「ルリ?それがボクの名前なのかな…。妖精は一番近くで亡くなった者の魂で生まれるから」
ジンは裏庭のそばにある裏口を開けて、中に向かって叫ぶと、すぐに中からクレスが出て来ます。
「クレス!ちょっと来てくれ…。変な妖精がルリの墓の前の花から生まれて来やがった」
「変な妖精とは何だ!失礼な奴め…」
妖精は憤慨しています。クレスはジンと妖精のルリを中に招き入れると、本棚から医療関係の書物を引っ張り出して来ました。墓の前に咲いてたのとそっくりな花の挿絵があるページで手を止めます。
「確かここら辺に…あった!妖精の花の記述だよ」
「なんでこんな妖精が墓の前から生まれて来たのかわかるか?」
「妖精の花の種が魔女のローブのポケットの中にでも入っていたのだろう」
「じゃあこいつはルリの生まれ変わりって事になるのか?」
「こいつとは何だ!名前で呼べよ?」
「ルリはお前みたいに生意気なクソガキじゃねぇよ!」
「お前にだけは言われたくない!クソガキはそっちだろ?」
「本物の妖精の花の種ならば、清らかな心を持った死者の魂を妖精として生まれ変わらせる、とここには書いてある」
「間違いなくルリのようだな…。しかし性格が悪過ぎる…」
「性格悪いのはお前の方だろが!いい加減にしろよ?」
そこへ子供連れの母親が診療所の入り口にやって来ました。受付をしてくれていたルリがいなくなったので、クレスが応対します。
「お子さんの診察ですか?初診ですのでこちらに必要事項を記入してください。今日はどこが悪くていらしたんですか?」
「ええ、この子の咳が止まらなくて…。チャービルの病院まで連れて行ったけど、一ヶ月経っても治らないんです。お薬がなくなってしまったので、お薬だけ出してもらおうかと思って」
母親は初診カードに記入しながら説明します。
「診察室へどうぞ。坊や、お口をあーんしてくれるかな?」
子供は嫌々と言うように顔を横に振って、母親にしがみ付いています。
「弱ったな…。診せてもらえないと薬が出せない」
「すみません、この子いつもこうなんです。チャービルの病院では大人たちが大勢で抑え付けて、無理やり口をこじ開けたので、泣き始めてしまって大変でした…」
…つづく
|
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第8話です。