No.794448

九番目の熾天使・外伝 ~vsショッカー残党編~

竜神丸さん

黄金の鎧を纏いし皇帝

2015-08-06 14:48:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4151   閲覧ユーザー数:1512

「シャアッ!!」

 

「クカカカカカ!!」

 

「うわ!?」

 

『幸太郎、気を付けろ!! 奴等は強い!!』

 

「ちぃ、面倒な奴等め…!!」

 

シザースジャガーとチェーンソーリザード。この二体の連携攻撃を前に、New電王とクリムゾンは大きく苦戦させられていた。シザースジャガーが両手の鋏で二人の攻撃を防ぎ、チェーンソーリザードが右腕のチェーンソーで強烈な一撃を炸裂させる。単純だが、効率の良い安定した戦闘スタイルだ。

 

「このままじゃ埒が明かねぇな…!!」

 

「クカカッ!!」

 

しかし、その優勢ぷりもここまでだった。リングを交換しようとしたクリムゾンに、チェーンソーリザードが跳躍して斬りかかろうとした時だ。

 

-ズガァンッ!!-

 

「クカァッ!?」

 

「!」

 

ブーメランのように飛来した赤い槍が、跳躍していたチェーンソーリザードに命中し撃墜させた。赤い槍はそのまま飛んで来た方向へと帰って行き、その先には高台の上で、サンドイッチをハムスターのように口に頬張りながら食べている少女の姿があった。

 

「!? 恋、あなたですか…!」

 

「お待たせ、にぃに……もきゅもきゅ」

 

二本のアホ毛が生えたピンク髪の少女―――“(れん)”は口の中のサンドイッチを飲み込んでから、帰って来た赤い槍“ディーペストハープーン”を左手でキャッチ。そのまま丸鋸状のバックル部分に三枚のメダルが装填されたベルト“ポセイドンドライバー”を腰に装着し、バックル部分を指で反時計回りに回転させる。

 

「変身」

 

≪サメ! クジラ! オオカミウオ!≫

 

巻き起こる水流と共に、恋の全身に鎧が形成される。後頭部に鮫の顔が付いた水色の頭、両肩に鯨の顔と尾が付いた青色の胴体、狼魚の意匠が見える赤色の下半身、そして胸部の装甲に描かれた鮫、鯨、狼魚の紋章。

 

「…はっ!」

 

海の神様の名前を借りた戦士“仮面ライダーポセイドン”は槍を構えたまま高台から飛び降り、飛び降りた先にいたシザースジャガーに槍の刃先を叩き込み、チェーンソーリザードの顔面を殴りつける。

 

「邪魔」

 

「グギャア!?」

 

「グッ!?」

 

「刃、あの娘は…?」

 

「あぁ~何て言えば良いか……簡単に言えば、私の妹です」

 

「妹!?」

 

『それであの強さか、逞しいな…』

 

「…っと、関心してる場合じゃなかったな!!」

 

「「「「「フッ!!」」」」」

 

恋の正体が刃の妹と分かり、驚きと関心を示すNew電王とマチェーテディ。しかしそんな事を言っているような場合ではなく、New電王とクリムゾンの周囲には再び複数のダスタード達が集まって来た。

 

「あぁもう、面倒臭ぇ―――」

 

≪≪≪≪≪マツボックリスカッシュ!≫≫≫≫≫

 

『「「!?」」』

 

その時、クリムゾン達の真上を複数の黒いライダーが跳躍。黒い槍“影松”による攻撃で、ダスタード達を纏めて一掃してしまった。

 

「! 戦極ドライバー…?」

 

「黒鉄刃様ですね? 我々、トルーパー部隊も助太刀します」

 

仮面ライダー黒影―――否、黒影トルーパーによる部隊が、クリムゾン達を守るように周囲に並び立つ。クリムゾンは一番近くに立っていた黒影トルーパーの発した声を聞いて、自分達を守っている黒影トルーパー達の正体が女性である事を理解する。

 

「おいおい、これも全部アンタ等の仲間か?」

 

「そのようですね。彼女達は私の管轄ではないので、よく分かりませんが…」

 

「にぃに、傍にいて良いのは恋だけ」

 

「…今それをここで言いますか? 恋」

 

黒影トルーパー達が女性だと分かり、ポセイドンは何故かいきなりクリムゾンの隣に並び立つ。その際に発せられた台詞が明らかにヤキモチを焼いていた事から、クリムゾンは頭を押さえながらも怪人達と応戦し続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォンッ!!-

 

「うぁ!? く…」

 

「ユイ!!」

 

一方、グランサイクロンの砲撃で撃墜されてしまったサイガはベルトが外れ、変身が強制解除。変身が解けたユイはそのまま落下し、落下地点にいたオルタナティブが彼女をお姫様抱っこの要領でキャッチしてみせる。

 

「駄目……奴のマシン、強過ぎる…!!」

 

「ぬぅ、オーライナーでも破壊し切れんとはの…」

 

今もまだ、爆走するグランサイクロンの勢いは全くと言って良いほど衰えておらず、他のライダー達に対して強力な砲弾を絶えず放ち続けている。その戦闘力の高さは、オーライナーですら破壊出来ず逆に撃墜されてしまったほどだ。

 

≪クワガタ! カマキリ! バッタ! ガータガタガタキリッバ・ガタキリバ!≫

 

しかし勢いが増しているのは、グランサイクロンだけではない。ライダー達に加勢しに駆けつけた咲良の変身したオーズは、昆虫の特性を持ち合わせた緑のコンボ“ガタキリバコンボ”にチェンジ。すかさずオースキャナーをオーズドライバーにスキャンさせて高く跳躍する。

 

≪スキャニング・チャージ!≫

 

「「「「「セイヤー!」」」」」

 

「「「「「ガァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」」」」」

 

「…まぁ~本当、凄い威力だこと」

 

すると空中に跳び上がったオーズが複数の分身を出現させ、一斉にライダーキックを繰り出して地上にいる怪人達を殲滅。まさに数の暴力とも言えるガタキリバコンボの圧倒的戦闘力を見て、ウィザードは仮面の下で笑う事しか出来ない。

 

「おいハルト、見てないでこっちも手伝え!!」

 

「おっといけない」

 

ソニックアローで空中の敵を撃墜しているバロンに怒鳴られ、ウィザードも慌てて戦闘を続行。そんな彼等から少し離れた位置では、げんぶの変身した仮面ライダーV3がタートルバズーカと交戦していた。タートルバズーカの砲撃が飛ぶ中、V3は持ち前の反射神経で砲撃をかわしつつ接近していく。

 

「ズゥーカァーッ!!」

 

「ほぉ、そのバズーカは連射も可能なのか……だが当たらんよ!!」

 

飛んで来た砲弾を裏拳で弾き飛ばし、V3は跳躍して飛び蹴りを繰り出す。タートルバズーカはそれを両腕で防御しようとしたが、それすらも見越していたV3は後ろに縦回転しつつ、再びキックを繰り出す。

 

「ブイスリィ……反転、キィーック!!」

 

「ズカァ!?」

 

「「「ガァッ!!」」」

 

「何…うぉ!?」

 

V3反転キックでタートルバズーカが蹴り飛ばされた直後、それと入れ替わる形で三体のグロンギが出現。ウミヘビ種のゴ・ベミウ・ギ、フクロウ種のゴ・ブウロ・グ、イノシシ種のゴ・ジイノ・ダはそれぞれの武器を装備し、V3に襲い掛かる。

 

「グロンギか、ならば……アタッチメント『クウガ』!」

 

V3の右腕が光り出し、次の瞬間V3の姿がクウガ・マイティフォームへと変化。ゴ・ベミウ・ギの振るった鞭を回避してからゴ・ブウロ・グを投げ飛ばし、ゴ・ジイノ・ダの顔面にパンチを炸裂させる。するとゴ・ブウロ・グが背中の翼を広げて飛び立ち、上空から吹き矢でクウガを狙おうとする。

 

-ドシュンッ!!-

 

「グガァ!?」

 

「ん?」

 

そんなゴ・ブウロ・グを、黒い長髪をうなじに束ねたメイド服の女性がソニックアローで撃墜。ゴ・ブウロ・グが地上に落下するのを見た後、クウガは女性の方に振り返る。

 

「お前は確か、okakaの部隊にいた…」

 

「全自動人形を統括している、桃花と申します。今回は黒影トルーパー部隊も率いた上で、皆様の援護に回らせて貰います」

 

「黒影? あぁ、あの黒い雑兵達か……という事は、お前も戦えるんだな?」

 

≪ピーチエナジー!≫

 

「もちろんでございます……変身」

 

≪ロック・オン……ソーダァ! ピーチエナジーアームズ!≫

 

メイド服の女性―――“桃花”は右手に持っていたピーチエナジーロックシードを開錠し、既に装着していたゲネシスドライバーに装填。そのままレバーを押し込み、真上のクラックから降下したピーチエナジーアームズを被り鎧を展開。魅惑的な女性らしい体型をした戦士“仮面ライダーマリカ”に変身した桃花は、左手に構えていたソニックアローで再びゴ・ブウロ・グに射撃を浴びせる。

 

「桃? …まぁ良いや。とにかく俺も、手っ取り早く倒させて貰うとしよう……超変身!!」

 

ゴ・ジイノ・ダが振り下ろして来た槍を奪い取り、クウガは青色のドラゴンフォームに変化。奪い取った槍もドラゴンロッドに変化し、クウガはドラゴンフォーム特有の身軽な動きでゴ・ジイノ・ダとゴ・ベミウ・ギを翻弄し始める。

 

「よし……おい誰か、俺に電撃を浴びせてくれ!! 思いっきり強力なのをな!!」

 

「あ!? おいおい、いきなりどしたよ!!」

 

「電気? わかったよげんちゃん、それー!!」

 

「ぬぉ!? く、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

クウガの頼み事を引き受け、オーズはガタキリバコンボの能力で頭から強力な電撃を放射。その電撃がクウガの全身に襲い掛かった後、クウガはその電撃によってボディに変化が生じていく。

 

「…しゃあ!!」

 

電撃を浴びた事でドラゴンフォームの能力が強化され、クウガ・ライジングドラゴンの姿を獲得。手にしていたドラゴンロッドも強化されてライジングドラゴンロッドとなり、クウガはゴ・ベミウ・ギの振るう鞭を薙ぎ払ってから大きく跳躍する。

 

「おりゃあっ!!」

 

「グ、アァァァァァァァァァァァッ!?」

 

跳躍しつつ放ったライジングドラゴンロッドの一撃が、ゴ・ベミウ・ギの胸部を貫いた。貫かれた箇所にクウガの紋章が浮かび上がる中、クウガはそのまま彼女を真上へと高く放り投げ、遥か上空でゴ・ベミウ・ギの身体が大爆発を引き起こす。

 

≪ロック・オン……ピーチエナジー!≫

 

「ふっ!!」

 

「ヌォォォォォォォォォッ!!?」

 

マリカがソニックアローから放った一撃がゴ・ブウロ・グを貫き、ゴ・ブウロ・グも上空で爆散。残ったゴ・ジイノ・ダがクウガとマリカに突進を仕掛けようとしたが、その前に跳躍したバロンがゲネシスドライバーのレバーを二回連続で押し込んだ。

 

≪レモンエナジースパーキング!≫

 

「せぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」

 

バロンのライダーキック“キャバリエンド”が命中し、ゴ・ジイノ・ダも呆気なく撃破される。着地したバロンの下へマリカが駆け寄る。

 

「美味しい所は持っていく辺り、良い御身分ですね」

 

「ぬぐ……お前さぁ、最近俺への当たり具合いが酷くなってきてないか?」

 

「気の所為です。そう思えるのは、あなたの身に覚えがあるからじゃないでしょうか?」

 

「否定出来ない自分が悔しいぜ畜生……まぁそれはともかくだ。桃花、黒影トルーパー部隊の指揮はそっちに任せても良いな?」

 

「ノープロブレムです。艦長もお気をつけて」

 

「あぁ、そっちこそな―――」

 

-ドゴォンドゴォンドゴォォォォォンッ!!-

 

「「…ッ!?」」

 

「ガハハハハハハハ!! 撃て撃てぇー!!」

 

直後、バロンとマリカの周囲にも複数の砲撃が飛んで来た。二人が砲撃による爆発で変身が解けてしまう中、ファントムのケプリを乗せたグランサイクロンは機関銃を乱射しつつミサイル砲からミサイルも発射し、ライダー達に向かって猛攻を仕掛けて来た。

 

「どわぁっ!?」

 

「あわわわわわ!?」

 

「キャア!?」

 

「ぐぅ!?」

 

ウィザード、オーズ、ポセイドン、クリムゾン、そして黒影トルーパー達が次々と蹴散らされていく中、撃墜されたオーライナーから降りていた支配人とジンバがグランサイクロンを睨みつける。

 

『オーライナーでも破壊し切れないとは、かなり頑丈なライダーマシンだな』

 

「あんにゃろう、無駄にハイスペックなのを乗りこなしやがって……ッ!! 来るぞ!!」

 

突撃して来たグランサイクロンを、支配人とジンバはそれぞれ左右に転がり込んで回避。そのままグランサイクロンは爆走しながら砲撃と乱射を続行し、グランサイクロンに飛び乗ろうとしたクウガとNew電王も撃墜されて変身が解けてしまい、New電王が持っていたマチェーテディもテディの姿に戻ってしまう。

 

『「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」』

 

「この…!!」

 

「ッ…駄目です、恋!!」

 

「ズカァッ!!」

 

「な…キャァァァァァァァッ!?」

 

「恋!!」

 

「無駄な足掻きが、死ねぇ!!」

 

グランサイクロンに挑みかかろうとしたポセイドンを、別方向からタートルバズーカが砲撃で撃墜。ポセイドンも変身が解けて恋の姿に戻り、そこへグランサイクロンが突進を仕掛けて行く。

 

「させん…!!」

 

「ヌォ!? えぇい、小癪な……乱れ撃ちだぁ!!」

 

そんなグランサイクロンに、スカルの操縦するスカルギャリーが突進を仕掛ける。おかげでグランサイクロンは恋を避けるようにその軌道がズレていったが、グランサイクロンから放たれたミサイルがスカルギャリーに命中して爆発し、スカルが振り落とされる。

 

「く…!?」

 

「おやっさん!!」

 

「くそ、どうやったら止まんだよあのマシン…!!」

 

その時…

 

「ウェアァッ!!」

 

≪WILD≫

 

「ヴェリャァァァァァァァァァァッ!!」」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「何ぃ!?」

 

飛び出したブレイドジョーカーがオールオーバーを投擲し、グランサイクロンのミサイル砲を破壊。同時にワイルドカリスがカリスアローを構えて巨大なビーム“ワイルドサイクロン”を放つ。こればかりは流石に完全には耐え切れなかったのか、グランサイクロンはいくらか損傷しつつ一時的にその場に停車し、ケプリも危うくグランサイクロンから振り落とされかける。

 

「始、剣崎!」

 

「ハァ、ハァ…」

 

「剣崎」

 

「!? うわっとと…」

 

バロンが名前を呼ぶ中、ブレイドジョーカーとワイルドカリスが並び立つ。ここへ来る前に拾ったのか、ワイルドカリスは持っていたブレイバックルをブレイドジョーカーに投げ渡し、ブレイドジョーカーは剣崎の姿に戻ってから慌ててそれをキャッチする。

 

「始……その姿、やっぱり…」

 

「あぁ……枯葉(・・)を封印した」

 

「……」

 

「ズーカーッ!!」

 

「シャァァァァァァ…!!」

 

「クカカカカ!!」

 

「おのれ仮面ライダー共、今度こそ絶望させてくれるわ…!!」

 

剣崎がブレイバックルを装着し、待機音が鳴り始める。二人の前にはタートルバズーカ、シザースジャガー、チェーンソーリザード、そしてケプリを乗せたグランサイクロンが立ち塞がっている。

 

「始」

 

「…?」

 

「枯葉ちゃんは封印される時、抵抗しなかったのか?」

 

「…俺達の戦いを見届けて欲しい。俺がそう言った時、彼女はそれを聞き入れた。今、彼女は俺のこの姿を通じて戦いを見届けている」

 

「そっか……じゃあ、俺達が頑張らなくちゃいけないんだな?」

 

「そうだ。お前もどうせ、そのつもりでいるんだろう?」

 

「あぁ、もちろんだ……変身!!」

 

≪TURN UP≫

 

「「「ガァッ!?」」」

 

放出されたオリハルコンエレメントがタートルバズーカ達を弾き飛ばし、ゆっくり剣崎の身体を通過。剣崎は再びブレイドに変身し、左腕のラウズアブゾーバーから二枚のラウズカードを抜き取る。

 

「俺は戦う…」

 

≪ABSORB QUEEN≫

 

カテゴリーQのラウズカードが装填され…

 

「ショッカーなんかに……世界を好きにはさせない!!!」

 

≪EVOLUTION KING≫

 

そして、カテゴリーKのラウズカードも装填される。するとブレイドの所有する十三枚のラウズカードが周囲を囲うように集まり、一斉にブレイドのボディに融合していく。

 

黄金の鎧を纏いし皇帝―――仮面ライダーブレイド・キングフォームへの変身を遂げた剣崎。手元には専用武器であるキングラウザーが出現し、ブレイドはそれを左手で掴む。

 

「始は、皆を頼む」

 

「剣崎…」

 

変身が解けてしまったメンバーはワイルドカリスに任せ、ブレイドはキングラウザーを左手に持ったまま一歩ずつ前へと進んでいく。たったそれだけで対峙している相手を威圧してしまうほど、キングフォームの持つ覇気は凄まじかった。

 

「フン、そんな姿になったところで何になる? やれ、タートルバズーカ!!」

 

「ズカァーッ!!」

 

「ッ…避けろ、一真ちゃん!!」

 

ケプリの命令で、タートルバズーカはブレイド目掛けて砲弾を発射。ウィザードが叫ぶよりも前に、砲弾はブレイドに命中して爆発する。

 

「一真さん!?」

 

「アイツ等…!!」

 

「待て」

 

まだ変身の解けていないクリムゾンとスカルがブレイドに加勢しようとするが、そんな二人をオルタナティブが右手で制止する。

 

「彼なら大丈夫じゃ」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「…まぁ、確かに問題ないね」

 

「はは、だろうな」

 

オルタナティブの言葉に一同が首を傾げる中、理由を知っている支配人とokakaも特に心配そうな表情はしていなかった。そしてブレイドがいた場所の爆風が少しずつ晴れていき…

 

「ズカッ!?」

 

「!? な、何だと!?」

 

爆風が晴れたそこには、無傷のブレイドが仁王立ちしている姿があった。タートルバズーカやケプリがその光景を見て驚く中、ブレイドは右手に持っていた五枚のラウズカードをキングラウザーに装填していく。

 

≪SPADE 10 J Q K A≫

 

「「「「!?」」」」

 

≪ROYAL STRAIGHT FLUSH≫

 

音声と共に、キングラウザーにエネルギーが充填される。ブレイドの目の前には五枚のカード状のエネルギーが並ぶように出現し、ブレイドはキングラウザーを右手に持ち替えてゆっくりと構える。

 

「(まだだ、まだ勝機はある!! こっちにはネオ様が貸し与えて下さった(・・・・・・・・・)グランサイクロンがある!!)…馬鹿め、今更何をしようと無駄な事だ!! 行け、お前達!!」

 

「ズゥゥゥカァァァァァァァァッ!!!」

 

「「シャァァァァァァァァァァァァァッ!!」」

 

「……」

 

タートルバズーカ、シザースジャガー、チェーンソーリザードの三体が同時に駆け出し、ケプリを乗せたグランサイクロンも再び動き出した。彼等が一斉に襲い掛かろうとする中、ブレイドはただ静かにキングラウザーを頭上へと高く振り上げる。

 

「いくら強化した姿であろうと、この圧倒的防御力を誇る怪物マシンを止められやしない!! これで貴様等の負けは確定した―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ウェイッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「―――ッ!!?」」」」」

 

一瞬だった。

 

ブレイドがキングラウザーを振り下ろした瞬間、その刃からとんでもなく巨大な光線が放たれた。そのたった一撃が、タートルバズーカ、シザースジャガー、チェーンソーリザード、そしてケプリとグランサイクロンを丸ごと呑み込んでしまった。

 

それだけじゃない。

 

怪人達とグランサイクロンを呑み込んだその一撃は、ショッカーキャッスルの城壁どころか、城自体を半分ほど消し飛ばしてしまったのだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。これにはげんぶ達だけでなく、キングフォームの強さを知っていた支配人とokakaですら唖然としてしまうほどだった。

 

「…うっそぉん」

 

「ここまでの破壊力……何者だ? あの坊主…」

 

「うわぁ、すごいすご~い♪」

 

ハルトと荘吉が呟く中、咲良は半分消し飛んだショッカーキャッスルを見て目をキラキラと輝かせていた。そして当の本人はと言うと、ブレイドの変身が解けて再び剣崎の姿に戻ってしまっていた。そこに同じく変身の解けた始が駆け寄る。

 

「はぁ、はぁ…」

 

「大丈夫か、剣崎」

 

「あぁ、大丈夫だよ……始…」

 

始の手を借りて、剣崎は何とか立ち上がる。やはりここまでの破壊力を誇る一撃を繰り出した以上、剣崎自身の体力も大幅に消費してしまったのだろう。

 

「…親父(ヴァニシュ)

 

「うむ……これはまた、想定外過ぎる破壊力じゃ。末恐ろしい男よ…」

 

「全くだな……ん?」

 

ここで、支配人はある事に気付いた。

 

(そういえば、ネオ(・・)の姿が見当たらない? 一体何処に…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ゴゴゴゴゴゴゴゴ…-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

その時だった。謎の地響きが一同を襲い、同時にショッカーキャッスルが崩壊し始める。

 

「な、何だ!? 城が崩壊して…」

 

「ッ!? 艦長、あれを!!」

 

桃花が指差す方向を見て、一同は絶句した。一同が見る先には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギャォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な骸骨恐竜が、咆哮を上げながらその姿を現していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分前…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたぞ、ソーサラー…!!」

 

「…来たか、魔法使いよ」

 

 

 

 

 

 

氷の魔法使い、ウォーロック。

 

 

 

 

 

 

金色の魔法使い、ソーサラー。

 

 

 

 

 

 

二人の魔法使いが、ショッカーキャッスル最上階にて対峙していた。

 


 
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