No.393864

IS−インフィニット・ストラトス−三種のISを操る者−

“女性にしか反応しない”、世界最強の兵器「インフィニット・ストラトス」、通称「IS」(アイエス)の出現後、男女の社会的パワーバランスが一変し、女尊男卑が当たり前になってしまった時代。
そんな中ISを動かした男が現れて、常識が覆された。そして一人の少年レイ・ラングレンもまた、ISを起動させた。だが、それが一つの長きにわたる戦いの始まりだった・・・・

2012-03-18 16:44:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3151   閲覧ユーザー数:3024

 

Story3 確かめたいこと

 

 

そうして次の日・・・・

 

 

「・・これでよし、と・・」

 

レイは荷物をバッグに詰め込むと、肩に掛けた。

 

そうして部屋を出て、玄関まで歩いていくと・・・

 

「・・気をつけるのじゃぞ」

 

と、健造が心配そうにレイに言った。

 

「大丈夫だよ・・・」

 

レイは振り向くと笑みを浮かべる。

 

「・・たまには帰ってくるのじゃぞ」

 

「そうするよ」

 

そうして引き戸を開けて家を出た・・・

 

 

 

 

「来たか」

 

家を出ると千冬と山田先生が待っていた。

 

「では、これよりIS学園の研究所に向かいます」

 

「はい・・」

 

そうして三人は後ろにある車に乗り込んで、IS学園に向かって行った・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、車は人工島にあるIS学園に入っていって、敷地内にある研究所に入っていった。

 

 

 

「ここが・・IS学園か」

 

そして車は駐車場に止まって、レイは車から降りた。

 

「まずは身体検査から始める。山田先生、案内を」

 

「はい。では付いてきて下さい」

 

と、山田先生が歩いていき、レイはその後についていった・・・

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

少しして、レイはとあるものに着替えていた。

 

「これがISスーツですか?」

 

レイは自分が着ているISスーツを不思議そうに見る。

 

「そうだ。ISを装着時はISスーツを着用するのが決まっている。お前の場合稀なケースだ。企業が特注で作ったものだ」

 

「なるほど・・」

 

「では、今から身体検査をする。・・・その前にISを渡してくれ。後ほど調べるのでな」

 

「・・それなんですけど・・・これ外れないんですよ」

 

「なに?」

 

「この腕輪・・がっちり付けられているのか・・外れないんですよ・・」

 

と、レイは腕輪を外そうとするが、腕輪は一切外れそうにもなかった。

 

「・・・仕方が無い。とりあえず身体検査を行う。あそこで横になってくれ」

 

「わかりました」

 

そうしてレイは台の上で横になると、他の職員がレイの頭や腕に電気信号を調べるための器具を装着して、透明の箱が下りてきてレイを覆う。

 

そしてレイの身体を赤いレーザーがスキャンした。

 

 

 

 

 

 

「・・どうだ?」

 

「・・・特に問題と思えるところはありません。いたって健康な身体です」

 

「そうか・・・。ISの適正は」

 

「待ってください・・。今数値が出ています」

 

そして少しして数字が止まった。

 

「・・あ、ありえない・・・・こ、これって・・・!?」

 

「・・なんて異常だ・・・これは・・あまりにも・・」

 

と、千冬と山田先生の表情が険しくなる。レイのIS適正が・・・・『SSS』であったからだ。

 

「信じられません・・・。織斑先生でも『S』が限界ですのに・・いえ、Sまでが適正が一番だって言うのに・・・・・」

 

「あぁ・・。SSSといえば、机上の空論だ・・・。まさに未知の領域だ」

 

「・・・こんなに適正が高いと・・・どうなるのでしょうか?」

 

「さぁな・・。予想も付かんな・・・。だが、はっきりとしているのは―――」

 

と、千冬は横になっているレイを見る。

 

 

「・・・・ISを意のままに操れるだろうな」

 

「意のままに・・?」

 

「・・・まぁ、あくまで私の憶測だがな」

 

「・・・・」

 

(・・・もしそれが本当ならば・・・まずいことになるな)

 

 

 

「・・・織斑先生?」

 

「・・山田先生・・・IS委員会や政府にはこのことを黙って欲しい」

 

「え・・?なぜですか?」

 

「SSSなど、世界からすれば貴重な存在だ。恐らく世界のお偉いさんはどんな手を使っても手に入れようとするだろうな」

 

「それは、そうですけど・・・」

 

「・・委員会や政府には、あいつの適正はAぐらいだと伝えるように」

 

「しかし・・いずれかはばれる気が」

 

「心配ない。SSSと言っても、そのランクに乗じて特殊能力が発動しない限り、ばれる心配は無い・・」

 

「そうでしょうか?」

 

「・・そういうもんだ」

 

 

 

『あ、あの・・・何か問題でもありましたか?』

 

と、レイは少し不安そうに聞いてきた。

 

「心配はない・・。特に変わったところは無い・・・ISを動かせる以外はな」

 

『は、はぁ・・・』

 

「・・そのままISの調査に入る。そのままじっとしていろ」

 

『は、はい・・』

 

そして赤外線が左腕の腕輪をスキャンする。

 

 

 

 

「・・・スキャン結果が出ました」

 

「どうだ」

 

「・・コード名は『ゲシュペンスト』・・・世代的には第三世代型のようですね」

 

「そうか・・・」

 

「しかし・・・まだ初期形態のようですね・・・システムの構成がまだ完全ではありません」

 

「・・あの性能でまだ初期形態なのか・・・。しかしなぜ初期形態のまま待機状態になれるのだ?」

 

「わかりません・・。・・それにしても―――」

 

「まだ何かあるのか?」

 

「・・・プロテクトされたデータがメモリーのほとんどを占めていますね」

 

「ほとんどをか・・・。解除はできないのか?」

 

「できませんよ・・こんなに複雑で堅いプロテクトは始めてです・・。どんなハッカーでもこれは破ることはできません」

 

「・・・当然か」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない・・・。解除する方法は?」

 

「・・どうやら、特定の条件を満たすことでプロクテクトが解除される仕組みになっているようです」

 

「特定の条件か・・・」

 

「・・そのほかはISとほぼ変わりません・・。しかし全身装甲を取り入れたISと言うもの、珍しいですよね・・・・というより、初めてですよね」

 

「そうだな・・・。ISはすべての装甲を展開する必要は無い。シールドエネルギーがある限りな」

 

「・・そうですね・・・。これですべてのデータはわかりました」

 

「・・・やはり・・あいつの・・・」

 

「え?何か言いました?」

 

「いや、なんでもない」

 

「どうされたのですか?ラングレン君に会ってから、独り言が多いような」

 

「・・・何でもないといっている」

 

「・・そう、ですか」

 

「・・・はぁ・・・。ラングレン」

 

『なんでしょうか?』

 

「これより第三アリーナに移動する。そこでISのテストと、模擬戦を行ってもらう」

 

『分かりました』

 

そうして箱が上げられて、レイは起き上がった。

 

「山田先生・・案内を」

 

「はい」

 

そうして山田先生は席を立ってレイを案内した・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

そうしてレイはIS学園内にある第三アリーナのピットに入った。

 

幸いにも今日は休日なので学園の生徒の姿は無かったので、見られることはなかった。

 

「それではラングレン君。ISを展開して下さい」

 

「は、はい」

 

そしてレイはゲシュペンストを展開した。

 

「説明しますね。今からISを使って射撃テストを行います。その後にIS同士の模擬戦を行います。いいですね?」

 

「はい」

 

そうしてレイはPICを作動させて少し宙に浮くと、ピット内に下り立った。

 

 

 

 

「・・全く・・なんでここまで気になるのだろうか」

 

と、千冬はレイがいたピットの反対側におり、ISスーツに着替えており、訓練機である『打鉄』を身に纏って立ち上がった。

 

「・・自分でも不思議なぐらいだ・・・」

 

そして数歩前に出ると、レイを見た。

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

『それでは、始めて下さい』

 

「・・・・・」

 

そしてレイは右手にメガ・レーザーライフルを展開して、前を見た。

 

すると数メートル離れた宙に仮想標的が出現した。

 

そしてレイはメガ・レーザーライフルを向けるとレーザーを放って、仮想標的のど真ん中を撃ち抜くと、次々と仮想標的が現れると、レイはそれをど真ん中に撃ち抜いていった。

 

「昨日よりも狙いやすい・・・。こいつが身体に馴染んできているんだな」

 

 

そうして最後の仮想標的が現れると、レーザーを放って、ど真ん中を撃ち抜いた。

 

 

「・・・ふぅ」

 

そしてレイは一息吐くと、メガ・レーザーライフルを収納した。

 

『凄いですね。命中率は99,9%です・・・。ほぼ100%と言っても過言ではありませんね』

 

「・・そうですね・・。それで、模擬戦の相手は?」

 

「少し待ってください・・。今から―――」

 

『その必要は無い』

 

すると千冬が通信に割り込んできた。

 

「え?」

 

すると、ピットから打鉄を身に纏った千冬が現れた。

 

『えぇ!?お、織斑先生!?な、なぜISを!?』

 

「引退しても、ISが使えないと言うわけではない。それに私の独断でやらせてもらう」

 

『し、しかし・・・』

 

「安心しろ。このアリーナには誰も近づけないようにしてある。私がISを使っているところはお前とラングレンしか知らない」

 

『そ、そういう問題では・・・』

 

「もう通信を切るぞ」

 

そうして千冬はレイの前に降り立った。

 

「ま、まさか・・あなたが模擬戦の相手とは・・・」

 

「・・不満か?」

 

「いいえ・・。むしろ満足です。生意気なことですが、元世界チャンピョンと戦えるなんて思ってもみませんでした」

 

「・・そうか」

 

そして千冬は左サイドアーマーに装着してあった鞘からブレードを抜き放つと、レイも左腕の三本の棒のうち一本を抜き放つと、プラズマ刃を伸ばした。

 

「・・しかし・・・一体なぜあなたが?」

 

「・・・確かめたいことがあるからだ」

 

「確かめたいこと?」

 

「いや・・・なんでもない。・・言っておくが、私は手加減と言う生ぬるいことはしないぞ」

 

「・・そうですか・・。そうでなくては」

 

そうして両者が身構えた。

 

 

 

「「勝負!」」

 

そして両者同時にスラスターを噴射して飛び出すと、両者の刃が交わって火花を散らす。

 

「ふんっ!」

 

千冬はそのままレイを強引に弾き返すと、そのままブレードを振り下ろしてゲシュペンストの装甲を切りつける。

 

「ぐっ!」

 

レイは吹き飛ばされるがとっさに体勢を立て直すと、スラスターを一気に噴射して飛び出すと、プラズマカッターを振るうが、千冬は横にずれて回避すると、ブレードを斜めに振るう。

 

「っ!」

 

レイは強引に体の向きを変えると、斬撃をかわすが、ブレードの刃がゲシュペンストの装甲をかすめた。

 

しかし強引に体の向きを変えたので、バランスを崩しそうになるがレイはとっさにスラスターを噴射して体勢を整えて地面に着地する。

 

「やるな・・・。しかしISを起動させて一日も満たないというのに・・・まるで慣れているような動きだな」

 

「・・自分でも信じられませんが・・・身体が覚えているかのように動くんですよ」

 

「・・そうか・・」

 

そうして千冬はブレードの柄を握り直すと、ブレードを振るってレイに向かって行った。

 

レイは左腕の棒の一本を切り離して、それをレイが左手に持つとプラズマ刃を伸ばして、二刀流にして千冬に向かって行った。

 

「はあぁぁぁぁぁ!」

 

千冬は勢いよくブレードを振り下ろすと、レイはプラズマカッターをクロスさせて斬撃を受け止める。

 

「くぅ・・!」

 

そして千冬はそのまま押し込んでいくが、レイは何とか踏ん張る。

 

「ぐぅ・・・うおぉぉぉぉぉ!!」

 

レイはそのまま千冬を押し返すと、プラズマカッターを振るう。

 

「ふっ・・!」

 

すると千冬は攻撃をかわすと、レイに回し蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

「ぐっ!」

 

レイは吹き飛ばされるが、スラスターを噴射して踏ん張るが・・・その直後に千冬が接近してそのまま足を上げて左手のプラズマカッターを蹴り飛ばした。

 

「しまっ!?」

 

そして千冬は素早くブレードを横に振るい、その太刀筋は確実にゲシュペンストを捉えていた・・・・

 

「っ!」

 

するとレイは右腕を上げてプラズマカッターを下に向けると、斬撃を受け止めると、そのままスラスターを噴射して飛び上がるとブレードを飛び越えた。

 

「なにっ!?」

 

そしてレイは地面に足が着くと同時に地面を蹴って千冬に向かって行った。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

レイはそのまま勢いよくプラズマカッターを振るう。

 

 

(っ!?・・あの太刀筋は・・・!)

 

そして千冬はとっさに後ろに下がったが、プラズマカッターは打鉄の左浮遊ユニットの表面を切り裂いた。

 

「くっ・・・外したか」

 

レイは落ちてくるプラズマカッターをキャッチすると千冬のほうを見る。

 

 

 

(・・・あの太刀筋・・)

 

千冬は先ほどのレイの太刀筋に何かを感じていた。

 

(・・・似ている・・・あいつの太刀筋と・・)

 

それは千冬が最も知っているとある人物の太刀筋と似ていた。

 

(・・・やはり・・・)

 

そして千冬は答えに近い確信を得た。

 

 

「・・・ここまでだ」

 

「え・・?」

 

千冬の言葉にレイは唖然とする。

 

「どうしてですか?・・まだ勝負は・・」

 

「・・十分だ。確かめたいことも確かめた・・。それに、合格だ」

 

「・・合格?」

 

「ここまでやれれば、十分だ」

 

「は、はぁ・・」

 

「・・しかし、私と戦って、私に一太刀当てるとはな・・・。たいしたものだ」

 

「そ、そうですか?」

 

「あぁ・・。この後最終手続きをすればお前はIS学園の生徒に登録される。まぁ、お前は入学式の次の日に入るのだがな」

 

「は、はぁ・・・」

 

そしてレイはゲシュペンストを解除して地面に降りる。

 

「ところで、自分に確かめたいこととは、なんですか?」

 

「・・それは教えられん・・・」

 

「えぇ・・・」

 

レイは少し呆れた様子だった・・・

 

 

(・・・・これで、あいつのところに一歩近づけたもの、か)

 

そうして、レイと千冬はアリーナから出て行った・・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

少し前・・・・アリーナの観客席の柱の陰に、一人の女子生徒がいた。

 

水色のショートヘアーをしており、リボンの色から二年生と思われる。

 

(・・まさか・・織斑先生がISを使うとはね・・・。でも、私はそれに興味は無い)

 

そして女子生徒はゲシュペンストを解除したレイの姿を見る。

 

(・・まさか・・ここで再び出会えるなんて・・・思ってもみなかったわ)

 

そしてその女子生徒は手にしていた扇子を開くと、表面には『再会』と書かれていた。

 

「いつかは・・・また話がしたいわね・・・レイ君」

 

そしてその女子生徒はその場を去った・・・・

 

 

 

 

 

 

 


 
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