No.579962

司馬日記外伝 事後シリーズ5

hujisaiさん

『その後』の、桂花さんと一刀さんです。

2013-05-25 14:43:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:13589   閲覧ユーザー数:8605

…重いわよ。

その呟きに荒い息を収め、背後から圧し掛かるように抱きしめていた腕を解き、体を離して隣に寝転んで上掛けをかける。

密着していた部分にじっとりと浮かんでいた汗が空気にさらされ、少しひんやりとする。

彼女はまだうつ伏せたまま、呼吸に合わせて肩口の髪が上下する。

 

暫くの無言。

回数の浅いころはこの時間がどうにも気まずく感じていたが、今では心地いい。それは桂花の気持ちが少しは判ってきたからじゃないか、と勝手に思っている。

やがて仰向けに向き直ると一つ大きく息をつき、ねえ、と彼女が呼んだ。

「何?」

「あんたの地方営業いつからよ」

「巡幸な。明後日から行ってくる」

「…暫く空けるのに、最近あんた華琳様ほったらかしてない?」

「明日の夜は一緒に居る予定だから」

「あそ。あと先にしなきゃいけない決裁はちゃんとしておきなさいよ。租税法の施行の決裁はしたの?」

「え、成立の決裁はしたけどまだあるの?」

「馬鹿ね、法成立の決裁と法施行の決裁は別に決まってるじゃないの、あんた詠と私の話ちゃんと聞いてた?」

「ごめんわかってなかった、明日ちゃんとやっとく」

桂花はこういう時に、仕事の話を振ってくる事が多い。他の娘の話をするのも嫌みたいで華琳の名前でさえ偶にしかでない。…まあ、素では絶対デレない彼女なりの話題のチョイスなんだろう。

 

「あと何があったかな…あそうだ、青少年何だっけ…法」

「青少年保護育成法(笑)ね」

「ああそれ、それも決裁しとかなきゃ。ところで(笑)ってなんだよ」

「鼻で笑っちゃうような法律だからよ。まあ穴だったらなんでもいい種馬のあんたの隠れ蓑的な無駄な法律よね」

「いや、俺が隠れ蓑にする気は無いんだけど…やっぱみんなあれ守る気ないのかなぁ」

「無いとしか思えないからあんたが自覚もって自制するのよ。…つまり、…あ、…」

 

「あ?」

言いかけて止まった彼女の方を見ると、口をあけたまま固まっていたかと思うと背を向けて続けた。

 

「あ、…あんたが、ちっちゃい子に変態的で犯罪的な性欲でむらむらしたら、成年してるその…割と小さくってあんたの身近に居てそういう事も吝かでない女の子を玩具にして無理矢理するプレイで発散させるのよ!?でも桐花は違うからね、変態色欲種馬男のあんたはあんななんでも言いなり淫乱女となんてやっても楽しくもなんとも無いでしょ、第一あの娘ちっちゃくないし!あんたにはこう…もっと長年連れ添って、空から落っこってきて何にもわかんないあんたを一からここまでようやくなんとか華琳様に釣り合うように育てて、あんたの事を分かってくれる女?そういう人くらいしかあんたには似合わないしあんたの変態性欲を受け止めてくれないわよ。だからその…そういう思い当たる娘が居たら、あんたの方からお願いして、大事にそのして…お願いするのよ分かった!?」

 

「うん、判った」

主に桂花が可愛い事が。いや、元から可愛いことは知ってたけど更に。

 

 

「で、考えてみたんだけどさ、桂花」

言いながら、彼女の方へ体を起こし、背を向けた彼女を振り向かせる。

「俺にとってそんな女の子は桂花しか居ないんだ。俺が犯罪者にならないように、協力してくれないかな」

そう言うと彼女の頬と口元が緩んだような気がしたが、すぐに背を向けてしまう。

「…嫌よ何で私が」

ついさっきまで俺たち何してたっけと少し笑いそうになってしまうが、再び半身を向けさせて抱きしめながら耳元で囁く。

 

「頼むよ桂花。

俺の、俺だけの、愛しい玩具になってくれ。桂花が嬉し泣きするまで虐めて、一生大事に、優しく虐めて苛め抜く。もしそれが嫌だったら嫌って言ってくれ。羽交い絞めにして動けないようにして、ずーっとキスしながら桂花を滅茶苦茶にするから」

 

そう言うと彼女は目を見開いて、照れたように頬と口元が吊り上りそうになる直前に勢いよく背を向けながら枕に顔を埋め。

月明かりでも判る赤い耳とうなじの向こうで、一言

 

「嫌」

 

と呟いた。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
62
7

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択