No.569849

真・金姫†無双 #35

一郎太さん

そんなこんなで#35。

今回も割とマジメ。

どぞ。

2013-04-25 21:46:43 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:7261   閲覧ユーザー数:5244

 

 

#35

 

 

あけぼの時。朝日が顔を出し始めた頃、見張りのローテに入っていた部下に起こされた。

 

「――――どうした」

「へい、虎牢関より、張遼将軍がお会いになりたいと」

「ナイス・タイミング」

 

開戦してからじゃ遅すぎるからな。

 

見張りの部下を労い、俺は地面で丸くなっている副社長を起こしにかかる。

 

「おら、起きろ、波才」

「んにゅ…あと3刻ぅ……」

 

長ぇよ。朝どころか昼に差し掛かっちまうよ。と言う訳で。

 

「おらぁっ!」

「んにゃぃっ!?」

 

朝一番の乳を揉んでみたり。

 

「ほらほら、起きないと指が山頂に到達しちまうぞ」

「んっ、やっ…起きます……起きますからぁ!」

 

朝〇ちの所為で、ちょっとだけエロ方面に走ったり。

 

 

 

 

 

 

で、虎牢関に入る。張遼って人はなかなかに頭が切れるらしい。すぐに俺たちを捕らえようとしなかったのが、その証左か。

 

「お招きいただき、ありがとうございます」

「ま、楽にしぃ」

 

あるいは、自分の武に絶対の自信を持ってるか。

 

「時間も惜しいから、率直に行かせてもらうで。質問は2つや」

「どうぞ」

 

だって、眼が怖いし。

 

「一つ、自分ら、何処の軍から抜け出してきた。

 二つ、何が目的や。

 これに答えてもらわな、対応も決められん」

 

ギャグに持っていく事も可能っちゃ可能だが、そうすると収拾がつかなくなるので真面目にいく。

 

「まず一つ目。我々は、軍の人間ではありません」

「……はぁ?」

 

おっと、度肝を抜いてしまったようだ。

 

「我々は商隊の人間です」

「商隊……って、商人なんか!?」

「そうですが?」

「なんで商人なんかが……」

 

そいつは2つ目の質問とかぶってるぜ?

 

「二つ目の答えですが、至極単純です。我々は商人。なれば、商売の為に動くというもの。今回も、それが理由です」

「商売て…いや、それは今はえぇ。それを示す証拠は?」

「証拠になるかは分かりませんが……波才」

「はい、社長」

 

俺は波才に促す。波才は懐から竹簡を取り出し、張遼さんに渡した。

 

「どうぞ、目を通してください」

「……んじゃ、読ませてもらうで」

 

さて、どっちになるのかにゃー。

 

 

 

 

 

 

竹簡の中身は、董卓ちゃんとやらから張遼さんに送られた文だ。簡単に説明すると、俺たちの協力の申し出を受ける事と、その対価について。

張遼さんは2度ほど竹簡を読み直し、パタンとそれを閉じた。

 

「……確かに、董卓様の文字によぉ似とるわ。よくこんなん準備できたな」

「という事は、信じる事は出来ないと」

「せや」

 

ま、そうだよな。だから、俺は奥の手を出す事に。

 

「波才、お前が董卓様に会った証拠を示してみろ」

「アタイっすか!?……まぁ、いいですけど」

 

俺の指示に、波才は張遼さんに向き直り、口を開いた。

 

「そっすね…董卓さんの口癖が、『へぅ…』って事とか、どっすか?」

「……なんで知ってんの?」

 

眼を見開いた張遼さんが可愛かったです。

 

 

 

 

 

 

どんな証拠だよと思ったが、張遼さん曰く、董卓の軍師である賈駆は、董卓を出来るだけ表に出したくなかったとの事だ。何かあれば、自分を董卓に見せかける事もしていたらしい。つまり、董卓を目にしても、それが董卓本人であると知らせる事はしていなかった。

 

「でも詠が、まさか自分らからの取引を受けるとは思わんかったわ」

「そりゃ、いきなり商人が手伝うなんて言い出しても、信じやしないっすよね」

 

それなのに董卓の口癖を知っているとなると、これはもう信じるしかないと決めてくれたのだ。

 

「で、そっちの兄ちゃんは北郷、言うたか? 自分、孫策より強いらしいやん」

「まぁ、何度か勝負を挑まれてますので」

「あぁ、もう口調なんか気にせんでえぇて」

「あ、そう? 俺はもともと長沙に店を構えてんだが、孫策ちゃんはうちの店の常連でね。そんで、酔っては勝負を吹っかけられてたんだよ」

 

俺の言葉に、張遼さんはニヤリと口角を上げる。その瞳に浮かんだ悪戯な光を、俺が見逃す筈もなく。

 

「おいおい、勘弁してくれよ。この後も戦わないといけないんだぜ?」

「わかっとるなら、話は早い。さっさと行くで、北郷!」

「あぁぁぁぁ……」

 

結局、襟首を掴まれて、関の外までずるずると引きずられていくのだった。

 

 

 

 

 

 

「――――ま、予想はしてたんだけどね」

「時間もないし、ちゃっちゃと初めてちゃっちゃと飯にしようや」

 

虎牢関を挟んで連合の反対側。俺は張遼さんと対峙させられていた。向こうが持っているのは、偃月刀。そういや、関羽ちゃんも偃月刀使ってたな。

 

「いやいやいや、勘弁してくださいよー。俺って低血圧だから朝はキツイんすよー」

「知らんわ。さっさと得物構えぇや」

 

両手を空に向けて肩を竦め、首を振る。勘弁してくれよー。

 

「じゃぁさ、一発勝負にしない?」

「一発?」

 

だから、俺は楽な方向に走る。

 

「張遼さんって、『神速の張遼』なんて二つ名があるんだろ?」

「せや。いつの間にかそう呼ばれとったし、ウチも気に入ったから受け入れとるけどな」

「だから、張遼さんの本気を、俺がきっちりと躱すか止めたら仕合は終わりにしよ。張遼さん程の腕だったら、それだけで俺の実力はだいたい掴めるだろ?」

「へぇ? 面白い事言うな、自分。なんや、ウチの本気の一撃を捌ける言うてるように聞こえるで?」

 

顔は笑ってるのに、眼は笑ってない。怖いよー。だけど。

 

「そう言ってんだよ。自分が言ったんだろ? ちゃっちゃと終わらせようぜ」

「舐めた口きくなや。死んでも知らん……でっ!」

 

張遼さんが飛び出してきたが、ま、こうやって挑発に乗らせりゃ、楽に捌けるだろ。

 

 

 

 

 

 

そう思っていた。

 

おいおい。

 

だが、見当違いも甚だしい。同じ偃月刀使いなのに、関羽ちゃんとは精神力に差があるようだ。怒りに任せて攻めて来たかと思えば、その眼は冷静に俺を見据えている。

 

「社長!」

 

うるせぇよ、波才。商売の為なら、俺はなんだって出来るんだぜ?

 

「もろたぁっ!」

 

胸元に迫る偃月刀。体幹のど真ん中を僅かにも外していない。こりゃ凄ぇ。でもな。

 

「俺の勝ちだな」

「えっ――」

 

俺は、背に回していた右腕を振るう。その手には、いつもの逆手ではないクナイ。それを、

 

ガギンッ!!

 

力任せに、偃月刀の刃に打ちつけた。あと少しで俺の服にかすろうかという位置にあった偃月刀は、その軌道を逸らして俺の身体からも外れていく。

 

「まだやっ!」

 

だが、そこは流石の張遼さんだ。すぐに体勢を持ち直し、返す手首で俺の横腹を狙いに来る。だけど。

 

「おしまいだよ」

 

刃が、俺の服の脇腹に触れるか触れないかの位置で、ピタリと止まる。

 

「なんで、得物しまった?」

 

視線だけで殺されそうな眼で、張遼さんが睨んでくる。だから怖いって。

 

「最初に決めただろ? 張遼さんの本気を、止めるか躱すかしたらお仕舞だって」

「……」

「別に、これで張遼さんに勝ったなんて思わないさ。でも、俺の実力を知るには十分じゃないか? さっきも言ったけど、張遼さんなら、これだけで大体の力量は計れただろ?」

 

俺の言葉に、張遼さんはガシガシと頭を掻く。

 

「なんや、まいったわ。確かに、最初に取り決めたな。えぇで、アンタを認めたる。ウチの真名は霞や。これからはそう呼びぃ」

「ありがと。俺の真名は一刀だ。よろしくな」

「ん。それから波才、アンタにも預ける。しっかり働いてぇな」

「はぃっ! アタイに真名はないので預けられないのが残念ですが、しっかり働かせてもらいやす!」

「えぇ気概や」

 

さて、そんじゃ。

 

「朝飯を作りに行くぞ、波才」

「うっす」

「なんや、飯も作ってくれんの?」

「店を構えてるって言ったろ? 少しでも士気が上がるなら、そんくらいはやるのさ。霞たんも待っててくれ」

「おぅ、楽しみにしとるで!」

 

俺たちは、朝食の準備をしている部隊の下へと向かう。

 

「……霞たんっ!?」

 

反応遅いなぁ。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

作題『時々』

 

 

 

 

http://upup.bz/j/my79034LznYt37Xd6jdLbnE.png

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で、#35でした。

 

 

絵をあぷろだに変えたけど、考えたら3ヶ月でリンク切れちまう。

 

 

…………

 

 

……ま、いっか。

 

 

ではまた次回。

 

 

バイバイ。

 

 

 


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