タニグチリウイチの出没!
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タニグチリウイチの出没!

ダッシュ奪取! 限定グッズ

開けて22日から「幕張メッセ」で開幕したのがゲームソフトの会社が作るコンピュータエンターテインメントソフトウェア協会が主催する「東京ゲームショウ2000秋」。業務用ゲーム機のイベントと家庭用ゲームのイベントをほとんど同じ日程で、場所と東京・有明と千葉・幕張の東京湾をぐるり回った遠隔地に分けて開催してしまうあたりに、両方を取り仕切る団体なり、参加している会社のフクザツな事情なりが想像できるけど、そういったゴシップはほかにまかせるとして、ここでは「アミューズメントマシンショー」の「肉感」に対して気になった「ゲームショウ」における「物欲」への関心に着目したい。

コチラ最後尾デース!
ぎょうれつはいべんとのきほんです。

これは初日のこと。業者デーとしてソフトビジネスに関連したメーカーなりショップの人たちを対象にした日であるにも関わらず、午前10時の開場と同時に入り口ゲートからなだれ込んだ人たちがまず向かったのが、ゲートから向かって右手側にある物販のブース。並んでいたのはメーカーが出品している「限定グッズ」を買い求める人たちだった訳で、人気キャラクターを抱えるブース前にはみるみるうちに長い行列が出来ていく。その賑わいに、「ゲームショウ」じゃなく「ゲームキャラクターグッズショウ」なんじゃないかと思えてきた。

実は今回の「ゲームショウ」には大きな異変があった。1つはゲームソフトの業界では大手とも言える「ファイナルファンタジー」シリーズのスクウェアが出展を見合わせたことと、もう1つは家庭用ゲーム機の世界ではソニー・コンピュータエンタテインメント、任天堂と三つどもえの戦いを繰り広げているセガ・エンタープライゼスが出展しなかったこと。これまた業界内部の力関係めいたものを想像させて、さまざまな憶測が飛び交った。その真偽はともかくとして、「ゲームショウ」が「ゲーム」を見てもらう展示会であるにも関わらず、限定グッズであったりブースが配る販促品への「物欲」が先に立った人たちしか来ない実状は、ソフト会社にとって決して好ましいものではない。場への不満が出展規模の縮小につながった可能性は決して皆無ではない。

着せ替え遊びはヤバイにゅ。
ぷちこだにゅ。となりはくらさかせんせい家のミーコ姫だにゅ。ぷちこのほうが美人だにゅ。でもミーコ姫の方が有名だにゅ。

物販も販促グッズの頒布も1つの宣伝活動と割り切れば問題はない。とはいえ出展者の目的と来場者の目的のズレを解消し切れないままイベントを挙行してしまう主催者側の無理に、巷間伝えられるような感情的なもつれが重なり、さらには業界全体がある種踊り場状態にあって決して収益的に良好ではない経済的な事情が絡み合って、「ゲームショウ」を日銭が稼げる「ゲームキャラクターグッズショウ」にしてしまっている可能性がある。現実問題、わき出る「物欲」に促されてしっかりと「デ・ジ・キャラット」に登場する猫耳キャラクターの「ぷちこ」の巨大縫いぐるみを買い込み、ディパックに詰め込んで広い会場をスキップする中年男子(独身)がいたりするから、物販を取りやめる訳にはいかない。

だったらいっそのこと「東京キャラクターショー」のようにグッズの販売を行うイベントと割り切れれば、増進著しいユーザーの「物欲」に見事にマッチしたイベントになるけれど、それだど「ゲームショウ」としての色も香りも薄れてしまう。どっちつかずのイベントになって辞退者は出て観客は減り辞退者が増えるという悪循環へと陥ってしまう。曖昧なまま続けるよりは、ここでとりあえず「一回休み」にして、内容も規模も練り直すのが最善かとも思えてくるけど、さてどうなりますことやら。物欲魔人が集まる「ワンダーフェスティバル」が来年初頭には開催されない状況で、「ゲームショウ」まで抜けるのは正直痛い。悔い改めるか開き直るか曖昧さを甘受するか厳密さで処断するか。イベントマニア的に注目の春になりそうだ。

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