No.629102

Other Side 超次元の外れ者

ヒノさん

第一章もあと少し。良ければどうぞ

2013-10-17 22:43:16 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:273   閲覧ユーザー数:272

「遭遇=異世界から来た男」

 

ふと、夢を見る。それは生きているという証か死んだという証かは定かではない。

誇り高く、見栄を大事にする奴なら後者を選ぶだろう。だが俺は前者を選ぶ。過去の夢を見るしかないのは、かなり退屈だからだ。

兎にも角にも、俺はふと、夢を見る。その内容は今さっきも言ったが過去の話…つまりは記憶の再生映像だ。

俺はそれを見るしかない。さて、この夢は何時頃の夢なのか……

 

あれは数年前、俺が軍に入ってから早二年の事、いつものように地域を調査している時だった。

 

俺が担当してたのは付近の草原だ。

いつも見る木々、いつも見る風景、いつも見るモンスターたち、いつも見るアイテム、そして…

 

?????

「う…………っ」

 

道端に行き倒れていた一人の男、これもいつも通り…ではない。

 

?????

「は…腹減った。」

 

ここに放置するのもあれだし、寮に連れて行くことにした。

…同僚は里帰りとか何とか言ってしばらくどっかに出かけているから、この時はいなかった。

ちょくちょく似たようなことがあったが…最後まで分からずじまいだったな……いや、俺まだ死んだかどうかわからないけど。

同僚のベッドに寝かせておいてしばらくしたら目が覚めたようで、取り敢えずカップラーメンを出した。

するとすぐさま身体を起こした後、一瞬にしてカップ麺を平らげてしまった。

その男の名は…忘れてしまった。何か某ゲームで打ち消すとかいう意味だとか。

茶色いマントにベージュの長袖Tシャツにカーキーの長ズボンのこの男は、いろいろな世界を旅して回っているという。

 

?????

「いやーははは…面目ないったらありゃしねーぜ。まさか財布を落としちまってさー…捜す内に三日三晩飲まず食わず…そりゃぶっ倒れるってもんだぜ。」

「周りにモンスターいたろ…飲まず食わずでよく生きてたな。」

?????

「ああアレ?大して強くなかったからさ、全部倒した。」

「……!?」

 

いやいやいやいやちょっと待て!!あそこ確かに弱い奴ばっかだけどさ、偶に強いのが紛れてるんだぞ!?

しかも三日三晩と言ったよな?昨日の当番から聞いたけど、向こうの森から強いのが流れ込んできてたって聞いたぞ!?

…そう言えば昨日の報告にも関わらず、ネプギア様が来たときには、何者かに倒された跡だけだったらしい…

もしかして、本当にコイツが……

 

?????

「ふへぇ~~………」

 

…いや、それは無いか……大方危険種狩り集団の仕業だな…運が良かったな、コイツ。

 

?????

「しっかし危なかったー…あのままだったら餌にされる所だったぜ……」

「で、何しにこの世界に来たんだ?」

 

何気なく何となく、目的を聞いてみた。世界を旅して回っているらしいのなら、それ相応の理由があるのだろう。

 

?????

「特にねー…って言いてーがなぁ……実は俺、ある存在を探している。LOST(ロスト)NOT(ノット)っつー奴だ。」

「ろすと?のっと?」

?????

「ロストは失ったモノ、ノットは属せぬモノと呼ばれている。前者は捜さねーとマズい奴、後者は前者に対しての切り札になる。」

「あ、ああ……」

 

全然分からない…俺にはちんぷんかんぷんだ。

 

?????

「…とまーそんな訳で色んな世界を旅しているんだ。全っ然見つからんがな……」

「は…はぁ……」

?????

「お、そーだ。助けてくれた礼にこれをやるよ。」

 

そう言って男がくれたのは、『安産祈願』と書かれたお守りだった。

…俺、独身なんだけど………

 

?????

「コイツはお守りだ…これを使う未来まで(・・・・・・・・・)のな。」

「これを使うまで……?」

?????

「まー持ってろ。その時まで守ってくれるから。んじゃ俺はぼちぼち行くか……んじゃ~な、縁があったらまた会おうぜ?」

 

男はそう言って立ち上がって振り向いた後、壁に手を付ける。

すると壁に何やら真っ暗な穴がぽっかりと開き、そのまま男はその先に入って行った。その後、穴はしぼむように消えていった。

異次元へと繋がってたよなこれ…

もしこのまま残ってたら、いつか行ってみたかったな……

 

ピチャッ……

 

「う…………」

 

冷たい何かが当たった…目覚めてみれば、雨雲と雨が視界に入った。

 

ザァァ……………

 

空から降って来る雨粒が冷たい…どうやら俺は、まだ生きているようだ……

不思議にも体はなんともなく、直ぐに立ち上がれた。

状況確認の為に周囲を見渡してみた。少年とモンスターがいない、どこか場所を変えたのか。

分からない…だが今は任務を…いや、それよりもやるべきことがある…あの少年を見つける事だ。

少年を捜し回りながら、崖にまだ新しい足跡を見つけた俺は、あの少年が生きている事を祈りながら、下山する事にした。

…頼む……間に合ってくれ………!!

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択