No.648520

"恨みの声2"外伝

「真剣で私に恋しなさい」短編二次創作小説。ワン子ルートにて一行だけ登場する、立ち絵、名前すらないモブキャラ “恨みの声2”。彼の「ワン子」への想いと失恋物語を妄想してみた。 モブキャラの逆転劇があってもいいと思う。

2013-12-26 06:31:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1541   閲覧ユーザー数:1478

あれは今年の初め頃だっただろうか。

 

「そこの。これを職員室の麻呂の机まで運んでおくでおじゃる」

 

運悪く綾小路につかまった俺は、教材がギッシリ詰まったダンボールを職員室まで運ぶように命令されてしまった。

軽く持ってみるが、運動音痴で非力な俺が気軽に運べる重量ではない。

だからといって無視するわけにもいかない。成績は大事だ。

 

仕方なくダンボールを抱え、廊下を歩く。

 

蟹股、プルプル震える腕、額ににじむ汗。

誰が見ても辛そうな風体だろう俺に、しかし誰一人「手伝おうか?」と声をかけてはくれない。

社交性のない自分には友人なんていない。顔見知りはいても、結局は誰も彼も他人なんだ。

 

そんな時。

 

「●●君、大丈夫?」

 

声をかけてくれたのが同じクラスの川神一子だった。

 

「か、川神さん!?」

「なんか辛そうだけど、代わりに運んであげよっか?」

「あ、いや・・・・・・重いし女の子には・・・・・・」

 

女の子より貧弱な俺は女の子に声をかけられて動転していた。

 

「大丈夫大丈夫、アタシ鍛えてるからね!任せてよ」

 

そう笑った川神さんは、苦もなく俺の手からダンボールを奪い取る。

しかも片手で。

 

「それじゃぁね~」

 

届け先も聞かずに走り去る川神さん。

思考が追いつかず、現状を整理できず、ただドクドクと激しく脈打つ心臓の音を聞きながら、

これが自分の初恋なんだろうと確信した。

 

何でもない出来事、きっと川神さんだって覚えていないような些細なやりとり。

それでも、そんな些細なやりとりで俺は彼女に恋をしたのだ。

 

俺はそれから何度となく告白しようと決心し。

何度となくシミュレーションを行った。

 

それでも結局できたのは、風間ファミリーの中で楽しそうに笑う川神さんを眺めることだけ

だった。 いや、逆だ・・・・・・。

 

眺めていたら何も言い出せなくなった。

 

だから、

 

「一子は俺の女だから皆、手ェ出すなよ」

 

 

その日が来るべくして来た時も、大きな驚きはなかった。

 

「おめでとうございます、ワン子ちゃん」

「ありがとう委員長」

 

髪を下ろした川神さんの笑顔は天使みたいに可愛くて、

そしてとても幸せそうだった。

 

 

「川神さん・・・・・・」

 

 

元から敵うはずのない相手だったんだとわかっている。

言うなれば脇役が主人公を差し置いてヒロインと結ばれる・・・・・・それぐらい無茶な話。

 

それでも

 

 

「畜生、俺の初恋・・・・・・」

 

 

好きだったんだ、真剣に。


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