No.901680

マイ「艦これ」「みほちん」第48話<こなきガール>

しろっこさん

赤城さんの挙動に驚かされた司令だったが、また別の艦娘にも驚かされることになる。

2017-04-17 23:48:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:393   閲覧ユーザー数:386

「司令ぃっ!!」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」

:48話<こなきガール>(改)

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 工廠から広場に出る。午後の太陽は夕方近くなってもギラギラしていた。それでも屋外では美保湾からの海風が吹くから少しは過ごしやすい。

 

 祥高さんを先頭に3人の参謀と私たち一行は美保湾を右手に見ながら煙突のある建物まで歩き始めた。時折り、すれ違う艦娘たちが軽く敬礼をする。参謀たちは、それに応える、という動作も板についてきた。

 でも私は、さっきの余波か半分ボンヤリしていた。空のカモメを眺めつつ最後から付いて行く。

 

 珍しく呉が舞鶴に声をかけた。

「あの赤城は以前、呉に居た記憶があるンやが、あんな性格だったかなぁ?」

 

「……いや」

そう応えた舞鶴だが彼自身、ここの赤城さんには意外な印象を受けたようだ。

 

 神戸が発言する。 

「一航戦といえば艦娘でも空母機動部隊の花形ですよね。赤城さんって、もっと鋭い感じの子かと思いましたが」

 

 呉が応える。

「同じ一航戦で加賀って子が居てね。あの子は性格も、ちぃっとキツいらしい。赤城は……なんちゅうのかな? まぁワシの印象でもフワフワした感じやったが、どっちかっちゅうと大人しい子やないか?」

 

 何となく三人の参謀の意識が私に向けられている気がした。あの彼女の反応を見ると私と赤城さんの関係が気になるのだろう。

 仕方無しに私は口を開いた。

「赤城さんとは数年前に一緒に戦った経験がありますけど基本的に大人しい子ですよ。ただ……」

 

「ただ?」

誰だ? 突っ込むのは。

 

 私は大山をバックに飛ぶ空軍の迎撃機を見ながら続けた。

「艦娘は大人しい子でも意外とよく喋ったり。キツそうな子でも繊細だったり……そこは人間の少女たちと全然変わらないと思います」

 

『へえ』

声を合わせる呉と神戸。舞鶴は同意しているのか良く分からないが無反応だ。

 

 呉が、おだてるように言う。

「やっぱ司令殿は艦娘の長に相応しいんやな」

 

「いえ……」

私は謙遜した。

 

 そのとき迎撃機のエンジン音に紛れて何かが私の後ろから接近してくる気配がした。それはまるで魚雷……えぇ? まさか地上で魚雷?

 慌てて振り返る間もなくズン! と私の背中に衝撃が走った。

 

「痛てっ!」

背後から高速で何かが突っ込んできた。その勢いで危うく前に倒れかけた私だったが、とっさに踏ん張った。

(この間0.3秒)

 

「司令ぃっ!!」

見ると小柄な艦娘が私の背中に張り付いていた。

 

「お、お前は……こ」

その先は黙った。艦娘に妖怪『こなき爺』なんて言っても通じないだろう。

 

 しかし、この軽くて『きゃしゃ』な艦娘……このグリグリ頭は多分『アイツ』だ。

「比叡か?」

 

「光栄ですっ、司令ぃ!! やっぱり覚えていて下さったんですね!」

『こなき娘』が言った。いちいちオーバーだな。

 

 この事態に前を歩いていた参謀たちも驚いて振り返る。案の定、呉はニヤついてる。

先頭を歩いていた祥高さんは振り返ると呆れたように言った。

「比叡さん、整備はもう良いんですか?」

 

「はいっ、お姉様! もう、ばっちりです」

「バッチリ?」

背中越しに言うからモコモコとしか聞こえない。

 

「おい比叡、いつまで張り付く? ……暑苦しい」

聞こえないのか? 反応がない。

 

「比叡さん、離れてください」

祥高さんが言うと比叡は『ううっ……』と言いながら、ようやく私の背中から離れた。ちょっと口が尖っている。この辺りのリアクションは以前と全然変わらない。

 

 しかし比叡は私と目が合うと直ぐに直立不動の姿勢をとってビシッと敬礼した。

「司令! ご挨拶が遅れました! 比叡、ただいま美保鎮守府に着任です!」

 

 

 一瞬、間。爽やかな海風が通り抜けた。

 

 私は言った。

「あれ? ……確か、お前は赤城さんと戦闘の支援任務という命令しか受けていないはずだが」

 

「あぁン?」

 怪訝そうな比叡。その、しかめっ面が姉さん譲りで凄みがある。だが何しろ比叡は基本が可愛い系だから、どう凄んでも無理があるな。

 

「えっと……」

私もどうしたものか立ったまま悩んでしまう。

 

艦娘ってのは上官の命令に対して素直に反応する子と、そうでない子が居るから参る。戦艦系……実は金剛姉妹は特に強情な子が多いから困る。

 そんな比叡は、さっきから固まっている。しかも目がウルウルしているぞ。おいおいマジかよ?

 

「司令は……私なんか……」

何か上目遣いにブツブツと言っているし。涙を溜めつつ据わった目が怖い……ブラック比叡か?

 

私の背後からは何となく呉や神戸の好奇な視線を感じる。お前らもこの状況を楽しんでいるだろっ。

 

 そんな私の気持ちを察したのか呉が言う。

「いや決してそんな……心配しております」

「艦娘の扱い、対応、実に勉強になります」

「……」

 

見かねた祥高さんも近寄ってくる。

「比叡さん?」

 

 すると向こうから大淀さんが走ってきた。

「司令ぇ!」

 

 あれ? ……そういえば大淀さんが走るところを初めて見た気がする。妙に走り難そうだが。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。


 
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