No.446273

魔法少女リリカルなのはvivid ‐ヒロイック・ホームレス‐

イーブイさん

この物語の主人公である青年はホームレスである。
何時もはクラナガンのとある川原に設置されたボロボロの小屋に住み、バイトは市立図書館の司書。そんな青年がちょっとした切欠で管理局のエース・オブ・エースの高町なのはの義娘で聖王の現身である高町ヴィヴィオと出会い、その出会いによって青年の運命が色々と変わって行く物語。

2012-07-05 06:16:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3109   閲覧ユーザー数:3063

受付横のロビーで先ほど自分が受付嬢に頼んで呼んで貰ったシャンテを待つ青年。

 

「おーい!」

 

椅子に座って待って居ると。教会の奥から元気な声で自分に向かって手を振るシスター服を着た少女=シスター・シャンテがやってきた。

 

「よお、久々に会ったのにお前は相変わらず元気な奴だな」

 

「あったりまえじゃん!あたしは何時だって元気だよ」

 

「そうか、数年前までは其処ら辺の不良をボコボコにしていた頃とは違ってシスター服に板がついてきたんじゃないか?」

 

「なっ・・・!?あ、あの時の話はしないでよ!今ではちゃんと反省してるんだから!」

 

青年から数年前の話を持ち出され、慌てるシャンテ。

 

「それより、何しに来たのさ?」

 

「・・・・・まぁそれは中庭で言わせて貰う」

 

「ふ~ん、なら行こうよ。今ならノーヴェ達も居るしさ!」

 

「・・・何?」

 

シャンテがさり気なく言った人物名に反応する青年。

 

「シャンテ。お前今ノーヴェとか言わなかったか?」

 

「そうだけど?」

 

「・・・(拙いな、まさか奴が居るとか聞いてないぞ?)」

 

青年は予想外の事が起きたのか考え込む。

 

青年が急に黙り込んだので首を傾げるシャンテ。

 

「・・・(まぁ良い、会わなければ良いだけだ。別に会わないだけなら苦では無いだろう)よし、行くぞシャンテ」

 

「? うん!」

 

シャンテは意味が分から無さそうな顔をするが、どうでもよくなったのか直ぐに笑顔を見せる。

 

そして二人はロビーから聖堂内の中庭に向かった。

 

☆★☆

 

聖王教会本部・中庭・・・

 

此処には冥王=イクスヴェリアの見舞いに来た高町ヴィヴィオと、ヴィヴィオが使う武道の師範である赤い短髪でボーイッシュな女性=ノーヴェ・ナカジマ、そして付き添い人のシスター服を身に纏った水色の髪色をした女性=セインが中庭に向かって居た。

 

「ヴィヴィオ、イクスとちゃんと話して来たか?」

 

「うんっ!ちゃんと話して来たよ。この後はストライクアーツの練習に行くんだよね」

 

「あぁ・・・ん?」

 

ヴィヴィオとの会話を楽しんでいたノーヴェが何かを見つける。

 

視線の先には中庭に入っていく青年とシャンテが居た。

 

「あっ、おーいナナシー!」

 

ノーヴェは青年に向かって『ナナシ』と叫びながら手を振る。

 

「・・・ん?」

 

「? どうしたの?」

 

『ナナシ』と呼ばれたシャンテと共に中庭に向かって居た青年はノーヴェの声に気付き、声がする方向に振り向くと其処にはヴィヴィオとセイン、そしてノーヴェが居た。

 

「ゲッ・・・マジかよ・・・・」

 

「なぁにが『ゲッ・・・マジかよ・・・』だ!」

 

ノーヴェはナナシに突っかかるように迫る。

 

「いや・・・この間みたいにテメェが勝つまでまた無茶苦茶なスパーやらされるんじゃねぇかと思っちまってな・・・」

 

「あれは・・・! ・・・正直悪いと思ってるさ」

 

「はぁ・・・。で? 何の用だよ。俺を呼び止めたんだからそれなりの理由でも有るのか?」

 

「いや・・・それは・・・」

 

「あっ!あの時の・・・!」

 

「ん・・・?」

 

横から何時か聞いた少女の声が聞こえたので少し俯くと長い金髪にオッドアイの見覚えのある少女=高町ヴィヴィオが居た。

 

「お前か・・・学校の帰りか?」

 

「いえ、今日は学校が休みなので此処に入院している友達に会いに来たんです!・・・その、えっと・・・」

 

「? どうした?」

 

ヴィヴィオは恥ずかしそうに俯き、顔を赤くしながら上目使いでナナシを見つめる。

 

見つめられたナナシは頭を傾げる。

 

 

 

「・・・お兄さんのお名前・・・今度は教えて貰えますか・・・?」

 

 

 

 

「はっ・・・?・・・俺の名前?・・・・・・あ~、そういや教えて無かったな」

 

ナナシは自身の名を伝えて無かったことを思い出し、そしてそれを聞いて来たヴィヴィオに対して苦笑する。

 

「良いぜ、教えてやるよ。なんで興味あるのか知らんがな」

 

「ッ本当ですか?!!やったぁー!!」

 

「≪おい、良いのか・・・・?≫」

 

「≪別に良いだろ、名前くらい。それにコイツとは既に3回会ってる。知らない仲でも無いだろ≫」

 

「≪・・・・まぁ、お前が良いって言うならそれで良いんだろうけど・・・≫」

 

ヴィヴィオは異様に喜ぶ姿を尻目にノーヴェはナナシに耳打ちする。

 

「それじゃ私も自分の名前を教えますね!」

 

「それは勝手にしてくれ。まぁ覚えて置いてはやるよ」

 

何故ヴィヴィオが自分の名前を教えるのか分からない顔をしながらも、とりあえず了承するナナシ。

 

そしてナナシはヴィヴィオの真正面に向き合い、右手をヴィヴィオに向かって差し出し、最初はビックリしたヴィヴィオだが意図が分かったのかナナシの差し出した右手を自分の右手で握り返し、握手する。

 

 

 

「それで・・・その、私高町ヴィヴィオっていいます!!」

 

 

 

「俺はナナシ・ネームレス、別に覚えてて貰いたいとは思わん」

 

 

 

元気一杯に言うヴィヴィオと適当に言うナナシ、対照的な自身の自己紹介をした2人だった。


 
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