより、俺達、たたき上げ組の方が現場を仕切っている事が殆どだった……というか、士官が生き残るのは、たたき上げ組の活躍が殆ど。

その事をよく知っているのは、俺だけに限らず、此処にいる全員だ。特に歴戦のウィッチである坂本少佐は人一倍、その重要性を知っている。その上で、俺に頼んでいるのだから、まさに切迫している状況と言った所だろう……。

まぁ……一応、信頼関係があるからこその頼みなのだろうが……。

「……ウィーラー」

「ん?」

そんな少佐の頼みや、他のメンバーからの視線を受けつつ、何とも言えない沈黙の中、複雑な感情を抱いていると、沈黙を破る様にシャーリーが、俺の肩を叩いてくるので、俺が彼女の方に顔を向けると、彼女は開口一番こう言い放つ。

「私も行く」

「はぁっ!?頭、大丈夫か!?」

開口一番、そう言い放つシャーリーに対して、思わず罵倒にも近い言葉が口から飛び出す俺。

 

そりゃそうだ……現に俺が相手しなければ、ならないネウロイは、俺の使っているP-80並みの速度を誇る奴であり、P-80でも対抗できるかどうか、かなり微妙な所がある。

ましてや、レシプロストライカー最優秀機とも評されるP-51でも、最大速度は700キロ……ネウロイ以前に、P-80にすら対抗出来るか怪しい所であり、このネウロイに至っては話にすらならない所だろう……。

無論、固有魔法を使えば、P-80課、それ以上の速度を出せるかもしれない。

だが、それだけメカに負担が掛かることになり、故障し、ネウロイを撃墜、基地に帰還できるかどうか怪しい状況になる可能性だって十分にある。

最悪の場合は、メカが耐え切れずに爆発する可能性だってすらある。そうなれば、良くても、片足切断……最悪の場合は、死すらあり得る……。

その様などちらに転んでも、危険極まりない状況下に、彼女を連れていくのか?いや、絶対にダメだ。

必要最低限の犠牲で済むなら、必要最低限の犠牲で終わらせるべきだ。

 

そうさ……死ぬのは、俺一人で十分だ。とっくに死んでいないといけないはずの俺が……。

 

自分にそう言い聞かせるように、心の中でつぶやいた俺はシャーリーに向け、こう告げる。

「ダメだ、危険すぎる!万が一の場合に備え、犠牲になるのは最低限に……「よー、新入りの分際で言うね」ちょっ、人が滅多にしない一大決心の最中に!!」

俺の一大決心を打ち砕くような、シャーリーの言葉を前に、苦虫を潰したような表情になる俺に対し、シャーリーは、更に言葉を続ける。

「犠牲になるのは最低限に……って、お前は死ぬこと前提で戦っているのか?」

「……それぐらいの覚悟はしているつもりだ」

「はぁ~……男って、こういう生き物なの?イザと言う時には、簡単に『死ぬ』って……人間遅かれ、早かれ、所詮は皆、死ぬんだから、そう急いで死ぬ事ないだろう?」

「それに一利無い訳では無い訳では無い……とは思うが、そればかりは、流石に個人の価値観だろ?」

……と、完全に彼女のペースに飲み込まれている事を薄々感じつつも、彼女の言葉に相づちを打つ様に僅かばかりの反論を返す。

シャーリーは、そんな俺の反論を聞き「ふぅん……」と鼻から抜けるような声を上げると、こう続けた。

「ま、私は他人に『アンタの為だから、これをやれ!』とか言って無理やり、価値観を押し付ける趣味は無いよ。だけどさ……」

「だけど?」

「まぁ、あれだな……”お前さんに死んで欲しくない”っていう事だけは、伝えておくよ」

「っ!?」

この言葉を前に、俺は思わず度肝を抜かれた。

ハッキリ言って、訓令兵やコマンド時代に経験した教官の罵倒や、作戦における被弾や爆風で吹っ飛ばされた時よりも、はるかに衝撃的な言葉だった。

|あれ以来《改造手術以来》、正直、|自分の事を必要とする人《姉御型やミーナ中佐》は居たが、此処まで明確に「死んで欲しくない」と言われたのは、初めてだ……。

ハッ!正直、俺みたいな来るべき人類同士の戦争の為に改造された人間兵器に「死んで欲しくない」って、ある意味じゃあ、シュールなコメディだ。

 

まぁ……悪い気はしないな……。こんな体になってもなお、人間らしさが残っていたか……、ハハッ!

 

胸の奥がジーンと温まるのを感じつつ、何処か乾いた笑いが出てくるのを堪えつつも、彼女の決意……というか、思いを受け入れた。

そうして、自分自身もある程度の覚悟を決め、短く「……はぁ」と一息つくと、彼女に向けて、こう言い放つ。

「……わかった、シャーリー。スピードのある俺が先行するから、お前は後を頼む」

「OK!」

シャーリーに対して、そう指示しながら、俺が戦闘に備えトンプソンM1A1のマガジンを交換する中、彼女も同じ様にBARのマガジンを交換する。

その様子を横目で見ながら、俺はミーナ中佐達にネウロイの情報を聞く。

「ミーナ中佐、そのネウロイの現在の位置と速度は?」

「ちょっと待って……現在、地点327-249-556よ!速度は変わってないわ!!」

ミーナ中佐は俺の要請に対し、基地のレーダー員からの探知結果等を俺に伝えると、続け様にこう言い放つ。

「ウィーラー大尉、分かっていると思うけど、これは危険な任務よ……。私達も出来る限りの事はするけど、気を付けて……。絶対に死んではダメ!必ず生きて帰ってくるのよ、これは”命令”よ!!」

「了解っ!」

そう俺がミーナ中佐の”命令”に復唱を返す傍で、今度は坂本少佐がシャーリーに対して、こう言い放つ。

「シャーリー。この隊では、ウィーラーの次にお前が早い……つまり、最高速度で飛行するウィーラーに付いていけるのは、お前だけだ。その事を肝に銘じ、しっかりと援護しろ!これは厳命だぞ!!」

「分かってますっての!」

坂本少佐の”厳命”に対し、まるでちゃらけた様な口調で返すシャーリー。

そんな彼女を見て、バルクホルンが「全くコイツは……」とでも、言いたげな表情を彼女に向けるが、当の本人は気にも留めない(※単純に気づいてない?)様子で、俺に向けて、こう言い放つ。

「それじゃ、始めようぜ!」

「……あぁ、行くぞ!!」

俺とシャーリーは、そう短く言葉を交わすと、共にストライカーユニットのエンジンを全力で回し、ロンドンへと急接近するネウロイへと向かっていく。

 

 

ロンドンへと、急行するネウロイを迎撃するべく、共にストライカーユニットのエンジン出力を最大で飛行する俺とシャーリー。

約10分程度、飛行していると、俺の視界に”例のネウロイ”が入ってくる。

そのネウロイは、まるでロケット弾か鏃の様な形をし、俺のP-80と同様にケツ(?)の部分から、赤い排気煙(?)の様な物を吐き出しつつ、凄まじいスピードで飛行していた。

「シャーリー、居たぞ!そっちも確認したか!?」

「あぁ、こっちも確認した!!」

俺のネウロイを視認した事の確認に対し、シャーリーも俺と同様にネウロイを視認した事を俺に伝えつつ、ミーナ中佐に連絡を入れる。

「シャーリーより、ミーナ中佐へ!例のネウロイを確認!!これより攻撃を始める!!!」

『了解!私達も其方に向かっているから、それまで頑張って!!』

この様にミーナ中佐に報告したシャーリーが「了解っ!」と復唱を返しつつ、連絡を終えるのを横目で見ながら、俺は周りを見渡し周囲の状況を確認する。

そうして確認した状況を簡単に説明すると、こうだ……。

 

1.ネウロイはロンドンを目指し、高速飛行中。

2.対する俺達はネウロイの背後……約500メートル程、後方を飛行中。

3.俺とシャーリー、ネウロイを背後には、丁度、太陽がある。

 

これらの状況を踏まえたうえで、一番ベストな戦術&攻撃方法は……。

そう俺は把握した状況を素早く脳内で整理しつつ、確実な攻撃案を考えると、その考えたアイディアをシャーリーに伝える。

「シャーリー!上昇して、太陽の方から仕掛ける!!短期決戦で終わらせるぞ!!!」

「っしゃ、やるか!」

俺の言葉にそう返しながら、上昇していくシャーリーを横目に見ながら、俺もP-80のエンジンをフル回転させ、上昇していく。

同時に、ネウロイの背後に回り込んだ俺とシャーリーは、攻撃のタイミングを見計らう。

そうして、暫くネウロイの反応や行動を見計らった上で、「攻撃するタイミングは今しかない!」と思った俺は、声を張り上げて叫ぶ。

「……よし、いくぞ!!」

「しゃっ!」

この叫びと同時に俺は一気に急降下し、ネウロイとの距離を詰めていく中、シャーリーも俺と同様に急降下して、ネウロイとの距離を詰めていく。

 

それに伴う凄まじい風圧とGを堪えつつ、距離にして約200メートルまで接近した時、ネウロイも俺とシャーリーの存在に気付いたらしく、俺達を迎撃する為にビーム攻撃を行ってくる。

「ぐっ!」

「そんな、へなちょこビームに当たる私じゃないんだよ!」

そのビーム攻撃をかわしつつ、俺とシャーリーが更に距離を詰め、互いの銃の有効射程内に入り込むと、共にネウロイに対し、銃を構え、トリガーを引こうとした……その時だった。

『GIIIIIIIIII!!!』

……という、耳障りな金属音と共にそのネウロイの後方上下が、まるで両開きのドアの様に開き、その中から、小型のネウロイ2機が勢いよく飛び出した!

「「っ!?」」

この光景を前に俺とシャーリーが思わず度肝を抜かれる中、中から飛び出した2機のネウロイは勢いよく俺とシャーリーに向かって飛んでくる。

「くそっ!!」

「撃て、ウィーラー!撃つんだっ!!」

それを見ながら、俺とシャーリーがトンプソンを構え、トリガーを引き、接近してくる小型ネウロイに銃撃を浴びせが、その小型ネウロイは被弾しつつも、なぉ、俺達に急接近してきたかと思った次の瞬間……。

 

『『GIiiii!!』』

 

という耳障りな音とともに、その小型ネウロイが一瞬光るや否や、凄まじい轟音と共にそのネウロイは自爆し、辺り一面に凄まじい爆風と衝撃波、破片をまき散らし、俺とシャーリーを攻撃してくる。

「シャーリーっ!!!!」

「ウィーラーっ!?」

その瞬間、殆ど条件反射的にシャーリーを庇う様にして、彼女の前に出て、シールドを張るが、それでもなお凄まじい衝撃派と爆風が襲ってくるのが、手に取るように分かった。

それを必死にこらえ、やっと収まったかと思った次の瞬間、俺は目の前の光景に己の目を疑った。

なぜなら、そこには先程の鏃の様なネウロイが凄まじいスピードで、俺を目掛け、真正面から急接近してくる様子だった。

「っ!?」

その信じられない光景を前にし、これを避けられない事を本能的に悟り、死すら覚悟した瞬間、シャーリーの叫び声が聞こえてくる。

「ウィーラー!」

「うおっ!?」

そう腹からの叫び声で上げつつ、彼女は俺の腕を掴むと、ストライカーユニットのエンジンを全力で回し、俺を先程と同様に引きずり回す様な形で、ネウロイの進路上から俺を引っ張り出す。

更に彼女は、勢いそのまま、先程と同様に俺の後ろの首根っこを掴むと、ウィッチの出せる目一杯の力で俺を引っ張っていく。

「あwせ、あqwせd!!(※ぐえっ、またかよ!!)」

「んな、事は後で突っ込んでくれ!今は、ひとまず奴との距離を取るぞ!!」

その行為に対して、俺の悶絶を上げる中、シャーリーはツッコミを入れつつ、俺をまるでレッカー車に牽引されている車の様に引きずり回しながら、鏃の様なネウロイが次々と放ってくビームをかわしつつ、距離を取っていく。

この間にも、ネウロイの方は猛追を辞める事無く、次々とビームを俺とシャーリーに向け、撃ち込んでくる。

「ちいっ!奴さん、よっぽど私達がお気に入りらしいね!!」

「あqwせdrf!(※そーみたいですね!)」

「てな訳で……ウィーラー、反撃しちゃいなさい!」

「あqwせdr!!(※よー、言うよ!!)」

シャーリーの言葉に、俺は最早、言葉にすらなりやしない喚き声で返事を返しつつ、腰のホルスターから、コルトガバメントをホルスターから引き抜きつつ、銃口を追撃してくるネウロイに向け、間髪入れずに発砲。

瞬間、銃声と共に.45ACP弾が銃口から放たれ、ネウロイ目掛けて飛んでいくが、いくら大口径の分類にあたるガバメントの.45ACP弾でも、ネウロイの装甲には傷1つ付きもしない。

「っ!」

「やっぱりピストル程度じゃ、ダメか」

「あうぇs!あqwせdrftg!!あwせdr!!!(※だろうね!つーか、そろそろ離せ!!マジで死ぬわ!!!)」

そろそろマジで意識が飛びそうになるなか、未だに俺の事を殺しかけている事に気付かない彼女の言葉に対し、”若干、キレ気味”で返す。

この俺の言葉(※になっているのか?)で、流石に彼女も気付いたらしく「あ」と一言呟きつつ、俺の首根っこを掴んでいた手を緩める。

それでやっと少しは楽になった喉で、思いっきり肺に空気を送り込む様に呼吸しつつ、ネウロイの追撃をかわしつつ、隣を飛ぶシャーリーと会話する。

「いやぁ~悪い、悪い!」

「悪い、悪い……って、お前さっきもやっていただろ!?」

「うん、そうだよ♪」

「確信犯か、テメェ!……って、うおぉっ!!」

悪びれる様子もなく”無駄にいい笑顔”を見せるシャーリーに対して、ブチ切れそうなのだが、今は戦闘中。

この間にも、ネウロイのビームが休むことなく俺とシャーリー目掛け、次々と飛んでくる。

そんなビームの雨を掻い潜りながら、俺とシャーリーは、決して『良い』とは言い難い……むしろ、『悪い』といった方が正しいこの状況を、どう打開するかを話し合う。

「とりあえず、どうする!?あのヤロー、異常なまでに早いぞ!!」

「だったら、奴より早く飛べば良いだろう!音速超えるレベルとかでさ!!」

「はぁっ!?」

 

お前は何、無茶苦茶な事を言ってやがる!?

 

シャーリーの言葉を聞き、真っ先に思ったのは、この考えだ。

そりゃそうだ……現在の技術で作られたストライカーユニットでは、水平飛行における音速突破は『非常に困難』というのが、現時点での結論だ。

一応、加速系の固有魔法を使用したり、条件が揃った上で急降下する……といった一定の特別な条件を満たせば、音速突破は可能という研究&試験結果(※姉御型曰く)が存在する。だが、ほぼ不可能だろう。

さらに言えば、俺の使っているP-80の様なレシプロストライカーとは、比べ物にならない加速力を誇るジェットストライカーでさえも、現時点での音速突破は非常に困難と言われている(※一応、姉御型が垂直90度近い急降下で超えるという前例がある事はあるが……)。

……といった感じで、P-80のテストパイロット兼、技術士官の立場から、彼女の発言を否定しようとした時、それよりも先に彼女が口を開いた。

「お前が言いたい事は分かるよ……だけど、私はお前さんの言う事、考えている事を覆せるんだぜ!」

「……はぁ?」

「ま、こーゆーのは、論より証拠!証明してやるよ!!」

そう俺があーだーこーだと言うよりも先に、ニカッと笑ったシャーリーは、笑顔で俺の近くによってくると、まるで赤子を抱きしめる様に俺を小脇に抱きかかえていく……って、あqwせdrftぎゅhじこlp@;!?

 

とりあえず、今の俺の状況!シャーリーの小脇(※右脇)に抱えられ、思いっきり顔面を横乳に押し付けられている……って、あwせdrftぎゅhじこ!?

 

おっ、おっ、おっ、お前えええええっ!?自分がやっている事、分かっている!?

同い年の男子を小脇に抱え、己のNice buddyを構成するBigなBreastに、その抱えた男子の顔面を押し付けているんですけど!?

いや、本当、本当、本当に(※×100)で、お前、本当に自分がやっている事、分かってる!?

ヴァージンロードを、ヴァージンで歩くつもり無いの!?ねぇ、いや、ホントにね!!!

 

あー、これもう分かんねぇなぁー!(※ヤケクソ)

 

恐らく己の人生でもう二度とないレベルで、脳がパニック状態で、オーバーヒートの末に、大爆発しそうになるのを感じつつ、彼女に抱えられた小脇でジタバタしていると、俺がジタバタしている事に気付いた彼女が「おっととっと……」と呟きつつ、まるで子供をあやす母親の様にこう言い放つ。

「まぁ、まぁ、そんなジタバタしないで落ち着けっーての!なぁーに、直ぐに終わる事だ!!」

「いや、何が!?っていうか、それ以前の問題g……」

そう俺が今、現在進行形で起きている問題(※だよな?)をシャーリーに指摘しようとする前に、彼女はニカッ!と笑いつつ、一言。

「じゃ、行くぞー!!」

「だから、何に……」

と、一向に人の質問に答えようとしないシャーリーに対し、本気で堪忍袋の緒が切れそうになった瞬間だった。

フッ……と、顔にあたる向かい風が強くなかったかと思った瞬間、凄まじい向かい風とGの感覚が俺に襲い掛かってくる。

「!?」

そんな今まで、感じた事のない感覚に反応するよりも先に、自分に向かってくる向かい風とGの感覚が更に強くなっていき、気がつけば、もはや言葉にならないレベルにまで、加速していた。

P-80の速度&強度試験において、エンジンをぶっ壊す事を前提とした全力飛行を何度かやった事があるが、今のスピードとGは、それをも軽く超える凄まじいスピードとGだ。

「あwせdrftgyふじ!!!」

「ヒィヤッホオォォーッ!!」

情けなくも、その凄まじいスピードとGに悶絶するしか出来ない俺の傍では、シャーリーのテンションがMAXを優に超えていた。

だが、そんな彼女はこの速度に未だ満足していない様子で、こう一言。

「まだまだぁぁぁ~っ!!」

と、もう完全に薬キメてハイになったも同然の状態で更にスピードを上げていく。

 

あー、これもう分かんねぇなぁー!(※本日二度目)

 

とまぁ、本日何度目になるか分からない心の叫びを叫びつつ、さらに加速する彼女の脇でジタバタしていた時だった。

一瞬、「フッ!」と加速に伴う向かい風やGとは違う、何か柔らかい紙か布の様な物が顔にあたる感覚がしたかと思った瞬間……。

 

ドオォォンッ!!!

 

……と、まるで爆発音にも近い轟音が鳴り響く。

 

(は、え?これって……まさか……っ!?)

 

それを瞬間、一瞬にして混乱した脳内が整理されていく感覚と共に状況を判断していく。

俺の過去の経験の中で聞いた一番近い音としては、以前、マクギリス少佐が急降下性能テストの際に発した音だ。

あの時は、地上でテストを見守っていた俺や姉御方、整備兵+ラッキード社の関係者が「P-80のエンジンの内部機関が爆発したのではないか!?」と騒然したものだ。

まぁ、当のマクギリス少佐が何事もなくピンピンした様子で戻ってきたので、それは即座に否定された……で、そうなると「じゃ、あれは一体なんだったのか?」となるわけですよ。

でもって、マクギリス少佐のP-80に付けていた各種の測定機器のデータを徹底的に洗って、洗って、洗いに、洗いに洗いまくった結果、瞬間的ながら、「音速を超えていた」というデータが出た訳な物だから、あの轟音は音の壁を破った際に発生する音……ソニックウェーブと判明した訳ですよ。

んで、さっきシャーリーの加速に伴い、発生した轟音はこの経験等を元に推測する限り、恐らくソニックウェーブ……すなわち、音速を超えたと言う事になる……。

 

マジで?

 

いや、いや、いや、いや!!!!!!

そりゃ一応、『急降下及び加速系魔法を使用すれば、水平飛行による音速突破も可能と思われる』という研究データがあるよ!

あるんだけど、『現時点の技術では不可能』というオマケ付きな訳であって、それを両方まとめた結論として『水平飛行による音速突破は不可能に近い』という事になっている。

そのデータや研究を|お前《シャーリー》は、サラーっとひっくり返したっていうの!?いや、ホント、どういう事で!?

つーか、お前がさっき言っていた「私はお前さんの言う事、考えている事を覆せるんだぜ!」って、これの事!?

そうだとすれば、単純に凄いよ!うん、マジで!!

と、脳内で興奮にも近い状態で考えつつ、彼女の凄まじい加速で一気に距離を稼ぐと、追撃していたネウロイの方も、これ以上の追撃は無理と判断したのか、先程と同じ様に小型ネウロイを中から3機発進させ、俺達の迎撃に向かわせつつ、進路をロンドンの方に取り直し、一気に加速していく。

 

その様子を横目に見て、シャーリーは「よしっ!」と一言呟きつつ、急停止すると、小脇に俺を抱えたまま、こう言い放つ。

「とりあえず、引き離せたみたいだな」

「……うん、それはいいから。俺も離してくれないか?」

この俺の言葉に対して、「へ?」と拍子抜けした様子で、やっと小脇に抱えている俺の方に視線を向ける。

で……これで俺と否が応でも、目が合い、自身の誇るナイスバディの横乳に同い年の男子の顔を押し付けつつ、空を飛んでいた……と言う事に気付く。

んで、普通なら、この後に「キャーッ!」と叫びつつ、顔を赤面させ、俺を放り投げる……というのが、定番の流れ……。

と、思っていたのだが、彼女は『ニカーッ!』と悪い笑みを浮かべつつ、こう言い放つ。

「え~、いいのかぁ~?滅多に女のおっぱいに顔を押し付ける事なんて、出来ないぜぇー?」

「るせー、お前ちったぁ恥じらいってもんをもてぃや!」

「えー?そんな感じで遠慮してると一生童貞だぞぉーっ?」

「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」

「そういう奴は、みーんな童貞♪」

「るっせー!お前だって処女だろうが!?」

「まぁね~♪」

「あぁ、もういいから離せ!!」

と、こんな戦闘中に交わす内容ではない会話を交わしながらも、やっと俺はずっと抱えられていたシャーリーの小脇&横乳から解放される。

 

 

そうして解放された俺とシャーリーは、次の一手をどう打つか手短に話し合う。

とりあえず奴が予想以上の腕の持ち主であることは、さっきので十二分に思い知らされたからな……。

「どうするんだ?奴は相当な強者だぞ?」

「ん~……追いつけないなら、追い抜かすっていうのは?」

頭をポリポリと掻きながら、そう呟くように言い放つシャーリー。

追い抜かすって……どういう事だ?彼女の言葉を聞き、頭上に疑問符が浮かぶが俺も少し考えると、彼女の言いたい事が分かった。

「つまり、|オーバーシュート《敵機に自分を追い抜かせ、後ろを取る事》させるって事か?」

「そーゆこと♪」

「………」

俺の指摘に対し、余裕ぶっこいた様な表情を見せるシャーリー。それに対して、苦虫を嚙み潰した様な表情の俺。

いや勿論、彼女の言う事も一理ある……だが、さっきの交戦で奴の攻撃・判断能力は此方の予想を遥かに上回っている事を、もう嫌になるまでに思い知らされた。

それを踏まえたうえで、判断する限り、これが危険なギャンブルである事は言うまでも無い。

俺の|固有魔法《瞬間移動》で一気に後ろを取ることも出来るが、あれは1回でバカにならない魔法量を食う奴だ。もし仮に失敗したら、良い的になるのは目に見えている。

やらなくても良いギャンブルなら避けたい……それが俺の考えだ。

その考えが思い浮かぶと、俺は直ぐにその思い浮かんだ考えを彼女に伝える。

「ダメだ、危険すぎる。奴は相当なやり手だ、もし仮に本体を撃墜できたとしても、アイツの名から飛び出してくる子機に確実にやられるぞ……」

「オイオイ……お前、バルクホルン並みにマジメかよ?じゃあ、他に手があるって言うのかい?」

「……ないな」

苦虫を嚙み潰した様な表情の俺に対し、余裕ぶっこいた様な表情を見せつつ、俺に聞き返してくるシャーリー。

その問いに対し、俺が「ふぅん……」と鼻から息を吐きつつ、返す言葉もなく、弱弱しく言葉を返すと、彼女は「でしょーっ?」と呟きながら、こう続ける。

「まぁ、安心しな。アンタのケツは私が守ってやるよ!」

笑顔でそう言いながら、俺の背中をバンッ!と叩くシャーリー。その感覚を背中で感じつつ、俺は決心する。

 

どうやら選択肢は無いみたいなだなぁ……しゃーねぇ、ここまで来たらやるしかねぇか……っ!!

 

胸の内で、そう決心した俺は「……ふぅ」と一息つきながら、彼女にこう告げる。

「わかった……後ろは頼むぞ!」

「はいはい、任された!んじゃ、さっそく始めますか!!」

「あぁ、行くぞ!!」

俺とシャーリーは、顔を見合わせながら、そう言い放つと再び例のネウロイの追撃を再開する。

 

 

こうして、追撃を再開した俺とシャーリーが飛行する事、約10分……俺とシャーリーの視界に先程のネウロイが入ってくる。

「ウィーラー、いたぞ!1時の方向、距離は約600って所だ!!」

「よし……奴の子機は居ないな!?」

「あぁ!」

俺の問いに短く答えるシャーリーが言う様に、先程、ネウロイが放った自爆型の子機は今現在、まだ中に収納されているのか、周囲に飛んでいない。

まさに攻撃を仕掛けるには、絶好のタイミングだ。

「よし……先回りして前から、仕掛ける!その後、オーバシュートさせ、仕留めるぞ!!短期決戦だ!!!」

「OK!万が一に備えて、残りには、ポイント6300地点に向かう様に伝えておくぞ」

「頼む」

その絶好のタイミングを無駄にしないべく、俺とシャーリーは簡単な作戦会議と万が一、失敗した場合に備えての連絡を行う。

シャーリーが、その連絡を行う様子を横目に見ながら、俺はネウロイを見つつ、トンプソンM1A1のマガジンを外し、中の弾丸数を確認し、再びセットする。

続けざまに横にあるコッキングハンドルを引き、チャンバーに弾丸を送り込んで、戦闘準備を取る中、ミーナ中佐たちへの無線連絡を終えたシャーリーが話しかけてくる。

「連絡完了だ!ミーナ中佐達も、出来る限り先回りするって!!」

「OK……。俺達もやるぞ、準備は良いな!?」

「モチのロンっ♪」

背中に回していたBARを手に取り、コッキングハンドルを引木ながら、そう言うシャーリーの言葉を受け、俺は一回息を吸うとこう言い放つ。

「行くぞっ!!」

「おうっ!!」

自分に言い聞かせるように、そう言い放つと俺とシャーリーは一気に加速しつつ、一気に距離を詰め、ネウロイを追い越し、前に出ると二人して、一斉に射撃を開始。

辺りに.45ACP弾と.30-06弾の銃声が鳴り響く中、俺とシャーリーの銃撃を受けたネウロイは反撃として、俺達に向け、ビームを撃ちまくる。

 

 

その攻撃に対して、俺達が回避機動として、一気に頭を上げて垂直上昇に入る。

一気に1500m程上昇した後、上昇の頂点で俺とシャーリーが揃って後ろを振り返ると、ネウロイは俺とシャーリーの後をピッタリと付いてきつつ、自爆型の子機ネウロイを発射していた。

 

ちっ……分かっていたけど、このネウロイただ者じゃない!!

 

本体から放たれた子機が耳障りな金属音を上げて、襲い掛かってくる中、今度は一気に頭を下げて降下する。

それに続く様に子機と本体が揃って、俺とシャーリーの後ろを追ってくるので、再び俺とシャーリーは上昇反転して、本体の後ろに付こうとするが、それを阻止するかのように子機型のネウロイが俺達を目掛け、ビーム攻撃を仕掛けてくる。

子機型のネウロイのビームを交わしつつ、俺は本体を銃撃するべくトンプソンを向けるが、相手は一気に加速して距離を取っていき、この間にも次々と子機型のネウロイからの攻撃が飛んでくる。

「ちいっ!」

「落ち着け、ウィーラー!!」

仕留めるに、仕留めきれない状況に焦りと苛立ちが積もる俺を諭すかのように、シャーリーは声を上げ、こう言葉をつづけた。

「安心しろ!子機型のネウロイは、私が相手してやる!!だから、遠慮なく本体をぶっ潰せ!!!それと指示を頼のんだぞ!!!!」

「スマン……頼むぞ!!」

「任せろって!!!」

そう笑顔で言い放った彼女は、後ろを向き背面飛行の態勢を取ると、後ろから追尾してくる子機型のネウロイにBARの銃口を向け、トリガーを引く。

瞬間、けたたましい.30-06弾の銃声と共に勢いよく銃弾が銃口から飛び出し、子機型のネウロイはそれを回避するべく回避機動を取る。

その様子を横目で一瞬見ながら、俺は改めて、本体の方に視線を向ける。

視線の先に居た本体は相変わらず俺とシャーリーの後を執拗なまでに、ピッタリと付いてきていた。

 

その様子を見て、「自身とシャーリーがやられるのではないか?」と言う緊張感が胸の内を走り、額を冷や汗が伝うのと同時に「よしっ!」とガッツポーズしたくなるような気分になった。

 

奴とその子機は俺とシャーリーを追撃する事ばかりに夢中になっていて、俺達が|やろうとしている事《オーバシュート》に気付いてない……!絶好のチャンスだ!!

しかし、先に何度も述べた様に俺とシャーリーの後ろには、2機の子機型のネウロイがピッタリと付いてきている。

もし仮に本体を上手くオーバーシュートさせたとしても、この2機がオーバーシュートしなければ、あっという間に返り討ちにされかねない危険性もある。

だからこそ、本体と子機の併せて3機を確実にオーバーシュートさせ、更に確実に仕留めないとマズイ……。

 

ならばっ!!

 

そう思った俺は、再びP-80の横にあるロケット弾発射レバーを引き出し、安全装置を解除し、何時でもロケット弾を撃てるように攻撃態勢を整える。

同時に横目で追撃してくるネウロイの位置、そしてシャーリーの位置を確認すると、俺はシャーリーに指示を飛ばす。

「シャーリー、やるぞ!掴まれ!!」

「はいっ!?捕まるって、どーゆこと!?」

「そのままの意味だよ!!」

そう言い放ちながら、俺はさっき彼女にやられた様に彼女の肩に手を回すように彼女を抱き抱える(※なぉ、少なからず胸は触っている……。滅茶苦茶、柔らかいです……、ハイ……)。

同時に間髪を入れることなく、彼女を抱きかかえつつ、空いているもう片方の手でパラシュートパックのパラシュート解放リングを全力で引っ張る!

瞬間、パラシュートが収められていたパック内から、放出されると同時に、向かい風を受け、勢いよく開く。

その開いたパラシュートが受ける凄まじい風量の向かい風と空気抵抗によって、俺はシャーリーを抱えたまま、一気に急減速……。

かと思った次の瞬間には、坂を自転車でノーブレーキでスピードを付け、下っている時にいきなり首根っこを掴まれたかの様な凄まじい衝撃と勢いで俺とシャーリーは一気に後方へと飛んでいく。

それ伴うGやら、内臓やらが引っ張られる感覚を俺とシャーリーが必死に堪える一方で、俺達の追撃していたネウロイ達もこの俺達の動きは予想していなかったらしく……。

 

『『『GYAAAAA!?』』』

 

……と驚きにも近い悲鳴の様な金切り声を上げ、まるで”モーゼの海割り”の様に左右に分かれていく。

その空いた真ん中を通り抜ける様にして、一気にネウロイ達の後方を取った俺は抱えていたシャーリーを離しつつ、間髪入れる事なくパラシュートを切り離す。

体を制御したパラシュートを切り離した事で、体の動きが軽くなるのを感じつつ、俺は素早くトンプソンを構え直しながら、シャーリーに話しかける。

「無事か!?」

「お前、意外と簡単に異性に抱き着いたりするんだな?まっ!あたしは気にしないけどな!!」

「るせー!やるのは緊急事態ぐらいだ、バーロー!!」

とりあえずシャーリーの茶化しに対し、ブチ切れる俺。

 

まぁ、とりあえず|コイツ《シャーリー》は無事らしいな……。

 

キレながらも、彼女の無事を確認した俺は続けざまに指示を飛ばす。

「いいか、奴らを一気に仕留める!!攻撃のタイミングは任せる!!!」

「OK!」

俺の指示に対し、答えつつ、素早くBARを握りなおしたシャーリー。

『GIIIIIIIIIIIII!!!』

その間にネウロイ達は俺とシャーリーに後ろを取られた事に焦ったのか、甲高い金属音と共に一気に上昇し、頂点で反転しようとする。

恐らく後ろにいる俺達の射線からの離脱を図ろうとしたのか、もしくは後ろに飛んでくる俺達を回避する為に速度を落とした速度を再び稼ごうとしたのかもしれない。

だが、この機動が”俺とシャーリーが攻撃するのに最も適した射程距離”を提供する事になる。

 

まさに”致命的なミス”だ。

 

そんなミスを歴戦のウィッチであるシャーリーが見逃す事無く、BARの引き金に指を掛けつつ、こう叫ぶ。

「ウィーラー、今だ!1、2の3で行くぞ!!」

「おうっ!!」

俺の返答を聞き、シャーリーは一回息を軽く吸うと「よし!」と呟きながら、攻撃開始のカウントダウンを始める。

「1……、2……、3……今だっ!!」

「っ!!」

そうシャーリーは声を張り上げると、BARのトリガーの引き、俺も同じ様にロケット弾の発射ボタンを押す!

瞬間、.30-06スプリングフィールド弾の銃声とロケット弾の凄まじい発射音が辺り一面に鳴り響くと同時に次々とネウロイを目掛け、飛んでいく。

己を目掛け飛んでくる多数の銃弾&ロケット弾を前にし、回避機動を取ろうとするが、距離が近すぎて、とても避けれそうにない。

 

『『『AAAAAAAAAAAAAAA!!!』』』

 

その事実を前にし、ネウロイは悲鳴の様な様な金切り声を上げる。

瞬間、次々と俺とシャーリーが放ったロケット弾と銃弾がネウロイに次々と命中、炸裂し、凄まじい勢いでネウロイの装甲を削っていく。

そうして削れた装甲から、むき出しになったコアが見えた瞬間には、俺とシャーリーの攻撃が命中!

 

『GIIIIIIIIIIIIIIIIIAAAAAAA!!!』

 

ネウロイにとって、人間の心臓にあたるコアを叩き割られたネウロイは、まるで死を前にして上げる断末魔の様な耳障りな金属音と共を上げた、次の瞬間には一瞬白く光ったかと思った矢先に、ネウロイはまるでガラスが粉砕されるかの様に粉々に砕け散る。

それに続けて、コントロールを司る本体が撃破された事によって、コントロールを失った分身体も砕け、本体と同じ様に白い破片へと姿を変えるのだった。

 

 

そうして、砕け散ったネウロイによって、まるで雪景色の様に辺り一面に広がっていく中、俺とシャーリーは荒ぶる息を整えながら、こう言葉を交わす。

「……やったのか?」

「……あぁ!」

シャーリーは、そう俺の問い掛けに短く返すと、続け様に俺の背中を叩きながら、こう言い放つ。

「やるじゃねぇか!初の実戦で3機の中型クラスを撃墜!!滅多にない大戦果だぜ!!!」

「……そうなのか?」

「そうそう!流石は元コマンド部隊!!やるねぇ~!!!」

そうして続けざまに「フゥ~!」と茶化す様な笑い声をあげるシャーリー。

何時もの俺だったら、此処で「うるせぇ!」と叫んで一発ポカリだが……。

 

「……っ、しゃああっ!!」

 

……と、歓喜の叫びを上げるのだった。

後で冷静に考えれば、戦闘の興奮を引きずったままハイになっていたのだろう……。

だが、久々に血の通った感情が胸の中に溢れているのを手に取る様に感じた。

人間としての体を失い、”兵器”になったっていうのに、こんなに人らしい感情が湧いてくるなんてな……。

何時もなら、ここで何とも言えない複雑な心境になるのだが、今回ばかりはホント純粋に嬉しい気持ちで胸がいっぱいだった。

「よっ、お見事大将!!」

「んだよ、大将って?あと叩くのやめろ」

満面の笑みを浮かべつつ、まだ背中を叩き続けながら、そう言うシャーリーに対し、俺も少なからず顔の表情を綻ばせていると……。

 

「終わったみたいだな?」

「「うおっ!?」」

 

……と後ろから、声を掛けられた物だから二人して、度肝を抜かれた様な表情で振り返ると、そこには少佐の姿があった。

少佐は驚いた表情の俺とシャーリーを顔を見ると、「ん?」と短く呟きながら、こう言葉を続けた。

「どうした、何を驚いている?」

「……いや、何と言いますか」

「いきなり後ろに少佐が居たから、びっくりしたんですよ」

このシャーリーの『無礼』以外の何物でもない言葉に、思わず「うぉーい!?」と素っ頓狂な声を上げる俺。

そんな俺達に向け、少佐は「ふんっ!」と軽く鼻息を吐きながら、言葉をつづけた。

「失敬な、人を幽霊みたいに言うな……で、二人とも無事か?」

「ご覧の通りでございまーす♪」

「……あー、報告。隊員2名、負傷及び装備の紛失ナシであります」

気の抜けた声でテキトーに報告するシャーリー。

彼女を横目に見つつ、俺はトンプソンを背中に回しつつ、大真面目に報告すると今度はシャーリーが、横目で俺を見ながら、こう一言……。

「うーわ……バルクホルン以外で、そんな報告する奴見た事無いわ~」

「るっせー、バーロー」

シャーリーの発言に短く返しつつ、更に何か言ってやろうかとした瞬間に口を開いた。

「二人とも、軽口叩けると言う事は問題ない事だな。それは何よりだ」

そう言い放つと少佐は続け様に何時もの「ハッハッハッ!」という笑い声を上げる。

まさに少佐の特徴と言っても何ら過言ではない笑い声を聞きつつ、俺は少佐に質問する。

「少佐、他のメンバーは?」

「ん?あぁ、他の奴らも怪我なしだ……よし!それじゃあ、基地に戻るとするか!!そろそろ飯の時間だぞ!!!」

そう言い放った少佐は後ろを振り返りながら、「こっちだ!」と声を上げつつ、手を振ると他の501のメンバーが待機しているであろう空域へと飛行していく。

「……ふぅ」

遠ざかっていく少佐の後姿を見つつ、俺が首をポキポキと鳴らしていると、シャーリーが手にしていたBARを背中に回しつつ、こう言い放つ。

「んだよ、じじさくい事しちゃって」

「るせー、こっちとら航空歩兵としては初陣なんだよ。ちったあ労わってくれてもいいだろ?」

「えー?そう言うお前さん、元コマンド部隊でしょー?もうちょっとタフな所を私達に見せてくれても、良いんじゃなーい?」

「お前、いちいち人の頭にカチンと来ること言うな?そんな望むなら、一発やるか?コノヤロー」

と、言った感じで俺とシャーリーは傍から見たら、喧嘩しているのか、それともじゃれているのか、どっちなのか分からないやり取りを交わしていると、先に進んでいた少佐が振り返り様に大声を上げる。

「おい!二人とも、早くしろ!!遅れたら、飯抜きにするぞ!!!」

「うおぉーっと、そいつは勘弁してくれ!」

少佐の言い放った『飯抜き』というワードに少し慌てた様子で、少佐の元へと飛んでいくシャーリー。

そんな彼女は追い抜きざまに、こう言い放つ。

「ま、とりあえず上手くやっていこうぜ。相棒!」

「俺は何時、お前さんの相棒になったんだよ?」

恐らくP-80に乗りたいが為なんだろう……キレイに見え透いたお世辞だな、コラ。

 

でも、まぁ……、悪い気はしないな……。

 

そう心の中で、俺は独り言の様に呟きながら、少佐の後を追って飛んでいくシャーリーに続くのだった……。


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