No.592281

【K-9ⅡG】開示【交流】

2013-06-29 06:04:50 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:573   閲覧ユーザー数:544

 

「みんな集まったな」

 

 ラミナ警察署・講堂。檀のエルザ署長が見渡す中、K-9をはじめとする、エルメ教との戦いに関わる警察関係者が全員集合していた。

 

「それではミンスター警部、お願いします」

 

 脇にのいたエルザと入れ替わりに、ミンスターが檀に立った。

 

「ご存知の様に K-9やライドアーマー、幻獣部隊などの皆さんが戦っている間に、私はエルメ教の正体を探る情報を集めていました。そして先週、あの屋敷から持ち帰った資料を入れて分析することで、漸く真相に辿り着いたのでこれを今よりお話しします」

 

 皆が息を飲む中、ミンスターは切り出した。

 

「まず最初に。メディウス教皇が求めているものは……ずばり、母です」

 

 

 獣機特警 K-9 The Second Growl

  エルメシオン・リリジオン編 Episode 6

 

 『開示』

 

   by Abstain company

 

 

「母……?」

 それってどういう意味? クオンの反応は、言外にそれが漂っていた。それを知ってか知らずかミンスターがさらに返信。

「そう、母です。それも無条件に愛し、包んでくれる、理想的な母親が」

「ますますわからない……それがこれまでの事件とどう関係するんだ」

「では、掴みはここまでにして、本題を頭からいきましょう」

 

 

「12年前に失踪した生命科学者、ルティア・シャーウッド。

 彼女の目的は、聞きわけが良く善良で、しかも無敵の力と不老不死の命をもつ、人間を超えた人間を生み出し、現在の人間を一掃して理想の世界を築くことでした。

 そしてその新世界の王たるべく、自分の実子メディウスを改造する人体実験をはじめたのです。

 人体実験は法律で禁じられている為、彼女は身を隠して研究に入りました。最初私はドローア研究室に行ったものと思っていましたが……実際は訪れる者もない森の中に自前の研究所を建てたのです。そう、あの屋敷です。

 様々な機械や薬剤を用いて数々の幻獣を生み出しつつ、順調にメディウスを改造していきました」

 

 淡々と説明するミンスターの声が響く中、誰もが、ただの実験台たることを強いられたメディウスの身の上を嘆いていた。

 

 

「こうして、高い知能と恐るべき魔法の力を与えられたメディウス。しかしルティアの誤算は、メディウスが従順だと思い込んでいたことでした。

 実際はそうしないと扶養を断たれると恐れ、表向き従う振りをしていただけで、心の中では母への怨恨を育て、一人立ちできる力をつけたら復讐しようと考えを練っていたのです。

 そしてある日メディウスは幻獣を扇動して反乱、ルティアは幻獣に骨まで喰らい尽くされました」

 

 聴講の 5割以上が本能的な悪寒にすくみ上がった。

 

 

「ルティアを殺害して出奔したメディウスは、以来自分を道具にした『科学』そのもの、殊に生命に関わる科学を嫌悪するようになり、然し一方で新世界の王たれと教えられた選民意識は残り、他ならぬ科学で身に付けた超能力――魔法を生まれながらに持った大いなる力と思い込んで、世界統一の野望を抱きエルメ教を結成して同志を集めました。

 そして最近になって十分な勢力が集まり、蜂起して我々プラネットポリスの敵となったのです」

 

 そうだったのか……口には出さずとも、誰もが顔でそう言っていた。

 

「では……gerin oilは何のために?」

 ナタリアが質問した。

 

 

「gerin oilとは即ち生命力そのものの結晶。メディウスは大量に貯め凝縮したこれより精製することで、究極の生命・エルメシオンを生み出そうとしているのです。それはメディウスにとって神であり、また理想の母であるもの。

 即ちメディウスを無条件に愛し、包み、彼のために世界さえ滅ぼす無敵最強の生命体」

 

 ライドアーマー隊のリクが、拳を握りしめて立ち上がった。

「そんなものが生み出されちまったら……ファンガルドは本当に終わりだな。すぐにでも、止めないと!」

 

 しかし、他ならぬ妹のソラが水を差す。

「そのことに異議はないわ。でも……それはいつどこで起こるのかしら? それがわからないままうかつに動くのはまずいわ」

 腕を組み、首をかしげている。

 

 

「丁度いいわね。後でその話をしようと思ってたんだけど」

 

 突如、講堂の扉が開き、本庁警視正ヴァイスが 1枚のディスクを持って現れた。

 

「警視正!」

「先程、ノワールからこのディスクが届けられたの。例によってあいつの手柄というのが癪だけど、今回ばかりは贅沢を言ってられそうもないから」

 

 そう言ってヴァイスは檀に上がり、ディスクを再生する。

 

 すると、奇妙な形状の塔が映し出された。

 

 

「これは……背後の木々からすると、赤道直下の無人島でしょうか」

 ミンスターが食い入るように画面を見る。そこへヴァイスが話を続ける。

「エルメ教の連中はここに塔を新造して本部とし、女神エルメシオン降臨の儀式の準備を着々と進めているわ。決行日は○月×日……次にファンガルドの 2つの衛星(つき)が、同時に満月となって深夜零時の空に並ぶ日」

 

「……そうか」

 エルザ署長が頷く。

「ということは、その日に全てのエルメ教勢力があの塔に結集する……その時こそ決戦だ! 当然この任務は K-9が先頭に立って行って貰う、アタックパーティとして塔に突入しメディウスを討ち取るのだ! さあ、その日に向けて準備を整えよ!」

「了解ッ!」

 クオン隊長は立ち上がり、決意を込めて敬礼した。

 

 

 

   <続>

 

 


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