No.998314

【獣機特警K-9ⅡG】義賊VSニセ義賊(2)【交流】

Dr.Nさん

2019-07-06 21:26:38 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:414   閲覧ユーザー数:403

夜の廃工場。

みすぼらしい格好をした若いテラナーの姉妹が寄り添うように立っている。

 

「お姉ちゃん、おなか空いたよー」

「我慢しなさい。もう少しの辛抱だからね」

「うん…」

 

『お前らが依頼人か?』

 

「その声は! 怪盗クマ三兄弟さんですか!?」

『そうや。おっと、こっちに来んな。声は聞こえてるさかいな』

「分かりました」

『で、依頼内容は何や?』

「はい。わたしたちの両親は小さな町工場を経営していたのですが、経営不振で立ち行かないくなって、それでやむなくある高利貸し夫婦からお金を借りたのです」

『うむ』

「でも、それが運の尽きでした。法外な利息をふっかけられてお金を返せなくなってしまい、家族のただ一つの財産である、両親の思い出の品である宝石をカタに取られてしまって…。両親はそれが元で、二人とも心労で死んでしまいました…。ううっ、わたしたちこれからどうすれば…」

『なるほどな。で、その高利貸しってのはどこのどいつや?』

「はい、三丁目の豪邸に住んでいる悪石田札友というテラナーとその妻です。お願いですクマ三兄弟さん、どうか奴らから、両親の形見の宝石を取り戻して下さい!」

『分かった。おっと、依頼料は全額前払いやで。持ってきてるんやろな?』

「はい、ここにあります。我が家に残った最後のお金です」

『それをそこに置いてお前らはこのまま帰れ。但し絶対に後ろを振り向くなよ』

「はい。くれぐれもよろしくお願いします」

『分かったからさっさと行け!』

「あー疲れた! ねえカナコお姉ちゃん、そろそろこれ外してもいい?」

「いいわよミクちゃん」

「プハーッ! このテラナーのマスク蒸れる~」

「プハッ! ホントね。でもこれで、とりあえずあたしたちの仕事は終わりね。さ、早くマンションに帰りましょ」

「うん! タカトお兄ちゃんとユキヨお姉ちゃん、お留守番をいいことに二人でイチャイチャしてたりしてw」

「ありうるわねw 早く帰って邪魔してやりましょw」

悪石田と書かれた表札の掲げられた豪邸。

 

バスローブ姿の初老のテラナー夫婦が腰掛けているソファーの前のテーブルには、キラキラと輝く大きな宝石が。

 

「へっへっへ、今回も儲かったなw」

「そうですねえあなたw」

「金に困っている奴に笑顔で近づいて、あとで法外な利息を吹っかける。こんなにボロい商売はないわいw」

「全くですわw」

「おっと、そのダイヤ、こっちによこしてもらおうやないか!」

「お前らいつの間に! どこから入ってきた!?」

「誰なのあなたたちは!?」

「わしら世紀の大義賊、怪盗クマ三兄弟や! 聞いたことないか?」

「お前たちがあの!」

「そうや。知っていたとは光栄やな。はよそれをこっちによこせや!」(銃チャッ!)

「待ってくれ! 撃たないでくれ! 宝石なら渡すから命だけは!」

「それはお前らの返事次第や。さあ、よこすんや!」

「わ、分かった。ほら、持ってってくれ」

「そうそう。わし、いい子は大好きやでw」

「やったねあんちゃん! これでまた午前中から酒が呑める!」

「スイーツも食べ放題さ!」

「焼肉も腹いっぱいキメられるで! さ、お前らずらかるで!」

「「うん!」」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「うん?」

「一つ聞いてもいいですか?」

「なんや?」

「今のあなたたちの会話、この宝石は元の持ち主に返すのではないのですか?」

「んなわけあるかい!wwww お察しの通り、わしら怪盗クマ三兄弟で戴くんやwwwww」

「えっ?」

「ちょっと貧乏人に同情するふりをすれば、奴らは藁にもすがる思いでお宝のある場所を教えてくれる。依頼料のおまけも付くし、こんなにボロい商売はないってわけや。ワッハッハッハッハ!!!wwwwww」

「酷いわ!」

「フフフフフ」

「な、何がおかしいんや!?」

「藁って、そんなわけないでしょう?」

「どういうことや?」

「だって、三人とも豚のような体型をしたあなた方が藁なわけがないw」

「や、やかましいわ! おっと、わしとしたことがちょっとしゃべりすぎたようやな。やっぱりお前らには死んでもらうで!」

 

チャッ。

 

「待って下さい! 撃たないでくれ!」

「やかましい! 死ねやー!!」

 

パン! パン! パン! パン!

 

「…あれ、いてへん?? どこへいったんやあいつら?」

「あんちゃん、そんなのどうでもいいじゃない」

「そうだよ、早く逃げようよ!」

「せやな。まあ素顔を見られたわけやないし、ずらかるで弟たちよ!」

「「うん!」」

 

ダッ!

 

バリバリバリバリイッ!!!

 

「「「うわあーっ!!」」」

「いてててて…。なんやこれ?」

「見て、あんちゃん! 天井に大きな穴が開いてる!」

「違うよ、僕たち下の部屋に落ちたんだ! なんか周りに鉄格子がある!」

「(下の部屋を覗き込みながら)あ、言い忘れてました。この床は耐荷重量300kgです。重量オーバーしたんですよ、あなたたち」

「まあ一人100kgは軽く超えてそうだから当然よね。特に長男のあなた、120kgは優に超えてそうだし」

「やかましいわ! あっ、お前らは怪盗ノワールに怪盗ヴィクセン!」

「ええそうです。知っておられたとは光栄ですね」

「あーっ!?」

「今度はなんや弟!?」

「見て、あんちゃん! ダイヤが粉々に砕けてるよ!」

「!? これはどういうことや!?」

「いつそれがダイヤだと言いました? ガラスのイミテーションもなかなかきれいなものでしょう?」

「クソッ、ふざけやがって、はよここから出さんかい!」

「ご心配なく、じきに嫌でも出してあげますよ。その前に」

「なんや?」

「あなた方、三人とも顔が右にずれてますよ」

「「「えっ?」」」

 

シューーーーッ。

 

「こ、これは催眠ガス…」

「ね、眠いよあんちゃん…」

「僕も眠くなってきた…」

「く、くそっ…あかん、意識…が…」

ピリッ、ピリッ、ピリッ。ピリッ、ピリッ、ピリッ。

 

「あ、ノワールから電話だわ。(ピッ!)はい」

『終わりました。あとは力仕事が残ってますので早く来て下さい』

「ケダモノの檻を積み込むのね。すぐに行くわ!」

 

ピッ!

 

「みんな、行くわよ!」

「待ってました! いよいよ俺の出番ってわけだな!」

翌朝、ラミナ署。

 

「ミンスター警部!」

「なんですかミハエル君?」

「見て下さい窓の外を。署の真ん前に大型トラックが駐車してます」

「ホントですね。ここは駐車禁止の場所、しかも警察署の前に堂々と違法駐車とは。いったい誰が?」

 

ヴーーーーーー。

 

「ちょっと待って下さい、電話のようです。非通知? (ピッ!)はい、ミンスターです」

『やほー、ミンスター警部元気ぃ~? 怪盗バニーだよ!』

「!! また犯行予告ですか?」

『ううん。今ラミナ署の前にトラックが停まってるでしょ?』

「はい、知ってます。あなた方の仕業ってわけですか。いったい何のつもりでしょう?」

『早く荷台を開けてみてよ、鍵は掛かってないから。じゃねー!(ブチッ)』

「ちょっと、バニーさん!」

 

「ということです。行きましょうミハエル君」

「はいっ!」

トラックの周囲を大勢の警官が取り囲む。

 

「ふむ、確かに鍵は掛かってないようだ。行きましょうミハエル君」(銃チャッ!)

「はいっ!」(銃チャッ!)

 

荷台に乗り込むミンスターとミハエル、そして数名の警官たち。

 

「こ、これは!?」

「檻だ! 中に三人倒れてる!」

世紀の大義賊、ではなく世紀の大悪党 怪盗クマ三兄弟をお渡しします。トリッカーズより愛を込めて

「怪盗クマ三兄弟!? ってこいつら全員豚型ファンガーじゃねえか」

「相変わらず注意力が足りませんねミハエル君。周りをよく見て下さい」

「あっ、クマのマスクが三個!」

「そういうことです」

「しかし警部、そうだとしても、こいつら本当にあの怪盗クマ三兄弟なんでしょうか?」

「お忘れですかミハエル君?」

「えっ?」

「確かにトリッカーズは悪者ですが、今まで嘘をついたことは一度たりともありません。みなさん、この者たちを確保して下さい!」

かなこのマンションに集合した六人。

 

『逮捕されたのは怪盗クマ三兄弟こと豚崎銀太郎、桃次郎、有三郎の三人で、肉や酒やスイーツを山程呑み食いしたかったと、容疑を認めているとのことです』

 

「やっぱりあの豚ども、困ってる人たちのためじゃなくて、自分たちの私利私欲のためにやってたんじゃねえか!」

「ほーんと、酷い話ー!」

「でもまあ、これで困っている人たちが更に追い打ちをかけられることはなくなりそうですね」

「そうそう、義賊だったらミクたちに任せておけばいいの!」

「しかし、何であいつらクマのフリなんかしたのかしら?」

「まあ素顔がバレないようにするというのが一番の理由でしょうけど、もう一つ、鏡から目をそらしていたってことじゃないかしら?」

「鏡から目をそらす?」

「うん。豚である自分の真の姿から目をそらして、自分はクマだと言い張るためにね」

「なにそれみっともねえwwww 自分が豚だってこと、ちゃんと認めろってのwwwww あ、そうそう、お前にも一つ聞いていいかノワール?」

「何でしょうタカト君?」

「お前とセリナが高利貸し夫婦を演じた豪邸、よくそんな都合のいい家があったな。誰のなんだあれは?」

「ああ、あれは私のです。こんな時のために、ラミナ市内にいくつか物件を借りてるんですよ。もちろん、全て違う顔と名前でね」

「さすがノワール! そのうち一つが、将来あたしたちの新居になるといいな~なんてw」(すりすりすりゴロゴロゴロ)

「ハハハハ、カナコさんったらw」(カナコを引き寄せて髪をなでなで)

「だからネコかお前は!」

「う、うおっほん! さあ、みんな、最後の一仕事よ」

「今夜やるのねカナコちゃん?」

「ええ。数が多いから三組に分かれてやりましょ」

クマ三兄弟が根城にしていた家が、家宅捜査されている。

 

「おかしいですねミンスター警部」

「何がおかしいんですか、ミハエル君?」

「だって、これだけ家の中を探しても、奴らが自供した宝石1個すら見つからないんですよ? クソッ、あいつら嘘つきやがって! 署に帰ったら徹底的にとっちめてやる!」

「まあまあ、彼らは嘘なんかついてませんよ。盗まれたお宝たちは、確かにここにあったと思います」

「えっ?」

「そして、それらが今どこにあるかも、だいたい想像がついてます」

「なんと! すぐ取り返しに行きましょう!」

「まあ、それは難しいでしょうね。それに無理して取り返す必要はないと思いますよ。全て、本来あるべき場所に戻っていくはずです」

「???」

深夜の街を走る二つの影。

怪盗ルプスと怪盗ディア。

 

「はあ…はあ…ひい…。なあ、少し休もうぜディア?」

「なにこれぐらいで音を上げてるのよルプス!」

「だってよお、もう2時間も走りっぱなしだぜ! だいたい、何で俺がお前と組まなきゃならねえんだよ!」

「仕方ないでしょくじ引きなんだから! あたしもノワールと組みたかった…。さ、夜明けまでにあたしたちの担当の分、全部元の持ち主に返してしまうわよ!」

「へーい…」

 

 

=END=

 

 

 


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